546: 2016/04/17(日) 05:40:22.89 ID:fGAh6fJ70
前回:三日月「もっと……もっと頑張らないと……私は」電「……三日月ちゃん」【第十三夜】
最初から:三日月「もっと……もっと頑張らないと……私は」電「……三日月ちゃん」
<正門前>
提督「さぁ、もうそろそろやってくる時間だな」
金剛「イエース。ちょっと緊張しマスネ……」
電「ちょ、金剛さんがそんな感じでは一番ダメなのです!」
金剛「HAHAHA! 冗談ネー!」
電「もう……三日月ちゃんも、リラックスしなきゃなのです」
三日月「は、はははははい! 落ち着いてますよ!?」
電「はいはい、ゆっくり深呼吸するのです」
三日月「うん。すーはー、すーはー」
電(緊張して固くなるのはどちらかと言うと電がそのポジな気がするのですが……今日はそんなこと言ってられる場合じゃないのですね)
提督「おっ、来たみたいだな」
スタスタスタスタ
前提督「やぁ、一週間ぶりだね、少佐殿。車は近場の駐車場に止めさせていただいたよ」
提督「えぇ、本日はわざわざお越しいただき本当にありがとうございます」 ビシッ
前提督「猫被らなくていいよ。正直、前の感じの方が慣れてしまったからね」
提督「……そうかよ。とりあえず今日はよろしく頼みます」
前提督「あぁ、よろしく頼むよ」
547: 2016/04/17(日) 05:41:01.20 ID:fGAh6fJ70
夕立「…………」
菊月「…………」
神通「皆さん、お久しぶりですね。本日はよろしくお願いします」
金剛「オーウ、こちらこそよろしくお願いしマース!」
神通「ほら、お二人もしっかりあいさつしなきゃダメですよ?」
夕立「……よろしくっぽい」
菊月「……よろしくお願いする」
三日月「こ、こちらこそよろしくお願いします」
電(……気まずい、のは当たり前ですね。まぁ、仕方のないことなのです)
電「本日はよろしくお願いします。全力で挑ませていただくのです」
夕立「……ふんだ!」 ベー
電「…………」 ムスー
バチバチバチバチ
三日月・菊月「二人とも、その辺に……て、あっ」 チラ
三日月・菊月「…………」 フイ
金剛(……気まずい)
548: 2016/04/17(日) 05:44:28.49 ID:fGAh6fJ70
提督「じゃあ、演習場所は今俺の言った提案でいいか?」
前提督「あぁ、それでいいよ。演習場でやるよりもそのほうが良い経験になりそうだからね」
提督「うし、了解っす」
金剛「おっ、提督たちの打ち合わせ、終わったみたいデース」
スタスタスタスタ
提督「よし、じゃあ場所移動するぞお前ら」
前提督「神通達も行くよ」
「了解です」
提督「じゃあ、案内するからついて来てくれ」
前提督「…………」 ジー
三日月「……司令官……」
前提督「……ふん」 クル
スタスタスタスタ
三日月「…………」
三日月「あ、あの! 夕立さん!」 クル
夕立「!!」 ビクッ
夕立「……いきなりなに?」
三日月「え、えと……今日の演習が終わった後……少し時間いただいても良いですか?」
夕立「……何かあるの?」
三日月「……」 コクン
夕立「……了解っぽい」 スタスタ
三日月「…………」
三日月(一つ一つ、解決していかなきゃ)
菊月「…………」
549: 2016/04/17(日) 05:47:19.84 ID:fGAh6fJ70
提督「うし、じゃあ今回の演習について説明するぞ」
提督「今回行う演習は、ウチにある演習場ではなく、少し外の海に出て行ってもらう。もちろん安全確認として、事前に金剛に辺りの調査はしてもらっているから深海棲艦がいる心配もない」
金剛「ばっちりデース」
神通(確かに演習場でやるよりも外の海の方が広いですからね。私としてもそっちの方が都合が良いですし)
前提督「僕は別に構わないんだけど、君達はどうだい? 意見なんかはある?」
神通「私は特にありません」
夕立「夕立も別に気にしないっぽい」
菊月「私も同意見だ」
前提督「という事だ、ウチの皆は了承してくれたよ」
提督「あぁ、感謝するよ。お前達も構わないよな?」
電「問題ないのです」
三日月「私も、大丈夫です」
提督「おし、ならそれで行こう。――では、各自準備開始だ」
550: 2016/04/17(日) 05:51:01.88 ID:fGAh6fJ70
三日月「ふぅ……」
艤装を付け終えた私はそっと息を吐く。演習開始まであともう少しだ。やっぱり、緊張する。
提督「三日月、緊張してるのか?」
三日月「……はい。やっぱり、神通さん達が相手ですし、ちょっと怖い気持ちもあります」
提督「なるほどなぁ」
金剛「…………」
電「…………」
提督「お前ら、ちょっとこっち来てくれ。三人ともだ」
三日月「へ? あ、はい」
金剛「ん~? どうしたの提督~?」
電「なのです?」
提督「……みんな、手を出してくれ」
三日月「???」 スッ
提督「俺からの皆へのプレゼントだ」 スッ
三日月「へ? これは……?」
金剛「お守り、デスネー」
電「なのです」
提督「そう、お守りだ。妖精さんが売ってたから買ったんだ。みんなどっかに入れて持っていてくれ」
提督「そう緊張すんなって。お前らはやれることはやってきたし、それを全力でやるだけさ。緊張することなんて何もない」
提督「頑張って来い、三人とも」
三日月「司令官……」
金剛「……イエース! やる気出てきたデース!!」
電「そうですね、電達は全力でやるだけなのです! そして絶対に勝ってやるのです!」
三日月「……うん! 頑張るだけだもんね! ……全力で行きましょう! 皆さん!」
金剛・電「おー!!」
551: 2016/04/17(日) 05:54:20.85 ID:fGAh6fJ70
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
ザザーン……ザザーン
三日月「やはり演習場と違ってちょっと波が強いですね」
金剛「ケドケドー、見晴らしはいいし戦艦のワタシは遠慮なく撃てそうデース」
電「そうですね、ここなら鎮守府に砲撃が行くこともないのです」
提督『あー、あー、聞こえるか皆』
金剛「おー、久々の通信機デスケド、バッチリデース」
三日月「問題ないですよ、司令官」
提督「オッケー、把握した」
前提督『君達も聞こえているかい?』
神通「はい、聞こえていますよ」
夕立「バッチリっぽい!」
前提督『大丈夫そうだよ、少佐殿』
提督『あぁ、そうみたいだな』
提督『あー、君達の様子はもちろん俺達も妖精さんに中継してもらって見ている。けど、通信はお互いにしないものというルールを付けた。俺達は見ているだけの傍観者になる。お互いに全力を出して、頑張ってくれ』
三日月「私たち自身の戦いになるって事ですね」
前提督『さて、もうそろそろ演習開始の時間だけど、準備は大丈夫かな?』
金剛「ノープログレムデース」
神通「私達も大丈夫です」
提督『……よし、ならそろそろ始めようか』
前提督『了解したよ、少佐殿』
提督『……三日月、電、金剛』
前提督『神通、夕立、菊月』
提督『お前達ならきっと勝てる』
前提督『君達ならきっと勝てる』
夕立・菊月「…………」 カチャ
提督・前提督『ボコボコにしてやれ』
金剛(照準を……今のうちに合わせる) ジー
神通「…………」 ガチャン
提督・前提督『演習――』
三日月「……!!」 カチャ
提督・前提督『開始ッ!!』
554: 2016/05/09(月) 12:46:50.64 ID:M8Ybetj90
ドォォォォォンッ!!
電「来たっ!! 金剛さん!!」
金剛「予測通りデス! 電ナイスネー!!」
三日月(開幕からの砲撃、電ちゃんの予想通りだ。あれは、“当たらない”。私達のするべきことは)
じっと待つこと。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
提督『けど、他の二人も油断していい相手じゃないよな。金剛には神通との戦いに集中してもらいたいが、そのためにはあの二人も何とかしなきゃだもんな』
電『……その事に関して、電からの作戦提案があるのです』
提督『おぉ、聞こうか』
電『まず――あの人たちは演習が始まった瞬間何発も砲撃してくると思います。けど、距離的に届きませんので、別の目的を持って撃ってくるはずなのです。そう、水柱を作るために』
金剛『視界を少しでも塞ぐためデスネー』
電『なのです。何度か金剛さんも使ってくる手なのです。相手は軽巡と駆逐艦なのです。戦艦がいるこちらとは攻撃できる範囲が違うのです。だから、接近する必要がある』
電『だから、むしろこちらはそれを迎え撃ってやりましょう。じっと待って、水柱に紛れて近づいてきたあの人たちに、一斉射撃を仕掛けるのです。視界が塞がってるのは、相手も同じなのです。それが成功するかはまだ分かりませんが、最初にやりたいことなのです』
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
ドンドンドンドンッ!! ――バシャンバシャンバシャーンッ!!
金剛「水のパワーは恐ろしいデース」
耳にやって来る砲撃音と、それとリズムを合わせるように飛び出る水柱は神通さん達の姿を紛らわす。
三日月「…………近づいてきました」 ガチャ
金剛「イエース。結構近いデス。この距離だと、そろそろ神通の射程圏内デスネ。電、構えてますカ?」 ガチャ
電「もちろんなのです。一斉射撃の準備を」 ガチャ
ザバアアアアアンッ!!
水柱の距離がだいぶ近くなってくる。私達は構える。準備を始め、いつでも撃てる状態にしていた。だけど、次の瞬間、私達は目を疑った。――水面にそびえ立つ水柱の中から、突然夕立さんが飛んで現れる。
夕立「っ~~~~!! 冷たいっぽい!!」
三日月「え?」
電「へ?」
金剛「エ?」
三日月(夕立さん、何で空中に……?)
三日月「――はっ!! 皆さん!! 撃ってくだ――」
神通「反応、遅いですよ?」
三日月「!!」
ズドオオオオオオオオオン!! ズドンッ!!
555: 2016/05/09(月) 12:48:17.71 ID:M8Ybetj90
三日月「っ!!」 グル
バシャーン!!
意識を削がれた。私達が視線を変えている間に、砲撃をされたんだ。何とか回避には成功したけど、体勢は崩されてしまった。
三日月(みんなは、無事!?) キョロ
金剛「ヅッキー!! こっち見てはダメ!!」
集中が削がれる。
三日月「――――!!」
夕立「……」 バンバンバン!!
三日月「っー!!」 ヒョイ
バシャーンバシャン!!!!
空を舞っている状態の夕立さんは、そのまま砲撃をしてくる。空中からの砲撃なんて、聞いたことなかった。回避はできた。しかし、ずらされた意識の切り替えが難しい。
556: 2016/05/09(月) 12:50:41.47 ID:M8Ybetj90
クルクルクルクル――バシャーン!!
夕立「作戦通りだけど、神通さん投げる力強すぎっぽい!! まぁ、けど着地……? 着水? ……と、とりあえず成功っぽい!!」 バァン!!
電「!!」 シュ!! バシャーン!!
電「なのです!!」チャキ
ドンドンドンドン!!
夕立「へぇ、中々やるっぽい。避けるの結構上手だね」 シュン、ヒョイ
バシャンバシャン!!
金剛「ファイア――!!」
ドオオオオオオオオオオオオオンッ!!
夕立「っぽい?」 シュン――バシャーーーン!!
金剛「な!! 避けられた!?」
夕立「……単純すぎ」
三日月「ッ、えーい!!」 バンバンバン!!
夕立「……そんなの当たらないっぽい」 ヒョイ、ヒョイ
夕立さんは私達の攻撃を簡単に避ける。
ドォンドン!!
夕立「てか、夕立にだけターゲット絞ってて平気なの?」 ヒョイ、ヒョイ
三日月「はっ!?」
この時私は気付く。――夕立さんは、囮だったんだと。さっきから神通さん達の砲撃が、一切ない。夕立さんも今は一切攻撃をしてこない。避けにだけ徹している。咄嗟に視線を変える。そこから見える神通さん達の距離は、近い。
菊月「よくやった、夕立。作戦通りだ」 カチャ
神通「だいぶ近づけましたね。この距離なら……」 カチャ
私達を挟み込むように、神通さんと菊月は接近していた。次の瞬間、撃たれるだろう。距離はだいぶ近い。――今だよね、電ちゃん。
三日月「……電ちゃん!!」
電「はい!! 今です!!」
金剛「了解デースッ!!」
ザッ!!
私達は、一斉に動き出す。それぞれの相手に向かって。
557: 2016/05/09(月) 12:52:46.29 ID:M8Ybetj90
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
電『そこからですが、一騎打ちで戦うべきだと電は思うのです』
提督『なるほど……電がそう思う理由を教えてくれ』
電『はいなのです。神通さんとまともにこの中で相手できるのは、悔しいですが恐らく金剛さんだけなのです。先ほど司令官さんが仰っていた通り、金剛には神通との戦いに集中してもらいたいのですが、そのためにはあの二人をどうにかしなければいけません。なので、いっそのこと電と三日月ちゃんで、あの二人のどちらかと一騎打ちをしましょう。神通さんの援護をできないように、真正面から戦うのです』
電『最初の攻撃が失敗するにしろ成功するにしろ、相手が近づいてきたらこっちも近づいてあげましょう。一騎打ちで、勝利を掴むのです』
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
ドォン!!
神通さん達が私達に向かって砲撃してくる。回避するんだ。意地でもです。
三日月「……ッ!!」
スピードは下げない。このまま全速前進をする。――夕立さんに向かって。当たって、たまるか!!
身体を上手くずらして、砲撃を避ける。
バシャアアアアアアアア!!
三日月「よし!!」
スピードを下げないまま、上手く避けることができた。――そして、夕立さんの前に辿り着く。
三日月「…………」
夕立「…………」
三日月(他の皆さんは、大丈夫かな。色々と心配だけど、気にしてはいられない。――作戦通り、やるんだ)
菊月「……そうきたか」
電「途中、ちょっと予想外のことはありましたが、電達がやるべきことは変わりません」
神通「勝利の鍵であるあなたが真正面に来て、大丈夫なんですか? ……良い的ですよ?」
金剛「HAHAHA! 勝利の鍵だからこそ、私はyouと一騎打ちするんデース」
神通「この距離でしたら、戦艦の射程距離も関係ありませんよ?」
金剛「神通」
神通「…………」
金剛「ワタシ達は、ワタシ達の考えた作戦通りにやっているんデス。それぞれの、思いがあるんデス。……ワタシは、絶対に勝つ。練度なんか、関係ない。――絶対に勝ちマス!!」
神通「……良いでしょう、受けて立ちます」 ガチャ
神通「軽巡洋艦、神通。推して参ります」
金剛「ッ、ファイアー!!」 ドォォォォンッ!!
558: 2016/05/09(月) 12:54:58.79 ID:M8Ybetj90
三日月「…………」
夕立「……三人で纏まって戦うんじゃなくて、それぞれ一対一で戦う作戦ね。確かに、あなたがここにいたんじゃ他の二人の援護はできないっぽい」
三日月「そうです。一騎打ち作戦です」
夕立「……選ぶ相手、間違えたっぽいね」
三日月「いいえ、間違っていません」
夕立「…………」
三日月「夕立さんは、昔から強かった。私よりも全然強かった……ひっそりと憧れてもいましたし、同じ駆逐艦なのにどうしてこんなに差があるんだろうって思った時期もありました」
三日月「だけど、私は……今の私はもう、決めたんです。強くなるって」
夕立「…………」 カチャ
三日月「夕立さんを超えます。ずっと一緒に過ごしてきた、あなたを超えます。訓練成績ではいつも負けてたけど、今日は、夕立さんに勝ちます」
夕立「……どういう心変わり?」
三日月「へ?」
夕立「以前のあなただったら、絶対にそんなこと言わなかった。あの電ちゃんがあなたを変えたの? ……ねぇ!!」 ギロ
三日月「……そうかも、しれません」
夕立「!! はは……へぇ、そう」
夕立(私じゃ、ダメなの? 私はあなたの心を変えられなかった。やっぱり私は友達じゃなかったの? あの子の言う通り、私は友達の間違いを正さない、被害者気取りのわからず屋なの? 約束を破って裏切ったのはあなたなのに、裏切り者は夕立の方なの?)
三日月「ゆ、夕立さん?」
夕立「なんで、なんで……なんでなんでなんでなんで!!」
夕立(裏切ったのは、三日月ちゃんじゃん!! 大切な約束だったのに……それを破って抱え込んだのは三日月ちゃんじゃん。私は、それが許せなかった。だからあなたを嫌いになった。提督さんが壊れたのも、三日月ちゃんが抱え込んだからだ。なんで一人で抱え込むんだ。……どうせ、覚えてないんでしょ? あの時の約束なんか、覚えてないんでしょ!?)
夕立「……さっさとあなたを倒して、菊月ちゃんの助けに行かなきゃ。神通さんは問題ないだろうけど、菊月ちゃんはちょっと心配」
三日月「……負けません」 カチャ
夕立「……あなたなんか……大っ嫌いッ!!」
559: 2016/05/09(月) 12:57:36.63 ID:M8Ybetj90
ドォンドン!!
三日月「!!」 シュ!!
夕立「そう何度も避けられると思うな!!」 バンバンバン!!
三日月(真正面からからの砲撃の嵐。これに当たったら私なんか一発大破だ。絶対に当たっちゃいけない) ザザッ!!
夕立「逃がさないっぽい!」 ザッ
三日月(よし、追いかけてきた! ……いま!!) クル
夕立「!!」
三日月(一瞬逃げるふりをして、すぐに振り向き撃つ。隙を突くんだ)
三日月「えええええええい!!」
ドォンッ!! ――ボカァァァァァァン!!
三日月「当たった!!」
三日月(真正面から当たったんだ、多少は――)
夕立「……そんなもんなの?」 小破
三日月「!!」 ザッ
三日月(真正面から受けてあれしか与えられないの!? くっ)
ザザッ!!
三日月「え? はや――」
夕立「つかまえた」 ガシ
三日月(まずい――!!)
夕立「ッぽい!!」 ガッ!!
三日月「ふわ!?」 グルン
バシャアアアアアアアアン!!
三日月「あ、が……っ!!」
三日月(叩きつけられた。同じ駆逐艦なのに、ここまでパワーに差が――)
夕立「……」 カチャリ
三日月「!!」 クルン、クル バンバンバン!!
バシャン!! バシャン!! バシャーンッ!!
夕立「ちっ、避けられた……やっぱそのまま抑えといたまま撃った方がよかったっぽい」
三日月「はぁ、はぁ、はぁ」
口の中がしょっぱい。身体もびちょびちょになる。それでも、避けられて良かった。私の砲撃でできる水柱とは雲泥の差だ。それくらい、威力に差があるんだろう。
560: 2016/05/09(月) 12:58:58.17 ID:M8Ybetj90
夕立「……そんな単装砲じゃ、いくら受けたって痛くもないよ。……魚雷だって、こんな一騎打ちで当たる要素もないし」
三日月「……確かに、普通の戦い方をしていても夕立さんには勝てないかもしれませんね」
夕立「……戦い方の問題じゃないっぽい。あなたなんかに夕立は負けない!!」 バンバンバン!!
三日月「……勝ちます!!」 ヒョイ、ヒュン バンバンバン!!
ドンドンドンドン!!
私も、夕立さんも、お互い避ける。撃つ。それを繰り返し続ける。また捕まれないように上手く距離を保ちながら動いているけど、決定打が無さ過ぎる。お互い攻撃は当たらないし、私の攻撃は当たっても対してダメージを当てられない。
こっちは一発でも被弾したらおしまいだ。
三日月(勝つためには、どうしたらいいのか、考えるんだ)
ドンドンドンドン!! ――バシャアアアアアアアアン!!
夕立「はぁ、はぁ、はぁ」
三日月「はぁ、はぁ、はぁ……げっほ」
夕立「つ……疲れてきたんじゃない? ……そろそろ、休みなよ」
三日月「ゆ、夕立さんだって……疲れてるじゃないですか」
夕立「は、はああああ!? 疲れてないし!! 全然平気っぽい!! てかあなたどんだけしぶといのよ!! 早く当たってよ!!」 バンバンバン!!
三日月「いやです!! 当たったら一発で負けちゃいます!!」 バンバンバン!!
夕立「~~~~~~!! もう、めんどくさいっぽい!! 魚雷、発射っぽい!!」 ポンポンポン!!
三日月「え!?」 ザザー!! シュン
三日月(真正面から魚雷撃たれても、簡単に避けられるな……)
夕立「ちっ、やっぱ魚雷は今はダメっぽい。もう!!」 バンバンバン!!
ザバンザバーンッ!!
三日月(魚雷……魚雷しか、私が勝てる方法はない!! けど、当てるためにはどうしたら――はっ!!)
バシャンバシャンバシャーン!!
三日月(水柱……!!)
三日月「これしか、ないです!」 クイ、ドンドンドォン!!
夕立「……どっち撃ってるの?」
バシャアアアアアアアアン!!
夕立さんにわざと当てないように、左右に砲撃する。
ドンドンドンドン!! バシャンバシャン!!
そう、狭叉弾だ。
561: 2016/05/09(月) 13:00:45.06 ID:M8Ybetj90
水柱が夕立さんの周りにいくつかできる。
三日月(いまだ!! あれが水面に落ちる前に!!)
私は、夕立さんに一気に近づく。夕立さんが迎え撃つように砲撃をしてくる。
バシャン、バシャン!!
三日月(避ける、避ける、全部避ける!!)
全神経を注ぐんだ。当たってはいけない。当たったら氏ぬと思うんだ三日月!!
全ての視線を砲撃に向ける。迫り来る弾に向ける、身体の神経を研ぎ澄ませる。できることは全てやって、避けるんだ。
三日月(避ける避ける避ける避ける!!)
バシャアアアアアアアアン!! バシャアアアアアアアアン!!
夕立(は、はや!!)
まるで時間がゆっくり進んでいるような感覚だ。水柱はゆっくりと落ちていく。全速発進しているはずなのに、遅く感じる。――力を振り絞る。
三日月「この距離なら!!」 キュ!!
ブレーキをかける、魚雷を――“握りしめる”。水柱はまだ残っている!!
三日月「当たってえええええええええ!!」
私は魚雷を、放り投げた。――手投げ魚雷。
夕立「え?」
夕立さんは驚く、周りを見る。水柱が邪魔なのだろう。咄嗟に横へ飛ぶという判断が遅れたのだろう。ゆっくりと、魚雷は夕立さんに近づく。時間がゆっくりと進む感覚は、まだ続いている。でも、その感覚も終わりを迎える。
三日月「わわ!!」 ツル
体勢のバランスを崩してしまい、私はつい転んでしまう。その瞬間、時間の感覚が戻る。視界の水柱は全て水面に落ちる。
ボカアアアアアアアアアアアンッ!!
そして、魚雷の爆発音が耳に届いた。
三日月(いまだ!! あれが水面に落ちる前に!!)
私は、夕立さんに一気に近づく。夕立さんが迎え撃つように砲撃をしてくる。
バシャン、バシャン!!
三日月(避ける、避ける、全部避ける!!)
全神経を注ぐんだ。当たってはいけない。当たったら氏ぬと思うんだ三日月!!
全ての視線を砲撃に向ける。迫り来る弾に向ける、身体の神経を研ぎ澄ませる。できることは全てやって、避けるんだ。
三日月(避ける避ける避ける避ける!!)
バシャアアアアアアアアン!! バシャアアアアアアアアン!!
夕立(は、はや!!)
まるで時間がゆっくり進んでいるような感覚だ。水柱はゆっくりと落ちていく。全速発進しているはずなのに、遅く感じる。――力を振り絞る。
三日月「この距離なら!!」 キュ!!
ブレーキをかける、魚雷を――“握りしめる”。水柱はまだ残っている!!
三日月「当たってえええええええええ!!」
私は魚雷を、放り投げた。――手投げ魚雷。
夕立「え?」
夕立さんは驚く、周りを見る。水柱が邪魔なのだろう。咄嗟に横へ飛ぶという判断が遅れたのだろう。ゆっくりと、魚雷は夕立さんに近づく。時間がゆっくりと進む感覚は、まだ続いている。でも、その感覚も終わりを迎える。
三日月「わわ!!」 ツル
体勢のバランスを崩してしまい、私はつい転んでしまう。その瞬間、時間の感覚が戻る。視界の水柱は全て水面に落ちる。
ボカアアアアアアアアアアアンッ!!
そして、魚雷の爆発音が耳に届いた。
562: 2016/05/09(月) 13:02:25.06 ID:M8Ybetj90
三日月「げっほ、げほ……うぅ、海水が口の中に……しょっぱい」
三日月「――はっ!! ぎょ、魚雷は!?」
爆発と共に生まれた水飛沫の中に、夕立さんはいた。
三日月「あ、ゆ、夕立さん!!」 ザザッ
私は気が付くと夕立さんに駆け寄っていた。
夕立「…………」 大破
三日月「ゆ、夕立さん!! 大丈夫ですか!?」 アタフタアタフタ
服はだいぶボロボロになっていた。所々見える肌色に傷はついていないように見える。
夕立「……自分でやっといてなんでそんなに焦ってるのよ」
三日月「ご、ごめんなさい」
夕立「謝らないでよ。べつに、演習弾だから傷物にはなってないしね。……一応、これは大破扱いなんだろうけど」
呆れ気味に夕立さんは言う。
三日月「良かった……怪我してなくて」
夕立「だからぁ、あなたがやったんでしょ? 魚雷放り投げるとか聞いたことないっぽい」
三日月「えと、普通のことやっても対応されちゃうかなと思って……夕立さんが飛んできた時みたいな感じに意外性を狙って」
夕立「あれは菊月ちゃんの作戦だから……ホント、神通さんに投げられるこっちの身になってほしいっぽい」
三日月「ふふ、ウチの姉が失礼をしました」
夕立「……っぷ、なによ、それ」 クスクス
563: 2016/05/09(月) 13:03:24.72 ID:M8Ybetj90
三日月「……なんかこの感じ懐かしいですね」
夕立「あっ……ふ、ふんだ!」 プイ
三日月(一瞬笑ったかと思ったら、すぐにそっぽを向かれちゃった……)
三日月「とりあえず、何ともなくて良かったです」
夕立「……なんでよ、別に夕立の身体がどうなろうと知ったこっちゃないでしょあなたには」
三日月「え、そ、そんなことないですよ!」
夕立「はぁあああ? 嘘つかないでよ!!」
三日月「う、嘘じゃないです!!」
夕立「なんでよ!! あなたには関係ないでしょ!!」
三日月「か、関係なくなんかないです!!」
三日月「ゆ、夕立さんは……私の……と、友達だもんッ!!」
夕立「――え」
564: 2016/05/09(月) 13:05:49.00 ID:M8Ybetj90
三日月「あ、えと……ごめんなさい。夕立さんはそう思ってないかもしれませんけど……私はまだ夕立さんのこと……友達だと思ってます」
夕立「……嘘つくな」
三日月「嘘じゃないです!!」
夕立「嘘つくなぁッ!!」
三日月「!!」 ビク
夕立「じゃあ……じゃあ……なんであの時……あんなこと言ったの……!!」
三日月「あんなこと……」
夕立「はん、どうせ覚えてないんでしょ?」
夕立「あなたはあの時、私達の約束をそんなの今は関係ないって言ったんだ。覚えてる? 私とあなたがした約束」
三日月「…………」
夕立「お互いを助け合うっていう約束。あなたが最初に言ったんじゃない!! 友達はお互いに助け合うものだって!! なのにあなたはあの時一人で抱え込んで、そんなの今は関係ないって言ったんだ!! 何が関係ないよ……関係ないって何よ!! 私達、友達だったんじゃないの!? 関係ないってそんなの……ないよ……!!」 ボロボロ
三日月「…………」
夕立「あなたは……私達の思い出を、約束を関係ないって言ったんだ……なんで、なんで一人で抱え込むのよ……!! あなたは裏切ったんだ!! 夕立を!! 約束だって、覚えてないんでしょ!?」
三日月「夕立さん……」
夕立「裏切り者!! 馬鹿!! アホ!! ドジマヌケクソ真面目わからず屋!!」
夕立「ひっぐ……なんで、なんで一人で抱え込むのよぉ……私に頼ってくれないのよ……!! 関係ないなんて言ったのよ……!! うぁ……ぁぁぁ……うぐ!!」 ボロボロ
夕立「……三日月ちゃんの事……大好きなのに……!! わたし、さびしいよ……!!」 ボロボロ
三日月「ッ、夕立さん!!」 ジワァ
ギュ
三日月「ごめんなさい……ごめんね、夕立さん……!!」
三日月「全部、全部覚えてるよ。私、その事謝りたかったの。演習終わった後にする話も、その事についてだったの。後悔してた!! 謝りたかった!! ……けど、私……正面から謝る勇気、なかったの。怖かったの」
夕立「うわあああああああん!! 三日月ちゃんの馬鹿ああああああああ!!」
三日月「ごめんね……夕立さん、本当に……ごめんね……!!」
三日月「もっと……もっと頑張らないと……私は」電「……三日月ちゃん」【第十五夜】



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