630: 2016/06/02(木) 16:58:22.99 ID:FeJDxbnI0
前回:三日月「もっと……もっと頑張らないと……私は」電「……三日月ちゃん」【第十六夜】
最初から:三日月「もっと……もっと頑張らないと……私は」電「……三日月ちゃん」
三日月「電ちゃん!! 菊月!!」
金剛「ソーリー……神通。引っ張ってくれてサンキューネ」
神通「いえ、お安い御用です」
夕立「何はともあれ、全員合流できたっぽい!」
電「皆さん……」
菊月「あぁ、……全員無事で、良かった」
三日月「大丈夫!? 怪我は……当然してるよね。来るの遅くなっちゃって……ごめんなさい」
電「……いえ、大丈夫なのです。……三日月ちゃんも、皆さんも無事でよかったのです」
夕立「いやぁ……まぁ……色々あったっぽいけど、ね」 アハハ
菊月「勝手な行動をした挙句……さてはまた無茶したな貴様……」 ゴゴゴゴゴゴ
夕立「ひぃ!! ごめんなさいっぽい!!」
菊月「……まぁ、無事で良かった。説教はあとで当然するけどな」
夕立「はい……」
三日月「……電ちゃん、何かあった?」
電「へ?」
三日月「何か、元気ない……本当に、大丈夫?」
電「……はい、大丈夫なのです」 ニコ
三日月「……なら、良かったです。何かあったら、いつでも話聞くから、ね?」 ニコ
電「うん、ありがとうなのです」
神通「恐らく……先ほどのヲ級が最後の深海棲艦で間違いないでしょう。遠目からだったので、確実ではないですが、かなり接近していたよう見えました。大丈夫でした?」
菊月「……あぁ……援護、感謝する」
電「…………ありがとう、ございました」
三日月「…………」
三日月「電ちゃんっ」 ギュ
電「え?」
三日月「疲れてそうだから、鎮守府まで私がエスコートするね?」 ニコ
電「……あ、ありがとう……///」 カァァァ
金剛(恋人同士かな?)
三日月「さ、皆さん……司令官達が心配です。急いで戻りましょう」
神通「えぇ、そうしましょう」
三日月「はいっ!」
菊月「……三日月」
三日月「!! う、うん……菊月、どうしたの?」
菊月「ありがとう」
三日月「へ?」
菊月「……さ、急ごう。……先に行ってるからな」 ザザ
三日月「う、うん」
電「……ふふ」
631: 2016/06/02(木) 17:00:33.35 ID:FeJDxbnI0
提督「通信機、直りそうにないか?」
妖精さん「モウ少シカカリソウデス……スミマセン」
提督「いや、大丈夫だよ。作業止めてしまってすまない。ありがとうな」
妖精さん「イエ」
提督(……全員、無事だろうか……)
タッタッタッタッタッタ
提督「……ん?」
タッタッタッタッタッタ
提督「まさか」
タッタッタッタッタッタ!!
バターン!!
金剛「はぁ、はぁ……て、提督ー!!」
提督「こ、金剛!! 無事だったか!!」
提督「でもお前ボロボロじゃないか!! はや――」
ッタッタッタ!! ダキ!!
提督「こ、金剛!?」
金剛「…………た」
提督「え?」
金剛「……無事で、よかった……!!」
金剛「鎮守府に着いたら、色々な所に爆撃された跡があって……司令室にも……!!」
提督「……金剛も無事で良かった……心配してくれて、ありがとうな」 ナデナデ
金剛「……うん」
タッタッタッタッタッタ!!
三日月「はぁ、はぁ……司令官!!」
電「こ、金剛さん……は、早いのです……」
神通「ど、どうして一番怪我しているあなたがそんなに早いんですか……」
夕立「さっきまで神通さんに引っ張られていたはずなのに……」
菊月「……愛だな」
提督「三日月!! 電!! それに皆も……無事で良かった」
神通「えぇ、あなたも無事で良かったです。あ、あの!! 提督は……」
提督「……あそこだ」 スッ
前提督「…………」
夕立「て、提督さんッ!!」 バッ
三日月「え……?」
菊月「し、司令官……」
神通「て、提督……?」 ヨロ、ヨロ
前提督「…………」
電「あ、足が……」
提督「…………俺の事、助けてくれたんだ」
神通「……提督!!」
提督「……応急処置はしたし、生きてはいる。けど、両足は……もう手遅れだった。……切断するしかなかった」
632: 2016/06/02(木) 17:01:30.49 ID:FeJDxbnI0
夕立「ッ!!」
菊月「…………ッ」
妖精さん2「……提督ヲ責メナイデクダサイ」
夕立「……大丈夫、わかってる……」
提督「……大量の出血は、何とか止まった。だけど、頭部を強く打ったせいか……まだ目が覚めない。眠ったままなんだ」
神通「……い」
提督「…………すまなかった……っ」
前提督「…………」
神通「――先生ッ!!」
633: 2016/06/02(木) 17:02:25.94 ID:FeJDxbnI0
神通「い、嫌です!! 私を置いてかないでください!!」
金剛「じ、神通!! 落ち着いテ!!」 ガシ
神通「いや……いやです……!! せんせい……ッ!!」
前提督「…………」
提督「……とりあえず、病棟に……移動しよう。手伝ってくれ」
三日月「司令官」
提督「三日月……?」
三日月「……司令官」 スタスタ
提督(あぁ、大佐の事か……)
スタスタスタスタ
三日月「……司令官……!!」
神通「うっぐ……ぅう……!!」
前提督「…………」
三日月「私……まだあなたに謝り足りないんです……言いたいこと、たくさんあるんです。……お願いです……」
三日月「行かないで……!!」
前提督「…………」
634: 2016/06/02(木) 17:04:01.20 ID:FeJDxbnI0
前提督(……ここはどこだ)
前提督(綺麗な景色だ。空気も澄んでいる。居心地がいいな)
前提督『あれ……だけど、僕は……さっきまで彼と……』
『あなた』
『パパ』
前提督『へ?』
前提督『お前達……!!』
『久しぶりね、あなた』
『パパ……会いたかった』
前提督『……そうか、僕はさっき……あの男を……くっそ、どうしてあんなことをしてしまったのか……』
『…………』
前提督『……ここは、あの世なのかい?』
『…………』
『…………』
前提督『そうか……けど、またお前達と暮らせるなら』
『ダメ』
前提督『え?』
『まだパパ……お仕事いっぱい残ってるもん。こっちに来ちゃだめー!!』
前提督『……な、なんでそんなこと言うんだよ……ほら、“ミカ”!! 久しぶりに僕と遊ぼう。……ずっと寂しい思いをさせてごめんな』
『…………』
前提督『あ、あれ……そっちに、上手くいけない……くっそ、どうしてだ!!』
『あなたがまだこっちに来ちゃダメよ……』
前提督『ど、どうしてだ!! 僕はもう、氏んだのに!!』
『いえ、あなたはまだ生きいます』
前提督『え?』
635: 2016/06/02(木) 17:05:26.41 ID:FeJDxbnI0
『見て』
神通「先生!!」
前提督『……神通』
菊月「司令官!!」
前提督『……菊月』
夕立「提督さん!!」
前提督『夕立……』
三日月「――司令官!!」
前提督『三日……月……』
『あなたは……まだ、眠ってるだけよ。生きてるの』
前提督『……じゃあ、このまま眠り続ければお前達といれるって事か』
『あ、あなた!!』
前提督『なんでそんなに拒むんだ!! 僕の事が嫌いなのか!?』
『…………』
前提督『……どうしてだよ……やっと会えたんだぞ……?』
『あなたの事は……愛してます』
前提督『じゃあ、どうして……!!』
『あなたの帰りを待っている人たちがいるのに……置いてくるの?』
前提督『!!』
『そんなの……無責任です……』
前提督『……僕は!!』
前提督『ずっと、ずっとお前達に……会いたかった』
『……私もです』
『私もだよ、パパ』
前提督『なら、いいじゃないか!! もう、このままでいいじゃないか!!』
『……ダメよ』
前提督『なんでだよ……!!』
『あの子と和解できてないから』
三日月「司令官……!!」
前提督『……アイツと、和解だって?』
636: 2016/06/02(木) 17:06:37.71 ID:FeJDxbnI0
前提督『そんなこと、する必要はない。アイツは……お前達の事を!!』
『もう、逃げるのはやめにしましょう』
前提督『逃げてなんかいない!! お前も少佐みたいなこと言うのか!?』
前提督『……俺がアイツを憎む心は本物だ!! 憎いんだよ!! 三日月は……お前達の事を頃したんだぞ!!』
『けど、あの子は悪くないとも本当は思っているんでしょ!? そんなこと皆知っているんです!!』
前提督『……なんなんだ、どいつもこいつも』
前提督『僕は……俺は!!』
『…………』
前提督『お前達に何もしてやれなかった!!』 ボロボロ
前提督『家の事も任せっきりにしてしまったし……中々会う機会もなかった……!! 愛情を伝えることができなかった!!』
前提督『……久しぶりに、お前達に会えると思っていた……本当に、楽しみにしていたんだ……』
前提督『今までにないくらい……ミカと遊んであげようと思った……愛情を伝えようと思った……お前と一緒にいたかった!!』
『…………』
『…………』
前提督『なのに……なのに……!!』
前提督『お前達ともう会えないんだ!! そんなの……嫌だった……!!』
前提督『お前達と……会いたかった!!』
前提督『…………なんで俺は……もっと、護衛を付けなかったんだ……くっそ!!』
『……あなた』
前提督『突然やって来たんだ。恐怖が!! お前達ともう二度と会えない。言葉を交わせない……俺は……怖かったんだ……怖かったんだよ!!』
前提督『そんな時に……あいつが、自分が一番悪いって言ったんだ……そう、その通りなんだ!! あいつがお前達を撃ったんだ!! あいつが!! あいつがぁ!!』
『あなた!!』
『パパッ!!』
前提督『!!』
『私はあなたの事、愛していました』
637: 2016/06/02(木) 17:07:33.72 ID:FeJDxbnI0
前提督『ッ!!』
『わたしも、パパの事大好きだったよ』
前提督『うっぐ……!!』
『しっかりと愛は伝わっていました』
前提督『お前……』
『一生懸命働くパパが、わたしの自慢だった。寂しかった時もあるけど、そんなのしかたないもん!!』
前提督『ミカ……!!』
『あなたは、まだここに来る人じゃないわ』
前提督『…………』
『パパを待ってる人たちがいっぱいいるんだから』
前提督『…………』
三日月「司令官!!」
三日月「ごめんなさい……!!」
前提督『……またいつか、戻って来る』
『はい、お待ちしています』
『わたしも……ずっと、待ってる』
前提督『……ありがとう、愛してるよ』
『私も、愛しています』
『わたしも!! パパの事大好きだから!!』
前提督『っ……ありがとう……またな……!!』
スゥゥゥゥゥゥ――
638: 2016/06/02(木) 17:09:02.01 ID:FeJDxbnI0
前提督「…………い」
三日月「……え?」
前提督「うるさいんだよ……君の声……耳……障り……だ」
三日月「し、司令官!!」 パァァァ
神通「せ、先生!!」
夕立「て、提督さああああああああん!!」 ブワ
菊月「司令官!! よかった……!!」
提督「よ、妖精さん!! 移動させる準備だ!! 病棟へ!!」
妖精さんs「リョ、了解ッ!!」
電「…………電も手伝うのです」 スッ
639: 2016/06/02(木) 17:09:30.28 ID:FeJDxbnI0
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
あれから、三日が経ちました。
コンコンコン
三日月「司令官、三日月です」
提督「あぁ、三日月か。入っていいよ」
三日月「はい、失礼します」 ガチャ
提督「お疲れさま。時間かい?」
三日月「はい、もうすぐお昼です。“提督”の所へ行きましょう」
提督「うん、了解したよ」
三日月「……お忙しそうですね」
提督「ん、あぁ。今までにないケースで深海棲艦が出現したからね。その報告やら……鎮守府の修理申請やら……たくさんだよ」
三日月「あ、あの……何かあったら手伝いますから!」
提督「あぁ、ありがとう……」
提督「とにかく、大佐の所へ行こうか」
三日月「はいっ」
鎮守府は、平和だ。
640: 2016/06/02(木) 17:11:25.12 ID:FeJDxbnI0
〈病棟 病室〉
前提督「だから、味付けが微妙だって言っているんだ。日本語理解できないのかな君は?」
提督「おっ、テメー喧嘩売ってんのか? 俺が愛してやまないボルシチの俺流の味を否定するなんてな」
前提督「あぁ、なら君の味覚がおかしいだけだね。ごめんよ」
提督「本当にアンタムカつくなぁ……怪我人じゃなかったらぶっ飛ばしてたわ」
前提督「……ふん。というか、そもそも何でここで食事しているんだ。ゆっくり休めないんだが」
提督「うっせぇ。俺の鎮守府では食事は皆で一緒に取るって言うルールがあるんだ。我慢してくれ」
前提督「へぇ」
提督「聞いといて全然興味なさそうだなアンタ!?」
三日月「…………」
司令か……提督は、怪我が治るまで私達の鎮守府にいることになった。当然――
夕立「お、美味しい……ぽい」
菊月「…………」 パクパク
電「き、菊月“ちゃん”!! それ電のおかずなのです!!」
菊月「え? あ、あぁ……すまん」
金剛「ウンウンー、育ち盛りだからもっと食べるべきデース! お替りいるー?」
菊月「…………い、いただこう」
皆も泊まっています。
神通「……○○さん」
提督「ん? 何だ?」
神通「……こ、これの作り方あとで教えてください」
提督「ああ!! 良いよ!! はっはっはー! どうやら味覚がおかしいのはアンタだけみたいだなー? 大佐ー?」
前提督「……ん、あぁ。多分君が作ってるから微妙だと感じてしまうのかもしれないね。神通、完成したら僕に食べさせてほしい」
神通「元よりそのつもりですよ、提督」
提督「アンタ……全部返せ!! 食ったもの全部!!」
ギャーギャー!!
三日月「…………」
司令官と提督は、以前と同じく常に言い争いをしている。けど――
提督「――!!」 ガミガミ
前提督「……あはは」 ニコ
前みたいなギスギスとした雰囲気はなくなっていた。
641: 2016/06/02(木) 17:12:34.66 ID:FeJDxbnI0
私達が抱えていた問題は、意外にも早く解決した。
菊月『三日月』
夕立『三日月ちゃん』
神通『三日月ちゃん』
神通・夕立・菊月『ごめんなさい』
三日月『……へ?』
神通さん達が、私に謝ってきた。
三日月『あ、謝ることなんてないです!! 私が一番――』
夕立『ううん。そういう事じゃないっぽい』
菊月『……あぁ、私達は、お前から……逃げていた……』
神通『……全部、抱え込ませちゃって……ごめんなさい』
三日月『…………』
話し合った。正面から、皆で話し合った。
お互いの思っていた気持ちを、正直に話した。皆が、謝りっぱなしだった。――けど、それだけじゃない。
菊月『――本当に、そういう所あるよなお前は……何で誰にも相談しないんだ!』
三日月『だ、だって仕方ないじゃない!! 私のせいだって思ってたんだから!!』
ワーワー!!
夕立『ふ、二人とも……もうその辺にしとこ――』
三日月『夕立ちゃんは静かにしてて!!』
菊月『夕立は静かにしていろ!!』
夕立『ぽ、ぽいいいいい!! ごめんなさいっぽい!!』 ビシ
神通『……ふふ』
神通『二人とも……お互いを大切に思っていたんですね』
三日月「へ?」
菊月「え?」
三日月『!!///』 カァァァァァ
菊月『ッ……///』 カァァァァァ
久しぶりに、姉妹喧嘩ができた気がする。
三日月『菊月……ご、ごめんなさい』
菊月『……私の方こそ、熱くなりすぎてしまった。すまない』
三日月『……ぷっ』
夕立『み、三日月ちゃん?』
三日月『何か……皆謝ってばかりですね……ふふふ』
菊月『……ふふ、そうだな』
案外全員が、勝手に思い悩んで、自己完結して、お馬鹿やっていたんだなぁって思いました。
三日月『……皆さん』
三日月『ありがとうございます』 ニコ
642: 2016/06/02(木) 17:13:03.98 ID:FeJDxbnI0
提督との問題は、私自身よく分かっていない。解決したのか、してないのか、よく分からない。
三日月『司令官……ごめんなさい』
前提督『…………』
前提督『三日月』
三日月『!!』
前提督『…………もう、いいから』
前提督『今は……休ませてくれ』 クル
三日月『……はい』
前提督『それと……もう僕は君の司令官じゃないんだ。呼び方は変えてくれ』
三日月『え?』
前提督『彼も困るだろう。どっちが呼ばれているんだって、混乱すると思う』
三日月『……はい』
三日月『て、提督』
前提督『……あぁ、なんだい?』
三日月『!! お疲れの所、し、失礼しました!!』 バッ
三日月『っ~~~~~!! ッ!!』
許してもらえたとは思っていない。けど、普通に会話してくれた。
それだけで、私は泣きそうになっていた。単純な女です、私。
643: 2016/06/02(木) 17:14:53.10 ID:FeJDxbnI0
ちなみに、これは私がチラッと見た光景の話です。
神通『……電さん』
電『…………』
神通『あの時は……本当にごめんなさい』
電『電の両腕を折った時のことなのです?』
神通『はい』
電『別に……いいのです』
電『あの時……あなたが止めなかったら腕が折れる以上の事になっていたでしょうし』
神通『…………』
電『菊月さんや神通さん達が三日月ちゃんと話しているところ、見たのです』
神通『……』
電『三日月ちゃん、笑っていたのです。あなた達も、笑っていたのです』
神通『……』
電『仲直りできて、良かったのです』
電『それ見てたら……電の怒りもどっか飛んで行っちゃったのです』
電『だから、この話はおしまいなのです』
神通『で、ですが!!』
電『――って言いたいところなのですが、神通さんはそれじゃあ納得できないと思います』
神通『…………』
電『なので、いくのです』
ヒュン――バチィィィィィン!!
神通『ッ』
電『この一発で、いいのです』 ニコ
神通『……ふふ、良い平手打ちでした』
電『他の子達への分も力込めましたから、痛いのは当然なのです』
神通『なるほど、それは当然痛いですね』
電『ふふ、なのです!』 ニコ
三日月『…………』
他の人達の問題も、大丈夫そうだ。
三日月「もっと……もっと頑張らないと……私は」電「……三日月ちゃん」【最終夜】



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