59: 2015/01/04(日) 08:39:14.24 ID:289Xx07/0
前回:提督「怜悧盲目」【第2話】
初めから:提督「怜悧盲目」
提督「……今日の、予定……は……」
提督(出撃、は各々の判断に任せられる海域に変えて……)
提督(遠征は……キャンセルするか。その分を出撃に当てよう。万が一のことがあったら困る)
提督(……演習に関しては問題ないな。いつも通り時雨に一任だ)
提督(……他には無い…………よな?)
提督(………………よしっ)
提督「後はこれを、誰かに言っておかないと……!」
60: 2015/01/04(日) 08:39:40.94 ID:289Xx07/0
摩耶「────提督、入るぞー?」
61: 2015/01/04(日) 08:40:29.36 ID:289Xx07/0
摩耶「…………って、おい」
摩耶「何で病人がベッドから抜け出してんだよ」
提督「いや、その……今日の予定の変更について……」
摩耶「はぁ?」
摩耶「そんなのいちいち言われなくても大体分かるから平気だって」
摩耶「それよりほら、さっさと寝る!」
提督「す、すまん……」
摩耶「…………それとこれ。体調悪いのは分かるけど、食っとかないと治るもんも治らないぜ?」
提督「……助かるよ」
摩耶「いいって、別にこれくらい」
62: 2015/01/04(日) 08:41:11.64 ID:289Xx07/0
提督「どれどれ……?」
提督(……お粥、か)
提督(これなら何とか食べれそうだな)
提督(…………それにしても妙に『赤い』)
提督(……まぁ梅干しが三つも四つも入っていれば当然か)
提督「……摩耶が、作ってくれたのか?」
摩耶「……おう」
摩耶「梅干しは体に良いって聞いたことがあるからさ、一杯入れてみたんだけど……」
摩耶「……流石に多かったか?」
提督「いや、大丈夫だよ」
提督「熱で舌が馬鹿になってるかもしれないしさ。このくらいが丁度いいと思う」
摩耶「………………」
摩耶「おい、それ遠回しにアタシのこと馬鹿にしてないか?」
提督「……滅相もない」
摩耶「────ちっ、クソが!」
摩耶「治ったら覚えてろよな!」
提督「……ふふっ」
63: 2015/01/04(日) 08:43:03.33 ID:289Xx07/0
摩耶「……何で笑ってんだよ」
提督「いや、優しい摩耶っていうのが珍しくてな」
提督「いつもみたいに強く当たってこないのか?」
摩耶「……ふんっ」
摩耶「……病人に無理させるわけないだろ」
提督「……ん、摩耶? 何か言ったか?」
摩耶「あ? 何でもないぜ?」
摩耶「────つーか早く食って寝ろ! さっさと治せ!」
提督「……その通りだな」
64: 2015/01/04(日) 08:43:42.77 ID:289Xx07/0
摩耶「────じゃ、アタシはそろそろ戻るぞ」
摩耶「食器はその辺に置いとけ。後で下げとくから」
提督「……何から何まですまんな、摩耶」
摩耶「そう思うなら早く治す努力をしろよな」
提督「ははっ、頑張るよ」
摩耶「…………あと、あれだ」
提督「……ん?」
摩耶「……その、こ、言葉が違うんじゃねえか?」
提督「──────ああ、そうだな」
65: 2015/01/04(日) 08:44:19.74 ID:289Xx07/0
提督「ありがとう、摩耶」
摩耶「…………おう」
66: 2015/01/04(日) 08:45:13.56 ID:289Xx07/0
時雨「混ぜるなんて、随分綱渡りなことをするんだね」
摩耶「平気だって。提督の気付かないラインは分かってるからな」
時雨「ふふっ、それもそうか」
時雨「……それで、どうだい? やってみた感想は?」
摩耶「…………」
時雨「摩耶?」
摩耶「……すっげえドキドキして、提督が食べる前に出て来ちまった」
67: 2015/01/04(日) 08:45:56.08 ID:289Xx07/0
摩耶「多分今頃は食べてんだよな? うわー、マジか……!」
時雨「……摩耶ってば変なところで初心なんだね」
85: 2015/01/06(火) 00:19:14.93 ID:hujJxsVJ0
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天龍「──────ただいまー……っと」
時雨「おかえり、天龍」
夕立「天龍、出撃お疲れ様っぽい!」
夕立「今日はどうだったの?」
天龍「あ? オレが負けるわけねえだろ? いつもと同じだ。勝ってきたよ」
天龍「それより、だ」
天龍「提督はどうした? まだ寝てんのか?」
時雨「お昼頃に一回起きてきたんだけどね」
夕立「またすぐに戻っちゃったっぽい?」
天龍「そうか。そりゃ残念だな」
86: 2015/01/06(火) 00:19:59.82 ID:hujJxsVJ0
時雨「でももしかしたら起きてるかもしれないよ? 部屋に行ってみたらどうかな?」
夕立「もし行くなら夕立も着いて行きたいっぽい!」
天龍「あー、オレはパス」
天龍「つーか夕立も提督が風邪の時くらい遠慮しとけ」
天龍「今は休ませてやるのが一番だろ?」
夕立「むぅ……」
天龍「な?」
夕立「……今回は我慢するっぽい」
天龍「よしっ! 夕立は良い子だなー」
天龍「ご褒美に撫でてやる」
夕立「えへへー♪ 褒めて褒めてー♪」
87: 2015/01/06(火) 00:21:00.17 ID:hujJxsVJ0
時雨「ふふっ、相変わらず天龍は提督思いだね」
時雨「本人の前でもそうやって素直でいたらいいのに」
天龍「んー、素直になったらそれはそれでやばいって自分でも分かるからなぁ……」
天龍「…………いいのか、奪っても?」
夕立「……天龍」
時雨「……僕は構わないよ?」
天龍「────へっ、冗談だよ、冗談」
天龍「龍田も怒るだろうしな」
夕立「……からかうのは止めて欲しいっぽいー……」
夕立「……天龍のいじわる」
天龍「悪い悪い。一人占めしようだなんて思ってないから安心しろ。な?」
夕立「……うん」
天龍「……分かってくれて何よりだ」
88: 2015/01/06(火) 00:21:45.93 ID:hujJxsVJ0
天龍「────さて、と。時雨、小腹減ったんだけど、何か無いか?」
時雨「ん、ちょっと待ってて。簡単なの作るから」
天龍「おう、頼んだ」
夕立「……手伝うっぽい?」
時雨「……それじゃあお願いしようかな?」
夕立「────ぽいっ!」
夕立「ごっはん、ごっはんー♪」
時雨「何が残ってたっけ……?」
時雨「────────」
夕立「────────」
天龍「………………」
89: 2015/01/06(火) 00:22:57.46 ID:hujJxsVJ0
天龍(……しねえよ。『一人占め』はな)
102: 2015/01/08(木) 00:18:16.30 ID:SD5qxjiO0
龍田「────ただいまぁ……」
龍田「……あら? 摩耶が居るなんて珍しい……」
摩耶「おう、邪魔してるぜ」
龍田「ふふっ、ゆっくりしていってね♪」
龍田「……ところで天龍ちゃんは?」
摩耶「あー、天龍なら時雨に呼ばれて出て行ったぞ?」
摩耶「────っていうか『オレの部屋でテレビ見ようぜ!』なんて言うから着いてきたのに、当の本人が部屋から出てくってどうなんだ?」
龍田「あはは……天龍ちゃんらしいというか……」
龍田「……ごめんね?」
摩耶「謝らなくていいぜ。怒ってる訳じゃないしな」
103: 2015/01/08(木) 00:19:11.76 ID:SD5qxjiO0
摩耶「────で、龍田は何でこんなに遅くなったんだ?」
摩耶「天龍からは報告書作ってるって聞いたけど……それにしても時間かかり過ぎだよな?」
龍田「うん、その通りなんだけど……」
龍田「実は部屋に戻る途中で提督に会っちゃって、ついさっきまで提督の部屋でお喋りしていたの」
摩耶「へぇー、提督に会ったのか……」
摩耶「ずっと寝っぱなしだと思ってたんだけどなー」
龍田「私もそう思ってたんだけど、丁度提督はトイレから戻る途中だったみたいで……」
摩耶「…………その流れで部屋まで着いてったのか? 羨ましいな、おい」
龍田「話し相手になってくれって言ったのは提督の方なんだけど……」
摩耶「それでも羨ましいもんは羨ましいって」
摩耶「最近提督と二人っきりになったりしてないしな」
摩耶「……正直嬉しかっただろ?」
龍田「そうねぇ……」
104: 2015/01/08(木) 00:19:57.49 ID:SD5qxjiO0
龍田「嬉しいっていうのは確かにあったけど、それ以上に辛かったかなぁ? 提督ったら話してる途中で何回も咳き込んでたんだけど、その度に辛そうな顔になるのよねぇ……。その表情を見てたら私、悲しくなっちゃって……。もちろん提督はそんな私に気付いてフォローしてくれるのよ? 『大丈夫だから、気にしないでくれ』って言って、話を止めてしまったことを謝るの。謝りたいのは私の方なのにね……。風邪をひいている提督に無理させちゃってごめんなさい、って言いたかった。……でもそれを言ったら提督はすっごく申し訳無さそうな顔になると思ったから、その言葉は飲み込むしかなかったわ。……それでね、そこでようやく気付いたの。この状況を……提督が辛そうにしているこの状況を、喜んでいる自分が居るって。だって提督が『私なんかのために』その身を削ってくれているのよ? 嬉しくないはずないじゃない」
105: 2015/01/08(木) 00:20:41.77 ID:SD5qxjiO0
摩耶「……まぁ気持ちは分かる」
龍田「……でも、気付いてからはもう自己嫌悪だったわ。提督に私なんかが迷惑をかけちゃいけないのに、私はそれを戒めるどころか喜んでいたのよ……?」
龍田「………………ふふっ」
龍田「ひどいよねぇ……うん……ひどい……」
龍田「居場所も仲間も、価値も自由も、私が欲しかったものを全てくれたのに……」
龍田「その恩を仇で返すなんて……」
龍田「やっぱり私はあの時に────」
106: 2015/01/08(木) 00:21:27.51 ID:SD5qxjiO0
摩耶「────落ち着け、龍田」
107: 2015/01/08(木) 00:22:23.79 ID:SD5qxjiO0
摩耶「提督はそんなことでお前を嫌いになるほど小物じゃないだろ?」
摩耶「提督のことを本当に想ってるなら、救われたことを否定すんな」
摩耶「……分かったか?」
龍田「………………」
龍田「……ごめんなさい」
摩耶「謝んなって。龍田は悪くないんだから」
龍田「……ありがとう、摩耶」
龍田「私ちょっと、疲れてるみたい」
龍田「先に休むから……おやすみ」
摩耶「おう、提督みたいに風邪ひかないようにして寝ろよー……」
摩耶「……………………」
108: 2015/01/08(木) 00:23:24.47 ID:SD5qxjiO0
摩耶(龍田が『染まった』のは最近だし、不安定なのは仕方ねえよなぁ……)
摩耶(……何か懐かしいな、ああいうの。ははっ)
109: 2015/01/08(木) 00:24:35.89 ID:SD5qxjiO0
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110: 2015/01/08(木) 00:26:43.34 ID:SD5qxjiO0
長門「────こんばんは、提督」
長門「一杯、どうだ?」
111: 2015/01/08(木) 00:28:20.15 ID:SD5qxjiO0
引用: 提督「怜悧盲目」



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