100: 2012/12/31(月) 00:59:36.32 ID:uQ0AXOuBo



前回:春香「戦わなければ生き残れない」【その3】

最初から:春香「戦わなければ生き残れない」

THE IDOLM@STER MILLION LIVE! SPECIAL SOLO RECORDS 天海春香



1.春香は戦いを続ける。



千早「春香……あなたは今、戦い続けているの?」

千早「……返事があるわけも無いわね」

千早(だけど、疑問が残るわ。ミラーモンスターの反応がここの所全く無いこと……)

千早(春香が生きているならライダーバトルは終わっていない。ミラーモンスターも際限なく現れるはず)

千早(逆に……考えたく無い事だけれど、春香がデッキを破壊されるか、倒された場合。ライダーバトルはその時点で終わり、私にも何らかの沙汰があるはず)

千早「一体どうなっているのかしら……」

千早(不思議。事務所に来たからかしら。春香に会えそうな気がしてきたわ。……嫌な予感も同じくらいあるけれど)

千早「……そこに、いるのね」リィィィン

……。

101: 2012/12/31(月) 01:00:18.35 ID:uQ0AXOuBo
【天海春香】

春香「ふぅ……」スタッ

ディスパイダー「ガ、ガ……」シュボッ

春香「ドラグレッダー」

ドラグレッダー「グォオオオ」ガバァ

春香「……今日も、人を守れた」

春香(友達は失った)

春香(家族も、あの日から顔を合わせていない)

春香(今日で一週間……心配しているだろうな)

春香「戦う理由も、情熱も、なくなってしまったのに。どうして私は戦っているんだろう」

春香「ちは……」

春香「……」ブンブン

春香「いつまでも頼ってちゃダメだよね。よし、今日は久しぶりに家に帰ろう。お父さんとお母さんに謝って、それから……」

春香「それから……事務所に、行って。やめますって、きっぱり言わないと。普通に進学して、普通に就職を……」ジワ

春香「私の歌、もう誰にも聞いてもらえないのかな。元々、上手くなんてない歌だけど……誰かに聞いてもらいたくて……」

春香「ぐす……ダメダメ、泣いたって何も変わらない。とにかくちゃんと……」

ブォンッ

春香「!!」サッ

「……」ザッ

102: 2012/12/31(月) 01:01:14.87 ID:uQ0AXOuBo
春香「来たね、今日も」

真美「来たよ、はるるん」

春香「今日も聞くよ。真美、今すぐ私を見逃して帰ってくれないかな?」

真美「それは出来ないよ。だって真美、決めたんだもん」

真美「はるるんや他のライダー達と違う意志……救う為に、戦うって。自分じゃなくて誰かの為にライダーを全部倒すって決めたんだもん」

春香「……倒すことが、救いなの?」

真美「はるるん。真美はミキミキを頃したんだよ。この剣で突き刺して。その時の感触を説明してあげよっか?」

真美「……最悪、だった。本当に、気分が悪かった。あれは、友達だったミキミキを刺したからなのかなって思ったけど、違った」

真美「人間じゃない、モンスターを倒すときも。切りつける度に、殴る度に、蹴る度に……相手の体が壊れる感触がするんだ」

真美「あんなの、嫌でしょ?はるるんだってそのはずだよ。真美がはるるんを倒すのは、それから解放してあげるため」

真美「真美わかったんだ。生きるって事は戦うって事だって。そして、戦うって事は嫌な事だって。だから、それから遠ざける為に……」

真美「はるるんを、頃す。終わったら、真美も氏ぬ。向こうでまたみんなで歌おうよ」ソードベント

春香「……私は、まだ氏ぬわけにはいかない。まだ答えが見つかってないから」ソードベント

真美「もう、強情だなぁ。……でも、はるるんらしいや」クスッ

春香「そうだね、私、思い込んだら融通利かないもんねぇ。ふふ」クスクス

真美「……行くよ」

春香「……うん」

103: 2012/12/31(月) 01:02:12.32 ID:uQ0AXOuBo
真美「はっ!」ダッ

春香「ふぅっ!」ダッ

ギャリンッ

真美「はぁぁぁ……」ギリギリギリ

春香「く、ァああああ!」ギギギギギ

真美「パワーなら、真美の方が上だったのに……この一週間で、強くなったね」ギンッ

春香「戦ってばっかりだったからね」ブンッ

真美「やっ!その戦いも、今日終わるよ!」ガインッ

春香「終わらせない!私は……戦いの意味を見つけて見せる!」ストライクベント

真美「戦いに意味なんて無い!ただ辛いだけだよ!」

春香「だって……そんなの、悲しすぎるじゃない!」ガパッ ゴォォオオ

春香「誰だって叶えたい願いがあった!このシステムさえ無ければ……そう思った事もあったけど、きっと誰も悪くない!」

春香「生きる事が戦いだっていうなら、戦いには意味が、辿り着く先があるはず!私は……それを見る!」

春香「だから……まだ、戦いをやめないよ!真美!ドラグクローファイア!」ボァッ

真美「炎!?ここに来てそんな技が……う、ぁあ!」ジャコッ

104: 2012/12/31(月) 01:03:00.13 ID:uQ0AXOuBo
春香「……真美が、いない?」

真美「ふぅ……危なかったぁ。このカードが無かったらもらっちゃってたよー」アクセルベント

春香「いつの間に背後に……そっか、高速移動」

真美「その通り。それで、はるるんの首には今スラッシュダガーがかかってる」

春香「……」

真美「言うことがあれば、聞くよ。最後だしね……」

春香(あのカードを、ベント出来れば……伊織から受け取った、アレを)ガシャッ

真美「おっと、そうはいかないよ!」ガッ

春香「あっ!」パシンッ

真美「まだ抵抗する気だったんだ、びっくりしたよ。そんなに必氏にならなくても、今より悪くなる事なんて無いんだからさ」

真美「力抜いて。……じゃね、はるるん」

ブォオオオオン

春香「バイクの……」

真美「エンジン音?」

キィッ

真美「……誰?」

春香「千早ちゃん……じゃないよね。あれは……真美と同じ?」

105: 2012/12/31(月) 01:03:39.58 ID:uQ0AXOuBo
真美「まさか、そんなワケ……誰なの!答えて!答えないと……」

「俺の事はもう忘れたのか?ふたりとも」

真美「こ、の……声」

春香「……プロデューサーさん」

……。

【プロデューサー】

黒井「……以上が、私の知っている全てだ」

P「そう、ですか」

黒井「高木があの時何を思ったのかは知らん。だが、あの時からヤツはどこかおかしかった」

黒井「……正直、当時は現実を受け入れられない弱者と見損なったものだが、今となっては何が現実なのかわからん」

P「でも、本当みたいです。ウチのアイドル達も、それで……」

黒井「辛気臭い顔をするな。お前はそれを何とかする為に私を訪ねたのだろうが」

P「ええ。社長にも強い願いがあることはわかりました。だけど、その為にみんなを利用していい事にはならない」

黒井「フン!貴様にしては良い判断だな。これを使え」ポイッ

P「っと、え、これって……」

106: 2012/12/31(月) 01:04:50.26 ID:uQ0AXOuBo
黒井「……水瀬伊織はあれで中々頭がいい。自分がどうにかなった時の為、私に擬似ライダーシステムの雛形を託していたのだ」

黒井「高木の事情を知る者として、な」

P「伊織……」ギリッ

黒井「とっとと行け。ここは765の人間がいる所ではない。……まぁ、貴様が961のプロデューサーになるというなら別だがな」

P「春香と千早、真美も一緒なら考えますよ」

黒井「私に弱小事務所のアイドルが世話出来ないとでも思うか?そんな事を考える前に、貴様の上司の目を覚ましてこい」

P「ありがとうございます。黒井社長って良い人なんですね」

黒井「……フン。高木が嫌いなだけだ」

P「ははは、そういう事にしときます。それじゃ、行ってきます!」

……。

P「……今もまだ、あいつらは戦っているんだろう。だから、俺が止める」

P「失った物は大きすぎるくらい大きいけど、それでも俺達は前に進まなければならないんだ」

P「お前達が前に進む為に戦う事が必要なら、代わりに俺が背負ってやる」

P「変身!」シュィイイン

……。

107: 2012/12/31(月) 01:05:23.51 ID:uQ0AXOuBo
春香「プロデューサーさん……プロ、デュ……う、ぅうう……」

真美「兄ちゃん、これどういう事?このベルトは二本あったの?」

P「いいや、違う。俺が伊織に託されたのは真美が持ってるそのベルトだけだ。これは、そのプロトタイプだよ」

P「伊織はこの擬似ライダーシステムを“オルタナティブ”と名付けたらしい。お前のそれが完成品なら、俺のこれはそこに至る前……1になる前の姿」

P「“オルタナティブ・ゼロ”だ」

真美「……して」

P「その剣を離せ、真美。お前はこれ以上戦わなくていい」

真美「どうして!兄ちゃんまで戦おうとするの!?真美はせっかく、みんなを戦いから抜けださせてあげようと思ったのに!」

P「真美。誰もそんな事望んでないんだ。そりゃ、戦いなんていいもんじゃ無い。だけど……」

真美「でも!ミキミキは笑ってたもん!真美が刺した時、笑ってたもん!」

真美「真美のやってる事が正しいんだよ!だって、そうじゃなきゃ……そうじゃなきゃ……!」

真美「真美は……生きてけないもん!!」アクセルベント

春香「あっ!プロデューサーさん、気を付けて!今の真美は……」

P「大丈夫だ」スッ

真美「えっ!?」ズザッ

春香「あ……見えない程速い真美の攻撃を、避けた?」

真美「な、なんで……なんでなの!?」バッ

P「なんでだろうな、真美の攻撃が手に取るようにわかるんだ」サッ

真美「当たらない……こんな、こんなはず……」

108: 2012/12/31(月) 01:05:53.95 ID:uQ0AXOuBo
P「もうやめよう。俺達が戦う理由なんて本当は無いんだ」

真美「でも、真美は戦いを終わらせなきゃ……」

P「それは俺がやる。お前は休んでろ」

真美「うるさいうるさいうるさい!真美が……真美が全部終わらせるんだぁ!」ガシャッ ファイナルベント

春香「プロデューサーさん!逃げてください!後は私が……」

P「逃げるわけにはいかないよ。俺はお前達のプロデューサーだからな。真美を止めて、春香を連れて帰って。またアイドルやってもらわないと」ガシャッ

真美「真美の……邪魔をするなあああああ!」ギュルンッ

ザシュッ

真美「あ……」シュウウウウ

P「アクセルベントが使えるのはお前だけじゃない。少し緊張してたか?動きが雑だったぞ」

真美「真美の、デッキが……もう、戦えない……戦えないよぉ……」

P「戦わなくていい。お前の分も俺が戦う。……待ってろ、すぐ終わらせてやるから」

真美「でも、真美がやらないと……真美が……」

P「はぁ、何度も言わせるな。俺はお前のプロデューサーだぞ?一緒に泥被るのも仕事の内だ」

真美「兄ちゃん……うぅ……うぇええええん……」ボロボロ

P「……春香。お前にも話しておきたい事がある。とりあえず……!?」

パァアアアア

春香「金色の……光?」

109: 2012/12/31(月) 01:06:21.06 ID:uQ0AXOuBo
P「っ春香!真美任せた!」ドンッ

春香「わっ、とと……え、ぷ、プロデューサーさん?」ポフッ

P「逃げろ。俺が戦う」

春香「え、え?」

P「速く行け!!」

春香「は、はい!」ダッ

真美「兄ちゃん!兄ちゃん!はるるん、ダメだよ!兄ちゃんを置いてなんて……兄ちゃん!!」

P「ふぅ、探してたんですよ。……ようやく会えましたね、社長」

……。

【天海春香】

春香「真美はここにいてね?って言ってももう自力じゃ入れないだろうけど」

真美「はるるん、どうするの?」

春香「もう一度ミラーワールドに戻って、プロデューサーさん助けてくる」

真美「だけど、危ないよ……きっと、すごく危ない」

春香「でも、ほっとけないよ。だって私達のプロデューサーなんだもん」

真美「……でも」

110: 2012/12/31(月) 01:06:48.09 ID:uQ0AXOuBo
春香「それに、真美の……私の大事な仲間の、恩人だもん。大丈夫、無理はしないから。ね?」

真美「うん……あのね、はるるん」

春香「何?」

真美「ごめんね、本当、ごめんなさい……」

春香「……その話は、全部終わってからにしよっか。私、行くから」

真美「絶対、絶対無事に戻ってきてね!」

春香「わかってるって。……っしゃぁ!」パンッ

春香(待っててください、プロデューサーさん!)

……。

春香「確かこっちに……」

ザッ

春香「足音……誰!?」クルッ

千早「……」

春香「あ、え、千早ちゃ……」

千早「春香。あなたは戦い続ける道を選んだのね」

春香「……うん。きっと、失った物にも意味があると思うから。無駄にだけは、したくないから」

千早「そう。春香らしいわ。今は先が見えなくても、我武者羅に進んでいく……私にも、そんな気持ちがあればいいのに」

春香「千早ちゃん?なんか、変だよ。どうかしたの……?」

千早「どうもしていないわ。最初の所に戻っただけ。私は、願いを叶えたい」

千早「だから、戦いましょう。天海春香」

113: 2013/01/05(土) 02:13:20.10 ID:EHErn5gNo
春香「ま、待ってよ千早ちゃん!今それどころじゃ……」

千早「行くわよ、春香」ソードベント

春香「千早ちゃん!話を聞いて!」ガードベント

千早「もう、無理なのよ。もう……!」ジャッ

春香「くぁっ……何、か、あったんだね……!」ガキッ

千早「言ったでしょう、私には春香のように、真っ直ぐ進むだけの力がない……」ググッ

春香「何を言ってるの……?千早ちゃん、どうしちゃったの……?」ギギギッ

千早「気付いたのよ、全ては私の責任だって。私が、半端だったから」フッ

春香「そんな事ないよ、誰も悪く……」

千早「ミラーワールドで高槻さんと会った時、戦う事を選んでいれば、皆が頃しあう事は無かった」

千早「もし私が戦いを止める為に本気で動いたら、皆が頃しあう事は無かった。結果として、私は春香を邪魔しただけ」

千早「私が、どちらかの未練を断ち切れていたら……今のようにはならなかったのに!!」

千早「私にあるのは、もう願いだけ。それだけしか無いのよ……」

春香「……私だって、今日まで惰性で戦ってきたよ」

春香「元々願いなんて無い私だから、戦う意味がわからなくて。真美と戦って、プロデューサーさんが言ってた事を聞いて」

春香「私の中にぼんやりあった“何か”が、ようやく形になってきた」

千早「春香の中の、何か?」

114: 2013/01/05(土) 02:14:11.31 ID:EHErn5gNo
春香「うん。私の中の戦う理由。戦いなんて大嫌いだって思った。けど、それは他の誰だって同じなんだよ」

春香「だからね、千早ちゃん。私は……戦えない全ての人の代わりに、戦おうって思った」

千早「なら……戦わなければいけなくなった皆は。どうして犠牲にならなければいけなかったの?」

千早「無意味な戦いの犠牲になった人たちは、どうすれば報われるの?」

春香「無意味な犠牲なんて、無いんだよ。皆の戦いを見たから、私は戦おうと思えた」

千早「そんなの、思い込みよ。生き残った側の勝手な言葉だわ」

春香「それでも私はそう思いたい。私は皆から色んな物を受け取ってここに立ってるから」

千早「……もう、聞きたくないわ。力を抜いて、すぐに終わらせるから」ナスティベント

春香「うぁっ……耳が……!」キィィィイン

千早「……」

春香(千早ちゃんが何を言っているか、聞こえないけど。千早ちゃんは、もう前を見ていないのはわかるよ)

春香(そんな千早ちゃんは見たくないし、そんな千早ちゃんに負けてあげるわけにはいかない)

春香「……さっき、言ったよね。皆から色んな物を受け取ったって」

春香「今、見せてあげる。“伝える為に”“覚えている為に”……」

春香「“生き残る為の”カード」

ガシャンッ

SURVIVE

……。

115: 2013/01/05(土) 02:14:39.52 ID:EHErn5gNo
【プロデューサー】

高木「君ぃ、挑んで来た割りにはもう一つ頑張りが足りないんじゃないかね?」

P「そっちが強すぎるんですよ、社長。ズルいなぁ」

高木「軽口を叩いている場合ではないぞ?今ごろ、君の担当アイドル達は戦っているかもしれないんだからね」

P「それはどういう事ですか?」

高木「なに、難しい事じゃないよ。ただ自身の鏡像を差し向けただけだ」

P「鏡像を……?」

高木「鏡は映し出す。己の姿を、余す所無く。見たくない部分、目を背けた部分も例外なくね。如月君は余程自分が嫌いと見える」

P「っ千早に何をしたんですか!?」

高木「だから、私は何もしていないよ。何かしたなら彼女自身だ。自らの醜さを見せつけられ、どう動くかはわからんが……」

高木「天海君と出会わない事を祈った方がいいねぇ。きっと、お互いに取って辛い邂逅となる」

P「あんたは……もう俺の上司じゃない!」

高木「おやおや、君は優秀だから手放すのは惜しいんだがね……本人の意向なら仕方がない」

高木「向こうでも達者でやってくれたまえ」

P「うぉおおおおおおおお!!」

……。

116: 2013/01/05(土) 02:15:19.99 ID:EHErn5gNo
【如月千早】

千早「……その姿は、何?」

春香「伊織が、この戦いを終わらせる為に手に入れたカード」

春香「私が、伊織から受け取った物だよ」

千早「水瀬さんから……そう。それが春香の本当の力なのね」

春香「私だけじゃない。伊織が……そしてやよいが。皆がくれた力だよ」

千早「何を言うの?水瀬さんから受け取ったのなら水瀬さんがくれた力じゃない」

春香「違うよ。伊織が命を賭けたのはきっと私の為だけじゃないから。この戦いで消えていった他の皆の為でもあるから」

千早「だから、それは思い込みで……」

春香「千早ちゃんから見ればそうなのかもしれない。だけど、過去は全部今に繋がってて、今の私はここにいる」

春香「どこか一つ間違えれば命を落としていたかもしれない。そんな中で、皆に助けられてここにいる」

春香「私はきっと、皆に色んな物を託されたから、まだライダーなんだよ」

千早「もういいわ、もう聞きたくない。その力、見せてもらいましょうか」シュバッ

春香「千早ちゃんだって、わかってるくせに!今の私達の中にあるのは、後悔だけじゃないって事!」ダッ

千早「だけど!後悔を忘れたら、私は高槻さんに、あずささんに、皆にどう顔向けしたらいいかわからないもの!」ファイナルベント

春香「違う!悔やむだけじゃない、忘れずに、だけど前を向く事で初めて皆に報いる事が出来るの!」シュートベント

千早「……春香ぁああああああ!」ギュルルルルルル

春香「今の、後ろしか見てない千早ちゃんになんて絶対に負けない!メテオぉ……バレットォ!!」グァッ ボボッ

ボゴォオオオオオン!!

117: 2013/01/05(土) 02:16:12.32 ID:EHErn5gNo
千早「……どうして、どうしてなの。春香はどうして、まだ真っ直ぐに立っていられるの」ガクッ

春香「千早ちゃんの言う通り、思い込みなんだと思う。私が言ってる事、全部」

千早「そうよ。全部綺麗事……現実に被害が出てるのに、それを無視したみたいな」

春香「綺麗事だよ。だけどだからこそ、信じたいじゃない。私はその為になら、この体だって無くしたっていい」

千早「……春香は、こんな時でも未来を見ているのね」

春香「前を見て走る事しか、私には出来ないから」

千早「過去ばかり見ている私では、元から勝てるはずは無い……わね。私も、そんな風に生きたかっ……」グラリ

春香「千早ちゃん!」ガシッ

春香「……まだ遅くないよ。私達には出来る事が残ってる」

千早「私でも、出来るのかしら」

春香「迷う事なんて誰だってするよ。その時考えたことを忘れないのが進歩するって事なんじゃないかな」

千早「……春香、なんだか随分と大人になったのね」

春香「そうだね……そうならないと、いけなかったからかもしれない」

千早「なら、私がいつまでも駄々をこねているわけにもいかないわね。……教えて、私にも出来る事」

……。

118: 2013/01/05(土) 02:17:19.93 ID:EHErn5gNo
【天海春香】

春香「……プロデューサー、さん」

千早「あれは、プロデューサーなのね……」

高木「おや、戻ってきてくれたようだね。いや有り難い、君達も必要なんだよ」

P「バカ、なんで……う、ぐ」

春香「あなただったんですね、全ての始まりは……」

高木「そうとも。天海君、如月君。よくぞここまで生き残った」

千早「……私は偶然です」

春香「私だって、千早ちゃんが守ってくれたからここまで生きてこれた。私だけの力じゃありません」

高木「それでも他のアイドル達は氏んだ。……君達は知っているかな?大切な人を失った人間は、今までのどんな自分よりも強い力を発揮するんだよ」

千早「それが私達だって言いたいんですか?」

高木「いいや、私の話さ。……丁度いい、聞くかね?私の昔話を」

春香「社長の昔話……?」

高木「そこの彼も知りたがっていたしね。この戦いの始まりになった出来事だよ。……かつて、私が彼と同じようにプロデューサーだった頃の話だ」

高木「あの頃、私は傲慢極まりなかった。人を見出す才能は抜群だからね。何も迷う事は無かった」

高木「一人見つけ出したアイドルがいて、そのアイドルはトントン拍子に芸能界を駆け登っていった。名前を音無小鳥という」

高木「私と彼女の中も良好でね。歳の差はあれど……恋人のような仲だった。勿論、仕事の上の付き合いではあったがね」

高木「順調だった。全てが、順調だった。だが、それはすぐに壊れてしまう」

119: 2013/01/05(土) 02:17:49.60 ID:EHErn5gNo
P「……音無さんとの氏別、です、か」

高木「そう。表向きは行方不明となっているが……いや、それすら裏側だが、その実彼女は氏亡している。表の世界ではね」

春香「表の世界では……そうか、そうなんですね」

千早「何らかの原因で氏んだ音無さんは、ミラーワールドにまだ存在している。そして、それを蘇らせるために……」

高木「その通り。人は、表の世界とミラーワールドに別個に存在している。どちらかが氏ぬともう片方もいずれ氏ぬ」

高木「鏡に像が映るには、元となる物が必要だからだ。しかし何の因果か彼女の魂はこちらに残った」

高木「今は鏡像でしかないが、戦いの途中で集めた君達の仲間の生命があれば、新たな生命を生み出し彼女をまた表の世界に戻せるはずだ」

P「それが、社長の望み……この戦いを、始めた理由」

高木「そうだ。時間もかかった。君達アイドルを丁度良い人数揃え、更にそれぞれにデッキが渡るようにした」

高木「全ては……もうすぐ訪れる彼女との再開のためだ」

春香「……お話は、わかりました」

春香「でも、私は氏ぬわけにはいきません。生きて、この戦いで消えていった皆の事を覚えていなければならない」

春香「だから、戦います。最後の最後だけど、全力で」ゴァッ

P「すごいな、春香。とんでもなく強そうだ」

春香「プロデューサーは下がっていてください。千早ちゃん!」シュッ

千早「……これは」パシッ

春香「わかってるから、今渡しておくね。決まったら……使って」ガシャッ

120: 2013/01/05(土) 02:18:43.77 ID:EHErn5gNo
高木「勝てないと知りながらも戦うのかね?……だが、それもいい。君達はいわば被害者だ。望むまま抵抗し、氏んでくれたまえ」

春香「そう簡単に諦めると思わないでください!やぁあああああ!」ダッ

千早「春香……」

千早(春香はわかっているのね……私が今の話を聞いてどう思ったか)

千早(私には、あの人を責める事はできないわ。だって、あれは数分前までの私の姿だから)

千早(優の為なら、誰だって犠牲にしてもいいって……心の隅で少しでも思ってしまった、私には)

千早(社長を責める事など、出来るわけがない)

P「千早……」

千早「プロデューサー、動かないで。怪我をしているのでしょう?」

P「いい、ほっといてくれ。……あのな、千早」

千早「……なんでしょうか」

P「春香が、強い理由はな」

千早(春香が、強い、理由……)

P「難しく考えないから、なんだぞ」

121: 2013/01/05(土) 02:19:36.46 ID:EHErn5gNo
千早「……」

千早「流石ですね、プロデューサー」

千早(アイドルの事ならなんでもわかっているのね)

千早(そう、今私は思ったわ。春香は強いと。私には真似できないと)

千早(そして、そう考えて動けないでいる自分を嫌いだと、そう……思ってしまったわ。だけど、それじゃダメ)

千早(鏡の中の私は、憎しみと悲しみと自己満足の塊だったわ。そう、それも私)

千早「けど、無理にそれを見る必要はない。それが自分の中にあることを知っているなら」

千早「見つめ続けるのではなく、背を向けて、決別の意志を。それを自覚して尚、前に進もうとすることが必要」

千早「……なら、私も。あなたのようになれるかしら。春香」

ガシャンッ

SURVIVE

春香「戦わなければ生き残れない」【その5】

引用: 春香「戦わなければ生き残れない」