1: ◆ynV98nmqxA 2012/09/09(日) 16:48:08.92 ID:rf1aT80m0
シルファ「ふぁぁ……今日もめいろろぼの朝は早いのれす」
シルファ「まだご主人様を起こすには早いれすし、早めに朝食の準備れもしましょう」
タッタッタ
シルファ「……あれ? キッチンに人が……」
ガチャ
貴明「……」ズズー
シルファ「ご、ご主人様?」
貴明「……おや、おはようございます」
シルファ「はぁ、ろうも……って、今日は随分と朝早いのれすね。しかもいつも飲まない紅茶、わざわざ自分から淹れるなんて……今日は空からキャンディでも落ちてきそうれす、ププッ」
シルファ「まだご主人様を起こすには早いれすし、早めに朝食の準備れもしましょう」
タッタッタ
シルファ「……あれ? キッチンに人が……」
ガチャ
貴明「……」ズズー
シルファ「ご、ご主人様?」
貴明「……おや、おはようございます」
シルファ「はぁ、ろうも……って、今日は随分と朝早いのれすね。しかもいつも飲まない紅茶、わざわざ自分から淹れるなんて……今日は空からキャンディでも落ちてきそうれす、ププッ」
2: 2012/09/09(日) 16:55:12.32 ID:rf1aT80m0
貴明「それはそれは、なんとも楽しげな日になりそうです」ズズー
シルファ「……なんだか、今日のご主人様は変れす。なんというか……」
貴明「『爺くさい』?」
シルファ「そうれす! しゃべり方も、その妙な大人っぽい余裕も、ご主人様とは思えないれす!」
貴明「そうですか……やはり、そうですよね。それの可能性は考慮していましたが」
シルファ「何を言っているのれすか? でも、おかしいのは口とか性格らけ、生体情報はご主人様と一致しているし……ご主人様、変な推理小説れも読みすぎたのれすか?」
貴明「私自身も、その方がよかったのですが……いやはや」
シルファ(やっぱり、今日のご主人様はおかしいれす。まるで……)
貴明「ところで、一つ、お伺いしたいことがあるのですが」
シルファ「なんれすか? 今日の朝食れすか? テレビの番組表れすか?」
貴明「いえ。……いきなりで申し訳ないのですが、わたしは一体何者なのでしょうか?」
シルファ「……ぴ?」
シルファ「……なんだか、今日のご主人様は変れす。なんというか……」
貴明「『爺くさい』?」
シルファ「そうれす! しゃべり方も、その妙な大人っぽい余裕も、ご主人様とは思えないれす!」
貴明「そうですか……やはり、そうですよね。それの可能性は考慮していましたが」
シルファ「何を言っているのれすか? でも、おかしいのは口とか性格らけ、生体情報はご主人様と一致しているし……ご主人様、変な推理小説れも読みすぎたのれすか?」
貴明「私自身も、その方がよかったのですが……いやはや」
シルファ(やっぱり、今日のご主人様はおかしいれす。まるで……)
貴明「ところで、一つ、お伺いしたいことがあるのですが」
シルファ「なんれすか? 今日の朝食れすか? テレビの番組表れすか?」
貴明「いえ。……いきなりで申し訳ないのですが、わたしは一体何者なのでしょうか?」
シルファ「……ぴ?」
4: 2012/09/09(日) 17:04:20.98 ID:rf1aT80m0
―――
――
―
ピンポーン
このみ「タカくーん。もう学校の時間だよー」
ピンポーン
ガチャッ
シルファ「……このこの、れすか」
このみ「あっ、シルファさんおはよう。……あれ? タカくんは?」
シルファ「このこのぉ……」
このみ「ど、どうしたの? 今にも世界が終わりそうな顔して」
シルファ「ご、ご主人様がぁ……ご主人様がぁ」
このみ「た、タカくんがどうしたの? 何かあったの?」
シルファ「ご主人様が……壊れたれすぅ!」
――
―
ピンポーン
このみ「タカくーん。もう学校の時間だよー」
ピンポーン
ガチャッ
シルファ「……このこの、れすか」
このみ「あっ、シルファさんおはよう。……あれ? タカくんは?」
シルファ「このこのぉ……」
このみ「ど、どうしたの? 今にも世界が終わりそうな顔して」
シルファ「ご、ご主人様がぁ……ご主人様がぁ」
このみ「た、タカくんがどうしたの? 何かあったの?」
シルファ「ご主人様が……壊れたれすぅ!」
6: 2012/09/09(日) 17:15:22.29 ID:rf1aT80m0
―――
――
―
環「タカ坊が壊れた? そんな雄二じゃないんだから」
雄二「いくら実姉だからって、その言い分がないんじゃないか? それに、あいつは色々とぶっ壊れてるだろう」
このみ「え? タカくんって、おかしいところとかあるかな?」
雄二「あれで普通だと思うか? 女性に対しては奥手なくせに、妙に女の子に優しくて、おかげさまで世の平均水準をはるかに超える『女性運』を持ち、かつ、なおそれでも! 小学生から人妻、挙句にはメイドロボまでハーレムメンバーにしている今でさえ、女の子の誰ともくっつかない! こんなの絶対おかしい! 格闘ゲームのチート小足連打ぐらい不条理だ!」
環「それはそれとでおいといて……」
雄二「おいとくんかい!」
環「シルファさんがそれほど動揺する事態になっているのは確かよ。しかも、いつの間にか来栖川のコネで、私たちは欠席扱いにされてるし……」
はるみ「それはねー、ダーリンが『レベル3保護対象者』に指定されてるからだよ」
環「はるみさん! あなたいつの間に……」
――
―
環「タカ坊が壊れた? そんな雄二じゃないんだから」
雄二「いくら実姉だからって、その言い分がないんじゃないか? それに、あいつは色々とぶっ壊れてるだろう」
このみ「え? タカくんって、おかしいところとかあるかな?」
雄二「あれで普通だと思うか? 女性に対しては奥手なくせに、妙に女の子に優しくて、おかげさまで世の平均水準をはるかに超える『女性運』を持ち、かつ、なおそれでも! 小学生から人妻、挙句にはメイドロボまでハーレムメンバーにしている今でさえ、女の子の誰ともくっつかない! こんなの絶対おかしい! 格闘ゲームのチート小足連打ぐらい不条理だ!」
環「それはそれとでおいといて……」
雄二「おいとくんかい!」
環「シルファさんがそれほど動揺する事態になっているのは確かよ。しかも、いつの間にか来栖川のコネで、私たちは欠席扱いにされてるし……」
はるみ「それはねー、ダーリンが『レベル3保護対象者』に指定されてるからだよ」
環「はるみさん! あなたいつの間に……」
7: 2012/09/09(日) 17:27:27.66 ID:rf1aT80m0
このみ「はるみさんも公認欠席?」
はるみ「ダーリンのピンチって時に、妻で彼女でペットで奴隷の私が頑張らなくてどうするのよ! それに、来栖川の方からも、様子を見てこいって言われてるから」
環「保護対象者って?」
はるみ「言葉そのまんま。ダーリンは、来栖川の『保護対象』になってるの。なにせ、一般人であるにも関わらず、現在3人しか稼働していないHMXシリーズと関係を持ってるってだけで、かなり重要なファクターなんだよ」
環(そういえば、イルファさんとも親しいし、はるみさんに至っては自称恋人、シルファさんも専属メイドロボ……よくよく見ると、タカ坊の周りってすごいことになってるのよね。姫百合姉妹もそうだし、長瀬さんも家は来栖川関係者……来栖川も大変ねぇ)
はるみ「何より、私のダーリンだもの! あ、そうそう、他のメンバーも、放課後に来ることになってるから」
このみ「他のメンバーって……」
雄二「すごい人数になりそうだな。まぁとにかく、あいつの家に行ってみるほかないわな。せっかく学校も堂々免除されたんだし、早くその壊れた貴明ってのを見てみようぜ」
環「あ、そうそう。雄二は家に帰り次第、今日受けるはずだったカリキュラムを私直々に教えることにするから」
雄二「ま、マジッすか……」
はるみ「ダーリンのピンチって時に、妻で彼女でペットで奴隷の私が頑張らなくてどうするのよ! それに、来栖川の方からも、様子を見てこいって言われてるから」
環「保護対象者って?」
はるみ「言葉そのまんま。ダーリンは、来栖川の『保護対象』になってるの。なにせ、一般人であるにも関わらず、現在3人しか稼働していないHMXシリーズと関係を持ってるってだけで、かなり重要なファクターなんだよ」
環(そういえば、イルファさんとも親しいし、はるみさんに至っては自称恋人、シルファさんも専属メイドロボ……よくよく見ると、タカ坊の周りってすごいことになってるのよね。姫百合姉妹もそうだし、長瀬さんも家は来栖川関係者……来栖川も大変ねぇ)
はるみ「何より、私のダーリンだもの! あ、そうそう、他のメンバーも、放課後に来ることになってるから」
このみ「他のメンバーって……」
雄二「すごい人数になりそうだな。まぁとにかく、あいつの家に行ってみるほかないわな。せっかく学校も堂々免除されたんだし、早くその壊れた貴明ってのを見てみようぜ」
環「あ、そうそう。雄二は家に帰り次第、今日受けるはずだったカリキュラムを私直々に教えることにするから」
雄二「ま、マジッすか……」
8: 2012/09/09(日) 17:43:51.61 ID:rf1aT80m0
―――
――
―
ピンポーン
ガチャッ
イルファ「こ、このこのに、たまた――」
環「お願いだからその呼び方はやめてくれる? ……で、タカ坊はどうなの?」
イルファ「まずはあがってほしいのれす、話はまずそのあとれす」
環「そうさせてもらうわ」
このみ「おじゃましまーす」
雄二「お邪魔するぜ」
――
―
ピンポーン
ガチャッ
イルファ「こ、このこのに、たまた――」
環「お願いだからその呼び方はやめてくれる? ……で、タカ坊はどうなの?」
イルファ「まずはあがってほしいのれす、話はまずそのあとれす」
環「そうさせてもらうわ」
このみ「おじゃましまーす」
雄二「お邪魔するぜ」
9: 2012/09/09(日) 17:51:37.18 ID:rf1aT80m0
ガチャ
イルファ「ご主人様、みんなきてくれたれすよ」
環「タカ坊、一体なにが……あら? 紅茶のいい香りが」
カタンッ
貴明「これは、あなた方が、私の関係者ということですかね?」
はるみ「か、関係者?」
このみ「た、タカくん?」
環「関係者も何も、私たち幼馴染じゃない」
貴明「なるほど。では、あなた方が、『向坂環』さん『柚原このみ』さん『向坂雄二』さん、そちらは――」
イルファ「あれがうちの万年発情の姉、いるみるれすよ」
はるみ「こらぁ!」
イルファ「ご主人様、みんなきてくれたれすよ」
環「タカ坊、一体なにが……あら? 紅茶のいい香りが」
カタンッ
貴明「これは、あなた方が、私の関係者ということですかね?」
はるみ「か、関係者?」
このみ「た、タカくん?」
環「関係者も何も、私たち幼馴染じゃない」
貴明「なるほど。では、あなた方が、『向坂環』さん『柚原このみ』さん『向坂雄二』さん、そちらは――」
イルファ「あれがうちの万年発情の姉、いるみるれすよ」
はるみ「こらぁ!」
12: 2012/09/09(日) 17:58:13.66 ID:rf1aT80m0
貴明「そちらが『みるみる』さん」
はるみ「ちっがーうっ! あたしは、ダーリンの妻で彼女でペットで奴隷の、河野はるみ!」
貴明「河野……なるほど、つまり、私はあなたと結納していたというころですか」
はるみ「ふぇ? い、いや、それはまだってダーリンが……」
貴明「いやぁ、最近の若者は色々とせっかちなのですねぇ。まさかかよわき女性一人の人生を好き勝手にするとは、いやはや、自分のこととして嘆かわしい」
はるみ「ち、違うんだよっ!? これは私が自分から――」
環「はるみさんが、手玉に取られてる……」
雄二「いつものあいつなら、必氏に否定するところなのに」
このみ「まるで、タカくんじゃないみたい……」
貴明「そうなんです。それを、これから説明しようと思いまして……」
はるみ「せ、説明?」
貴明「はい。そもそも私、その『河野貴明』ではないはずなのですよ」
一同「……はいぃ?」
はるみ「ちっがーうっ! あたしは、ダーリンの妻で彼女でペットで奴隷の、河野はるみ!」
貴明「河野……なるほど、つまり、私はあなたと結納していたというころですか」
はるみ「ふぇ? い、いや、それはまだってダーリンが……」
貴明「いやぁ、最近の若者は色々とせっかちなのですねぇ。まさかかよわき女性一人の人生を好き勝手にするとは、いやはや、自分のこととして嘆かわしい」
はるみ「ち、違うんだよっ!? これは私が自分から――」
環「はるみさんが、手玉に取られてる……」
雄二「いつものあいつなら、必氏に否定するところなのに」
このみ「まるで、タカくんじゃないみたい……」
貴明「そうなんです。それを、これから説明しようと思いまして……」
はるみ「せ、説明?」
貴明「はい。そもそも私、その『河野貴明』ではないはずなのですよ」
一同「……はいぃ?」
16: 2012/09/09(日) 18:15:19.40 ID:rf1aT80m0
>>12から
―――
――
―
このみ「え、えとえと……つまり、体はタカくんだけど、中身は違うってこと? タカくんじゃないの?」
貴明「どうやら、そういうことのようです。自分の家で就寝した、とおもいましたら、朝起きてみると、この家の河野貴明さんの部屋で寝ていました」
環「本来のあなたは、警視庁特命係の杉下右京さんという警部さんで、タカ坊についてはまったく知らない、と」
貴明「自分、一度出会った人ならば、やすやすとは忘れないものなのですが……河野貴明さんという人物には、会ったことも、資料で目を通したこともありません。そして、あなた方に関しても知らない」
雄二「んなアホな。いきなり『実は俺、俺じゃないんす!』って言われても、信じられないぜ」
環「確かに……口調とか性格とかは別人のようだけど、『演じてる』可能性も否定できないわ。タカ坊はそんなに演技はうまくない方だけれども」
貴明「懸命な判断です。事実、僕自身も、この事態を鵜呑みできないでいる。はたして、どうしてこうなったものか」
―――
――
―
このみ「え、えとえと……つまり、体はタカくんだけど、中身は違うってこと? タカくんじゃないの?」
貴明「どうやら、そういうことのようです。自分の家で就寝した、とおもいましたら、朝起きてみると、この家の河野貴明さんの部屋で寝ていました」
環「本来のあなたは、警視庁特命係の杉下右京さんという警部さんで、タカ坊についてはまったく知らない、と」
貴明「自分、一度出会った人ならば、やすやすとは忘れないものなのですが……河野貴明さんという人物には、会ったことも、資料で目を通したこともありません。そして、あなた方に関しても知らない」
雄二「んなアホな。いきなり『実は俺、俺じゃないんす!』って言われても、信じられないぜ」
環「確かに……口調とか性格とかは別人のようだけど、『演じてる』可能性も否定できないわ。タカ坊はそんなに演技はうまくない方だけれども」
貴明「懸命な判断です。事実、僕自身も、この事態を鵜呑みできないでいる。はたして、どうしてこうなったものか」
17: 2012/09/09(日) 18:20:41.70 ID:rf1aT80m0
はるみ「じー」
貴明「? どうかしましたか、はるみさん」
はるみ「……えいっ!」
ムギュゥ
環「わお、これはまた大胆な抱擁……」
シルファ「こ、こら! みるみる、なにをやってるれすか!」
はるみ「何って、あつーい抱擁?」
雄二「どうみても、豊満な胸を顔に押し付けているようにしか見えないぜ。ちっきしょー! 相変わらずうらやましいぜ!」
このみ「わわ、わわわ」
貴明「……失礼?」
はるみ「ふぁ、はい?」
貴明「紅茶が飲めません」
はるみ「あっ、ごめんなさい!」
貴明「? どうかしましたか、はるみさん」
はるみ「……えいっ!」
ムギュゥ
環「わお、これはまた大胆な抱擁……」
シルファ「こ、こら! みるみる、なにをやってるれすか!」
はるみ「何って、あつーい抱擁?」
雄二「どうみても、豊満な胸を顔に押し付けているようにしか見えないぜ。ちっきしょー! 相変わらずうらやましいぜ!」
このみ「わわ、わわわ」
貴明「……失礼?」
はるみ「ふぁ、はい?」
貴明「紅茶が飲めません」
はるみ「あっ、ごめんなさい!」
18: 2012/09/09(日) 18:27:11.77 ID:rf1aT80m0
貴明「ふぅ……、はるみさん」
はるみ「ん? どうしたの、ダーリン♥」
貴明「年頃の女性が、年頃の男性相手に過激なアプローチは結構です。ですが、公共とプライベートをわきまえて下さいよ?」
はるみ「……こ、こんなの……」
はるみ「こんなのダーリンじゃなぁーいっ!!」
雄二「は、はるみちゃんが、貴明に二連敗、だと?」
環「……タカ坊かそうじゃないかとは別に、タカ坊に何かあったのは確かなようね」
このみ「あうぅ、タカくんが壊れちゃったっ」
はるみ「ん? どうしたの、ダーリン♥」
貴明「年頃の女性が、年頃の男性相手に過激なアプローチは結構です。ですが、公共とプライベートをわきまえて下さいよ?」
はるみ「……こ、こんなの……」
はるみ「こんなのダーリンじゃなぁーいっ!!」
雄二「は、はるみちゃんが、貴明に二連敗、だと?」
環「……タカ坊かそうじゃないかとは別に、タカ坊に何かあったのは確かなようね」
このみ「あうぅ、タカくんが壊れちゃったっ」
20: 2012/09/09(日) 18:37:37.13 ID:rf1aT80m0
シルファ「……シルファは、信じるれすよ。ご主人様の話」
貴明「おや?」
シルファ「らって、ほんとのご主人様は、口れはいやいや言っておきながら、密かに女の子からのアプローチに対して鼻を伸ばしてるむっつりすけべれす! こんな、精根枯れ果てたじいさんのようなご主人様なんて、ご主人様じゃないれす! 私が認めないれす!」
環「……そうね、信じてみる価値があると思うわ。言動、動作、性格、そして態度、中身が『おじさん』だったら完全に説明がつく。なにより、あのオーラ、完全に本物の『おじさん』! 天然ジゴロなタカ坊とは打って変わって、高校生男子にあるまじき『紳士』の風格。これはもう、タカ坊とは別物よ」
このみ「うん……私、ずっとタカくんと一緒に過ごしたからわかる。やっぱり、タカくんじゃないよ。こんな違和感だらけのタカくん、このみの知ってるタカくんじゃない」
はるみ「絶対いつものダーリンに戻ってもらうんだから!」
雄二「このままじじくさい貴明のままだったら、もしかすると、今形成されているスーパーハーレムは自然消滅? とするとつまり……ついに、全世界の男子に、やっといつも通りのゲットアチャンスが――」ボソボソ
ガシィッ
環「ゆうじぃ、もう少し空気の流れを呼んでくれないか・し・ら?」
雄二「いやいやいや割れる割れるぅ!?」
貴明(……僕、そんなに『おじさん』臭いのでしょうか?)
貴明「おや?」
シルファ「らって、ほんとのご主人様は、口れはいやいや言っておきながら、密かに女の子からのアプローチに対して鼻を伸ばしてるむっつりすけべれす! こんな、精根枯れ果てたじいさんのようなご主人様なんて、ご主人様じゃないれす! 私が認めないれす!」
環「……そうね、信じてみる価値があると思うわ。言動、動作、性格、そして態度、中身が『おじさん』だったら完全に説明がつく。なにより、あのオーラ、完全に本物の『おじさん』! 天然ジゴロなタカ坊とは打って変わって、高校生男子にあるまじき『紳士』の風格。これはもう、タカ坊とは別物よ」
このみ「うん……私、ずっとタカくんと一緒に過ごしたからわかる。やっぱり、タカくんじゃないよ。こんな違和感だらけのタカくん、このみの知ってるタカくんじゃない」
はるみ「絶対いつものダーリンに戻ってもらうんだから!」
雄二「このままじじくさい貴明のままだったら、もしかすると、今形成されているスーパーハーレムは自然消滅? とするとつまり……ついに、全世界の男子に、やっといつも通りのゲットアチャンスが――」ボソボソ
ガシィッ
環「ゆうじぃ、もう少し空気の流れを呼んでくれないか・し・ら?」
雄二「いやいやいや割れる割れるぅ!?」
貴明(……僕、そんなに『おじさん』臭いのでしょうか?)
26: 2012/09/12(水) 00:52:28.55 ID:r8oG9cCC0
―――
――
―
愛佳「えとえと、体は河野君の体はそこにあって、けれどほんとは河野君じゃなくて、河野君の中身がポーンってなって、中におじいさんがヒュッって、あれ? あれ?」
由真「あ・い・つぅ! ゲーム対戦の約束ほっぽって、意識だけ雲隠れするなんてぇ!」
花梨「『不可思議! 怨霊の魔の手にかかってしまった青年! いきなりの憑依現象!』……うーん、オカルト雑誌の記事にしてはインパクトが足りないなぁ」
瑠璃「いっつもさんちゃんをすけべぇな目で見てたから、天罰が当たったんや!」
珊瑚「大変やー、貴明、天界に修業しに行ってしまったん?」
優季「案外、意識だけ未来に飛んで行ったのかもしれませんよ? それにしても、焦っているように見えないのはいつものことなのでしょうか?」
ささら「河野さん……あなたのことは忘れません」
美緒「こ、河野君を勝手に殺さないでーっ」
――
―
愛佳「えとえと、体は河野君の体はそこにあって、けれどほんとは河野君じゃなくて、河野君の中身がポーンってなって、中におじいさんがヒュッって、あれ? あれ?」
由真「あ・い・つぅ! ゲーム対戦の約束ほっぽって、意識だけ雲隠れするなんてぇ!」
花梨「『不可思議! 怨霊の魔の手にかかってしまった青年! いきなりの憑依現象!』……うーん、オカルト雑誌の記事にしてはインパクトが足りないなぁ」
瑠璃「いっつもさんちゃんをすけべぇな目で見てたから、天罰が当たったんや!」
珊瑚「大変やー、貴明、天界に修業しに行ってしまったん?」
優季「案外、意識だけ未来に飛んで行ったのかもしれませんよ? それにしても、焦っているように見えないのはいつものことなのでしょうか?」
ささら「河野さん……あなたのことは忘れません」
美緒「こ、河野君を勝手に殺さないでーっ」
27: 2012/09/12(水) 01:02:35.75 ID:r8oG9cCC0
ミチル「その紅茶の淹れ方、伝授させてもらいたい」
貴明「それは構いませんが……数日で習得できるものではありませんよ?」
ミチル「人生、忍耐」
チエ「てかちゃる、先輩おじさんバージョンに慣れるの速すぎっしょ!」
郁乃「なんか、相変わらず騒動屋体質というか、驚愕を通り越してあきれたというか……」
菜々子「お、お兄ちゃんが、おじいさんになっちゃったー!」
まーりゃん「いやぁ、さすがたかりゃん。まさか自分の身をかけてネタに走るとは。これは騒動屋として負けるわけにゃいかねーってもんよ!」
春香「この場合、なんて呼べばいいのかしら? 『タカくん』じゃダメだろうし……一応年上なんだから、『タカさん』?」
貴明「それは構いませんが……数日で習得できるものではありませんよ?」
ミチル「人生、忍耐」
チエ「てかちゃる、先輩おじさんバージョンに慣れるの速すぎっしょ!」
郁乃「なんか、相変わらず騒動屋体質というか、驚愕を通り越してあきれたというか……」
菜々子「お、お兄ちゃんが、おじいさんになっちゃったー!」
まーりゃん「いやぁ、さすがたかりゃん。まさか自分の身をかけてネタに走るとは。これは騒動屋として負けるわけにゃいかねーってもんよ!」
春香「この場合、なんて呼べばいいのかしら? 『タカくん』じゃダメだろうし……一応年上なんだから、『タカさん』?」
29: 2012/09/12(水) 01:06:54.17 ID:r8oG9cCC0
貴明「いやぁ、実ににぎやかですねぇ」
環「向坂家に移動してもらった理由、おわかりいただけましたか?」
貴明「はい、とても広い方だったようですね。……女性限定に」
環「そこに関しては……察してください」
貴明「そういうことにしておきます」
環「それにしても……随分と冷静なのですね?」
貴明「そうでしょうか? 内心、かなり動揺しているところですが」
環「やっぱり、人生経験が段違いということか……」
環「向坂家に移動してもらった理由、おわかりいただけましたか?」
貴明「はい、とても広い方だったようですね。……女性限定に」
環「そこに関しては……察してください」
貴明「そういうことにしておきます」
環「それにしても……随分と冷静なのですね?」
貴明「そうでしょうか? 内心、かなり動揺しているところですが」
環「やっぱり、人生経験が段違いということか……」
30: 2012/09/12(水) 01:17:22.65 ID:r8oG9cCC0
―――
――
―
貴明(……と、波乱の一日が明け今日。色々と思考した結果、僕は『河野貴明』として生活することになりました。……まぁ、妥当な判断でしょう)
貴明(この現象はまず、一般人に説明しても理解はしてもらえないのは確実。昨日邂逅した人たちにはなんとか理解をしてもらいましたが、その方たち以外の人に説明をしようとも、理解はしてもらえないでしょう)
貴明(僕が出来ることはない以上、僕は僕に、『河野貴明』は河野貴明自身に元に戻る、この結果になるのを待つことしかできません。仮にそれが実現した場合、僕が心配したいのは『河野貴明のその後の生活』です)
貴明(学校に関しては、長期欠席も一時考えました。ですが、いつ戻るかは不明な以上、いつまで欠席するかも不明。一年通して欠席、なんてことになってしまったら、河野貴明さんの生活に支障が出てしまいます)
貴明(もちろん、僕が河野貴明さんを完璧に演じるのは不可能。そこは妥協するしかありません。いきなりこの口調、性格を変えろと言われても、無理なものは無理です)
貴明(まぁ、カモフラージュに関しては、昨日の方たちも協力してくれるようですし、今回は、流れに身を任せてみるしかなさそうです)
――
―
貴明(……と、波乱の一日が明け今日。色々と思考した結果、僕は『河野貴明』として生活することになりました。……まぁ、妥当な判断でしょう)
貴明(この現象はまず、一般人に説明しても理解はしてもらえないのは確実。昨日邂逅した人たちにはなんとか理解をしてもらいましたが、その方たち以外の人に説明をしようとも、理解はしてもらえないでしょう)
貴明(僕が出来ることはない以上、僕は僕に、『河野貴明』は河野貴明自身に元に戻る、この結果になるのを待つことしかできません。仮にそれが実現した場合、僕が心配したいのは『河野貴明のその後の生活』です)
貴明(学校に関しては、長期欠席も一時考えました。ですが、いつ戻るかは不明な以上、いつまで欠席するかも不明。一年通して欠席、なんてことになってしまったら、河野貴明さんの生活に支障が出てしまいます)
貴明(もちろん、僕が河野貴明さんを完璧に演じるのは不可能。そこは妥協するしかありません。いきなりこの口調、性格を変えろと言われても、無理なものは無理です)
貴明(まぁ、カモフラージュに関しては、昨日の方たちも協力してくれるようですし、今回は、流れに身を任せてみるしかなさそうです)
32: 2012/09/12(水) 01:23:29.50 ID:r8oG9cCC0
―――
――
―
【教室】
ガヤガヤ
「おい、お前はどう思う?」
「な、なんというか、いつもと違うとは思う。なんというか……妙に余裕というか、なんというか」
「今日の河野君、妙に落ち着いてる感じがするよね」
「わかる! 女の子にべったりされても、鼻を伸ばさないところとか!」
貴明(……やはり、違和感は感じさせてしまうものですか。……それにしても、河野貴明さんは随分と有名人だったようですねぇ)
このみ「た、タカくーん」
貴明「おや? どうなされましたか?」
――
―
【教室】
ガヤガヤ
「おい、お前はどう思う?」
「な、なんというか、いつもと違うとは思う。なんというか……妙に余裕というか、なんというか」
「今日の河野君、妙に落ち着いてる感じがするよね」
「わかる! 女の子にべったりされても、鼻を伸ばさないところとか!」
貴明(……やはり、違和感は感じさせてしまうものですか。……それにしても、河野貴明さんは随分と有名人だったようですねぇ)
このみ「た、タカくーん」
貴明「おや? どうなされましたか?」
33: 2012/09/12(水) 01:29:39.56 ID:r8oG9cCC0
このみ「うん、実はね、これを渡そうと思って」
貴明「これは?」
このみ「さっきの家庭科の時間で焼いたパウンドケーキ! そ、その、タカくんよく紅茶飲むから、お茶菓子とか欲しいかなーって思って」
貴明「おやおや、これはうれしいもらいものですね。手作りとは大変ありがたい。ぜひいただきましょう」
ガサガサ
このみ「それって、水筒?」
貴明「保温専用のものです。ほんとは葉と電気ケトルでも持参したかったのですが、学校で電気を使うわけにもいきません」
チョロロロ
このみ「へぇ、水筒でもその淹れ方なんだー」
貴明「こればっかりは癖で、いやはや」
貴明「これは?」
このみ「さっきの家庭科の時間で焼いたパウンドケーキ! そ、その、タカくんよく紅茶飲むから、お茶菓子とか欲しいかなーって思って」
貴明「おやおや、これはうれしいもらいものですね。手作りとは大変ありがたい。ぜひいただきましょう」
ガサガサ
このみ「それって、水筒?」
貴明「保温専用のものです。ほんとは葉と電気ケトルでも持参したかったのですが、学校で電気を使うわけにもいきません」
チョロロロ
このみ「へぇ、水筒でもその淹れ方なんだー」
貴明「こればっかりは癖で、いやはや」
34: 2012/09/12(水) 01:34:59.27 ID:r8oG9cCC0
貴明「では、おひとつ」
パクッ
貴明「ふむ……」ズズー
このみ「ど、どうかな?」
貴明「ええ、このケーキの甘さと、ドライフルーツの酸味のバランスが、なんともカップの手を進めてしまいますねぇ」
このみ「え、えと……」
貴明「おっと失礼。変に言葉を着飾ってしまわずに、率直に。大変おいしゅうございます」
このみ「ほんとっ! やたー!」
「な、なんというか……」
(一瞬、孫とお爺さんのやり取りに見えてしまったっ!)
パクッ
貴明「ふむ……」ズズー
このみ「ど、どうかな?」
貴明「ええ、このケーキの甘さと、ドライフルーツの酸味のバランスが、なんともカップの手を進めてしまいますねぇ」
このみ「え、えと……」
貴明「おっと失礼。変に言葉を着飾ってしまわずに、率直に。大変おいしゅうございます」
このみ「ほんとっ! やたー!」
「な、なんというか……」
(一瞬、孫とお爺さんのやり取りに見えてしまったっ!)
36: 2012/09/12(水) 01:43:07.42 ID:r8oG9cCC0
雄二「いやぁ、やっぱりみんな怪しんでいますなー」
貴明「自分、そんなに挙動が不審でしょうか?」
雄二「そういうことじゃないんですって! クラスでも中の下の成績だった奴が、授業で指名されてもうろたえず完璧な答えを出して、女の子にべったりされても余裕の態度、どこか年寄りくさーい口調に、持参までしていつもは飲まない紅茶を飲む。普段の貴明を知ってる奴なら、怪しんで当然! せめて、はるみちゃんから胸を押しつけられた時ぐらい、動揺しないと」
貴明「自分の中では、不意にやられた時などには動揺していますが……」
雄二「だったらせめて表情に出さないと。いっつもポーカーフェイスじゃ、いまどきの高校生やっていけませんよ?」
貴明「困りましたねぇ。直情的になっている自分を、あまり想像できないのですが……」
貴明「自分、そんなに挙動が不審でしょうか?」
雄二「そういうことじゃないんですって! クラスでも中の下の成績だった奴が、授業で指名されてもうろたえず完璧な答えを出して、女の子にべったりされても余裕の態度、どこか年寄りくさーい口調に、持参までしていつもは飲まない紅茶を飲む。普段の貴明を知ってる奴なら、怪しんで当然! せめて、はるみちゃんから胸を押しつけられた時ぐらい、動揺しないと」
貴明「自分の中では、不意にやられた時などには動揺していますが……」
雄二「だったらせめて表情に出さないと。いっつもポーカーフェイスじゃ、いまどきの高校生やっていけませんよ?」
貴明「困りましたねぇ。直情的になっている自分を、あまり想像できないのですが……」
37: 2012/09/12(水) 01:52:03.23 ID:r8oG9cCC0
貴明「……おやぁ?」スンスン
雄二「ん? どうかしたんですか?」
貴明「いえ、少し……この香りは、レモンですかね」
雄二「レモン? ……そういや、それっぽいにおいがなんとなーく漂ってるようないないような」
貴明「ふむ、なるほど……こちらですかな」クルッ
美緒「うひゃぁっ!?」
貴明「おや、すいません。驚かせてしまいましたか?」
美緒「え、と、ちょっと、考え事をしてたから……」
貴明「窓際で物思いにふける少女、実に絵になりますねぇ。……失礼、あなた、香水や香草の類を持っていますかな?」
美緒「ふぇ? こ、香草……」
貴明「おそらく、このレモンに似通った強い香りは、レモングラスの香りだと思うのですが……」
雄二「ん? どうかしたんですか?」
貴明「いえ、少し……この香りは、レモンですかね」
雄二「レモン? ……そういや、それっぽいにおいがなんとなーく漂ってるようないないような」
貴明「ふむ、なるほど……こちらですかな」クルッ
美緒「うひゃぁっ!?」
貴明「おや、すいません。驚かせてしまいましたか?」
美緒「え、と、ちょっと、考え事をしてたから……」
貴明「窓際で物思いにふける少女、実に絵になりますねぇ。……失礼、あなた、香水や香草の類を持っていますかな?」
美緒「ふぇ? こ、香草……」
貴明「おそらく、このレモンに似通った強い香りは、レモングラスの香りだと思うのですが……」
38: 2012/09/12(水) 02:00:21.80 ID:r8oG9cCC0
美緒「レモングラス……ああ、ポプリですね。これ……」
貴明「おや、サシェですか。中身はドライポプリですね。それも手作りのようです」
美緒「あ、は、はい」
貴明「懐かしいですねぇ。少し前、ロンドンに滞在したとき、かじったことがありますよ」
美緒「えと、す、杉下さん――」
貴明「ここでは、河野貴明です」
美緒「あっ。……こほん、河野くんは、ポプリに詳しいの?」
貴明「先ほども言った通り、かじった程度です。知識の一端にすぎません」
美緒「そ、それでも、一目見てそこまで、それもすぐにわかったのは、すごい……と思います」
貴明「何、ちょっとしたことに目が行ってしまうだけです」
貴明「おや、サシェですか。中身はドライポプリですね。それも手作りのようです」
美緒「あ、は、はい」
貴明「懐かしいですねぇ。少し前、ロンドンに滞在したとき、かじったことがありますよ」
美緒「えと、す、杉下さん――」
貴明「ここでは、河野貴明です」
美緒「あっ。……こほん、河野くんは、ポプリに詳しいの?」
貴明「先ほども言った通り、かじった程度です。知識の一端にすぎません」
美緒「そ、それでも、一目見てそこまで、それもすぐにわかったのは、すごい……と思います」
貴明「何、ちょっとしたことに目が行ってしまうだけです」
42: 2012/09/14(金) 22:46:32.58 ID:kvCq8JI/0
―――
――
―
【書庫】
愛佳「推理小説、ですか?」
貴明「ええ。いかんせん、家には私が好む本が少ない。この学校の図書室は比較的規模が大きいですが、どうも私が愛読する推理小説の類が少ないように思えます。それを図書委員さんに相談しましたら……」
愛佳「ここならそれもあるかもしれない、ということですね。ええ、そういうことでしたら喜んで。原則に従って返却してくれれば」
貴明「ありがとうございます。そうですねぇ……ここの本については詳しいほうで?」
愛佳「ええ! ここは私にとって第二の家みたいなものですから。推理小説なら……」
貴明「東野圭吾はどちらの棚の方に?」
愛佳「東野圭吾さんの本なら……そちらの棚にあるかと。東野さんの本……『手紙』とか、『容疑者Xの献身』が最近では人気ですかね。有名どころなら、図書室の方にあると思いますけど」
――
―
【書庫】
愛佳「推理小説、ですか?」
貴明「ええ。いかんせん、家には私が好む本が少ない。この学校の図書室は比較的規模が大きいですが、どうも私が愛読する推理小説の類が少ないように思えます。それを図書委員さんに相談しましたら……」
愛佳「ここならそれもあるかもしれない、ということですね。ええ、そういうことでしたら喜んで。原則に従って返却してくれれば」
貴明「ありがとうございます。そうですねぇ……ここの本については詳しいほうで?」
愛佳「ええ! ここは私にとって第二の家みたいなものですから。推理小説なら……」
貴明「東野圭吾はどちらの棚の方に?」
愛佳「東野圭吾さんの本なら……そちらの棚にあるかと。東野さんの本……『手紙』とか、『容疑者Xの献身』が最近では人気ですかね。有名どころなら、図書室の方にあると思いますけど」
43: 2012/09/14(金) 22:52:45.65 ID:kvCq8JI/0
貴明「いえ、僕が探しているのはちょっと古いもので……おお、ありました」
愛佳「『仮面山荘殺人事件』?」
貴明「東野圭吾が、まだ今ほどポピュラーな存在じゃなかった初期の時のものです。まだお読みでないなら、おすすめしておきましょう」
愛佳「へぇ、『容疑者X』は読んだのですけれど……」
貴明「個人的には、『容疑者Xの献身』はどこかソフトな印象を覚えてしまいましたが、こちらは『推理小説』というジャンルでも硬派な印象を受けます。本を読みなれている方なら、ぜひおススメしたですね」
愛佳「ほぇ……さすが、人生経験の違いといいますか、知識量が違うといいますか……」
貴明「無駄に長生きしてるだけですよ。後は……『江戸川乱歩傑作選』でも」
愛佳「『仮面山荘殺人事件』?」
貴明「東野圭吾が、まだ今ほどポピュラーな存在じゃなかった初期の時のものです。まだお読みでないなら、おすすめしておきましょう」
愛佳「へぇ、『容疑者X』は読んだのですけれど……」
貴明「個人的には、『容疑者Xの献身』はどこかソフトな印象を覚えてしまいましたが、こちらは『推理小説』というジャンルでも硬派な印象を受けます。本を読みなれている方なら、ぜひおススメしたですね」
愛佳「ほぇ……さすが、人生経験の違いといいますか、知識量が違うといいますか……」
貴明「無駄に長生きしてるだけですよ。後は……『江戸川乱歩傑作選』でも」
44: 2012/09/14(金) 23:07:05.07 ID:kvCq8JI/0
愛佳「あっ! それなら私も読みましたよ。やっぱり、この方が書く文章と、それによっての世界観への引き込みが素晴らしくて……」
貴明「『鏡地獄』、『赤い部屋』。どれも硬派かつ独特な世界観は、後の文学にも大きな影響を与えました。やはり、小説を読むのでしたら、ぜひ押さえたい作家ではありますね」
愛佳「わ、私は、すごく怖い感じのものは逆にあんまり印象に残らないんですけど……江戸川乱歩さんだったら、私は一番『人間椅子』が好きですぅ」
貴明「おや。どうやら、僕と話が合いそうですねぇ」
愛佳「ほんとですか! あの徐々に迫ってくる恐怖、不安と、最後のあれは、とても印象に残るお話ですよね」
貴明「あの話の流れ方は、まさに『芸術小説』といっても過言ではないです、ええ」
ガチャッ
由真「愛佳ぁ、今ってヒマ――」
貴明「おや?」
貴明「『鏡地獄』、『赤い部屋』。どれも硬派かつ独特な世界観は、後の文学にも大きな影響を与えました。やはり、小説を読むのでしたら、ぜひ押さえたい作家ではありますね」
愛佳「わ、私は、すごく怖い感じのものは逆にあんまり印象に残らないんですけど……江戸川乱歩さんだったら、私は一番『人間椅子』が好きですぅ」
貴明「おや。どうやら、僕と話が合いそうですねぇ」
愛佳「ほんとですか! あの徐々に迫ってくる恐怖、不安と、最後のあれは、とても印象に残るお話ですよね」
貴明「あの話の流れ方は、まさに『芸術小説』といっても過言ではないです、ええ」
ガチャッ
由真「愛佳ぁ、今ってヒマ――」
貴明「おや?」
45: 2012/09/14(金) 23:12:47.01 ID:kvCq8JI/0
由真「うおぁ!?」
スタッ
由真「こ、ここここ、河野貴明! さては、行動を先読みして待ち伏せを――」
愛佳「由真、驚いたのはわかるから落ち着いてって。それに……」
由真「あっ。そ、そうか……でも、なんで、その……」
貴明「呼び方は自由で構いませんよ? 公衆の面前でさえ気を付けてくれれば」
由真「あー……じゃあ、貴明。なんで書庫なんかにいるのよ? 一般生徒が立ち入るような場所じゃないと思うんだけど……」
貴明「それはあなたもではないですか?」
由真「あっ。そ、それは……」
スタッ
由真「こ、ここここ、河野貴明! さては、行動を先読みして待ち伏せを――」
愛佳「由真、驚いたのはわかるから落ち着いてって。それに……」
由真「あっ。そ、そうか……でも、なんで、その……」
貴明「呼び方は自由で構いませんよ? 公衆の面前でさえ気を付けてくれれば」
由真「あー……じゃあ、貴明。なんで書庫なんかにいるのよ? 一般生徒が立ち入るような場所じゃないと思うんだけど……」
貴明「それはあなたもではないですか?」
由真「あっ。そ、それは……」
46: 2012/09/14(金) 23:18:44.71 ID:kvCq8JI/0
愛佳「今日はアッサムが手に入ったから、ミルクティーにでもする?」
由真「えっ? あ、うん、出来ればクッキーとキャンディも……あっ。ち、違うのよ!? べ、別に、お茶を飲みに来たんじゃなくて、愛佳の様子を見に来ただけで――」
貴明「なるほど。垣間見えていた『生活感』の正体はそれですか。では、僕も紅茶を淹れましょうかな」
愛佳「そうだ! おとといやってたあの淹れ方、ぜひ教えてくれませんか? 高いところから淹れると、空気が多く入ってうんぬん、というのは聞いたことがあるのですが、なにせ素人がやるとこぼれるだけで……」
貴明「何、少しの時間とコツさえ覚えれば簡単なものです」
愛佳「ほんとうですか! わ、わたし、がんばりますっ」
コレハコレデ、カップノイチガ……
ナルホドー
由真「……中身が違うと、ここまで張り合いないのか。はぁ」
由真「えっ? あ、うん、出来ればクッキーとキャンディも……あっ。ち、違うのよ!? べ、別に、お茶を飲みに来たんじゃなくて、愛佳の様子を見に来ただけで――」
貴明「なるほど。垣間見えていた『生活感』の正体はそれですか。では、僕も紅茶を淹れましょうかな」
愛佳「そうだ! おとといやってたあの淹れ方、ぜひ教えてくれませんか? 高いところから淹れると、空気が多く入ってうんぬん、というのは聞いたことがあるのですが、なにせ素人がやるとこぼれるだけで……」
貴明「何、少しの時間とコツさえ覚えれば簡単なものです」
愛佳「ほんとうですか! わ、わたし、がんばりますっ」
コレハコレデ、カップノイチガ……
ナルホドー
由真「……中身が違うと、ここまで張り合いないのか。はぁ」
47: 2012/09/14(金) 23:26:58.64 ID:kvCq8JI/0
―――
――
―
貴明「勝負、ですか?」
由真「そ、そうよ! 中身が違えど、一応見てくれは『河野貴明』! 中身の方はどっかに逃避行した今、代理としてあなたと勝負するわ!」
貴明「約束でもしていたのでしょうか?」
由真「そう! 格闘ゲームにエアホッケー、パフェの早食い競争に大富豪! 貴明からの借りは、不本意だけどかなり多い! だから、せめてこの場で、それを挽回しようってわけよ!」
貴明「なるほど……」
貴明(見てくれはともかく、中身が違うことでかなり本筋からそれている気がしますが……これが彼女の『コミュニケーション』なのでしょう、おそらく)
貴明(様子を見る限り、勝負を受けないとこの場を引いてくれないようですし……)
貴明「いいでしょう。ただし、勝負の方法はこちらが決め手もよろしいでしょうか?」
由真「問題ないわ! どんな勝負でも、ドンと買ってやるんだから!」
――
―
貴明「勝負、ですか?」
由真「そ、そうよ! 中身が違えど、一応見てくれは『河野貴明』! 中身の方はどっかに逃避行した今、代理としてあなたと勝負するわ!」
貴明「約束でもしていたのでしょうか?」
由真「そう! 格闘ゲームにエアホッケー、パフェの早食い競争に大富豪! 貴明からの借りは、不本意だけどかなり多い! だから、せめてこの場で、それを挽回しようってわけよ!」
貴明「なるほど……」
貴明(見てくれはともかく、中身が違うことでかなり本筋からそれている気がしますが……これが彼女の『コミュニケーション』なのでしょう、おそらく)
貴明(様子を見る限り、勝負を受けないとこの場を引いてくれないようですし……)
貴明「いいでしょう。ただし、勝負の方法はこちらが決め手もよろしいでしょうか?」
由真「問題ないわ! どんな勝負でも、ドンと買ってやるんだから!」
48: 2012/09/14(金) 23:32:00.40 ID:kvCq8JI/0
貴明「では……確かこちらの方に」ゴソゴソ
愛佳「? 書庫に、勝負事に使えるようなものってありましたっけ?」
貴明「実は、先ほど軽く書庫を探索したときに、未整理の本棚にまぎれるような形で、これがありまして」
由真「チェス盤?」
愛佳「かなり本格的なものですね。すごく高そう……それにかなり古そう」
貴明「おそらく、娯楽目的で書庫を利用していた人達の置き土産、というところですかな」
愛佳「ここにそんなものが……探せばまだありそう」
貴明「チェスのルールは?」
由真「モウマンタイ! 昔、よくダニエルとやってたから!」
貴明「では、私は白で。黒は譲りましょう」
由真「いいの? よっしゃ! こんなの楽勝よ!」
愛佳「? 書庫に、勝負事に使えるようなものってありましたっけ?」
貴明「実は、先ほど軽く書庫を探索したときに、未整理の本棚にまぎれるような形で、これがありまして」
由真「チェス盤?」
愛佳「かなり本格的なものですね。すごく高そう……それにかなり古そう」
貴明「おそらく、娯楽目的で書庫を利用していた人達の置き土産、というところですかな」
愛佳「ここにそんなものが……探せばまだありそう」
貴明「チェスのルールは?」
由真「モウマンタイ! 昔、よくダニエルとやってたから!」
貴明「では、私は白で。黒は譲りましょう」
由真「いいの? よっしゃ! こんなの楽勝よ!」
49: 2012/09/14(金) 23:37:12.82 ID:kvCq8JI/0
―――
――
―
由真「そ、そんな、こんなにっ!?」
愛佳「ぜ、戦線壊滅、圧倒的……」
貴明「チェック……メイトです」
由真「ぎゃー!」
愛佳「ほぇぇ、杉下さん、チェス、お強いんですね」
貴明「いえ、ちょっとした暇にチェスをいじっているだけの、しがない年寄りですよ。そうですねぇ……」
由真「な、なによ! 気休めなんか、いらないんだから!」
貴明「どうも、相手の戦線ばかりを見て、防御の構築にはいかんせん本腰を入れていないようです。次回は、それに気を付けてみては?」
由真「へ? あ、うん……。……あぁもう! やっぱりどうも、調子が狂うなぁ
――
―
由真「そ、そんな、こんなにっ!?」
愛佳「ぜ、戦線壊滅、圧倒的……」
貴明「チェック……メイトです」
由真「ぎゃー!」
愛佳「ほぇぇ、杉下さん、チェス、お強いんですね」
貴明「いえ、ちょっとした暇にチェスをいじっているだけの、しがない年寄りですよ。そうですねぇ……」
由真「な、なによ! 気休めなんか、いらないんだから!」
貴明「どうも、相手の戦線ばかりを見て、防御の構築にはいかんせん本腰を入れていないようです。次回は、それに気を付けてみては?」
由真「へ? あ、うん……。……あぁもう! やっぱりどうも、調子が狂うなぁ
51: 2012/09/15(土) 09:10:06.02 ID:uGVoIkwp0
―――
――
―
【コンピュータ室】
珊瑚「メイドロボについて教えてほしい?」
貴明「ええ。なにぶん、僕の世界ではメイドロボなんてものは存在しません。まさに『未知のテクノロジー』なのですよ。僕の世界より発達した、見たこともない技術……興味を持ってしまうのも、宿命というもの」
珊瑚「そういえば、おじさんのいたところって、メイドロボがなかったんやなー。つまりは、『メイドロボが存在しない並行世界』っちゅうことや。なんや、ちょっとさびしいなー」
貴明「これは僕の推測ですが、おそらく僕の世界でも『メイドロボ』は発明されることになるでしょう。ですが、それは今よりも『未来』の話。この世界は、なにかのはずみで一足先に開発された世界、という解釈で認識しています」
珊瑚「せやな。HMシリーズがここまで発達したのも、ここ十年ほどの話やし。……そやー!」
貴明「どうなされましたか?」
珊瑚「ウチがおじさんの世界に行って、メイドロボを開発すればいいんやー! そうすれば、向こうでもいっちゃんやみっちゃんに会えるでー」
貴明「それはまた、とても素敵な話ではあると思うのですが……遠慮しておきましょう」
――
―
【コンピュータ室】
珊瑚「メイドロボについて教えてほしい?」
貴明「ええ。なにぶん、僕の世界ではメイドロボなんてものは存在しません。まさに『未知のテクノロジー』なのですよ。僕の世界より発達した、見たこともない技術……興味を持ってしまうのも、宿命というもの」
珊瑚「そういえば、おじさんのいたところって、メイドロボがなかったんやなー。つまりは、『メイドロボが存在しない並行世界』っちゅうことや。なんや、ちょっとさびしいなー」
貴明「これは僕の推測ですが、おそらく僕の世界でも『メイドロボ』は発明されることになるでしょう。ですが、それは今よりも『未来』の話。この世界は、なにかのはずみで一足先に開発された世界、という解釈で認識しています」
珊瑚「せやな。HMシリーズがここまで発達したのも、ここ十年ほどの話やし。……そやー!」
貴明「どうなされましたか?」
珊瑚「ウチがおじさんの世界に行って、メイドロボを開発すればいいんやー! そうすれば、向こうでもいっちゃんやみっちゃんに会えるでー」
貴明「それはまた、とても素敵な話ではあると思うのですが……遠慮しておきましょう」
52: 2012/09/15(土) 09:17:09.69 ID:uGVoIkwp0
珊瑚「え? なんで?」
貴明「何事も、『やりすぎ』はよくないということですよ。急激な科学の発達に振り回されるのは、他でもない『人間』なのですから。こればかりは、なりゆきに任せるしかないでしょうねぇ」
珊瑚「そっかぁ。でも少し残念やわー」
貴明「ですが……」
珊瑚「?」
貴明「僕があなたから伝授されたメイドロボの知識を『少しだけ』伝播すれば、もしかすれば……」
珊瑚「それやー! だったら、おじさんがメイドロボを開発すればいいねん!」
貴明「それはまた……」
珊瑚「そうと決まれば、ウチに任せてや! ウチがメイドロボのいろはから隅々まで教えたる」
貴明「何事も、『やりすぎ』はよくないということですよ。急激な科学の発達に振り回されるのは、他でもない『人間』なのですから。こればかりは、なりゆきに任せるしかないでしょうねぇ」
珊瑚「そっかぁ。でも少し残念やわー」
貴明「ですが……」
珊瑚「?」
貴明「僕があなたから伝授されたメイドロボの知識を『少しだけ』伝播すれば、もしかすれば……」
珊瑚「それやー! だったら、おじさんがメイドロボを開発すればいいねん!」
貴明「それはまた……」
珊瑚「そうと決まれば、ウチに任せてや! ウチがメイドロボのいろはから隅々まで教えたる」
55: 2012/09/15(土) 09:48:55.70 ID:uGVoIkwp0
―――
――
―
貴明「なるほど、人間の情動の発育を再現……」
珊瑚「そもそも、『感情』を持たせようと試みたのは、HMXシリーズの11番からで――」
ガララッ
瑠璃「さんちゃーん、おる?」
珊瑚「あっ、るりちゃん! 今日はどうしたん? 夕食の買い物に行くっていっとったけど」
瑠璃「さっき来栖川の方から連絡がきてな。今すぐ来てもらえないか、やて」
珊瑚「長瀬のおっちゃんが? てことは、あれの分析結果が出たっちゅうことかな? わかった、るりちゃんは先に家に戻っててええよ。今日は久しぶりにカレーが食べたい気分や」
瑠璃「わかった! 腕によりかけて作ったるやさかい」
――
―
貴明「なるほど、人間の情動の発育を再現……」
珊瑚「そもそも、『感情』を持たせようと試みたのは、HMXシリーズの11番からで――」
ガララッ
瑠璃「さんちゃーん、おる?」
珊瑚「あっ、るりちゃん! 今日はどうしたん? 夕食の買い物に行くっていっとったけど」
瑠璃「さっき来栖川の方から連絡がきてな。今すぐ来てもらえないか、やて」
珊瑚「長瀬のおっちゃんが? てことは、あれの分析結果が出たっちゅうことかな? わかった、るりちゃんは先に家に戻っててええよ。今日は久しぶりにカレーが食べたい気分や」
瑠璃「わかった! 腕によりかけて作ったるやさかい」
59: 2012/09/15(土) 19:23:41.28 ID:uGVoIkwp0
珊瑚「それじゃ、あとはよろしくなー。ばいばーい、おじさーん!」
貴明「ありがとうございました。お気をつけて」
珊瑚「続きはまだ今度なー」タッタッタ
瑠璃「……えと……おじさん?」
貴明「実年齢からみて、おじさんと言われるのは仕方ないでしょうね」
瑠璃「あ、そう……はぁ、顔は貴明のまんまやから、いまいちやりづらいわ」
貴明「僕も、呼び方はまばらなため、どうもまだ慣れない面がありまして」
瑠璃「そういえば、お、おじさんの家の末っ子って、どんな様子?」
貴明「ありがとうございました。お気をつけて」
珊瑚「続きはまだ今度なー」タッタッタ
瑠璃「……えと……おじさん?」
貴明「実年齢からみて、おじさんと言われるのは仕方ないでしょうね」
瑠璃「あ、そう……はぁ、顔は貴明のまんまやから、いまいちやりづらいわ」
貴明「僕も、呼び方はまばらなため、どうもまだ慣れない面がありまして」
瑠璃「そういえば、お、おじさんの家の末っ子って、どんな様子?」
60: 2012/09/15(土) 19:36:49.98 ID:uGVoIkwp0
貴明「末っ子……ああ、シルファさんのことですか?」
瑠璃「せや。シルファ、イルファの話を聞いてると、あのスOベのこと、ちょいとは慕ってたらしいし。それでも、メイドロボにまで手を出す変Oにはかわりあらへんけど!」
貴明(年頃の男の子なんですから、いた仕方ないとは思うのですがねぇ)
瑠璃「でも、いきなし中身が変わっちゃったやろ? それでシルファ、職務放棄してないかと思ってん」
貴明「職務、といいますと?」
瑠璃「メイドロボの職務に決まってるやろ。今までのHMXシリーズと違って、イルファ達三人は感情優先の思考パターンや。もしかしたら、今までと違うご主人様に嫌気がさして……って、思ってな」
貴明「なるほど」
貴明(口では色々と言いながら、やはり優しい子なのですねぇ。素直になれないのも、若さのなせることでしょうか)
瑠璃「せや。シルファ、イルファの話を聞いてると、あのスOベのこと、ちょいとは慕ってたらしいし。それでも、メイドロボにまで手を出す変Oにはかわりあらへんけど!」
貴明(年頃の男の子なんですから、いた仕方ないとは思うのですがねぇ)
瑠璃「でも、いきなし中身が変わっちゃったやろ? それでシルファ、職務放棄してないかと思ってん」
貴明「職務、といいますと?」
瑠璃「メイドロボの職務に決まってるやろ。今までのHMXシリーズと違って、イルファ達三人は感情優先の思考パターンや。もしかしたら、今までと違うご主人様に嫌気がさして……って、思ってな」
貴明「なるほど」
貴明(口では色々と言いながら、やはり優しい子なのですねぇ。素直になれないのも、若さのなせることでしょうか)
61: 2012/09/15(土) 19:44:56.54 ID:uGVoIkwp0
貴明「それならご心配なく。シルファさんは充分に仕事をしてくれていますよ。……はるみさんも、ですが」
瑠璃「シルファも?」
貴明「ええ。なんでも『中身が違くても、大事なダーリンの体をケアするのも、わたしの仕事だ』とおっしゃっていました。いやはや、一途でけなげな子なのですね」
貴明(そしてよくシルファさんと衝突するのも……いや、これは余計な言及、というものでしょう)
瑠璃「そういうことなら、ほっとしたわ。シルファも、ちゃんと成長してるんやなぁ」
貴明「……ふふふ」
瑠璃「な、なんや? 急ににやにやしとってん」
貴明「いえ。まるで『お母さん』のようだ、と心のうちで思ってしまいまして」
瑠璃「なっ!?」
瑠璃「シルファも?」
貴明「ええ。なんでも『中身が違くても、大事なダーリンの体をケアするのも、わたしの仕事だ』とおっしゃっていました。いやはや、一途でけなげな子なのですね」
貴明(そしてよくシルファさんと衝突するのも……いや、これは余計な言及、というものでしょう)
瑠璃「そういうことなら、ほっとしたわ。シルファも、ちゃんと成長してるんやなぁ」
貴明「……ふふふ」
瑠璃「な、なんや? 急ににやにやしとってん」
貴明「いえ。まるで『お母さん』のようだ、と心のうちで思ってしまいまして」
瑠璃「なっ!?」
62: 2012/09/15(土) 21:42:01.36 ID:uGVoIkwp0
―――
――
―
【第二体育館倉庫】
花梨「と、言う訳で! 本日のミステリ研の活動議題は――」バンッ
花梨「ずばり! 『たかちゃん謎の憑依現象の謎を追え!』やっぱりこれっしょ!」
貴明「よろしかったら、お茶でもどうぞ」
優季「ありがとうございます」
花梨「ってちょっと! 一応自分の身のことなんですし、もう少し関心を持って下さいよ!」
貴明「そう言われましても。この現象に関しましては、僕もさっぱりでして。こればっかりは、時間の解決を待つしかない、と個人的に判断しているのですが……」
花梨「そう! この現象はほとんど前例がないんよ。幽霊に憑依されたってのはよくある話だけど、生きている人が、生きている人に憑依するなんて、調べてみてもさっぱりだし」
貴明「憑依……霊が、生きている人間を支配すること。古くから日本でもその現象は書物で伝えられ、悪霊であったり、キリスト教などでは聖霊や神が憑依することもしばしば。はたまた、憑くのが悪魔であったり、化け狐であったり」
――
―
【第二体育館倉庫】
花梨「と、言う訳で! 本日のミステリ研の活動議題は――」バンッ
花梨「ずばり! 『たかちゃん謎の憑依現象の謎を追え!』やっぱりこれっしょ!」
貴明「よろしかったら、お茶でもどうぞ」
優季「ありがとうございます」
花梨「ってちょっと! 一応自分の身のことなんですし、もう少し関心を持って下さいよ!」
貴明「そう言われましても。この現象に関しましては、僕もさっぱりでして。こればっかりは、時間の解決を待つしかない、と個人的に判断しているのですが……」
花梨「そう! この現象はほとんど前例がないんよ。幽霊に憑依されたってのはよくある話だけど、生きている人が、生きている人に憑依するなんて、調べてみてもさっぱりだし」
貴明「憑依……霊が、生きている人間を支配すること。古くから日本でもその現象は書物で伝えられ、悪霊であったり、キリスト教などでは聖霊や神が憑依することもしばしば。はたまた、憑くのが悪魔であったり、化け狐であったり」
63: 2012/09/15(土) 21:50:51.31 ID:uGVoIkwp0
花梨「仮に、たかちゃんに憑いてるのが幽霊だったりしたら、お祓いとか試してみたかったんだけど……憑いてるのが生きてる人だったら、祓った瞬間にそのまま天国まで……ってなると色々と怖いし」
貴明「その口ぶりですと、手掛かりを見つけたような様子ですが」
花梨「さっすが! 勘が鋭い。実は、憑依現象とは違うけど、似た性質の現象を体験したっていう人が見つかったわけなんよ!」
貴明「なるほど。それがこちらの草壁優季さん、というわけですか」
優季「は、はい。その……信じてもらえないかもしれませんが」
花梨「大丈夫! そもそもたかちゃんの今の状態が信じられないようなものなんだし」
貴明「たった今、信じられないようなオカルトが体現されている今、是非、参考になるような話は多く取り入れていきたいところです」
優季「では……あれのきっかけは、四月の――」
貴明「その口ぶりですと、手掛かりを見つけたような様子ですが」
花梨「さっすが! 勘が鋭い。実は、憑依現象とは違うけど、似た性質の現象を体験したっていう人が見つかったわけなんよ!」
貴明「なるほど。それがこちらの草壁優季さん、というわけですか」
優季「は、はい。その……信じてもらえないかもしれませんが」
花梨「大丈夫! そもそもたかちゃんの今の状態が信じられないようなものなんだし」
貴明「たった今、信じられないようなオカルトが体現されている今、是非、参考になるような話は多く取り入れていきたいところです」
優季「では……あれのきっかけは、四月の――」
65: 2012/09/15(土) 23:42:59.57 ID:uGVoIkwp0
―――
――
―
花梨「少し未来から、夜の学校に飛ばされてた?」
貴明「それも、河野貴明が『氏んだ』未来から、ですか」
優季「ええ。気がつけば学校の裏庭にいて、そこで貴明さんと出会って……気がつけば、貴明さんが氏ぬことはありませんでした」
貴明「つまりあなたは、『河野貴明が氏んだ世界』からやってきた幽霊みたいなものだった。……なるほど、並行世界からやってきたということ。僕の憑依現象とは相違点が多いながらも、その一方で共通点も存在する」
優季「おじさまはメイドロボが発明されていない世界から……参考になるかはわかりませんが」
貴明「いえ、非常に興味深い話でした」
花梨「その現象の理論うんぬんはいいとしてだよ。でも……なんで杉下さんはこっちの世界にやってきたんだろう?」
――
―
花梨「少し未来から、夜の学校に飛ばされてた?」
貴明「それも、河野貴明が『氏んだ』未来から、ですか」
優季「ええ。気がつけば学校の裏庭にいて、そこで貴明さんと出会って……気がつけば、貴明さんが氏ぬことはありませんでした」
貴明「つまりあなたは、『河野貴明が氏んだ世界』からやってきた幽霊みたいなものだった。……なるほど、並行世界からやってきたということ。僕の憑依現象とは相違点が多いながらも、その一方で共通点も存在する」
優季「おじさまはメイドロボが発明されていない世界から……参考になるかはわかりませんが」
貴明「いえ、非常に興味深い話でした」
花梨「その現象の理論うんぬんはいいとしてだよ。でも……なんで杉下さんはこっちの世界にやってきたんだろう?」
66: 2012/09/15(土) 23:49:49.66 ID:uGVoIkwp0
貴明「その心は?」
花梨「うん。まだ草壁さんがこっちにやってきた理由はわかるんよ。多分、たかちゃんを助けるためにやってきたんだよね?」
優季「強いて言うなら、そういうことになると思います。あの時はほんと、色々と必氏で」
花梨「それならそれで、とってもいい美談で終わるわけよ。でも、杉下さんがこっちにやってきた理由が、いまいちわからないんだよねー」
貴明「ふむ……僕が飛んできた理由ですか」
花梨「これは私の推測なんだけど……もしかすれば、杉下さんは誰かにこっちに『連れてこられた』んじゃないのかな?」
貴明「それこそまさに、超能力者や宇宙人に、ですか?」
花梨「そう! 宇宙人が、世界の歪みを修正するために送り込まれてきた因子! この世界には世界の因果を監視する神に近い存在がいて、それに杉下さんは選ばれたんよ!」
貴明「それこそまさに、オカルト以外のなにものでもありません」
花梨「うん。まだ草壁さんがこっちにやってきた理由はわかるんよ。多分、たかちゃんを助けるためにやってきたんだよね?」
優季「強いて言うなら、そういうことになると思います。あの時はほんと、色々と必氏で」
花梨「それならそれで、とってもいい美談で終わるわけよ。でも、杉下さんがこっちにやってきた理由が、いまいちわからないんだよねー」
貴明「ふむ……僕が飛んできた理由ですか」
花梨「これは私の推測なんだけど……もしかすれば、杉下さんは誰かにこっちに『連れてこられた』んじゃないのかな?」
貴明「それこそまさに、超能力者や宇宙人に、ですか?」
花梨「そう! 宇宙人が、世界の歪みを修正するために送り込まれてきた因子! この世界には世界の因果を監視する神に近い存在がいて、それに杉下さんは選ばれたんよ!」
貴明「それこそまさに、オカルト以外のなにものでもありません」
67: 2012/09/15(土) 23:57:46.03 ID:uGVoIkwp0
花梨「でも、何も信じないよりはましだと思うよ? 他に手掛かりがない以上、この断片的な情報しかないわけだし。それに、もう起こってることが信じられないことなんだから、正直今更だったりして」
優季「あくまで仮説のひとつ、と認識したらよろしいのではないでしょうか?」
貴明「仮説……そうですね。記憶にとどめておきましょう」
花梨「いやぁ、それにしても久しぶりにミステリ研っぽい活動しちゃったなー! あ、紅茶もらってもいい?」ズズー
貴明「許可を取り付ける前に行動に移すその癖、直した方がよろしいですよ?」
花梨「あははー。タマゴサンドもらうときのノリでつい。それにしても、草壁さんって見た目に似合わずミステリー体験者やったんやね! よかったら、ミステリ研に入会してみない?」
優季「い、今からですか?」
花梨「ミステリ研は慢性的な部員不足だから、いつでも大歓迎! よかったら考えといてね!」
優季「ど、どうしようかな……でも、よく考えてみると、河野君と一緒の同好会か。……いいかも」ボソッ
優季「あくまで仮説のひとつ、と認識したらよろしいのではないでしょうか?」
貴明「仮説……そうですね。記憶にとどめておきましょう」
花梨「いやぁ、それにしても久しぶりにミステリ研っぽい活動しちゃったなー! あ、紅茶もらってもいい?」ズズー
貴明「許可を取り付ける前に行動に移すその癖、直した方がよろしいですよ?」
花梨「あははー。タマゴサンドもらうときのノリでつい。それにしても、草壁さんって見た目に似合わずミステリー体験者やったんやね! よかったら、ミステリ研に入会してみない?」
優季「い、今からですか?」
花梨「ミステリ研は慢性的な部員不足だから、いつでも大歓迎! よかったら考えといてね!」
優季「ど、どうしようかな……でも、よく考えてみると、河野君と一緒の同好会か。……いいかも」ボソッ
68: 2012/09/16(日) 00:30:20.60 ID:idhX1IAg0
―――
――
―
【通学路】
タッタッタ
菜々子「おにいちゃーん!」
貴明「おや?」
菜々子「おにい――あぁっ!?」
貴明「っと」
ズコッ
ポフッ
菜々子「ふぇ?」
貴明「子供は元気に走り回るもの、それは結構。ですが、足元不注意はよくない傾向です」
――
―
【通学路】
タッタッタ
菜々子「おにいちゃーん!」
貴明「おや?」
菜々子「おにい――あぁっ!?」
貴明「っと」
ズコッ
ポフッ
菜々子「ふぇ?」
貴明「子供は元気に走り回るもの、それは結構。ですが、足元不注意はよくない傾向です」
69: 2012/09/16(日) 01:37:29.74 ID:idhX1IAg0
菜々子「あ、ありがとう、おにい……あっ」
貴明「……ふむ」
貴明(なるほど。河野貴明が河野貴明ではないことを思い出した様子です)
菜々子「あ、その……えと」
貴明「呼び方は自由でかまいませんよ? おじさんでも、そのままの呼び方でも結構です」
菜々子「えと、あと……じゃあ、おじさんで」
貴明「はい。今日はどうかなさいましたか?」
菜々子「あ、あの。実は今日、授業でね……これ!」
貴明「ふむ、見たところ、紙粘土で成形したものに、水性絵の具で着色したものに見えますが」
貴明「……ふむ」
貴明(なるほど。河野貴明が河野貴明ではないことを思い出した様子です)
菜々子「あ、その……えと」
貴明「呼び方は自由でかまいませんよ? おじさんでも、そのままの呼び方でも結構です」
菜々子「えと、あと……じゃあ、おじさんで」
貴明「はい。今日はどうかなさいましたか?」
菜々子「あ、あの。実は今日、授業でね……これ!」
貴明「ふむ、見たところ、紙粘土で成形したものに、水性絵の具で着色したものに見えますが」
70: 2012/09/16(日) 01:47:27.96 ID:idhX1IAg0
菜々子「紙粘土の腕輪なの。最近、ママが占い勉強してて、ななこもそれで少しは詳しくなったんだけど。そしたら、お兄ちゃんの星座、今月は運の調子が悪いみたいで……ラッキーカラーは緑で、ラッキーアイテムはアクセサリーって出てね」
貴明「なるほど。それはそれは、非常にうれしいもらいものです。ありがとうございます」
菜々子「あっ、でも……」
貴明「? どうしました?」
菜々子「おじさんの星座、違うから……」
貴明「……ふむ。菜々子さん」
菜々子「はい?」
貴明「星座がどうこう、色がどうこうではありません。大事なことは、菜々子さんがどれだけ、河野貴明さんを思っているかです。そしてこの腕輪には、あなたの思いがたくさんこめられている。これほど効果てき面な開運アイテムは、どこを探しても存在しないでしょうねぇ」
菜々子「え、えと……」
貴明「ほんとうに、ありがとうございます」
ナデナデ
菜々子「えへへ……」
貴明「なるほど。それはそれは、非常にうれしいもらいものです。ありがとうございます」
菜々子「あっ、でも……」
貴明「? どうしました?」
菜々子「おじさんの星座、違うから……」
貴明「……ふむ。菜々子さん」
菜々子「はい?」
貴明「星座がどうこう、色がどうこうではありません。大事なことは、菜々子さんがどれだけ、河野貴明さんを思っているかです。そしてこの腕輪には、あなたの思いがたくさんこめられている。これほど効果てき面な開運アイテムは、どこを探しても存在しないでしょうねぇ」
菜々子「え、えと……」
貴明「ほんとうに、ありがとうございます」
ナデナデ
菜々子「えへへ……」
72: 2012/09/16(日) 01:53:32.89 ID:idhX1IAg0
貴明「そうそう、この後、少し時間はありますか?」
菜々子「え? うん、今日は学校が早く終わったし、ママにも出かけるって言ってあるから」
貴明「それはよかった。実は、とあるかたから招待を受けていましてね」
菜々子「お食事?」
貴明「ええ。よろしければ、夕食はそちらで済まされてみては? 連絡は僕がしておくので……」
菜々子「いいの?」
貴明「もちろんです。……河野貴明さんとの馴れ初めも、聞いてみたいところですしね」
菜々子「やったー! 今日はおじさんとお外だー!」
菜々子「え? うん、今日は学校が早く終わったし、ママにも出かけるって言ってあるから」
貴明「それはよかった。実は、とあるかたから招待を受けていましてね」
菜々子「お食事?」
貴明「ええ。よろしければ、夕食はそちらで済まされてみては? 連絡は僕がしておくので……」
菜々子「いいの?」
貴明「もちろんです。……河野貴明さんとの馴れ初めも、聞いてみたいところですしね」
菜々子「やったー! 今日はおじさんとお外だー!」
73: 2012/09/16(日) 12:55:06.58 ID:idhX1IAg0
―――
――
―
【お好み焼き屋】
ガララッ
ハナ「いらっしゃいませー! ああ、あんたか!」
貴明「これはどうも」
ハナ「話は聞いてるよ。色々とありがとね」
貴明「それほどでもありません」
チエ「センパーイ! こっちッス!」
ミチル「こっち」
貴明「これはこれは。本日はご招待、誠にありがとうございます」
――
―
【お好み焼き屋】
ガララッ
ハナ「いらっしゃいませー! ああ、あんたか!」
貴明「これはどうも」
ハナ「話は聞いてるよ。色々とありがとね」
貴明「それほどでもありません」
チエ「センパーイ! こっちッス!」
ミチル「こっち」
貴明「これはこれは。本日はご招待、誠にありがとうございます」
74: 2012/09/16(日) 13:01:38.82 ID:idhX1IAg0
ミチル「お礼を言うのはこっち。ご協力、誠に感謝」
チエ「そういえば、あたしはここにセンパイが招待されるから付き合ったんスけど、センパイ、何かしたんスか?」
貴明「大したことはしていません。ただ、少しばかり知識を伝授しただけです」
ミチル「今度、私の家で『執事喫茶』をやることになった。そのスタッフに教える、立ち振る舞い方や、紅茶の入れ方、ワインの知識にマジックのテクニックを教えてもらった。非常に参考になった」
チエ「はぇぇ、センパイ、マジックも出来るんスか! さすが、生きてる年数が3倍近く違うだけありますッス」
貴明「少々長生きしているだけですよ」
チエ「で、菜々子ちゃんは今日はどうしたの? お客さん?」
貴明「僕が招待しました。支払いは僕が済ませるので、ご安心を」
ミチル「大丈夫。今日はうちのおごり。もちろん、菜々子ちゃんも」
チエ「そういえば、あたしはここにセンパイが招待されるから付き合ったんスけど、センパイ、何かしたんスか?」
貴明「大したことはしていません。ただ、少しばかり知識を伝授しただけです」
ミチル「今度、私の家で『執事喫茶』をやることになった。そのスタッフに教える、立ち振る舞い方や、紅茶の入れ方、ワインの知識にマジックのテクニックを教えてもらった。非常に参考になった」
チエ「はぇぇ、センパイ、マジックも出来るんスか! さすが、生きてる年数が3倍近く違うだけありますッス」
貴明「少々長生きしているだけですよ」
チエ「で、菜々子ちゃんは今日はどうしたの? お客さん?」
貴明「僕が招待しました。支払いは僕が済ませるので、ご安心を」
ミチル「大丈夫。今日はうちのおごり。もちろん、菜々子ちゃんも」
75: 2012/09/16(日) 13:05:32.40 ID:idhX1IAg0
菜々子「おごり?」
貴明「言葉の意味はお気になさらず。菜々子さんは、好きなものを頼んでいただければ」
菜々子「いいの?」
貴明「今回はおくりもののお礼です。どうぞ遠慮なく」
菜々子「やったー! そ、それじゃあね、この『もんじゃ焼き』食べてみたい! ななこ、食べたことないんだ」
ミチル「ハナ。ミックスと豚玉、チーズ明太子」
貴明「では、僕はこの『スーパーミックス』というものを」
ハナ「毎度!」
貴明「言葉の意味はお気になさらず。菜々子さんは、好きなものを頼んでいただければ」
菜々子「いいの?」
貴明「今回はおくりもののお礼です。どうぞ遠慮なく」
菜々子「やったー! そ、それじゃあね、この『もんじゃ焼き』食べてみたい! ななこ、食べたことないんだ」
ミチル「ハナ。ミックスと豚玉、チーズ明太子」
貴明「では、僕はこの『スーパーミックス』というものを」
ハナ「毎度!」
76: 2012/09/16(日) 13:20:03.79 ID:idhX1IAg0
―――
――
―
ジュージュー
チエ「センパイ、こっちでの生活は慣れてきたッスか?」
貴明「色々と戸惑うところはありましたが、あなた方の協力も功を奏し、なんとか」
チエ「それなら良かったッス! でも、色々と大変でしょ?」
貴明「いやはや、それが案外そうでもないのですよ」
ミチル「その真意は?」
貴明「今まで、僕は一人の警部として生きてきました。人材の墓場と名高い『特命係』に、ただ一人根を張るものとしてね。ですが……この歳になってしまいますと、どうしても『過去』というものを、振り返ってしまうのが、難儀なもので」
チエ「一人なんすか? いくら『人材の墓場』っていっても、相棒みたいな人とかいなかったんすか?」
――
―
ジュージュー
チエ「センパイ、こっちでの生活は慣れてきたッスか?」
貴明「色々と戸惑うところはありましたが、あなた方の協力も功を奏し、なんとか」
チエ「それなら良かったッス! でも、色々と大変でしょ?」
貴明「いやはや、それが案外そうでもないのですよ」
ミチル「その真意は?」
貴明「今まで、僕は一人の警部として生きてきました。人材の墓場と名高い『特命係』に、ただ一人根を張るものとしてね。ですが……この歳になってしまいますと、どうしても『過去』というものを、振り返ってしまうのが、難儀なもので」
チエ「一人なんすか? いくら『人材の墓場』っていっても、相棒みたいな人とかいなかったんすか?」
77: 2012/09/16(日) 13:27:41.93 ID:idhX1IAg0
貴明「『相棒』……ええ、いました。ですが彼も、つい先日、東南アジアのとある国へ旅立ってしまいました」
ミチル「東南アジア……ここ最近、あそこの治安はかなり不安定なはず」
貴明「それでも彼は向かった。一人の正義に生きる男として、ね。……そうして、たった一人の特命係として働いていた僕なのですが、なんというか……」
ミチル「さびしくなった」
貴明「……そうですねぇ。まさに図星です。常にいた支えが一つなくなった瞬間、ふと、物思いに老けてしまう時間が増えてしまっていたのですよ。……なるほど、僕はさびしかったのかもしれない」
チエ「……その状況を自分に置き換えると、確かにさびしいほかないッス」
貴明「だからでしょうか。僕はこの異質な状況にも、『充実感』を感じてしまっている」
ミチル「東南アジア……ここ最近、あそこの治安はかなり不安定なはず」
貴明「それでも彼は向かった。一人の正義に生きる男として、ね。……そうして、たった一人の特命係として働いていた僕なのですが、なんというか……」
ミチル「さびしくなった」
貴明「……そうですねぇ。まさに図星です。常にいた支えが一つなくなった瞬間、ふと、物思いに老けてしまう時間が増えてしまっていたのですよ。……なるほど、僕はさびしかったのかもしれない」
チエ「……その状況を自分に置き換えると、確かにさびしいほかないッス」
貴明「だからでしょうか。僕はこの異質な状況にも、『充実感』を感じてしまっている」
78: 2012/09/16(日) 13:46:20.20 ID:idhX1IAg0
ミチル「周りに、たくさんの人が、河野貴明のことを見守っている。さびしくない、むしろ騒がしいぐらいの日常に、楽しみを感じている」
貴明「……いやはや、あなたのものの言い方は非常にストレートで、なにより的を得ている。ええ。不謹慎ではありますが、こうしてたくさんの人に囲まれている。それに対して、僕は充実を感じてしまっている。たとえそれが、かりそめのものであっても」
チエ「そんな、かりそめだなんて――」
ガララッ
ハナ「はい、いらっしゃいま――ご隠居!?」
貴明「……いやはや、あなたのものの言い方は非常にストレートで、なにより的を得ている。ええ。不謹慎ではありますが、こうしてたくさんの人に囲まれている。それに対して、僕は充実を感じてしまっている。たとえそれが、かりそめのものであっても」
チエ「そんな、かりそめだなんて――」
ガララッ
ハナ「はい、いらっしゃいま――ご隠居!?」
79: 2012/09/16(日) 13:50:57.70 ID:idhX1IAg0
ミチル「!」
チエ「あれ? ちゃるのおじいちゃん!」
貴明「……」
ご隠居「ほほ、店の調子はどうかな?」
ハナ「は、はい。いつも通りぼちぼちです」
ご隠居「それはよかった。ミチルとそのご友人も、元気かな?」
チエ「もちろんッス! ちゃるにはいつもお世話になってるっス」
ミチル「……今日はどうしたの?」
ご隠居「いや何、今日は偶然ここの近くに用があっての。ついでに可愛い孫娘の様子を見たくなっての。なぁ、ロク」
ロク「へい!」
チエ「あれ? ちゃるのおじいちゃん!」
貴明「……」
ご隠居「ほほ、店の調子はどうかな?」
ハナ「は、はい。いつも通りぼちぼちです」
ご隠居「それはよかった。ミチルとそのご友人も、元気かな?」
チエ「もちろんッス! ちゃるにはいつもお世話になってるっス」
ミチル「……今日はどうしたの?」
ご隠居「いや何、今日は偶然ここの近くに用があっての。ついでに可愛い孫娘の様子を見たくなっての。なぁ、ロク」
ロク「へい!」
80: 2012/09/16(日) 13:55:34.20 ID:idhX1IAg0
ミチル「ロク、元気だった? 最近、忙しそうだったから」
ロク「もちろんでさぁ! お譲も、元気そうで何よりです!」
ミチル「ん」
ご隠居「ほほほ。……ところで、お主、何者じゃ?」
貴明「……」
ロク「へ? いや、お譲の友人の河野貴明じゃないですかい。お忘れになったのですか?」
ミチル「私のセンパイ」
ご隠居「ほぅ、河野貴明……私の記憶が正しければ、彼は普通の高校生だったはずじゃが」
ロク「もちろんでさぁ! お譲も、元気そうで何よりです!」
ミチル「ん」
ご隠居「ほほほ。……ところで、お主、何者じゃ?」
貴明「……」
ロク「へ? いや、お譲の友人の河野貴明じゃないですかい。お忘れになったのですか?」
ミチル「私のセンパイ」
ご隠居「ほぅ、河野貴明……私の記憶が正しければ、彼は普通の高校生だったはずじゃが」
81: 2012/09/16(日) 14:04:06.70 ID:idhX1IAg0
ヒュンッ
パシィッ
フッ
ハナ「なっ!?」
チエ「ひゃあっ!?」
菜々子「きゃっ!?」
ミチル「!!」
ご隠居「ほう……」
貴明「これはこれは、見事な杖捌きで」
パシィッ
フッ
ハナ「なっ!?」
チエ「ひゃあっ!?」
菜々子「きゃっ!?」
ミチル「!!」
ご隠居「ほう……」
貴明「これはこれは、見事な杖捌きで」
84: 2012/09/16(日) 20:19:13.42 ID:idhX1IAg0
ハナ「そんなっ、ご隠居、いきなり……」
ロク「いや、その前に……あの伝説のご隠居の杖技を、受け流した!?」
チエ「す、すごい風圧だったッス」
ミチル「おじいちゃんの杖捌きは伝説になっている。その不意打ちを受け流すなんて……」
ご隠居「お主、私がこの店に入った瞬間、身構え始めたじゃろ?」
貴明「はたして、それはどうでしょうねぇ」
ご隠居「私の目はごまかせんよ。それにその構え方……『実戦』をいくつもこなしておると見た。何よりその構え方は、自分と周りを『守る』受け流し。ウチの男衆とは『立場』が違う……まるで『サツ』じゃ」
貴明「……」
ご隠居「否定せぬか。ほほ」
貴明「……これは僕からの提案なのですが」
ロク「いや、その前に……あの伝説のご隠居の杖技を、受け流した!?」
チエ「す、すごい風圧だったッス」
ミチル「おじいちゃんの杖捌きは伝説になっている。その不意打ちを受け流すなんて……」
ご隠居「お主、私がこの店に入った瞬間、身構え始めたじゃろ?」
貴明「はたして、それはどうでしょうねぇ」
ご隠居「私の目はごまかせんよ。それにその構え方……『実戦』をいくつもこなしておると見た。何よりその構え方は、自分と周りを『守る』受け流し。ウチの男衆とは『立場』が違う……まるで『サツ』じゃ」
貴明「……」
ご隠居「否定せぬか。ほほ」
貴明「……これは僕からの提案なのですが」
85: 2012/09/16(日) 20:26:05.65 ID:idhX1IAg0
ご隠居「……ふむ、言ってみろ」
貴明「大人同士の争いは大変結構。ですが……純真無垢に『未来』に生きる子供に、こんな醜い争いを見せたくはありません」
ご隠居「む?」
菜々子「ふ、ふぇぇ……」ジワァ
ご隠居「おっと。これは……」
菜々子「け、けんかは、だめなんだもっ。だって……おにいちゃんのて、いたそうだも」
貴明「心配ありませんよ」
ご隠居「……実は一つ気になっていた点があった。あんた、その気になれば『右手』で杖を受け、そのまま杖を奪い取れたはずじゃ。しかし……わざわざコテを持っていた左手で、コテを手放し左手で受けた。……なるほど、おぬし、その右手の腕輪を……」
貴明「……」
ご隠居「……ほっほ。これはこれは、私のとんだ勘違いだったようじゃあ」
貴明「大人同士の争いは大変結構。ですが……純真無垢に『未来』に生きる子供に、こんな醜い争いを見せたくはありません」
ご隠居「む?」
菜々子「ふ、ふぇぇ……」ジワァ
ご隠居「おっと。これは……」
菜々子「け、けんかは、だめなんだもっ。だって……おにいちゃんのて、いたそうだも」
貴明「心配ありませんよ」
ご隠居「……実は一つ気になっていた点があった。あんた、その気になれば『右手』で杖を受け、そのまま杖を奪い取れたはずじゃ。しかし……わざわざコテを持っていた左手で、コテを手放し左手で受けた。……なるほど、おぬし、その右手の腕輪を……」
貴明「……」
ご隠居「……ほっほ。これはこれは、私のとんだ勘違いだったようじゃあ」
86: 2012/09/16(日) 20:32:46.87 ID:idhX1IAg0
ロク「ご、ご隠居?」
ご隠居「いやはや、私としたことが、最近サツとの抗争にピリピリしすぎていたせいか、勘違いしてもうた。私らが『嫌い』なサツと一緒にされるとは、失礼なことをした」
ハナ「あ、あの、ご隠居……」
ご隠居「ハナ、彼の手首を手厚く手当てしてくれ。しがない老人のボケに付き合わせてしまった」
ハナ「は、はい!」
タッタッタ
ミチル「おじいちゃん……」
ご隠居「すまぬの。大事なセンパイに手間をかけさせて。少年、お詫びにゆっくりしていってくれ。お主は食べ放題にしておこう」
貴明「ありがとうございます、ありがたく頂戴しましょう」
御隠居「ではの……その腕輪、大事にするのだぞ?」
ご隠居「いやはや、私としたことが、最近サツとの抗争にピリピリしすぎていたせいか、勘違いしてもうた。私らが『嫌い』なサツと一緒にされるとは、失礼なことをした」
ハナ「あ、あの、ご隠居……」
ご隠居「ハナ、彼の手首を手厚く手当てしてくれ。しがない老人のボケに付き合わせてしまった」
ハナ「は、はい!」
タッタッタ
ミチル「おじいちゃん……」
ご隠居「すまぬの。大事なセンパイに手間をかけさせて。少年、お詫びにゆっくりしていってくれ。お主は食べ放題にしておこう」
貴明「ありがとうございます、ありがたく頂戴しましょう」
御隠居「ではの……その腕輪、大事にするのだぞ?」
88: 2012/09/16(日) 22:13:38.61 ID:idhX1IAg0
―――
――
―
チエ「センパイ、大丈夫ッスか?」
貴明「大したことはありませんよ。少しばかり痛むだけで、生活には支障ありません」
ミチル「センパイ……ごめんなさい」
ハナ「お譲のせいじゃないさ。今回はご隠居がきまぐれしちゃったせいさね」
貴明「そうです。ちょっとばかり、無益ないざこざを起こしてしまっただけのこと。僕も、少しばかり血の気が盛んになってしまって、いやはや。若さは時に、とんでもない事態を起こしてしまいます」
菜々子「おじさん、大丈夫?」ウルウル
貴明「問題ありません。それに……」ナデナデ
菜々子「ふぇ?」
貴明「この腕輪に、さっそく助けられたようですしねぇ」
――
―
チエ「センパイ、大丈夫ッスか?」
貴明「大したことはありませんよ。少しばかり痛むだけで、生活には支障ありません」
ミチル「センパイ……ごめんなさい」
ハナ「お譲のせいじゃないさ。今回はご隠居がきまぐれしちゃったせいさね」
貴明「そうです。ちょっとばかり、無益ないざこざを起こしてしまっただけのこと。僕も、少しばかり血の気が盛んになってしまって、いやはや。若さは時に、とんでもない事態を起こしてしまいます」
菜々子「おじさん、大丈夫?」ウルウル
貴明「問題ありません。それに……」ナデナデ
菜々子「ふぇ?」
貴明「この腕輪に、さっそく助けられたようですしねぇ」
89: 2012/09/16(日) 22:32:24.18 ID:idhX1IAg0
―――
――
―
【河野家】
はるみ「何よ! ご主人様を発情させることも出来ないひんぬーひっきーのくせに!」
シルファ「ミルミルこそ、今れもイルイルがそばいないと、安心して新しい料理れきないくせに!」
はるみ「そ、それは関係ないでしょっ!」
シルファ「関係おおありれす! 料理れ来ないメイドロボなんて、存在意義がないれす!」
アーダコーダ
ドーシタコーシタ
春夏「今日も今日とて、楽しそうねー」
貴明「すいませんねぇ。御近所に迷惑になっているでしょう?」
春夏「大丈夫よ。もう御近所さんも慣れちゃってるから」
――
―
【河野家】
はるみ「何よ! ご主人様を発情させることも出来ないひんぬーひっきーのくせに!」
シルファ「ミルミルこそ、今れもイルイルがそばいないと、安心して新しい料理れきないくせに!」
はるみ「そ、それは関係ないでしょっ!」
シルファ「関係おおありれす! 料理れ来ないメイドロボなんて、存在意義がないれす!」
アーダコーダ
ドーシタコーシタ
春夏「今日も今日とて、楽しそうねー」
貴明「すいませんねぇ。御近所に迷惑になっているでしょう?」
春夏「大丈夫よ。もう御近所さんも慣れちゃってるから」
90: 2012/09/16(日) 22:40:05.42 ID:idhX1IAg0
貴明「それもそれで問題だと思うのですが……」ズズー
春夏「まだかわいらしい痴話喧嘩じゃない。私も、若いころは他の女の人といざこざやってたわー」ズズー
貴明「僕も、若いころは後先考えずにがむしゃらになることができたのですが……老いというものはなんとも恐ろしいものです。そうそう、実は先ほど、自作でクッキーを焼いてみたのですが……」
春夏「あら、とてもおいしそう。随分と多芸な方なのですねぇ」
貴明「暇を持て余しているだけですよ」ズズー
シルファ「……そうれす! これれすよ!」
はるみ「どうしたの?」
シルファ「ミルミル! こうなったら、正式に決闘を申しこむれす!」
はるみ「へぇ、決闘……ひっきーにしては、随分と大きく出たじゃない!」
春夏「まだかわいらしい痴話喧嘩じゃない。私も、若いころは他の女の人といざこざやってたわー」ズズー
貴明「僕も、若いころは後先考えずにがむしゃらになることができたのですが……老いというものはなんとも恐ろしいものです。そうそう、実は先ほど、自作でクッキーを焼いてみたのですが……」
春夏「あら、とてもおいしそう。随分と多芸な方なのですねぇ」
貴明「暇を持て余しているだけですよ」ズズー
シルファ「……そうれす! これれすよ!」
はるみ「どうしたの?」
シルファ「ミルミル! こうなったら、正式に決闘を申しこむれす!」
はるみ「へぇ、決闘……ひっきーにしては、随分と大きく出たじゃない!」
91: 2012/09/16(日) 22:46:16.44 ID:idhX1IAg0
シルファ「この勝負れ勝った方が、ご主人様のメイドロボにふさわしいのれす! 勝負の内容は『紅茶』! どれだけおいしい紅茶を淹れられるかれす!」
はるみ「面白いじゃない! その勝負、のったわ! 審査員はもちろん、ダーリンもといおじさまね!」
貴明「ほぉ」
シルファ「ププッ! ミルミル、完敗して泣きべそかくんじゃないれすよー」
はるみ「その言葉、そっくりそのままお返しするわ! あんたこそ、泣きべそかいて段ボールにひきこもってればいいのよ!」
シルファ「なにをー!」
はるみ「吹っかけてきたのはあんじゃなーい!」
貴明「なるほど、このいざこざを、河野貴明さんは一人で捌いていたのですか。こればかりは、僕でも真似できませんねぇ」
春夏「うぅ~ん! このクッキー、とてもお茶に合うわぁ」
はるみ「面白いじゃない! その勝負、のったわ! 審査員はもちろん、ダーリンもといおじさまね!」
貴明「ほぉ」
シルファ「ププッ! ミルミル、完敗して泣きべそかくんじゃないれすよー」
はるみ「その言葉、そっくりそのままお返しするわ! あんたこそ、泣きべそかいて段ボールにひきこもってればいいのよ!」
シルファ「なにをー!」
はるみ「吹っかけてきたのはあんじゃなーい!」
貴明「なるほど、このいざこざを、河野貴明さんは一人で捌いていたのですか。こればかりは、僕でも真似できませんねぇ」
春夏「うぅ~ん! このクッキー、とてもお茶に合うわぁ」
92: 2012/09/16(日) 22:48:27.66 ID:idhX1IAg0
―――
――
―
はるみ「何! あんた、あたしと同じお茶っ葉買ってるんじゃないわよ!」
シルファ「真似したのはミルミルの方じゃないれすか?」
はるみ「きー!」
――
―
はるみ「何! あんた、あたしと同じお茶っ葉買ってるんじゃないわよ!」
シルファ「真似したのはミルミルの方じゃないれすか?」
はるみ「きー!」
93: 2012/09/16(日) 22:52:25.35 ID:idhX1IAg0
―――
――
―
シルファ「ちょっとミルミル! なにケーキの生地をつくってるのれすか!」
はるみ「シルファこそ、今バターを溶かしてるじゃない! 完全にクッキー作る気でしょ!」
シルファ「ミルミルがケーキを作り始めらから、対抗したのれす! 大体、お茶菓子れ追加点を狙おうとするミルミルの姑息な姿勢が気に入らないれす!」
はるみ「これは正当な戦略よー!」
――
―
シルファ「ちょっとミルミル! なにケーキの生地をつくってるのれすか!」
はるみ「シルファこそ、今バターを溶かしてるじゃない! 完全にクッキー作る気でしょ!」
シルファ「ミルミルがケーキを作り始めらから、対抗したのれす! 大体、お茶菓子れ追加点を狙おうとするミルミルの姑息な姿勢が気に入らないれす!」
はるみ「これは正当な戦略よー!」
94: 2012/09/16(日) 22:57:32.03 ID:idhX1IAg0
―――
――
―
はるみ「見なさい! これがまったく新しいはるみ流……『対空紅茶落とし』!」
シルファ「なっ! 物干しざおれ空中に体(からら)を固定しながら、カップにお茶を淹れてるれす!」
はるみ「こうすることで、より多くの空気をお茶に取り入れることが出来るのよ! どう、この圧倒的パフォーマンスにおそれいったでしょ!」
シルファ「ププッ」
はるみ「な、何よ! 負け惜しみなんて、みすぼらしいだけよ!」
シルファ「ミルミルには、スマートさが足りないのれす。確かにやっていることは派手(はれ)れすが、芸術的とはいえないのれす!」
はるみ「なんですって!?」
シルファ「見るのれす! これがシルファ流『螺旋紅茶竜巻』!」
はるみ「なっ!? 螺旋を描きながら、カップに紅茶を淹れてる!?」
――
―
はるみ「見なさい! これがまったく新しいはるみ流……『対空紅茶落とし』!」
シルファ「なっ! 物干しざおれ空中に体(からら)を固定しながら、カップにお茶を淹れてるれす!」
はるみ「こうすることで、より多くの空気をお茶に取り入れることが出来るのよ! どう、この圧倒的パフォーマンスにおそれいったでしょ!」
シルファ「ププッ」
はるみ「な、何よ! 負け惜しみなんて、みすぼらしいだけよ!」
シルファ「ミルミルには、スマートさが足りないのれす。確かにやっていることは派手(はれ)れすが、芸術的とはいえないのれす!」
はるみ「なんですって!?」
シルファ「見るのれす! これがシルファ流『螺旋紅茶竜巻』!」
はるみ「なっ!? 螺旋を描きながら、カップに紅茶を淹れてる!?」
95: 2012/09/16(日) 23:02:00.26 ID:idhX1IAg0
―――
――
―
貴明「ふむ……」ズズー
貴明「なるほど」パクッ
はるみ「……」ゴクリッ
貴明「では、こちらも……」ズズー
貴明「ほうほう」カリッ
シルファ「……」ゴクリッ
貴明「なるほどなるほど。……さて」
はるみ「へ?」
シルファ「ぴ?」
――
―
貴明「ふむ……」ズズー
貴明「なるほど」パクッ
はるみ「……」ゴクリッ
貴明「では、こちらも……」ズズー
貴明「ほうほう」カリッ
シルファ「……」ゴクリッ
貴明「なるほどなるほど。……さて」
はるみ「へ?」
シルファ「ぴ?」
96: 2012/09/16(日) 23:05:47.51 ID:idhX1IAg0
タッタッタ
サッサ
ジャー
コトンッ チョロロロロ
カタン
貴明「……」ズズー
貴明「ふぅ……やはり、自分の紅茶が一番ですね」
はるみ・シルファ「ええー!?」
シルファ「そ、そんなれすー!?」
はるみ「おじさま! それはいくらなんでもあんまりです!」
シルファ「そうれす! ご主人様のお茶のお茶っ葉だってただのありふれたお茶っ葉れすし、お茶菓子もありません!」
はるみ「それにそれに! 淹れ方だって(おじさまの)普通の淹れ方じゃない!」
サッサ
ジャー
コトンッ チョロロロロ
カタン
貴明「……」ズズー
貴明「ふぅ……やはり、自分の紅茶が一番ですね」
はるみ・シルファ「ええー!?」
シルファ「そ、そんなれすー!?」
はるみ「おじさま! それはいくらなんでもあんまりです!」
シルファ「そうれす! ご主人様のお茶のお茶っ葉だってただのありふれたお茶っ葉れすし、お茶菓子もありません!」
はるみ「それにそれに! 淹れ方だって(おじさまの)普通の淹れ方じゃない!」
97: 2012/09/16(日) 23:08:26.22 ID:idhX1IAg0
春夏「どれどれ、ちょっと失礼」ズズー
春夏「ふんふん」ズズー
春夏「なるほど。シルファちゃん、はるみちゃん」
シルファ「は、はい」
はるみ「どうしたの?」
春夏「この紅茶、ぬるいわよ?」
はるみ「あっ……」
シルファ「そういえば、淹れてからかなり時間が……」
春夏「ふんふん」ズズー
春夏「なるほど。シルファちゃん、はるみちゃん」
シルファ「は、はい」
はるみ「どうしたの?」
春夏「この紅茶、ぬるいわよ?」
はるみ「あっ……」
シルファ「そういえば、淹れてからかなり時間が……」
98: 2012/09/16(日) 23:15:15.81 ID:idhX1IAg0
春夏「確かに、普通の紅茶と違って、ちゃんとしお茶っ葉だから、香りはとてもいいわ。けれど、せっかくの香りも、ぬるくなっちゃったせいで半減しちゃってる。確かに、冷めた紅茶もおいしいのだけれど……思い出してみて、杉下さんがいつもどんな紅茶を飲んでいるか」
シルファ「ろんな、紅茶?」
はるみ「あ! そういえば、いつも学校でも保温用の水筒で紅茶を持ってきてるし、この前書庫でチェスをしていた時は、水筒もあるのにわざわざお湯を沸かして紅茶を淹れてた!」
貴明「その通り。僕は大の紅茶好きですが、特に好きなのは『淹れたての温かい紅茶』です。あなた方は、紅茶を淹れてからお茶菓子の盛り付けを行ったため、紅茶はぬるくなってしまった。ですから、この『淹れたて』の紅茶が、この勝負の勝者です」
はるみ「うぅ……」
シルファ「や、やってしまったれす」
貴明「紅茶はもてなしのしるし。そしてもてなしとは、何よりもてなす『心』が大事です。その人の好みなどをよく考え、相手に一番合ったもてなしをする。これこそ、最高のおもてなしであり、その心にのっとった紅茶こそ、最高の紅茶だと思いませんか?」
シルファ「ろんな、紅茶?」
はるみ「あ! そういえば、いつも学校でも保温用の水筒で紅茶を持ってきてるし、この前書庫でチェスをしていた時は、水筒もあるのにわざわざお湯を沸かして紅茶を淹れてた!」
貴明「その通り。僕は大の紅茶好きですが、特に好きなのは『淹れたての温かい紅茶』です。あなた方は、紅茶を淹れてからお茶菓子の盛り付けを行ったため、紅茶はぬるくなってしまった。ですから、この『淹れたて』の紅茶が、この勝負の勝者です」
はるみ「うぅ……」
シルファ「や、やってしまったれす」
貴明「紅茶はもてなしのしるし。そしてもてなしとは、何よりもてなす『心』が大事です。その人の好みなどをよく考え、相手に一番合ったもてなしをする。これこそ、最高のおもてなしであり、その心にのっとった紅茶こそ、最高の紅茶だと思いませんか?」
99: 2012/09/16(日) 23:26:35.13 ID:idhX1IAg0
シルファ「そ、そうれす。ご主人様を一番に思ってこそ、メイドロボ。シルファは、そんな根底にある心得を忘れてしまっていたれす」
はるみ「勝負にうつつを抜かして、おまけなはずのお茶菓子に本腰を入れちゃって……こんなんじゃ、紅茶勝負に勝てるはずないよね」
シルファ「れも、シルファ負けないれす! このことを忘れずに、今度はご主人様に最高のもてなしをするのれす!」
はるみ「そうだよ! ダーリンが一番、私のすべてはダーリンだもの! ダーリンのために、ダーリンにすべてをってこよだよね!」
春夏「なんとか丸く収まったようね。一安心ってところかしら」
貴明「いえ。これは彼女たちの素直な向上心が成した結果ですよ」ズズー
はるみ「勝負にうつつを抜かして、おまけなはずのお茶菓子に本腰を入れちゃって……こんなんじゃ、紅茶勝負に勝てるはずないよね」
シルファ「れも、シルファ負けないれす! このことを忘れずに、今度はご主人様に最高のもてなしをするのれす!」
はるみ「そうだよ! ダーリンが一番、私のすべてはダーリンだもの! ダーリンのために、ダーリンにすべてをってこよだよね!」
春夏「なんとか丸く収まったようね。一安心ってところかしら」
貴明「いえ。これは彼女たちの素直な向上心が成した結果ですよ」ズズー
103: 2012/09/17(月) 12:52:59.40 ID:bOkVg5yM0
―――
――
―
貴明「参謀になれ?」
まーりゃん「言ってみれば、スカウト! ミスターのその高い参謀能力と頭脳を評価して、是非『聖☆まーりゃん帝国』建国の一柱になってほしい!」
ささら「そ、そういうことらしいです」
貴明「ふむ……お断りします」
まーりゃん「即答かよ! せめて考えるふりぐらいしてやってもいいじゃんかー」
貴明「大いなる野望はどの時代でもうごめいているもの。ですが、僕はそれらに一切興味がありません」
まーりゃん「かーっ! やっぱり現職の老いぼれ刑事をスカウトは無理だったか」
貴明「そもそも、なぜあなたは世界征服などと、物騒なことをたくらむのですか? 歴史上の独裁者は、皆、志半ばで散っています。もちろん、あなたもそういうことになるでしょう」
――
―
貴明「参謀になれ?」
まーりゃん「言ってみれば、スカウト! ミスターのその高い参謀能力と頭脳を評価して、是非『聖☆まーりゃん帝国』建国の一柱になってほしい!」
ささら「そ、そういうことらしいです」
貴明「ふむ……お断りします」
まーりゃん「即答かよ! せめて考えるふりぐらいしてやってもいいじゃんかー」
貴明「大いなる野望はどの時代でもうごめいているもの。ですが、僕はそれらに一切興味がありません」
まーりゃん「かーっ! やっぱり現職の老いぼれ刑事をスカウトは無理だったか」
貴明「そもそも、なぜあなたは世界征服などと、物騒なことをたくらむのですか? 歴史上の独裁者は、皆、志半ばで散っています。もちろん、あなたもそういうことになるでしょう」
104: 2012/09/17(月) 13:08:11.73 ID:bOkVg5yM0
まーりゃん「ふっふっふ。それこそ浅はかな見識というもの。俺は今までの支配者とは違う! 今までの支配者は時代の流れや世界の常識というものに敗北してきた! しかぁし! 俺はこの世界のすべてを破壊し、世界の中心を俺にする! するとどうだ! 世界そのものが俺にひれ伏し、俺が世界に屈することはなくなる! これぞ究極の支配! 世界の矛盾、世界の不条理を破壊し、俺が望む世界を一から作り直す!」
環「本音は?」
まーりゃん「世界のすべてのおにゃのこを、俺だけのものにし、俺が望む究極のハーレムをつくりだすのだ! もちろん、たかりゃんもそのメンバーの一員だぞ☆ それに、今のうちにたかりゃんの体を思いのままにしておけば、もとのたかりゃんになった時に、色々と便利だからな!」
ささら「あ、あの、私は……」
まーりゃん「安心したまへ。さーりゃんとたかりゃんには特等席を準備してあるからな」
ささら「……ポッ」
環「はぁ……久寿川さんもすっかり毒されてしまったわね」
雄二「いやぁ、百合ってのも、なかなかのもんだと思いませんか? 杉下さん」
貴明「僕に同意を求められても困るのですが」
環「本音は?」
まーりゃん「世界のすべてのおにゃのこを、俺だけのものにし、俺が望む究極のハーレムをつくりだすのだ! もちろん、たかりゃんもそのメンバーの一員だぞ☆ それに、今のうちにたかりゃんの体を思いのままにしておけば、もとのたかりゃんになった時に、色々と便利だからな!」
ささら「あ、あの、私は……」
まーりゃん「安心したまへ。さーりゃんとたかりゃんには特等席を準備してあるからな」
ささら「……ポッ」
環「はぁ……久寿川さんもすっかり毒されてしまったわね」
雄二「いやぁ、百合ってのも、なかなかのもんだと思いませんか? 杉下さん」
貴明「僕に同意を求められても困るのですが」
105: 2012/09/17(月) 13:14:16.60 ID:bOkVg5yM0
環「それじゃ先輩、そろそろ生徒会会議を始めたいので、いい加減生徒会室の机を占拠するのはやめてもらえませんか?」
まーりゃん「ちぇー、適当にヤックとかでしてればいいじゃんかー」
環「今回はそうはいきません。なにせ、今期生徒会の最後の会議なんですから」
まーりゃん「いいやい。俺はさーりゃんといちゃいちゃしってからー。さーりゃん、そこの冷蔵庫からシュークリームぷりーず」
ささら「はい、お茶も淹れてきますね」
タッタッタ
環「だから生徒会室の電源を勝手に……はぁ。とにかく、やっと始められそうね」
まーりゃん「ちぇー、適当にヤックとかでしてればいいじゃんかー」
環「今回はそうはいきません。なにせ、今期生徒会の最後の会議なんですから」
まーりゃん「いいやい。俺はさーりゃんといちゃいちゃしってからー。さーりゃん、そこの冷蔵庫からシュークリームぷりーず」
ささら「はい、お茶も淹れてきますね」
タッタッタ
環「だから生徒会室の電源を勝手に……はぁ。とにかく、やっと始められそうね」
106: 2012/09/17(月) 22:01:00.13 ID:bOkVg5yM0
―――
――
―
環「――以上、会議の一切の終了を宣言します。みんな、お疲れさまでした」
このみ「お疲れ様でしたっ」
雄二「今日でこのメンバーで集まるのも最後とは、少し感慨深いものがあるな」
環「かなり中途半端な時期にから発足された現生徒会だけど、予算問題を抱えるさなか、よくがんばってきたと思うわ。……でも、欲を言うなら、タカ坊もいれば完璧だったのだけれど……」
貴明「申し訳ありません」
環「い、いえ! 決して杉下さんを責めているわけではないのですよ。それに、杉下さんもこんな異常事態に巻き込まれている被害者なわけですし……」
このみ「そういえば、杉下さんが来てからもう一週間になるんだね。こっちの生活には慣れましたか?」
――
―
環「――以上、会議の一切の終了を宣言します。みんな、お疲れさまでした」
このみ「お疲れ様でしたっ」
雄二「今日でこのメンバーで集まるのも最後とは、少し感慨深いものがあるな」
環「かなり中途半端な時期にから発足された現生徒会だけど、予算問題を抱えるさなか、よくがんばってきたと思うわ。……でも、欲を言うなら、タカ坊もいれば完璧だったのだけれど……」
貴明「申し訳ありません」
環「い、いえ! 決して杉下さんを責めているわけではないのですよ。それに、杉下さんもこんな異常事態に巻き込まれている被害者なわけですし……」
このみ「そういえば、杉下さんが来てからもう一週間になるんだね。こっちの生活には慣れましたか?」
107: 2012/09/17(月) 22:07:01.58 ID:bOkVg5yM0
貴明「おかげさまで。これも、みんなの応援あってこそです。ありがとうございます」
雄二「まぁ、こっちもこっちで色々気は遣ってましたけど……実を言うと、こっちも、そこまで違和感なく接していたんですよね」
環「確かに。まったくの別人なはずなのに、みんなと普通に楽しそうに過ごして……もちろん、私もその一人なのですが」
このみ「不思議だよねぇ」
ささら「やはり、おじさまの人格もあると思います」
貴明「そういうものでしょうか?」
環「ええ。こちらも、一緒に過ごして『楽しい』と思えているのですから。とにかく、今までほんとに御苦労さま。今日は『お疲れ様』の気持ちとして、会長代理からみんなに差し入れを持ってきたの。みんなでお茶会なんてどうかしら?」
このみ「あっ! 駅前のケーキ屋さんのプリンだ!」
雄二「まぁ、こっちもこっちで色々気は遣ってましたけど……実を言うと、こっちも、そこまで違和感なく接していたんですよね」
環「確かに。まったくの別人なはずなのに、みんなと普通に楽しそうに過ごして……もちろん、私もその一人なのですが」
このみ「不思議だよねぇ」
ささら「やはり、おじさまの人格もあると思います」
貴明「そういうものでしょうか?」
環「ええ。こちらも、一緒に過ごして『楽しい』と思えているのですから。とにかく、今までほんとに御苦労さま。今日は『お疲れ様』の気持ちとして、会長代理からみんなに差し入れを持ってきたの。みんなでお茶会なんてどうかしら?」
このみ「あっ! 駅前のケーキ屋さんのプリンだ!」
108: 2012/09/17(月) 22:19:12.91 ID:bOkVg5yM0
ささら「駅前のといえば、確か、この前雑誌でも紹介された……」
環「昨日のうちに、売り切れる前の時間を狙って買ったの。ささやかなものだけどね」
このみ「わーい! このみ、お母さんからこれの話を聞いてから、ずっと食べてみたかったんだ!」
環「そう? それならよかったわ」
ささら「実は私も、いつもお世話になっている喫茶店のクッキーを持参したんです。私がいない間、ほんとうによくがんばってもらっていたので……」
環「ありがとうございます」
まーりゃん「ほほほほほ! 実は俺も、みんなに差し入れがあるのぞよ!」
雄二「まーりゃん先輩がですか? どんな風の吹きまわしで?」
環「昨日のうちに、売り切れる前の時間を狙って買ったの。ささやかなものだけどね」
このみ「わーい! このみ、お母さんからこれの話を聞いてから、ずっと食べてみたかったんだ!」
環「そう? それならよかったわ」
ささら「実は私も、いつもお世話になっている喫茶店のクッキーを持参したんです。私がいない間、ほんとうによくがんばってもらっていたので……」
環「ありがとうございます」
まーりゃん「ほほほほほ! 実は俺も、みんなに差し入れがあるのぞよ!」
雄二「まーりゃん先輩がですか? どんな風の吹きまわしで?」
109: 2012/09/17(月) 22:26:14.23 ID:bOkVg5yM0
まーりゃん「かー! 俺がそこまでケチに見えていたとは、失望したぞ、ゆーりゃん! 俺だって、国民に慈悲を与えようという気持ちぐらいあるわい!」
環「先輩からの差し入れはうれしいのですけれど、何を持ってきたんですか?」
まーりゃん「ふふふ、これは数年後、とんでもないプレミアがついていることだろう! ほれーい!」
パサッ パサッ
このみ「こ、これって……」
まーりゃん「俺様直筆サイン入りパンツ☆ もちろん、俺様使用済みだ! ここに証明書もあるぞ」
雄二「お、おお、おおお! し、使用済みパンツとは、さすが先輩! 男のツボがわかっていらっしゃる!」
まーりゃん「伊達に全国の飢えた男子共を相手にしてないってことさね」
このみ「こ、これ、ちょっと布が少ないような……」
まーりゃん「俗に言う『ギリギリTバック』というものだな。モチ、このみんのサイズを熟知し、ちゃんと『浮き出る』サイズにしておいたぞ☆」
環「先輩からの差し入れはうれしいのですけれど、何を持ってきたんですか?」
まーりゃん「ふふふ、これは数年後、とんでもないプレミアがついていることだろう! ほれーい!」
パサッ パサッ
このみ「こ、これって……」
まーりゃん「俺様直筆サイン入りパンツ☆ もちろん、俺様使用済みだ! ここに証明書もあるぞ」
雄二「お、おお、おおお! し、使用済みパンツとは、さすが先輩! 男のツボがわかっていらっしゃる!」
まーりゃん「伊達に全国の飢えた男子共を相手にしてないってことさね」
このみ「こ、これ、ちょっと布が少ないような……」
まーりゃん「俗に言う『ギリギリTバック』というものだな。モチ、このみんのサイズを熟知し、ちゃんと『浮き出る』サイズにしておいたぞ☆」
110: 2012/09/17(月) 22:34:18.53 ID:bOkVg5yM0
環「どこに差し入れでこんなわいせつ物を渡す人がいるんですか! 今すぐ持ち帰って下さい! だいたい、女子だけならともかく、男子もいるこの場所で――」
まーりゃん「この2人に関してはいいじゃない? ゆーりゃんは今更だし、老いぼれ刑事は言葉通り老いぼれで精根枯れ果ててるはずだし」
貴明「ですが、これは見方によってはセクハラです。僕の目が黒いうちは御法度ですよ?」
まーりゃん「なんだよー、硬いこというなっての。硬いのはナニだけで十分だって」
貴明「……なぜこうも、彼女の口からは下品な言葉ばかり発されるのでしょう。ここまでは僕も初めてです」
環「まだおとなしいほうですよ。ひどい時は窓からわたしが捨てちゃってますから」キリッ
貴明「……やはり、『たまき』という名前には、不思議な力でもあるのでしょうかねぇ」
まーりゃん「この2人に関してはいいじゃない? ゆーりゃんは今更だし、老いぼれ刑事は言葉通り老いぼれで精根枯れ果ててるはずだし」
貴明「ですが、これは見方によってはセクハラです。僕の目が黒いうちは御法度ですよ?」
まーりゃん「なんだよー、硬いこというなっての。硬いのはナニだけで十分だって」
貴明「……なぜこうも、彼女の口からは下品な言葉ばかり発されるのでしょう。ここまでは僕も初めてです」
環「まだおとなしいほうですよ。ひどい時は窓からわたしが捨てちゃってますから」キリッ
貴明「……やはり、『たまき』という名前には、不思議な力でもあるのでしょうかねぇ」
112: 2012/09/17(月) 22:52:43.16 ID:bOkVg5yM0
―――
――
―
【歩道】
貴明(秋の風そよぐ、絶好の散歩日和ですねぇ。……おや?)
郁乃「うーん……ふんっ! ……はぁ」
貴明「どうかなさいましたか?」
郁乃「ひゃあっ!? あ、河野貴明――じゃなかったわね」
貴明「お好きな呼び方でどうぞ」
郁乃「うぅ……お、おじさん」
貴明「はい。……それにしても、どうかなさいましたか? 見たところ、何かの事情で困っていらっしゃる」
郁乃「ちょっとね」
――
―
【歩道】
貴明(秋の風そよぐ、絶好の散歩日和ですねぇ。……おや?)
郁乃「うーん……ふんっ! ……はぁ」
貴明「どうかなさいましたか?」
郁乃「ひゃあっ!? あ、河野貴明――じゃなかったわね」
貴明「お好きな呼び方でどうぞ」
郁乃「うぅ……お、おじさん」
貴明「はい。……それにしても、どうかなさいましたか? 見たところ、何かの事情で困っていらっしゃる」
郁乃「ちょっとね」
113: 2012/09/17(月) 22:58:12.97 ID:bOkVg5yM0
貴明「ちょっとと申しますと……おや? なるほど、グレーチングに車輪が挟まってしまっていましたか」
郁乃「困ったことにね。しかもサイズがぴったりだったのか、なかなか抜けない仕様になってる。はぁ、こんなことだったら無理言わずお姉ちゃん連れて行けばよかった」
貴明「ちょっと動かしますよ」
郁乃「へ? うぉっ!?」
貴明「っと」
郁乃「ちょ、ちょっと! 動かすなら動かすって言いなさいよね!」
貴明「すいません、なにぶん、介護資格などというものは持っていないものでして。……今日はどちらまで?」
郁乃「い、いいわよ。一人で行ける――」
貴明「先ほどのような事態が二度も起こらない、とは限らないのでは?」
郁乃「うっ……家まで。道は教えるわ」
貴明「了解いたしました」
郁乃「困ったことにね。しかもサイズがぴったりだったのか、なかなか抜けない仕様になってる。はぁ、こんなことだったら無理言わずお姉ちゃん連れて行けばよかった」
貴明「ちょっと動かしますよ」
郁乃「へ? うぉっ!?」
貴明「っと」
郁乃「ちょ、ちょっと! 動かすなら動かすって言いなさいよね!」
貴明「すいません、なにぶん、介護資格などというものは持っていないものでして。……今日はどちらまで?」
郁乃「い、いいわよ。一人で行ける――」
貴明「先ほどのような事態が二度も起こらない、とは限らないのでは?」
郁乃「うっ……家まで。道は教えるわ」
貴明「了解いたしました」
114: 2012/09/17(月) 23:05:04.99 ID:bOkVg5yM0
郁乃「ねぇ、おじさん、介護の資格なんてないって言ったよね?」
貴明「ええ」
郁乃「それにしては、妙に車いすの扱い方を知っているような……」
貴明「何、知識の一片として覚えていただけのことです」
郁乃「ふーん。知識人?」
貴明「さぁ。ある人は博識と言いますが、またある人は『無駄な知識人』とも言います」
郁乃「でも、現職の警部なんでしょ? それなりのエリートなんじゃないの? 大学は?」
貴明「東京大学の法学部に。現在の部署に入る前は、捜査二課の方で身を置いていました」
郁乃「東京大学……典型的なエリートだったわけか」
貴明「大学ですべてが決まるわけではありません。実際、現在は特命係……人材の墓場と言われる部署のたった一人身を置いてるわけですしね」
貴明「ええ」
郁乃「それにしては、妙に車いすの扱い方を知っているような……」
貴明「何、知識の一片として覚えていただけのことです」
郁乃「ふーん。知識人?」
貴明「さぁ。ある人は博識と言いますが、またある人は『無駄な知識人』とも言います」
郁乃「でも、現職の警部なんでしょ? それなりのエリートなんじゃないの? 大学は?」
貴明「東京大学の法学部に。現在の部署に入る前は、捜査二課の方で身を置いていました」
郁乃「東京大学……典型的なエリートだったわけか」
貴明「大学ですべてが決まるわけではありません。実際、現在は特命係……人材の墓場と言われる部署のたった一人身を置いてるわけですしね」
115: 2012/09/17(月) 23:12:01.65 ID:bOkVg5yM0
郁乃「何か問題でも起こしたの? たとえば、大きな事件でミスをした、とか」
貴明「実を言うと、かなりの数問題は起こしているのですよ。一時は、免職されかかった時もあります。ですが……やはり、僕が『警察』という組織のピースには向いていないのが、一番大きいですかねぇ」
郁乃「周りに煙たがられているとか?」
貴明「それもあります。何より、僕みたいな『独断行動大好き人間』は、組織にとっては邪魔以外の何物でもないのですよ。警察のような、秩序正しい『集団行動』を望む組織においては、特にね」
郁乃「あー……なんとなく、おじさんの人物像が見えてきた気がするわ」
貴明「おそらく、そのイメージで結構だと思います」
貴明「実を言うと、かなりの数問題は起こしているのですよ。一時は、免職されかかった時もあります。ですが……やはり、僕が『警察』という組織のピースには向いていないのが、一番大きいですかねぇ」
郁乃「周りに煙たがられているとか?」
貴明「それもあります。何より、僕みたいな『独断行動大好き人間』は、組織にとっては邪魔以外の何物でもないのですよ。警察のような、秩序正しい『集団行動』を望む組織においては、特にね」
郁乃「あー……なんとなく、おじさんの人物像が見えてきた気がするわ」
貴明「おそらく、そのイメージで結構だと思います」
116: 2012/09/17(月) 23:16:21.31 ID:bOkVg5yM0
郁乃「じゃあ……案外、おじさんと私、似た者同士なのかも」ボソッ
貴明「そうですかねぇ?」
郁乃「……聞こえてた?」
貴明「すいません。気にしなくていいことまで気にしてしまうのは、僕の悪い癖で」
郁乃「そう。……あたし、見ての通りでしょ? だから、いくら誰もが『きれいごと』を重ねても、あたしは荷物なの。こればっかりはどうしようもない現実」
貴明「……」
郁乃「『警察』から煙たがられているおじさん。『社会』から煙たがられているあたし。全部の障害者が荷物になっているわけじゃない。同じ土俵に立っているように見える人でも、車いすでバスケットボールをして、そのまま世界に旅立つ人もいる」
貴明「パラリンピックですね」
貴明「そうですかねぇ?」
郁乃「……聞こえてた?」
貴明「すいません。気にしなくていいことまで気にしてしまうのは、僕の悪い癖で」
郁乃「そう。……あたし、見ての通りでしょ? だから、いくら誰もが『きれいごと』を重ねても、あたしは荷物なの。こればっかりはどうしようもない現実」
貴明「……」
郁乃「『警察』から煙たがられているおじさん。『社会』から煙たがられているあたし。全部の障害者が荷物になっているわけじゃない。同じ土俵に立っているように見える人でも、車いすでバスケットボールをして、そのまま世界に旅立つ人もいる」
貴明「パラリンピックですね」
118: 2012/09/17(月) 23:24:06.76 ID:bOkVg5yM0
郁乃「こんなこと、誰よりあたしが一番考えちゃいけないことだってわかってる。けれど……そばに、いつも笑顔であたしを『支える』人がいると、思っちゃうのよ。『ああ、あたし今、負担になってるな』ってね」
貴明「……」
郁乃「独り言おしまい。……はぁ、なんでこんなに本音をぶちまけちゃったんだろう。あたしにしては珍しすぎるわ」
貴明「……確かに、時に、あなたの存在は誰かの『負担』になることはあるでしょう」
郁乃「ズバリ言うのね。でも、そういうところ、嫌いじゃないわ」
貴明「それはどうも。……ですが、それは普通の人間でも同じですよ」
郁乃「まぁ、確かに、誰かの存在が誰かの負担になることは、あたりまえだけれども……」
貴明「あなたの存在は、一層と負担が強い」
郁乃「そう。なにせ、こうして外に出たりすることでも、さっきみたいに無駄な手間をかけさせる。普通の行動が、あたしにとってはなにもかも『大変』になる」
貴明「……」
郁乃「独り言おしまい。……はぁ、なんでこんなに本音をぶちまけちゃったんだろう。あたしにしては珍しすぎるわ」
貴明「……確かに、時に、あなたの存在は誰かの『負担』になることはあるでしょう」
郁乃「ズバリ言うのね。でも、そういうところ、嫌いじゃないわ」
貴明「それはどうも。……ですが、それは普通の人間でも同じですよ」
郁乃「まぁ、確かに、誰かの存在が誰かの負担になることは、あたりまえだけれども……」
貴明「あなたの存在は、一層と負担が強い」
郁乃「そう。なにせ、こうして外に出たりすることでも、さっきみたいに無駄な手間をかけさせる。普通の行動が、あたしにとってはなにもかも『大変』になる」
119: 2012/09/17(月) 23:43:54.06 ID:bOkVg5yM0
貴明「ええ。……それで?」
郁乃「え……?」
貴明「あなたは、それを踏まえて、どうしていきたいのですか? 負担になっていることを悟りながら、体たらくに生き続けるのですか?」
郁乃「そ、そんなつもりはっ――」
貴明「でしょうねぇ。あなたは優しい。特に、あなたのお姉さんには特に」
郁乃「うっ……」
貴明「……周りへ恩返ししたい、と申すのなら……胸を張って、生きるしかないんじゃないでしょうかねぇ」
郁乃「胸を張って……」
貴明「パラリンピックの出場選手だってそうです。彼らは、誰にも胸を張れる頑張りを見せている。それも、普通の人よりも輝いている。あなたがいう『障害者』でも、誰よりも眩しく輝いている」
郁乃「……」
貴明「でしたら、あなたも輝いてみてはいかがでしょう? あなただけのやり方でね」
郁乃「え……?」
貴明「あなたは、それを踏まえて、どうしていきたいのですか? 負担になっていることを悟りながら、体たらくに生き続けるのですか?」
郁乃「そ、そんなつもりはっ――」
貴明「でしょうねぇ。あなたは優しい。特に、あなたのお姉さんには特に」
郁乃「うっ……」
貴明「……周りへ恩返ししたい、と申すのなら……胸を張って、生きるしかないんじゃないでしょうかねぇ」
郁乃「胸を張って……」
貴明「パラリンピックの出場選手だってそうです。彼らは、誰にも胸を張れる頑張りを見せている。それも、普通の人よりも輝いている。あなたがいう『障害者』でも、誰よりも眩しく輝いている」
郁乃「……」
貴明「でしたら、あなたも輝いてみてはいかがでしょう? あなただけのやり方でね」
120: 2012/09/17(月) 23:52:36.02 ID:bOkVg5yM0
郁乃「……結局は理想論ね。そんなの、言われて出来ればここまで悩んでないっての」
貴明「そう言われてしまうと、こちらも何も言えなくなってしまいます」
郁乃「……けれども、まぁ、『参考』にはするわ。ありがとう」
貴明「いえいえ、年寄りが、つまらない説法をしただけです」
郁乃「自分で年寄りなんて言ったらおしまいじゃない? っと、ここまででいいわ」
貴明「よろしいのですか?」
郁乃「すぐそこだし、それに……家の前でお姉ちゃんがスタンバイしてるはずだから、出会っちゃうと果てしないお礼攻めにあうと思うわよ」
貴明「なるほど。では、僕はこれで。次回から外出なさる時は、お供を連れ添ったほうがいいですよ?」
郁乃「はいはい、考えておくわ……それじゃ」
貴明「それでは」
貴明「そう言われてしまうと、こちらも何も言えなくなってしまいます」
郁乃「……けれども、まぁ、『参考』にはするわ。ありがとう」
貴明「いえいえ、年寄りが、つまらない説法をしただけです」
郁乃「自分で年寄りなんて言ったらおしまいじゃない? っと、ここまででいいわ」
貴明「よろしいのですか?」
郁乃「すぐそこだし、それに……家の前でお姉ちゃんがスタンバイしてるはずだから、出会っちゃうと果てしないお礼攻めにあうと思うわよ」
貴明「なるほど。では、僕はこれで。次回から外出なさる時は、お供を連れ添ったほうがいいですよ?」
郁乃「はいはい、考えておくわ……それじゃ」
貴明「それでは」
124: 2012/09/20(木) 22:14:00.94 ID:/o+aOYq20
―――
――
―
【河野家】
prrrrr……
ガチャッ
……タッタッタ
シルファ「おじさまー」
貴明「はい?」
シルファ「えと、さんさんから電話なのれす」
貴明「さんさん……なるほど、珊瑚さんですか。わかりました」
タッタッタ
貴明「もしもし」
珊瑚≪おじさん、おはよーさんやー≫
貴明「おはようございます。今日はどうなされましたか?」
――
―
【河野家】
prrrrr……
ガチャッ
……タッタッタ
シルファ「おじさまー」
貴明「はい?」
シルファ「えと、さんさんから電話なのれす」
貴明「さんさん……なるほど、珊瑚さんですか。わかりました」
タッタッタ
貴明「もしもし」
珊瑚≪おじさん、おはよーさんやー≫
貴明「おはようございます。今日はどうなされましたか?」
125: 2012/09/20(木) 22:35:29.02 ID:/o+aOYq20
珊瑚≪うん。そっちに、るりちゃんといっちゃん来てない?≫
貴明「瑠璃さんとイルファさんですか……いえ、家にも来ていなければ、あってもいませんが……」
珊瑚≪そっかー。どこに行ったんやろ……≫
貴明「どうかなさったのですか?」
珊瑚≪それがなー。今、ウチ、来栖川の研究所で昨日から寝泊りしてんやけど、るりちゃん達と連絡がつかへんのよー≫
貴明「連絡がつかない?」
珊瑚≪せや。家の電話も反応なしなのはまだええ。でも、イルファの方にも連絡がつかへんのはおかしいんよー。イルファには衛星電話機能が搭載されてて、あっちが着信拒否しない限り、連絡がつかんということもありえへん。けれど、いっちゃんも音沙汰なし、しかもいっちゃん、GPSも切ってるらしくて、現在位置もさっぱりやー≫
貴明「…………自宅に行ってみてもよろしでしょうか?」
珊瑚≪様子見てきてくれるん?≫
貴明「ええ、僕も、少し心配ですから」
珊瑚≪ありがとさんやー。ウチもそれを頼もうと思ってな。一応、遠隔解錠で家のカギ開けとくな。万が一……ってのもありえるやさかい≫
貴明「瑠璃さんとイルファさんですか……いえ、家にも来ていなければ、あってもいませんが……」
珊瑚≪そっかー。どこに行ったんやろ……≫
貴明「どうかなさったのですか?」
珊瑚≪それがなー。今、ウチ、来栖川の研究所で昨日から寝泊りしてんやけど、るりちゃん達と連絡がつかへんのよー≫
貴明「連絡がつかない?」
珊瑚≪せや。家の電話も反応なしなのはまだええ。でも、イルファの方にも連絡がつかへんのはおかしいんよー。イルファには衛星電話機能が搭載されてて、あっちが着信拒否しない限り、連絡がつかんということもありえへん。けれど、いっちゃんも音沙汰なし、しかもいっちゃん、GPSも切ってるらしくて、現在位置もさっぱりやー≫
貴明「…………自宅に行ってみてもよろしでしょうか?」
珊瑚≪様子見てきてくれるん?≫
貴明「ええ、僕も、少し心配ですから」
珊瑚≪ありがとさんやー。ウチもそれを頼もうと思ってな。一応、遠隔解錠で家のカギ開けとくな。万が一……ってのもありえるやさかい≫
127: 2012/09/20(木) 22:43:11.37 ID:/o+aOYq20
―――
――
―
シルファ「それで、なんでシルファを連れてきたのれすか? 確かに、心配なのはシルファも同じれすけど……」
貴明「『万が一』というのもありえますので……本当ははるみさんも同行してほしかったのですが、珊瑚さんと一緒で行動できないのでしたら仕方ありません」
シルファ「万が一……監禁っ!?」
貴明「役職上、こういった事態に対して念を押したくなるのは性です。聞けば、あなた方姉妹は運動性能にも長けているとか。人間以上に頼もしい戦力があれば、と思いましてね」
シルファ「なるほろ……」
貴明「では……」
ピンポーン
トントン
貴明「瑠璃さん? イルファさん?」
シルファ「いるいるー! るりるりー!」
――
―
シルファ「それで、なんでシルファを連れてきたのれすか? 確かに、心配なのはシルファも同じれすけど……」
貴明「『万が一』というのもありえますので……本当ははるみさんも同行してほしかったのですが、珊瑚さんと一緒で行動できないのでしたら仕方ありません」
シルファ「万が一……監禁っ!?」
貴明「役職上、こういった事態に対して念を押したくなるのは性です。聞けば、あなた方姉妹は運動性能にも長けているとか。人間以上に頼もしい戦力があれば、と思いましてね」
シルファ「なるほろ……」
貴明「では……」
ピンポーン
トントン
貴明「瑠璃さん? イルファさん?」
シルファ「いるいるー! るりるりー!」
128: 2012/09/20(木) 22:47:55.85 ID:/o+aOYq20
貴明「……案の定、反応なしですか」
ガチャッ
貴明「もしもし、いらっしゃるのでしたら、返事をお願いします」
シーン……
シルファ「不気味なぐらい静かれす……」
貴明「失礼します」
シルファ「入っちゃうれすよー!」
タッタッタ ガチャ
貴明「……リビングにも人影はなし。シルファさん、他の部屋を巡回してください」
シルファ「もうしてるれす」
ガチャッ
貴明「もしもし、いらっしゃるのでしたら、返事をお願いします」
シーン……
シルファ「不気味なぐらい静かれす……」
貴明「失礼します」
シルファ「入っちゃうれすよー!」
タッタッタ ガチャ
貴明「……リビングにも人影はなし。シルファさん、他の部屋を巡回してください」
シルファ「もうしてるれす」
129: 2012/09/20(木) 23:03:54.56 ID:/o+aOYq20
―――
――
―
シルファ「どこにもいないれす。試しに通信してみても、いるいるにはまったくつながらないれす」
貴明「音信不通……そして、誰もいない家」
シルファ「靴はなかったのれす。外に出たのは間違いないれすけど……」
貴明「あまりにも音信不通がすぎる」
シルファ「ま、まさか、誘拐れす!?」
貴明「……シルファさん」
シルファ「は、はいれす!」
貴明「珊瑚さんに連絡して、このマンションの監視カメラをチェックしてもらってください。出来れば、周辺の地域のカメラも。僕は、知り合いのみなさんに連絡して、目撃情報がないかを確認します」
シルファ「りょ、了解れすっ!」
――
―
シルファ「どこにもいないれす。試しに通信してみても、いるいるにはまったくつながらないれす」
貴明「音信不通……そして、誰もいない家」
シルファ「靴はなかったのれす。外に出たのは間違いないれすけど……」
貴明「あまりにも音信不通がすぎる」
シルファ「ま、まさか、誘拐れす!?」
貴明「……シルファさん」
シルファ「は、はいれす!」
貴明「珊瑚さんに連絡して、このマンションの監視カメラをチェックしてもらってください。出来れば、周辺の地域のカメラも。僕は、知り合いのみなさんに連絡して、目撃情報がないかを確認します」
シルファ「りょ、了解れすっ!」
133: 2012/09/21(金) 22:10:31.33 ID:f9/36Cx40
―――
――
―
環「確かに、あまりにも音信不通がすぎる。明日の朝まで帰ってこない場合は、捜索願を出すことも考えた方がいいかもしれないわ」
シルファ「その点に関しては御心配なく。すでに来栖川が捜査網を張って、警察以上に奮闘している途中れす。イルイルのGPSが途絶えたらけれも、かなり非常事態れすから」
雄二「うーん、じゃあもう心配することはないんじゃないか? 仮に誘拐されていたんだとしても、ただの高校生である俺達に出来ることはないと思うぜ」
環「そうね。大人が動いているのですから。私たちで分担して目撃情報探してみたけど、情報はなしだったし」
このみ「でも、おじさんは現役の警部さんなんでしょ? 独自に調査、とかドラマみたいなことは出来ないの?」
貴明「現在の僕は、残念ながらただの高校生ですから。警察としての権利が行使できない以上、ここは静観を決め込むしかなさそうです」
このみ「そっかー。刑事ドラマみたいなこと出来ると思ったんだけど……」
環「気持ちは分からなくもないけど、事態は大きくならないのが一番よ。まぁ、充分大きな事態になっているとは思うのだけれど」
シルファ「でも、今回はどうもおかしいのれす」
――
―
環「確かに、あまりにも音信不通がすぎる。明日の朝まで帰ってこない場合は、捜索願を出すことも考えた方がいいかもしれないわ」
シルファ「その点に関しては御心配なく。すでに来栖川が捜査網を張って、警察以上に奮闘している途中れす。イルイルのGPSが途絶えたらけれも、かなり非常事態れすから」
雄二「うーん、じゃあもう心配することはないんじゃないか? 仮に誘拐されていたんだとしても、ただの高校生である俺達に出来ることはないと思うぜ」
環「そうね。大人が動いているのですから。私たちで分担して目撃情報探してみたけど、情報はなしだったし」
このみ「でも、おじさんは現役の警部さんなんでしょ? 独自に調査、とかドラマみたいなことは出来ないの?」
貴明「現在の僕は、残念ながらただの高校生ですから。警察としての権利が行使できない以上、ここは静観を決め込むしかなさそうです」
このみ「そっかー。刑事ドラマみたいなこと出来ると思ったんだけど……」
環「気持ちは分からなくもないけど、事態は大きくならないのが一番よ。まぁ、充分大きな事態になっているとは思うのだけれど」
シルファ「でも、今回はどうもおかしいのれす」
134: 2012/09/21(金) 22:26:02.94 ID:f9/36Cx40
雄二「おかしい? まぁ、そりゃあここまで連絡がつかないのはおかしいけどよ……」
貴明「イルファさんも音信不通であることが、どうもおかしい」
シルファ「そうれすよ。さっきも言った通り、GPSや衛星電話機能が反応なしっていうのは、かなりの非常事態なんれす。シルファ達は常に来栖川によってトレースされてて、かつイルイルの場合はるりるり及びさんさんの護衛も兼任しているのれす」
貴明「珊瑚さんからは話はいくつか聞いていました。イルファさんは『SPロボ』発明への第一歩として、高性能レーダーと高い護衛性能を搭載しているとか。そして、仮に瑠璃さんが危険な目に会っている場合、イルファさんから『SOSサイン』が届けられるはずなのですが……」
環「SOSサイン?」
シルファ「言葉通りなのれす。GPS、衛星通信機能がいかれても、体内コンピュータから直接デ(レ)ータベースに送信される『SOS信号』、つまり護衛対象者の危険を知らせる信号は、たとえ物理的に遮断(しゃらん)されようとも、MIB最先端のジャミング影響下れも、絶対的に送信されるれす。けれろも――」
貴明「それがない。となりますと、そういった事態に遭遇していない、という可能性が強まるのですが……」
環「それなら、一応安心は出来るってことになるのかな? とにかく、今は珊瑚さんの報告を待ちましょう」
貴明「イルファさんも音信不通であることが、どうもおかしい」
シルファ「そうれすよ。さっきも言った通り、GPSや衛星電話機能が反応なしっていうのは、かなりの非常事態なんれす。シルファ達は常に来栖川によってトレースされてて、かつイルイルの場合はるりるり及びさんさんの護衛も兼任しているのれす」
貴明「珊瑚さんからは話はいくつか聞いていました。イルファさんは『SPロボ』発明への第一歩として、高性能レーダーと高い護衛性能を搭載しているとか。そして、仮に瑠璃さんが危険な目に会っている場合、イルファさんから『SOSサイン』が届けられるはずなのですが……」
環「SOSサイン?」
シルファ「言葉通りなのれす。GPS、衛星通信機能がいかれても、体内コンピュータから直接デ(レ)ータベースに送信される『SOS信号』、つまり護衛対象者の危険を知らせる信号は、たとえ物理的に遮断(しゃらん)されようとも、MIB最先端のジャミング影響下れも、絶対的に送信されるれす。けれろも――」
貴明「それがない。となりますと、そういった事態に遭遇していない、という可能性が強まるのですが……」
環「それなら、一応安心は出来るってことになるのかな? とにかく、今は珊瑚さんの報告を待ちましょう」
135: 2012/09/21(金) 23:55:08.50 ID:f9/36Cx40
春夏「えと、腕を引っ張った後は……」
貴明「平衡感覚をなくし、相手の拘束を解いてください。女性が最優先すべき行動は『逃げる』ことですから」
このみ「なるほどー」
環「ところで、このみとおばさまは先ほどから何を?」
春夏「ええ、ちょっとした護身術をね。杉下さんから教えてもらっていたの」
雄二「へぇ、なんでまたいきなり? それにこのみまで」
このみ「それがね、ここ最近、このあたりで不審者が目撃されたらしくて……それのせいで、お父さんが私とお母さんのことすごく心配しちゃって」
春夏「お仕事中でも、隙を見つけて電話するようにもなってね。ラブコールはうれしいのだけれど、さすがに安否確認で時間を取らせるのも悪いでしょ? だから、現職の警部さん直伝の護身術を身につければ、あの人も安心させてあげられるかなーってね」
シルファ「なんらか、さっきまでの話もあって、殊勝な心がけれすね」
貴明「ちょうどいい。雄二さん、協力していただければ幸いなのですが……」
雄二「協力?」
貴明「平衡感覚をなくし、相手の拘束を解いてください。女性が最優先すべき行動は『逃げる』ことですから」
このみ「なるほどー」
環「ところで、このみとおばさまは先ほどから何を?」
春夏「ええ、ちょっとした護身術をね。杉下さんから教えてもらっていたの」
雄二「へぇ、なんでまたいきなり? それにこのみまで」
このみ「それがね、ここ最近、このあたりで不審者が目撃されたらしくて……それのせいで、お父さんが私とお母さんのことすごく心配しちゃって」
春夏「お仕事中でも、隙を見つけて電話するようにもなってね。ラブコールはうれしいのだけれど、さすがに安否確認で時間を取らせるのも悪いでしょ? だから、現職の警部さん直伝の護身術を身につければ、あの人も安心させてあげられるかなーってね」
シルファ「なんらか、さっきまでの話もあって、殊勝な心がけれすね」
貴明「ちょうどいい。雄二さん、協力していただければ幸いなのですが……」
雄二「協力?」
136: 2012/09/21(金) 23:58:22.70 ID:f9/36Cx40
―――
――
―
春夏「腕を引っ張って、髪を左右に振り回して、えいっ!」
雄二「へぶぅ!?」
―――
――
―
このみ「鼻にひじ打ち!」
雄二「おごっ!?」
このみ「右足を後退させて、右ひざ蹴りでどーん!」
雄二「うぼぁっ!?」
このみ「最後に倒れこむように体重をかけて、ひじで鳩尾に……せいやっ!」
雄二「!!?」
――
―
春夏「腕を引っ張って、髪を左右に振り回して、えいっ!」
雄二「へぶぅ!?」
―――
――
―
このみ「鼻にひじ打ち!」
雄二「おごっ!?」
このみ「右足を後退させて、右ひざ蹴りでどーん!」
雄二「うぼぁっ!?」
このみ「最後に倒れこむように体重をかけて、ひじで鳩尾に……せいやっ!」
雄二「!!?」
137: 2012/09/22(土) 00:02:40.71 ID:ULya0Q500
―――
――
―
春香・このみ「ありがとうございました!」
貴明「どういたしまして。いやはや、お二人とも飲みこみが早くて関心しました。ですが、今日教えたことを過信せず、何より安全第一で」
春夏「はーい」
このみ「で、でも……大丈夫かなぁ」
雄二「……俺の体は……ボロボロだ……」
環「しゃきっとなさい。クレー射撃で的にされたわけじゃないんだから」
雄二「いやぁ、あれは、頃しにかかってたぜ、絶対……」
このみ「あ、あはは……ごめんね、加減がどうもつかめなくて」
――
―
春香・このみ「ありがとうございました!」
貴明「どういたしまして。いやはや、お二人とも飲みこみが早くて関心しました。ですが、今日教えたことを過信せず、何より安全第一で」
春夏「はーい」
このみ「で、でも……大丈夫かなぁ」
雄二「……俺の体は……ボロボロだ……」
環「しゃきっとなさい。クレー射撃で的にされたわけじゃないんだから」
雄二「いやぁ、あれは、頃しにかかってたぜ、絶対……」
このみ「あ、あはは……ごめんね、加減がどうもつかめなくて」
142: 2012/09/22(土) 13:40:43.27 ID:ULya0Q500
―――
――
―
【教室】
貴明「ふむ……帰ってきませんでしたか」
珊瑚「来栖川の人達が探してくれたけど、さっぱりやってん。ウチ、心配や……」
はるみ「ま、まだ事件に巻き込まれたって決まったわけじゃないんだし! それに、お姉ちゃんが一緒にいるなら大丈夫だって、うん!」
雄二「そ、そうだって。珊瑚ちゃんまでしょんぼりしてたら、他の人も心配しちゃうから、ね?」
珊瑚「せやけども……」
「……あれ? いないや」
貴明「おや? 郁乃さんではないですか」
郁乃「あ、どうも」
雄二「二年生のところまでわざわざ来たってことは、委員長に用?」
――
―
【教室】
貴明「ふむ……帰ってきませんでしたか」
珊瑚「来栖川の人達が探してくれたけど、さっぱりやってん。ウチ、心配や……」
はるみ「ま、まだ事件に巻き込まれたって決まったわけじゃないんだし! それに、お姉ちゃんが一緒にいるなら大丈夫だって、うん!」
雄二「そ、そうだって。珊瑚ちゃんまでしょんぼりしてたら、他の人も心配しちゃうから、ね?」
珊瑚「せやけども……」
「……あれ? いないや」
貴明「おや? 郁乃さんではないですか」
郁乃「あ、どうも」
雄二「二年生のところまでわざわざ来たってことは、委員長に用?」
143: 2012/09/22(土) 13:45:45.91 ID:ULya0Q500
郁乃「一応そうだったんだけど……おじさん、お姉ちゃんと一緒じゃなかったの?」
貴明「ん? それはどういうことでしょうか?」
郁乃「お姉ちゃん、昨日、おじさんの家に行ったはずなんだけど……あれ? 知らないの?」
貴明「……どういうことでしょうか?」
郁乃「だからね。お姉ちゃん、昨日『杉下さんにシフォンケーキを持って行くんだ』って、置手紙に書いてあって。夜にもなって帰ってきてないから、てっきり泊まったのかと……」
貴明「……それ以前に、昨日は愛佳さんと会っていないはずなのですが……」
郁乃「え……? で、でも、朝になっても帰ってこなかったし……え?」
雄二「お、おいおい。いくらなんでも、今の状況じゃ冗談にならねぇって」
貴明「ん? それはどういうことでしょうか?」
郁乃「お姉ちゃん、昨日、おじさんの家に行ったはずなんだけど……あれ? 知らないの?」
貴明「……どういうことでしょうか?」
郁乃「だからね。お姉ちゃん、昨日『杉下さんにシフォンケーキを持って行くんだ』って、置手紙に書いてあって。夜にもなって帰ってきてないから、てっきり泊まったのかと……」
貴明「……それ以前に、昨日は愛佳さんと会っていないはずなのですが……」
郁乃「え……? で、でも、朝になっても帰ってこなかったし……え?」
雄二「お、おいおい。いくらなんでも、今の状況じゃ冗談にならねぇって」
145: 2012/09/22(土) 14:36:58.37 ID:ULya0Q500
―――
――
―
【屋上】
環「それ、本当? 愛佳さんが失踪したって!」
貴明「可能性は高いでしょう。昨日は愛佳さんの友人も愛佳さんに会っていない」
由真「もちろん、あたしもね」
貴明「姿を消し、どこに行ったかも知れない愛佳さん……状況から分析するに、『そういった可能性』が高い。先ほど警察の方に連絡しましたが、小牧愛佳さんが事故・事件に巻き込まれた、という報告は『今のところ』ないようです」
環「逆に考えるなら、本当に失踪してしまったということか……彼女の性格上、誰にも告げず遠くに行ったり、滞在したりはしないでしょうし。杉下さん、『警部』として、あなたはどういった了見で?」
貴明「最初に考えましたのは、瑠璃さんイルファさんの失踪との関係性です。時期が重なっている以上、関係性を疑うのも変ではない。しかし、確定ではない。決定的なつながりを見いだせない」
このみ「ちょっと、怖いかも……」
環「気持ちはわかるわ。なにせ知り合いが立て続けに姿を消しているもの」
貴明「今は、警戒を怠らないのが懸命でしょう」
――
―
【屋上】
環「それ、本当? 愛佳さんが失踪したって!」
貴明「可能性は高いでしょう。昨日は愛佳さんの友人も愛佳さんに会っていない」
由真「もちろん、あたしもね」
貴明「姿を消し、どこに行ったかも知れない愛佳さん……状況から分析するに、『そういった可能性』が高い。先ほど警察の方に連絡しましたが、小牧愛佳さんが事故・事件に巻き込まれた、という報告は『今のところ』ないようです」
環「逆に考えるなら、本当に失踪してしまったということか……彼女の性格上、誰にも告げず遠くに行ったり、滞在したりはしないでしょうし。杉下さん、『警部』として、あなたはどういった了見で?」
貴明「最初に考えましたのは、瑠璃さんイルファさんの失踪との関係性です。時期が重なっている以上、関係性を疑うのも変ではない。しかし、確定ではない。決定的なつながりを見いだせない」
このみ「ちょっと、怖いかも……」
環「気持ちはわかるわ。なにせ知り合いが立て続けに姿を消しているもの」
貴明「今は、警戒を怠らないのが懸命でしょう」
146: 2012/09/22(土) 17:29:16.98 ID:ULya0Q500
―――
――
―
【教室】
雄二「それにしても、委員長まで失踪するとは……世の中わからんもんだなー」
由真「でも、愛佳かなりトロいから、仮に誘拐されたとしたら、ある意味納得というかなんというか。……でも、やっぱ心配よ。なんとかできないの? 警察官」
貴明「こればっかりは、ですが……大体の目測は固まりつつあります」
雄二「ほんとっすか!?」
貴明「ただし、この二件が関連しているならば、ですが…………ん?」
由真「? どうしたのよ、時計に向かってしかめっ面なんかして」
雄二「そういえば、とっくに放課後なんだよな……あれ?」
貴明「気がついたでしょうか」
――
―
【教室】
雄二「それにしても、委員長まで失踪するとは……世の中わからんもんだなー」
由真「でも、愛佳かなりトロいから、仮に誘拐されたとしたら、ある意味納得というかなんというか。……でも、やっぱ心配よ。なんとかできないの? 警察官」
貴明「こればっかりは、ですが……大体の目測は固まりつつあります」
雄二「ほんとっすか!?」
貴明「ただし、この二件が関連しているならば、ですが…………ん?」
由真「? どうしたのよ、時計に向かってしかめっ面なんかして」
雄二「そういえば、とっくに放課後なんだよな……あれ?」
貴明「気がついたでしょうか」
147: 2012/09/22(土) 17:41:33.84 ID:ULya0Q500
雄二「とっくに下校時刻すぎてるじゃねぇか。あれ? でも、羽根崎さんの放送流れてないような」
由真「そういえば、いつもやってるあれ、流れてないわよね。昼は流れてたはずなんだけど……」
貴明「SHRを終えた後、彼女は放送室へと向かったはず」
雄二「それは俺が確認してるぜ。なにせ、ファンクラブのリーダーだからな!」
由真「……まさか、ね。学校だよ? 学校の中で消えるなんて……ねぇ?」
雄二「でも、状況が状況だ。ちょっと心配ではある、かも」
貴明「……軽く様子を見に行きましょう。ついでに、一緒に寄り道でもしましょうか」
由真「そういえば、いつもやってるあれ、流れてないわよね。昼は流れてたはずなんだけど……」
貴明「SHRを終えた後、彼女は放送室へと向かったはず」
雄二「それは俺が確認してるぜ。なにせ、ファンクラブのリーダーだからな!」
由真「……まさか、ね。学校だよ? 学校の中で消えるなんて……ねぇ?」
雄二「でも、状況が状況だ。ちょっと心配ではある、かも」
貴明「……軽く様子を見に行きましょう。ついでに、一緒に寄り道でもしましょうか」
149: 2012/09/22(土) 18:21:47.32 ID:ULya0Q500
―――
――
―
【放送室前】
トントン
貴明「羽根崎さん、いらっしゃいますか?」
シーン……
貴明「ふむ……、鍵が開いていますね。失礼しますよ?」
ガチャッ
雄二「……いねぇ」
由真「でも、鍵は開いてたし、荷物もそこにあるわよ?」
雄二「トイレか?」
由真「お、女の子に対してなんてこと言うのよ! せめて言い方ってもんがあるでしょ!」
雄二「す、すまん」
――
―
【放送室前】
トントン
貴明「羽根崎さん、いらっしゃいますか?」
シーン……
貴明「ふむ……、鍵が開いていますね。失礼しますよ?」
ガチャッ
雄二「……いねぇ」
由真「でも、鍵は開いてたし、荷物もそこにあるわよ?」
雄二「トイレか?」
由真「お、女の子に対してなんてこと言うのよ! せめて言い方ってもんがあるでしょ!」
雄二「す、すまん」
150: 2012/09/22(土) 18:25:59.66 ID:ULya0Q500
貴明「ですが、彼女は仕事を放り出すような性格ではない、と思うのですが……」
雄二「そうだよなぁ。いくらトイレに行ってたとしても」
由真「だから連呼するな!」
雄二「何より、荷物を置いたまま、かつ鍵を開けたまま帰ることもありえない。……ま、まさか」
貴明「……一応、彼女の家に電話してみましょう。安否確認をしても、迷惑にはならないでしょう」
雄二「そうだよなぁ。いくらトイレに行ってたとしても」
由真「だから連呼するな!」
雄二「何より、荷物を置いたまま、かつ鍵を開けたまま帰ることもありえない。……ま、まさか」
貴明「……一応、彼女の家に電話してみましょう。安否確認をしても、迷惑にはならないでしょう」
151: 2012/09/22(土) 18:35:34.89 ID:ULya0Q500
―――
――
―
【河野家】
貴明「そうですか……いえ、特に用事ではなく。はい、それでは」
ガチャッ
環「どうでしたか?」
貴明「やはり、自宅にも戻られていないようですね。雄二さんに頼んで放送室にしばらく待機してもらいましたが、羽根崎さんは戻ってこなかったようです」
このみ「と、ということは……」
シルファ「また失踪れすか!?」
環「……あまり考えたくないけど、状況が異様過ぎるわ。三日連続で失踪者が発生、しかも私たちの知り合いばかり。二度あることは三度ある、なんていうけど、これは重なるには異常な偶然よ」
――
―
【河野家】
貴明「そうですか……いえ、特に用事ではなく。はい、それでは」
ガチャッ
環「どうでしたか?」
貴明「やはり、自宅にも戻られていないようですね。雄二さんに頼んで放送室にしばらく待機してもらいましたが、羽根崎さんは戻ってこなかったようです」
このみ「と、ということは……」
シルファ「また失踪れすか!?」
環「……あまり考えたくないけど、状況が異様過ぎるわ。三日連続で失踪者が発生、しかも私たちの知り合いばかり。二度あることは三度ある、なんていうけど、これは重なるには異常な偶然よ」
152: 2012/09/22(土) 18:41:19.36 ID:ULya0Q500
貴明「これは、早急に事態を片づけなくてはならないかもしれません」
環「早急に……」
雄二「け、けどよ、そんな俺らで出来ることなんて――」
ピンポーン
シルファ「は、はいれす! 今いくれすよー」
ガチャッ
チエ「はぁ……はぁ。せ、センパイはいるッスか!」
このみ「よっち? どうしたの、すごい汗!」
チエ「た、大変なんッス! ちゃるが……急に姿を消して!」
このみ「えっ!?」
貴明「……」
環「早急に……」
雄二「け、けどよ、そんな俺らで出来ることなんて――」
ピンポーン
シルファ「は、はいれす! 今いくれすよー」
ガチャッ
チエ「はぁ……はぁ。せ、センパイはいるッスか!」
このみ「よっち? どうしたの、すごい汗!」
チエ「た、大変なんッス! ちゃるが……急に姿を消して!」
このみ「えっ!?」
貴明「……」
154: 2012/09/22(土) 19:48:12.55 ID:ULya0Q500
―――
――
―
【向坂家】
環「ということで……」
貴明「『連続失踪事件』についての会議を始めたいと思います」
珊瑚「みんなー、気合い入れて、るりちゃんの亡骸を見つけつんやでー」
はるみ「か、勝手に殺さないでー!」
由真「え、えーと……」
貴明「質問でしょうか?」
由真「あ、そのー」
花梨「小牧さんが失踪したから、長瀬さんがいるのはわかるんやけど」
優季「なぜ、私や花梨さんも呼ばれたのでしょうか?」
――
―
【向坂家】
環「ということで……」
貴明「『連続失踪事件』についての会議を始めたいと思います」
珊瑚「みんなー、気合い入れて、るりちゃんの亡骸を見つけつんやでー」
はるみ「か、勝手に殺さないでー!」
由真「え、えーと……」
貴明「質問でしょうか?」
由真「あ、そのー」
花梨「小牧さんが失踪したから、長瀬さんがいるのはわかるんやけど」
優季「なぜ、私や花梨さんも呼ばれたのでしょうか?」
155: 2012/09/22(土) 20:50:07.97 ID:ULya0Q500
貴明「ええ。三日前に失踪したとされる姫百合瑠璃さん並びイルファさん。一昨日に失踪しました小牧愛佳さん。昨日失踪しました羽根崎美緒さん、そして山田ミチルさん。これらの人に共通する大きな点としましては……」
花梨「メイドロボさん以外、ウチの学校の生徒だよね」
このみ「でも、ちゃるは寺女だよ?
優季「それよりもっと最も大きな共通点は……」
貴明「河野貴明さんの知り合いである。つまりは、これらの事件が同一犯であった場合、この条件を『狙って』実行している可能性が高いでしょう」
チエ「なるほど」
春夏「けれど、同一犯だっていう証拠は?」
菜々子「うぅ、ななこもわるいひとに連れて行かれるの?」
貴明「確かに、明確に同一犯である、という証拠はない。何せ、手口も完璧ですからねぇ。そう、完璧『すぎる』のですよ」
花梨「メイドロボさん以外、ウチの学校の生徒だよね」
このみ「でも、ちゃるは寺女だよ?
優季「それよりもっと最も大きな共通点は……」
貴明「河野貴明さんの知り合いである。つまりは、これらの事件が同一犯であった場合、この条件を『狙って』実行している可能性が高いでしょう」
チエ「なるほど」
春夏「けれど、同一犯だっていう証拠は?」
菜々子「うぅ、ななこもわるいひとに連れて行かれるの?」
貴明「確かに、明確に同一犯である、という証拠はない。何せ、手口も完璧ですからねぇ。そう、完璧『すぎる』のですよ」
157: 2012/09/22(土) 21:00:15.76 ID:ULya0Q500
このみ「それってどういうこと?」
貴明「ええ。まず、最初に起きました瑠璃さんとイルファさんの失踪事件。この時点で、色々とおかしい点がある。まず、犯人はどうやって誘拐したのか。瑠璃さんの誘拐なら、いともたやすいでしょう。かよわい女子高生なのですから。ですが、イルファさんの存在は無視できないはず」
シルファ「確かに、イルイルはあたしたちの中で一番強いれす。普通の誘拐犯はもちろん、人攫いの集団(しゅうらん)れも相手にできないはずれすよ」
はるみ「パワーは断然あたしだけど、お姉ちゃん、たっくさんの護身術、格闘術を習得しているから。普通の人間じゃ相手に出来ないよ」
貴明「そう。しかも瑠璃さんのことに関してのことが最優先。これほど厄介な相手はいない。なのにもかかわらず、犯人は二人の誘拐に成功した。荒事をせずにです。シルファさん、一昨日瑠璃さんの家に行った時のことを覚えていますか?」
シルファ「もちろんれすよ。家には誰(られ)もいなくて、靴もなくて……あれ?」
貴明「そう。靴がなくなっているのですよ。つまり犯人は、彼女等をなんらかの方法で沈黙させた後、彼女らの足に靴を履かせて、連れ出したのです……変ではないですか? わざわざ靴をはかせるなんて、随分と行儀がいい誘拐犯なのですねぇ」
貴明「ええ。まず、最初に起きました瑠璃さんとイルファさんの失踪事件。この時点で、色々とおかしい点がある。まず、犯人はどうやって誘拐したのか。瑠璃さんの誘拐なら、いともたやすいでしょう。かよわい女子高生なのですから。ですが、イルファさんの存在は無視できないはず」
シルファ「確かに、イルイルはあたしたちの中で一番強いれす。普通の誘拐犯はもちろん、人攫いの集団(しゅうらん)れも相手にできないはずれすよ」
はるみ「パワーは断然あたしだけど、お姉ちゃん、たっくさんの護身術、格闘術を習得しているから。普通の人間じゃ相手に出来ないよ」
貴明「そう。しかも瑠璃さんのことに関してのことが最優先。これほど厄介な相手はいない。なのにもかかわらず、犯人は二人の誘拐に成功した。荒事をせずにです。シルファさん、一昨日瑠璃さんの家に行った時のことを覚えていますか?」
シルファ「もちろんれすよ。家には誰(られ)もいなくて、靴もなくて……あれ?」
貴明「そう。靴がなくなっているのですよ。つまり犯人は、彼女等をなんらかの方法で沈黙させた後、彼女らの足に靴を履かせて、連れ出したのです……変ではないですか? わざわざ靴をはかせるなんて、随分と行儀がいい誘拐犯なのですねぇ」
158: 2012/09/22(土) 21:10:22.03 ID:ULya0Q500
貴明「珊瑚さん、あなたには姫百合家周辺の防犯カメラの録画データを調べてもらいましたね」
珊瑚「せやー」
貴明「僕が直々にデータを隅々まで調べてもらいました。瑠璃さんとイルファさんが外出していないということは証明済みです。さらに言うならば、周辺に不審者らしき人影はなかった。せいぜい、同じマンションの住人ぐらいでしょうか。つまり、彼女等は家の中で誘拐犯と接触し、さらわれた。……普通、誘拐犯が瑠璃さんを誘拐しようと思いましたら、はるみさん、その人はどうなると思いますか?」
はるみ「そんなの、お姉ちゃんに一瞬でノックアウトだよ! シルファほどじゃないけど、お姉ちゃんも自分の『制空圏』を持ってる。家の中で荒事が起こったなら、玄関で御退場だね」
貴明「ですが……玄関どころか、家の中のどこにも、抵抗した後がなかった」
シルファ「そういえば……」
貴明「つまりはこうです。イルファさんの抵抗を受けることもなく、さらには防犯カメラにも映りこむことなくマンションに侵入し、しかも被害者に靴をはかせる余裕を見せている。かつ、カメラにはもちろん、彼女等が『連れ去られている』記録もなかった。あまりにも完璧すぎる」
環「それって……そもそも瑠璃さんとイルファさんは、『誘拐』されていない?」
珊瑚「せやー」
貴明「僕が直々にデータを隅々まで調べてもらいました。瑠璃さんとイルファさんが外出していないということは証明済みです。さらに言うならば、周辺に不審者らしき人影はなかった。せいぜい、同じマンションの住人ぐらいでしょうか。つまり、彼女等は家の中で誘拐犯と接触し、さらわれた。……普通、誘拐犯が瑠璃さんを誘拐しようと思いましたら、はるみさん、その人はどうなると思いますか?」
はるみ「そんなの、お姉ちゃんに一瞬でノックアウトだよ! シルファほどじゃないけど、お姉ちゃんも自分の『制空圏』を持ってる。家の中で荒事が起こったなら、玄関で御退場だね」
貴明「ですが……玄関どころか、家の中のどこにも、抵抗した後がなかった」
シルファ「そういえば……」
貴明「つまりはこうです。イルファさんの抵抗を受けることもなく、さらには防犯カメラにも映りこむことなくマンションに侵入し、しかも被害者に靴をはかせる余裕を見せている。かつ、カメラにはもちろん、彼女等が『連れ去られている』記録もなかった。あまりにも完璧すぎる」
環「それって……そもそも瑠璃さんとイルファさんは、『誘拐』されていない?」
159: 2012/09/22(土) 21:23:24.31 ID:ULya0Q500
貴明「そう考えた方が、違和感がない」
シルファ「それはあり得ないのれす! だって、イルイルのGPSは反応なし。衛星通信らって音沙汰なしれすよ。イルイルらったらこんな状態は放置しないのれす! つまりは、この状態に陥るのは、誘拐されている以外ありえないのれす!」
貴明「ここで一回、この件に関しましては置いておきましょう。次に注目すべきは、2度目の小牧愛佳さんの失踪。これに関しましては、最初の件と状況一致が多い。彼女の家周辺の防犯カメラの録画データもチェックしましたが、彼女が外出した様子は捕えられていません。つまりは、彼女も家から外出していない」
郁乃「でも、お姉ちゃん、おじさんの家に行くつもりだったから……」
貴明「おそらく、河野家に行く前に失踪したのでしょう。瑠璃さんやイルファさんと同じように、家の中で誘拐犯と接触し、連れ去られた。ですが……状況が少しばかり相違している」
由真「何か違うところがあったの?」
貴明「ええ。靴があったのですよ。ちゃんと玄関にね。彼女を誘拐するのは、瑠璃さんとイルファさんよりははるかに容易なはずです。対象は一人ですし、彼女でしたら、同年代の女性でも可能。イルファさんを抵抗させる間もなくさらった犯人なら、これこそ靴をはかせる余裕はあるはず。ですが、犯人はそれをしなかった」
郁乃「これこそ、誘拐事件と言っても過言じゃないわよね」
貴明「ええ。ですが、やはりカメラの記録を見ますところ、不審者らしき人影も、彼女が連れ去られている様子は捕えられていませんでした。次に、羽根崎美緒さんの失踪した状況を見なおしてみましょう」
シルファ「それはあり得ないのれす! だって、イルイルのGPSは反応なし。衛星通信らって音沙汰なしれすよ。イルイルらったらこんな状態は放置しないのれす! つまりは、この状態に陥るのは、誘拐されている以外ありえないのれす!」
貴明「ここで一回、この件に関しましては置いておきましょう。次に注目すべきは、2度目の小牧愛佳さんの失踪。これに関しましては、最初の件と状況一致が多い。彼女の家周辺の防犯カメラの録画データもチェックしましたが、彼女が外出した様子は捕えられていません。つまりは、彼女も家から外出していない」
郁乃「でも、お姉ちゃん、おじさんの家に行くつもりだったから……」
貴明「おそらく、河野家に行く前に失踪したのでしょう。瑠璃さんやイルファさんと同じように、家の中で誘拐犯と接触し、連れ去られた。ですが……状況が少しばかり相違している」
由真「何か違うところがあったの?」
貴明「ええ。靴があったのですよ。ちゃんと玄関にね。彼女を誘拐するのは、瑠璃さんとイルファさんよりははるかに容易なはずです。対象は一人ですし、彼女でしたら、同年代の女性でも可能。イルファさんを抵抗させる間もなくさらった犯人なら、これこそ靴をはかせる余裕はあるはず。ですが、犯人はそれをしなかった」
郁乃「これこそ、誘拐事件と言っても過言じゃないわよね」
貴明「ええ。ですが、やはりカメラの記録を見ますところ、不審者らしき人影も、彼女が連れ去られている様子は捕えられていませんでした。次に、羽根崎美緒さんの失踪した状況を見なおしてみましょう」
160: 2012/09/22(土) 21:39:07.79 ID:ULya0Q500
環「そう、これよこれ。私がおかしいって思ったのは。だって、羽根崎さんも靴が残ってて、かつ荷物も置き去り。しかも放送室の鍵も開けたまま。まさに『誰かの誘拐された』っていう状況なの。けれど、よりにもよって『学校で』よ?」
貴明「学校周辺のカメラの記録も洗ってみましたが、やはり不審者も、羽根崎さんの姿も捕えられてなかった。そう、学校に侵入する時点で、それこそ不審者以外何者でもありません。ですが、不審者らしき人物は目撃もされていなければ、記録にも残っていない」
雄二「つまり……まさか! この学校の生徒だとか!」
花梨「いや! それこそまさに宇宙人の仕業よ! 未知の科学によって実行されたキャトル・ミューティレーションは、周辺の目撃情報もないっていうし!」
貴明「学校の生徒なのか宇宙人なのか。それは一端置いておきましょう。……とにかく、カメラの記録に残っていないのはともかく、まったく目撃情報がないのはかなりおかしいのですよ。校門から経由して校舎内に侵入し、羽根崎さんを抱えて校外に出るのは、不可能に近い」
このみ「そうだよね。よく生徒会の用事で下校時刻まで残ってたからわかるけど、あの時間は案外運動部の人の出入りが激しいし、裏口とかは、あの時間は先生たちのたまり場になってたりするし。少なくとも、一人二人は人目につくはずなんだけど……」
貴明「しかし、犯人はそれをやってのけた。人の目をかいくぐって。……そして極めつけは、山田ミチルさんのケースです」
貴明「学校周辺のカメラの記録も洗ってみましたが、やはり不審者も、羽根崎さんの姿も捕えられてなかった。そう、学校に侵入する時点で、それこそ不審者以外何者でもありません。ですが、不審者らしき人物は目撃もされていなければ、記録にも残っていない」
雄二「つまり……まさか! この学校の生徒だとか!」
花梨「いや! それこそまさに宇宙人の仕業よ! 未知の科学によって実行されたキャトル・ミューティレーションは、周辺の目撃情報もないっていうし!」
貴明「学校の生徒なのか宇宙人なのか。それは一端置いておきましょう。……とにかく、カメラの記録に残っていないのはともかく、まったく目撃情報がないのはかなりおかしいのですよ。校門から経由して校舎内に侵入し、羽根崎さんを抱えて校外に出るのは、不可能に近い」
このみ「そうだよね。よく生徒会の用事で下校時刻まで残ってたからわかるけど、あの時間は案外運動部の人の出入りが激しいし、裏口とかは、あの時間は先生たちのたまり場になってたりするし。少なくとも、一人二人は人目につくはずなんだけど……」
貴明「しかし、犯人はそれをやってのけた。人の目をかいくぐって。……そして極めつけは、山田ミチルさんのケースです」
161: 2012/09/22(土) 21:48:11.33 ID:ULya0Q500
ロク「それに関しては、俺が説明するぜ!」
チエ「わぁっ!? び、びっくりしたッス」
草壁「えと……そのミチルさんという方の、お兄さん?」
ロク「え? あ、そのぉ……叔父、ということで」
草壁「はぁ……」
ロク「あれは夕食を食べた後でさぁ。お譲は夕食の後、すぐに自室に戻ったんだ。確か、なんとかパとかってやつの準備があるってことで。作業の邪魔をしてはいかん、と思って、しばらくはお譲の様子は見なかったんです。……でも、お譲がいつも風呂に入る時間になっても戻らないんですよ。いつも何があっても、よほどのことがない限り、お譲は規則正しい時間間隔を守る人でして」
貴明「それで、あなたはさすがに心配して、山田さんの様子を見に行った」
ロク「へい。早いうちに寝ちまったのかもしんねぇって思ったんで、お譲の様子を見にいったんです。ですがね、ドアをたたいても反応がないんですよ。ですから、不貞寝でもしちまってるんだろう、と思って、扉を開けたら……」
貴明「部屋はもぬけの殻からだった、と」
チエ「わぁっ!? び、びっくりしたッス」
草壁「えと……そのミチルさんという方の、お兄さん?」
ロク「え? あ、そのぉ……叔父、ということで」
草壁「はぁ……」
ロク「あれは夕食を食べた後でさぁ。お譲は夕食の後、すぐに自室に戻ったんだ。確か、なんとかパとかってやつの準備があるってことで。作業の邪魔をしてはいかん、と思って、しばらくはお譲の様子は見なかったんです。……でも、お譲がいつも風呂に入る時間になっても戻らないんですよ。いつも何があっても、よほどのことがない限り、お譲は規則正しい時間間隔を守る人でして」
貴明「それで、あなたはさすがに心配して、山田さんの様子を見に行った」
ロク「へい。早いうちに寝ちまったのかもしんねぇって思ったんで、お譲の様子を見にいったんです。ですがね、ドアをたたいても反応がないんですよ。ですから、不貞寝でもしちまってるんだろう、と思って、扉を開けたら……」
貴明「部屋はもぬけの殻からだった、と」
163: 2012/09/22(土) 22:06:54.05 ID:ULya0Q500
ロク「その通りでさぁ。まず、お譲が家の誰にも、特に両親に何も言わず家を出るなんてありえねぇ! こりゃあ誰か、それこそ俺たちを敵視する奴らの陰謀にちげぇねぇ!」
チエ「ろ、ロクさん! 気持ちはわかりますッスけど、落ち着いてー!」
雄二「というより、ずばりここって、敵の本拠地って言っても過言じゃないんだけどな」
貴明「ふむ……確か、山田さんの家の周辺には防犯カメラの類はなかったはずですねぇ。その代わり、山田ミチルさんの家を囲むように、あなたの家の男衆が住んでいるとか」
ロク「お譲達を守るために、いつもタメ張れる準備は出来てるからな! って、なんでお前さんが知ってるんだ?」
貴明「情報がうんぬんはともかく。それで、その男衆から、不審者や山田さんの目撃情報はなかったのでしょうか?」
ロク「それがよぉ。当日すぐに若い奴集めて聞き出したんだが、さっぱりでさぁ」
貴明「ふむ……やはりですか。影のない犯人。そう、これらを実行した……実は、犯人の目測はついてるのですよ」
環「! それは本当ですか!」
優季「さすがは現職の警部さん……」
チエ「ろ、ロクさん! 気持ちはわかりますッスけど、落ち着いてー!」
雄二「というより、ずばりここって、敵の本拠地って言っても過言じゃないんだけどな」
貴明「ふむ……確か、山田さんの家の周辺には防犯カメラの類はなかったはずですねぇ。その代わり、山田ミチルさんの家を囲むように、あなたの家の男衆が住んでいるとか」
ロク「お譲達を守るために、いつもタメ張れる準備は出来てるからな! って、なんでお前さんが知ってるんだ?」
貴明「情報がうんぬんはともかく。それで、その男衆から、不審者や山田さんの目撃情報はなかったのでしょうか?」
ロク「それがよぉ。当日すぐに若い奴集めて聞き出したんだが、さっぱりでさぁ」
貴明「ふむ……やはりですか。影のない犯人。そう、これらを実行した……実は、犯人の目測はついてるのですよ」
環「! それは本当ですか!」
優季「さすがは現職の警部さん……」
164: 2012/09/22(土) 22:08:31.82 ID:ULya0Q500
>>162
ルーッ
それに一部草壁になってるし……
脳内補完プリーズ
ルーッ
それに一部草壁になってるし……
脳内補完プリーズ
165: 2012/09/22(土) 22:28:17.30 ID:ULya0Q500
貴明「何より、犯人が『車』を利用したことは確実です。人を抱えながら歩くなど、目立つこのほかない。しかし、不審者も記録にはない。学校でしたら特に、見知らぬ車など目立つはずなのですが……」
春夏「あーっ!」
このみ「ど、どうしたのお母さん? 急に大声なんかだして」
春夏「そういえば今日、この前通販で買ったDVDが届くんだったわ。確か昼過ぎだったから……あーあ、あとで取りに行かなくちゃ」
雄二「何のDVD買ったんですか?」
春夏「『これであなたも美人警官! 逮捕しちゃうぞ☆ 簡単、逮捕術エクササイズ』っていうものを。なんとなく、美人警官ってところに惹かれちゃったのよねー」
貴明「それは申し訳ないことをしてしまいました。…………そうか!」
環「え?」
貴明「僕としたことが、迂闊でした。こういった単純なトリックが予想できないなんて。珊瑚さん」
珊瑚「ほいほーい☆」
貴明「今すぐ、そのノートPCで、防犯カメラの記録を見ることは可能ですか? ひとつ、確かめたいことがあるんです」
春夏「あーっ!」
このみ「ど、どうしたのお母さん? 急に大声なんかだして」
春夏「そういえば今日、この前通販で買ったDVDが届くんだったわ。確か昼過ぎだったから……あーあ、あとで取りに行かなくちゃ」
雄二「何のDVD買ったんですか?」
春夏「『これであなたも美人警官! 逮捕しちゃうぞ☆ 簡単、逮捕術エクササイズ』っていうものを。なんとなく、美人警官ってところに惹かれちゃったのよねー」
貴明「それは申し訳ないことをしてしまいました。…………そうか!」
環「え?」
貴明「僕としたことが、迂闊でした。こういった単純なトリックが予想できないなんて。珊瑚さん」
珊瑚「ほいほーい☆」
貴明「今すぐ、そのノートPCで、防犯カメラの記録を見ることは可能ですか? ひとつ、確かめたいことがあるんです」
166: 2012/09/22(土) 22:50:53.24 ID:ULya0Q500
―――
――
―
【吉岡家玄関前】
「今日はここですか……恨みはありませんが、これもお仕事。いざ」
ピンポーン
タッタッタ
ガチャッ
貴明「お待ちしておりましたよ」
「なっ!? た、貴明さん!?」
はるみ「はいはーい!」
シルファ「後ろは抑えたれす! 覚悟するれすよ、連続誘拐犯!」
「しまったっ!」
――
―
【吉岡家玄関前】
「今日はここですか……恨みはありませんが、これもお仕事。いざ」
ピンポーン
タッタッタ
ガチャッ
貴明「お待ちしておりましたよ」
「なっ!? た、貴明さん!?」
はるみ「はいはーい!」
シルファ「後ろは抑えたれす! 覚悟するれすよ、連続誘拐犯!」
「しまったっ!」
167: 2012/09/22(土) 23:07:03.26 ID:ULya0Q500
貴明「やはり、情報通り、この地域にこの時間やってきましたか。さすがは珊瑚さんのハック精度だとは思いませんか? ……イルファさん」
イルファ「ど、どうして、ここに来るって……」
貴明「瑠璃さんとイルファさんが失踪した件、これが最初のきっかけでありながらも、違和感が多かった。状況をよく見ると、まるで誘拐などされていないようでした。そう……誘拐されたのではなく、あなた方は自分の意志で姿を消した」
イルファ「……」
貴明「その後、三件失踪事件が起こるのですが……これらに関しては、立派な誘拐です。実行犯は、他でもないあなた」
イルファ「くっ……」
貴明「そう。先ほどのように、宅配業者を装って、ターゲットを玄関まで誘導。あなたは一瞬にして目標を拘束し、その段ボール箱でカモフラージュし、運んだ。あなたでしたら、一瞬で人を拘束することが出来るでしょう。それも容易に。そして、なぜ不審者や不審車両の目撃情報がなかったかも説明がつく。宅配業者の車両や、宅配業者の服を着た人を、不審者と呼ぶ人は少数派でしょうから」
貴明「ですが、この宅配業者の車両の目撃証言、及び防犯カメラの記録は存在しました。それも、しっかりと被害者の失踪したと思われる場所の一番近くの防犯カメラに、しっかりとね。山田さんの家はたいそう広く、しかも来客を告げるチャイムは、古い木造家屋のためないらしく、迎えはいつもミチルさんがしていたらしいですね」
貴明「ミチルさんの部屋は丁度玄関前が見渡せる位置に窓がありまして、そこから来客を確認したミチルさんが迎えを担当していたらしいです。ですから、他の人に知られず、ミチルさんは玄関先で誘拐された。宅配業者から荷物を受け取る為に玄関に向かったミチルさんをね。ミチルさんは物静かで大きな声を滅多に出さない、さらに言うならば、先述のとおり山田さんの家はとても広い。玄関先で少々騒動があったとしても、当時人が少なかった家の中では、空虚にも騒動は闇の中へと消えてしまった」
イルファ「ど、どうして、ここに来るって……」
貴明「瑠璃さんとイルファさんが失踪した件、これが最初のきっかけでありながらも、違和感が多かった。状況をよく見ると、まるで誘拐などされていないようでした。そう……誘拐されたのではなく、あなた方は自分の意志で姿を消した」
イルファ「……」
貴明「その後、三件失踪事件が起こるのですが……これらに関しては、立派な誘拐です。実行犯は、他でもないあなた」
イルファ「くっ……」
貴明「そう。先ほどのように、宅配業者を装って、ターゲットを玄関まで誘導。あなたは一瞬にして目標を拘束し、その段ボール箱でカモフラージュし、運んだ。あなたでしたら、一瞬で人を拘束することが出来るでしょう。それも容易に。そして、なぜ不審者や不審車両の目撃情報がなかったかも説明がつく。宅配業者の車両や、宅配業者の服を着た人を、不審者と呼ぶ人は少数派でしょうから」
貴明「ですが、この宅配業者の車両の目撃証言、及び防犯カメラの記録は存在しました。それも、しっかりと被害者の失踪したと思われる場所の一番近くの防犯カメラに、しっかりとね。山田さんの家はたいそう広く、しかも来客を告げるチャイムは、古い木造家屋のためないらしく、迎えはいつもミチルさんがしていたらしいですね」
貴明「ミチルさんの部屋は丁度玄関前が見渡せる位置に窓がありまして、そこから来客を確認したミチルさんが迎えを担当していたらしいです。ですから、他の人に知られず、ミチルさんは玄関先で誘拐された。宅配業者から荷物を受け取る為に玄関に向かったミチルさんをね。ミチルさんは物静かで大きな声を滅多に出さない、さらに言うならば、先述のとおり山田さんの家はとても広い。玄関先で少々騒動があったとしても、当時人が少なかった家の中では、空虚にも騒動は闇の中へと消えてしまった」
168: 2012/09/22(土) 23:31:50.07 ID:ULya0Q500
貴明「愛佳さんの場合は今までもないでしょう。当時彼女は一人で家にいました。玄関先で短い間に犯行を済ませれば、誰にも目を付けられず誘拐することも可能。ですが、ひっかかるのは羽根崎さんのケースです。彼女が姿を消したのは学校、それもおそらく放送室。ですが、いくら宅配業者でも、学校内を徘徊していたら不審者の他ありません。そう……人の目につけられたら、ですがね」
イルファ「!」
貴明「図書委員の方に確認したところ、あの日、図書室に入荷する新刊が届けられたそうですね。そう、それを届けたのはあなた。ですから、宅配業者の車両があっても不自然ではない。車両を駐車場に駐車したあなたは、学校内に侵入せずに、放送室への侵入を試みた。羽根崎さんはたいそうな恥ずかしがりで、ファンクラブが結成されてからは、放送室に入るたび鍵をかけていたそうです。そう、廊下側からの侵入は難しい。だからあなたは、窓からの侵入を試みた」
貴明「羽根崎さんの趣味はポプリ。彼女は放送室で下校時刻までの暇つぶしとして、よくポプリを作ったり、花を飾ったりしているとか。そのため、放送室内は強い花や香草の香りが残ってしまいます。それからか、彼女は癖で、放送室の窓を開けてから、作業をするようになった。そう、あの時放送室の窓はしっかりと開いていました。普通ならあの高さの部屋の窓から侵入するなど考えられないでしょう。ですが、運動性能が高いHMX17シリーズでしたら、可能」
貴明「しかし、人間がありえない跳躍をしてしまったら、どうしても目立ってしまうでしょう。ですが放送室の窓の位置はちょうど裏庭の方面。あそこは人の出入りがほとんどありません。しかし、人の出入りがないとは限らない。なのに、そんなトンデモ人間の目撃情報はなかった。それはあなたが、周囲から人がいない隙を狙ったからです」
貴明「あなたに搭載されている高性能レーダー。それを使えば、その隙を突くことは可能でしょうねぇ。後は例の通り、段ボールに羽根崎さんを詰め込み、車両まで運んだ。証拠として……映像にしっかりと残っていましたよ。学校周辺のカメラに、しっかりと、荷物をすべて運んだにもかかわらず、人がすっぽりと入りそうな段ボールを荷台で運ぶあなたの姿がね」
イルファ「……いつから疑っていたのですか?」
貴明「実を言うと、最初からです。GPSを切り、衛星通信にも反応しないあなた。この時点で、あなたの状態に違和感は感じていました。そしてわかったのですよ。今している行動を、あなたは知られたくないのでは、とね。決定的だったのは、やはり羽根崎さん失踪の時でしょうか」
イルファ「……ふぅ。貴明さんの体を傷つけるわけにもまいりません。完敗です。さすがは、噂の警部さんでした、というところでしょうか」
イルファ「!」
貴明「図書委員の方に確認したところ、あの日、図書室に入荷する新刊が届けられたそうですね。そう、それを届けたのはあなた。ですから、宅配業者の車両があっても不自然ではない。車両を駐車場に駐車したあなたは、学校内に侵入せずに、放送室への侵入を試みた。羽根崎さんはたいそうな恥ずかしがりで、ファンクラブが結成されてからは、放送室に入るたび鍵をかけていたそうです。そう、廊下側からの侵入は難しい。だからあなたは、窓からの侵入を試みた」
貴明「羽根崎さんの趣味はポプリ。彼女は放送室で下校時刻までの暇つぶしとして、よくポプリを作ったり、花を飾ったりしているとか。そのため、放送室内は強い花や香草の香りが残ってしまいます。それからか、彼女は癖で、放送室の窓を開けてから、作業をするようになった。そう、あの時放送室の窓はしっかりと開いていました。普通ならあの高さの部屋の窓から侵入するなど考えられないでしょう。ですが、運動性能が高いHMX17シリーズでしたら、可能」
貴明「しかし、人間がありえない跳躍をしてしまったら、どうしても目立ってしまうでしょう。ですが放送室の窓の位置はちょうど裏庭の方面。あそこは人の出入りがほとんどありません。しかし、人の出入りがないとは限らない。なのに、そんなトンデモ人間の目撃情報はなかった。それはあなたが、周囲から人がいない隙を狙ったからです」
貴明「あなたに搭載されている高性能レーダー。それを使えば、その隙を突くことは可能でしょうねぇ。後は例の通り、段ボールに羽根崎さんを詰め込み、車両まで運んだ。証拠として……映像にしっかりと残っていましたよ。学校周辺のカメラに、しっかりと、荷物をすべて運んだにもかかわらず、人がすっぽりと入りそうな段ボールを荷台で運ぶあなたの姿がね」
イルファ「……いつから疑っていたのですか?」
貴明「実を言うと、最初からです。GPSを切り、衛星通信にも反応しないあなた。この時点で、あなたの状態に違和感は感じていました。そしてわかったのですよ。今している行動を、あなたは知られたくないのでは、とね。決定的だったのは、やはり羽根崎さん失踪の時でしょうか」
イルファ「……ふぅ。貴明さんの体を傷つけるわけにもまいりません。完敗です。さすがは、噂の警部さんでした、というところでしょうか」
169: 2012/09/22(土) 23:39:10.55 ID:ULya0Q500
環「まさか、被害者だと思ってたイルファさんが犯人だったなんてね」
このみ「世の中わからないものだね」
雄二「でも、まだ解決はしてないってところか?」
シルファ「そうれす! そもそも、なんでイルイルがこんなことを始めたのかがわからないれす!」
はるみ「お姉ちゃん、なんでこんなことを……」
由真「そもそも、愛佳は一体どこに?」
花梨「きっと来栖川が密かに研究している改造人間技術の実験台に……」
優季「それはいくらなんでも話が突飛すぎるのでは……」
貴明「おそらく、あなたはあくまで実行犯。いくらイルファさんでも、本物の宅配業者の車両や制服を準備することはできません。黒幕がいる、そうですよね?」
イルファ「ええ。……そちらにも、全員無事で、がんばっています♪」
貴明「……はい?」
このみ「世の中わからないものだね」
雄二「でも、まだ解決はしてないってところか?」
シルファ「そうれす! そもそも、なんでイルイルがこんなことを始めたのかがわからないれす!」
はるみ「お姉ちゃん、なんでこんなことを……」
由真「そもそも、愛佳は一体どこに?」
花梨「きっと来栖川が密かに研究している改造人間技術の実験台に……」
優季「それはいくらなんでも話が突飛すぎるのでは……」
貴明「おそらく、あなたはあくまで実行犯。いくらイルファさんでも、本物の宅配業者の車両や制服を準備することはできません。黒幕がいる、そうですよね?」
イルファ「ええ。……そちらにも、全員無事で、がんばっています♪」
貴明「……はい?」
170: 2012/09/23(日) 00:12:33.90 ID:rQle7Yxf0
―――
――
―
【さろん・ど・まーりゃん】
カランコローン
美緒「お、おかえりなさいませ、ごしゅじんさ――」
貴明「これはこれは」
美緒「へ……? こ、河野くーん!?」
愛佳「ど、どうしたの? そんな大きい声――」
由真「愛佳!?」
愛佳「ゆ、由真ぁ!? そ、それに郁乃まで!?」
郁乃「お、お姉ちゃん、そんな格好でなにやってるの?」
珊瑚「わーい☆ るりちゃんもみんなも、かぁいいふりふりメイドさんやー!」
瑠璃「さ、さんちゃん!? どうしてこないなところに!?」
――
―
【さろん・ど・まーりゃん】
カランコローン
美緒「お、おかえりなさいませ、ごしゅじんさ――」
貴明「これはこれは」
美緒「へ……? こ、河野くーん!?」
愛佳「ど、どうしたの? そんな大きい声――」
由真「愛佳!?」
愛佳「ゆ、由真ぁ!? そ、それに郁乃まで!?」
郁乃「お、お姉ちゃん、そんな格好でなにやってるの?」
珊瑚「わーい☆ るりちゃんもみんなも、かぁいいふりふりメイドさんやー!」
瑠璃「さ、さんちゃん!? どうしてこないなところに!?」
171: 2012/09/23(日) 00:18:44.99 ID:rQle7Yxf0
まーりゃん「あー、なんだね、随分と騒がしい……ありゃ? た、たかりゃーん、どうしてこんなところに?」
貴明「案内してもらいました」
イルファ「ごめんなさい。ばれちゃいましたっ☆」
まーりゃん「こんなに早く!? ただの老いぼれ警部ではないと思ってはいたが、どこのドラマの警部だよ!? 探偵になれてってんだ!」
ガシィッ
まーりゃん「へ?」
環「まーりゃんセンパイ?」
まーりゃん「あ、あははー。久しぶりだね、たまちゃーん。ど、どどどうしたのかな? そんなこわーい顔して? キュートな顔が台無しだぞ☆」
環「ええ。台無しにしているのは誰でしょうね? ふふふっ」
まーりゃん「ちょいちょいどーどー。なんか指からとてつもなく不穏な音が響いているよ? まるで地獄からのゆーりゃんの叫び声みたいだ。その右手は何人の男をダメにしてきたのだい?」
環「……先ほど、マムに連絡いたしました」
まーりゃん「あいるびーばーっく!?」
貴明「案内してもらいました」
イルファ「ごめんなさい。ばれちゃいましたっ☆」
まーりゃん「こんなに早く!? ただの老いぼれ警部ではないと思ってはいたが、どこのドラマの警部だよ!? 探偵になれてってんだ!」
ガシィッ
まーりゃん「へ?」
環「まーりゃんセンパイ?」
まーりゃん「あ、あははー。久しぶりだね、たまちゃーん。ど、どどどうしたのかな? そんなこわーい顔して? キュートな顔が台無しだぞ☆」
環「ええ。台無しにしているのは誰でしょうね? ふふふっ」
まーりゃん「ちょいちょいどーどー。なんか指からとてつもなく不穏な音が響いているよ? まるで地獄からのゆーりゃんの叫び声みたいだ。その右手は何人の男をダメにしてきたのだい?」
環「……先ほど、マムに連絡いたしました」
まーりゃん「あいるびーばーっく!?」
172: 2012/09/23(日) 00:33:27.71 ID:rQle7Yxf0
―――
――
―
貴明「なるほど。いつものメンバー(特に環さん)にばれると厄介。ですから誰にも知られずに、このメイド喫茶、もといメイドロボ喫茶のスタッフと募集……及び拉致していたわけですか」
まーりゃん「拉致とは、言葉が悪い! 確かに誰にも情報が回らないよう、ちーと乱暴かつ隠密に行動はしていたが、彼女等はちゃんと自分の意志で働いてるぞ?」
瑠璃「こんな格好するのはいややったけど……一度でもいいから行きたかったんや、グアム。この店手伝えば、グアムの海にある地図にないバース島っていう無人島でさんちゃんとふたりっきりのバカンス。どうしても行きたかってん」
イルファ「瑠璃様のメイドロボ姿や、その姿に顔を赤らめる瑠璃様、さらにさらに、まーりゃんさん御贔屓の写真館での無料取り放題券で、あんな姿やこんな姿の瑠璃様の写真集……わたくし、自分の欲に負けてしまい、つい」
愛佳「スタッフが足りなくて困ってるって聞いたし、それに……河野君、メイドロボ姿が密かに好きだって、先輩が言ってたから」ボソッ
美緒「お花屋さんのギフト券、10万円分はとても魅力的だったから……すごく、はずかしかったけど、がんばった」
ミチル「……メイドロボに扮する喫茶店、非常に参考になる。それに、今では手に入らないHMX12規格のメイドロボ服をちらつかせられたら、やらざるおえない」
ささら「先輩が、やりたいって言ってたから。それに、河野さんも喜んでくれるって……」ポッ
環「やっぱり久寿川さんも巻き込まれてるし……はぁ。でも、せめてご家族の方には連絡してください。杉下さんが手をまわして、捜索願は受理されていなかったようですけど、一歩間違えれば警察沙汰だったんですよ?」
――
―
貴明「なるほど。いつものメンバー(特に環さん)にばれると厄介。ですから誰にも知られずに、このメイド喫茶、もといメイドロボ喫茶のスタッフと募集……及び拉致していたわけですか」
まーりゃん「拉致とは、言葉が悪い! 確かに誰にも情報が回らないよう、ちーと乱暴かつ隠密に行動はしていたが、彼女等はちゃんと自分の意志で働いてるぞ?」
瑠璃「こんな格好するのはいややったけど……一度でもいいから行きたかったんや、グアム。この店手伝えば、グアムの海にある地図にないバース島っていう無人島でさんちゃんとふたりっきりのバカンス。どうしても行きたかってん」
イルファ「瑠璃様のメイドロボ姿や、その姿に顔を赤らめる瑠璃様、さらにさらに、まーりゃんさん御贔屓の写真館での無料取り放題券で、あんな姿やこんな姿の瑠璃様の写真集……わたくし、自分の欲に負けてしまい、つい」
愛佳「スタッフが足りなくて困ってるって聞いたし、それに……河野君、メイドロボ姿が密かに好きだって、先輩が言ってたから」ボソッ
美緒「お花屋さんのギフト券、10万円分はとても魅力的だったから……すごく、はずかしかったけど、がんばった」
ミチル「……メイドロボに扮する喫茶店、非常に参考になる。それに、今では手に入らないHMX12規格のメイドロボ服をちらつかせられたら、やらざるおえない」
ささら「先輩が、やりたいって言ってたから。それに、河野さんも喜んでくれるって……」ポッ
環「やっぱり久寿川さんも巻き込まれてるし……はぁ。でも、せめてご家族の方には連絡してください。杉下さんが手をまわして、捜索願は受理されていなかったようですけど、一歩間違えれば警察沙汰だったんですよ?」
173: 2012/09/23(日) 00:42:16.02 ID:rQle7Yxf0
愛佳「でもまさか、郁乃たちに連絡が行ってなかったなんて……」
美緒「親になんて言おう……すごく心配しているだろうし」
珊瑚「ウチは心配してなかったよー。いっちゃんがそばにいてくれているだろうから」
瑠璃「それ、ウチとしてはすごく喜べないんやけど……」
ミチル「……今頃、ロク達、大騒ぎ。御近所に迷惑かけてないといいけど」
環「とにかく、今後はこんなややこしくなるようなことは金輪際……あれ? 杉下さん?」
貴明「……」スースー
このみ「寝ちゃった……すごく気持ちよさそう」
環「今回は杉下さんの活躍あっての解決だもの。少し休ませてあげましょう。という訳で、まーりゃん先輩。みんなにお詫びのしるしとして、全員に夕食をおごってください。聞けば、あの郵送業者の車両は先輩が郵送のアルバイトで借り受けたものだとか。裏口バイトなんですから、お金ならあるでしょう? なにせ、こんなところにお店を建てちゃうぐらいなんですから」
まーりゃん「この人数かー……まー、いっか! きょうはぶれいこうじゃー!」
このみ「やたー!」
美緒「親になんて言おう……すごく心配しているだろうし」
珊瑚「ウチは心配してなかったよー。いっちゃんがそばにいてくれているだろうから」
瑠璃「それ、ウチとしてはすごく喜べないんやけど……」
ミチル「……今頃、ロク達、大騒ぎ。御近所に迷惑かけてないといいけど」
環「とにかく、今後はこんなややこしくなるようなことは金輪際……あれ? 杉下さん?」
貴明「……」スースー
このみ「寝ちゃった……すごく気持ちよさそう」
環「今回は杉下さんの活躍あっての解決だもの。少し休ませてあげましょう。という訳で、まーりゃん先輩。みんなにお詫びのしるしとして、全員に夕食をおごってください。聞けば、あの郵送業者の車両は先輩が郵送のアルバイトで借り受けたものだとか。裏口バイトなんですから、お金ならあるでしょう? なにせ、こんなところにお店を建てちゃうぐらいなんですから」
まーりゃん「この人数かー……まー、いっか! きょうはぶれいこうじゃー!」
このみ「やたー!」
174: 2012/09/23(日) 00:46:10.81 ID:rQle7Yxf0
―――
――
―
まーりゃん「おほほー! みおりゃん、ファッションメガネにするとこれはまた好みのメガネ美人よのぉ」
美緒「ひゃあっ!? せ、せくはられすぅ」
貴明「……ん?」
優季「あっ、起きましたか? おじさま」
貴明「……へ? ここ、どこ?」
このみ「おはよー。まだ寝ぼけてるの?」
貴明「このみに……草壁さん? あれ? 俺、家で寝てたはずだよな……」
優季「……『俺』? もしかして……」
このみ「タカくん!?」
貴明「へ?」
――
―
まーりゃん「おほほー! みおりゃん、ファッションメガネにするとこれはまた好みのメガネ美人よのぉ」
美緒「ひゃあっ!? せ、せくはられすぅ」
貴明「……ん?」
優季「あっ、起きましたか? おじさま」
貴明「……へ? ここ、どこ?」
このみ「おはよー。まだ寝ぼけてるの?」
貴明「このみに……草壁さん? あれ? 俺、家で寝てたはずだよな……」
優季「……『俺』? もしかして……」
このみ「タカくん!?」
貴明「へ?」
175: 2012/09/23(日) 00:52:58.92 ID:rQle7Yxf0
――――――
―――――
――――
―――
――
―
環「……それにしても、あれから2週間かぁ」
このみ「いきなりタカくんに戻った時には、ほんとびっくりしたよねー」
環「そうね。紅茶の淹れ方も普通だし、口調もタカ坊そのまんまだしね。元に戻った時は、丁度みんないたからあれから狂乱状態で……」
このみ「でも……杉下さんに、あいさつしたかったな。お礼も言えてないし」
環「そうねぇ。まともに別れのあいさつもしてないし……あまり実感は持てないけど、考えてみると、多分もう会えないだろうし」
貴明「『メイドロボがいない世界』からやってきた警部か……俺の記憶がない間、とんでもないことが起こってたんだなぁ」
環「よく考えると、とんでもないことよね、ほんと」
―――――
――――
―――
――
―
環「……それにしても、あれから2週間かぁ」
このみ「いきなりタカくんに戻った時には、ほんとびっくりしたよねー」
環「そうね。紅茶の淹れ方も普通だし、口調もタカ坊そのまんまだしね。元に戻った時は、丁度みんないたからあれから狂乱状態で……」
このみ「でも……杉下さんに、あいさつしたかったな。お礼も言えてないし」
環「そうねぇ。まともに別れのあいさつもしてないし……あまり実感は持てないけど、考えてみると、多分もう会えないだろうし」
貴明「『メイドロボがいない世界』からやってきた警部か……俺の記憶がない間、とんでもないことが起こってたんだなぁ」
環「よく考えると、とんでもないことよね、ほんと」
176: 2012/09/23(日) 00:57:50.88 ID:rQle7Yxf0
美緒「お、お待たせ、しました。紅茶が三つと、ワイルドジョーカーパフェになりますっ」
このみ「あっ、きたきたー!」
貴明「それにしても、まさかあの羽根崎さんが喫茶店で働き始めるなんて、想像もつかなかったよ」
美緒「ん……こうやって働くのもいいかもって、あの事件で少し思ったから」
環「そしてあなた目当てのお客さんでこの喫茶店も大盛況。ほんと、きっかけはわからないものね」
美緒「えへへ……っよ」
このみ「あっ! その淹れ方、杉下さんだー」
環「そしてこの淹れ方も、この店の名物になっていると」
貴明「その淹れ方、真似してみたんだけど、どうもうまくいかないんだよ。コツを教えてくれない?」
美緒「わ、私には教えられません。やっぱり、本家からじゃないと」
このみ「あっ、きたきたー!」
貴明「それにしても、まさかあの羽根崎さんが喫茶店で働き始めるなんて、想像もつかなかったよ」
美緒「ん……こうやって働くのもいいかもって、あの事件で少し思ったから」
環「そしてあなた目当てのお客さんでこの喫茶店も大盛況。ほんと、きっかけはわからないものね」
美緒「えへへ……っよ」
このみ「あっ! その淹れ方、杉下さんだー」
環「そしてこの淹れ方も、この店の名物になっていると」
貴明「その淹れ方、真似してみたんだけど、どうもうまくいかないんだよ。コツを教えてくれない?」
美緒「わ、私には教えられません。やっぱり、本家からじゃないと」
177: 2012/09/23(日) 01:02:38.20 ID:rQle7Yxf0
貴明「本家って、ある意味俺なんだけどね」
環「中身が変わるだけで、ここまで変わるなんてねー。不思議よね――」
キャー
オラァ ドケヤ
店員「きゃっ!?」
環「あれって……!?」
警察官「今すぐ投降しなさい! 銀行強盗に飽き足らず、罪を重ねるつもりか!」
大男「こ、ここで捕まるわけにゃあいかねぇんだ! 来るんじゃねぇ! もし来たら……でいっ!」
貴明「うあっ!?」
環「タカ坊!」
このみ「きゃあっ!?」
美緒「柚原さん!?」
環「中身が変わるだけで、ここまで変わるなんてねー。不思議よね――」
キャー
オラァ ドケヤ
店員「きゃっ!?」
環「あれって……!?」
警察官「今すぐ投降しなさい! 銀行強盗に飽き足らず、罪を重ねるつもりか!」
大男「こ、ここで捕まるわけにゃあいかねぇんだ! 来るんじゃねぇ! もし来たら……でいっ!」
貴明「うあっ!?」
環「タカ坊!」
このみ「きゃあっ!?」
美緒「柚原さん!?」
178: 2012/09/23(日) 01:06:53.15 ID:rQle7Yxf0
大男「こ、この女の子の首が飛ぶぞぉ!?」シャキッ
キャー
警察官「ダガーナイフだとっ! あいつ、銃の他にも武器を持っていたのか!」
このみ「ひぅっ……」
大男「お、おらよっ! この子を放してほしければ、今すぐ逃走用の車用意しろぉ! 1時間以内だ! さもねぇと、首に傷つくことになんぞぉ!」
貴明「こ、このみっ……」
環「しまった、タカ坊に気をそらされた隙に……」
美緒「ゆ、柚原さん……」
このみ「……」
キャー
警察官「ダガーナイフだとっ! あいつ、銃の他にも武器を持っていたのか!」
このみ「ひぅっ……」
大男「お、おらよっ! この子を放してほしければ、今すぐ逃走用の車用意しろぉ! 1時間以内だ! さもねぇと、首に傷つくことになんぞぉ!」
貴明「こ、このみっ……」
環「しまった、タカ坊に気をそらされた隙に……」
美緒「ゆ、柚原さん……」
このみ「……」
179: 2012/09/23(日) 01:10:43.36 ID:rQle7Yxf0
―
――
―――
貴明「前から来た相手ならともかく、一番怖いのは、急に男の人に後ろから拘束された場合です。たとえば、こういう風に……」
このみ「わっ!?」
貴明「首を絞められた場合、そのまま意識が落ちることもありえます。この状態を長引かせるのは危険です。一刻も早く逃げる活路を見つけてください」
春夏「けれど、もしかしたら、相手はナイフとか持ってるかもしれないわね」
このみ「な、ナイフっ!? 首とかにって、こと、なのかな……」
貴明「それはかなり危険です。相手が凶器を持っている場合は、やり方に工夫が必要です。……あなたには、ぜひ、長く生きてほしいですからね。よく覚えておいてください」
――
―――
貴明「前から来た相手ならともかく、一番怖いのは、急に男の人に後ろから拘束された場合です。たとえば、こういう風に……」
このみ「わっ!?」
貴明「首を絞められた場合、そのまま意識が落ちることもありえます。この状態を長引かせるのは危険です。一刻も早く逃げる活路を見つけてください」
春夏「けれど、もしかしたら、相手はナイフとか持ってるかもしれないわね」
このみ「な、ナイフっ!? 首とかにって、こと、なのかな……」
貴明「それはかなり危険です。相手が凶器を持っている場合は、やり方に工夫が必要です。……あなたには、ぜひ、長く生きてほしいですからね。よく覚えておいてください」
180: 2012/09/23(日) 01:18:16.24 ID:rQle7Yxf0
―――
――
―
このみ(……怖いけど、やれる、よね? ううん、やる! こんなときのために、教えてもらったんだからっ……!)
警察官「い、今すぐ凶器を手放すんだ! やむおえない場合は、発砲しかねない!」
環「そんな! このみがいるのに!」
大男「は、発砲!? う、撃てるものかよ、こんちくしょーっ!」
このみ(! 少しだけ手も緩んで、ナイフも刃先を向いてない! いまだ!)
このみ「後ろ髪を手前に引っ張る!」
大男「うぉっ!?」
このみ「右足を引いて、鼻にひじ打ち!」
大男「へぶぅ!?」
このみ「右ひざ蹴りを鳩尾に!」
大男「おごぉ!?」
このみ「足を引っ掛けて、倒れこんで体重をかけて、もう一度鳩尾にひじ打ち!」
ドゴォーン
大男「!!!?」
――
―
このみ(……怖いけど、やれる、よね? ううん、やる! こんなときのために、教えてもらったんだからっ……!)
警察官「い、今すぐ凶器を手放すんだ! やむおえない場合は、発砲しかねない!」
環「そんな! このみがいるのに!」
大男「は、発砲!? う、撃てるものかよ、こんちくしょーっ!」
このみ(! 少しだけ手も緩んで、ナイフも刃先を向いてない! いまだ!)
このみ「後ろ髪を手前に引っ張る!」
大男「うぉっ!?」
このみ「右足を引いて、鼻にひじ打ち!」
大男「へぶぅ!?」
このみ「右ひざ蹴りを鳩尾に!」
大男「おごぉ!?」
このみ「足を引っ掛けて、倒れこんで体重をかけて、もう一度鳩尾にひじ打ち!」
ドゴォーン
大男「!!!?」
181: 2012/09/23(日) 01:23:44.82 ID:rQle7Yxf0
このみ「はぁ……はぁ……」
カランカラーン
このみ「きゃっ!? な、ナイフ……」
大男「お、お……」ピクピク
貴明「このみっ! 大丈夫か!」
このみ「……ふぇ、えぇーん! こ、怖かったよぉー!」
貴明「ごめんな、怖い思いさせて」
環「このみ、怪我はない!?」
このみ「ん……うん」
美緒「よかった……」
警察官「君! 大丈夫かね!」
このみ「は、はい……」
カランカラーン
このみ「きゃっ!? な、ナイフ……」
大男「お、お……」ピクピク
貴明「このみっ! 大丈夫か!」
このみ「……ふぇ、えぇーん! こ、怖かったよぉー!」
貴明「ごめんな、怖い思いさせて」
環「このみ、怪我はない!?」
このみ「ん……うん」
美緒「よかった……」
警察官「君! 大丈夫かね!」
このみ「は、はい……」
182: 2012/09/23(日) 01:27:04.67 ID:rQle7Yxf0
警察官「いやぁ、これは快挙だよ。これで堂々と署に……はぶっ!?」
美緒「きゃっ!?」
大男「ぐぅ……おぉ……」
環「まだ意識があったっていうの!?」
大男「こ、こんのアマァー! クソガキは氏にやがれぇ!!」
美緒「ナイフをもう一本!?」
大男「ぐぉぉーー!!」
貴明「このみ!!」
このみ「タカくん!?」
大男「うぉりゃ――」
美緒「きゃっ!?」
大男「ぐぅ……おぉ……」
環「まだ意識があったっていうの!?」
大男「こ、こんのアマァー! クソガキは氏にやがれぇ!!」
美緒「ナイフをもう一本!?」
大男「ぐぉぉーー!!」
貴明「このみ!!」
このみ「タカくん!?」
大男「うぉりゃ――」
183: 2012/09/23(日) 01:29:16.89 ID:rQle7Yxf0
ガシィッ
大男「んぉ?」
ゲシッ
大男「うぉぉ!?」
グルーンッ
バターンッ
大男「うぼぉ!!?」
「……あなたを、強盗犯及び殺人未遂の現行犯で逮捕します」
ガチャンッ
大男「んぉ?」
ゲシッ
大男「うぉぉ!?」
グルーンッ
バターンッ
大男「うぼぉ!!?」
「……あなたを、強盗犯及び殺人未遂の現行犯で逮捕します」
ガチャンッ
184: 2012/09/23(日) 01:34:02.21 ID:rQle7Yxf0
―――
――
―
このみ「タカくん! わかってるの!」
貴明「で、でも、あのままこのみが――」
このみ「でもじゃない! あのままこのみをかばってたら、刺されたのかもしれないんだよ!? いやだよ! いやだよぉ……そんなのぉ……」
貴明「……ごめん」
環「でも、それはタカ坊だって同じだったのよ。あのこのみのとっさの行動だって、もし失敗してたら……」
このみ「ううん、ああいうときだからやったの。……杉下さんが、教えてくれたんだもん」
環「……そう、よくできたわね」
このみ「ん……」
「怪我などはないでしょうか?」
環「あなたは確か、助けてくれた……ありがとうございました」
貴明「あの時犯人を押えてくれなかったら、今頃……」
――
―
このみ「タカくん! わかってるの!」
貴明「で、でも、あのままこのみが――」
このみ「でもじゃない! あのままこのみをかばってたら、刺されたのかもしれないんだよ!? いやだよ! いやだよぉ……そんなのぉ……」
貴明「……ごめん」
環「でも、それはタカ坊だって同じだったのよ。あのこのみのとっさの行動だって、もし失敗してたら……」
このみ「ううん、ああいうときだからやったの。……杉下さんが、教えてくれたんだもん」
環「……そう、よくできたわね」
このみ「ん……」
「怪我などはないでしょうか?」
環「あなたは確か、助けてくれた……ありがとうございました」
貴明「あの時犯人を押えてくれなかったら、今頃……」
185: 2012/09/23(日) 01:36:53.59 ID:rQle7Yxf0
「いえいえ、お礼を言うのはこちらですよ。あの時、あなたがとっさに動いてくれなかったら、いろいろと大変なことになっていたかもしれませんしね」
このみ「あ、あの……」
「よくできました」
ナデナデ
このみ「……え?」
「それでは」
環「はい、本当にありがとうございました」
「いえいえ。……それでは、『また』」
このみ「あ、あの……」
「よくできました」
ナデナデ
このみ「……え?」
「それでは」
環「はい、本当にありがとうございました」
「いえいえ。……それでは、『また』」
186: 2012/09/23(日) 01:42:27.96 ID:rQle7Yxf0
―――
――
―
「――杉下さん!」
「……おや? 神戸君ではないですか」
神戸「おや、ではないですよ。驚きましたよ、さっきの銀行強盗の脱走立てこもり事件に巻き込まれたって聞いて」
右京「いえ。偶然そちらの喫茶店で一服していましたら、偶然遭遇してしまっただけです」
神戸「はぁ……それにしても不運でしたね。立ち寄った喫茶店で事件に巻き込まれるとは。特命係になってから2週間、どうも杉下さんは、騒動を引き寄せる体質なのではないでは、と思ってしまう僕なのですが……」
右京「……実を言うと、今朝、ちょっとした夢を見たのですよ」
神戸「夢というと……予知夢の類ですか? 以外ですね、そういうオカルトを信じる人だったなんて」
右京「いや、なんといいますか……警告、みたいなものでしょうか」
――
―
「――杉下さん!」
「……おや? 神戸君ではないですか」
神戸「おや、ではないですよ。驚きましたよ、さっきの銀行強盗の脱走立てこもり事件に巻き込まれたって聞いて」
右京「いえ。偶然そちらの喫茶店で一服していましたら、偶然遭遇してしまっただけです」
神戸「はぁ……それにしても不運でしたね。立ち寄った喫茶店で事件に巻き込まれるとは。特命係になってから2週間、どうも杉下さんは、騒動を引き寄せる体質なのではないでは、と思ってしまう僕なのですが……」
右京「……実を言うと、今朝、ちょっとした夢を見たのですよ」
神戸「夢というと……予知夢の類ですか? 以外ですね、そういうオカルトを信じる人だったなんて」
右京「いや、なんといいますか……警告、みたいなものでしょうか」
187: 2012/09/23(日) 01:56:22.06 ID:rQle7Yxf0
―
――
―――
「るーに選ばれしうーよ。お前に最後の仕事を頼みたい。すべてはこの瞬間のため、この日のためにうーは動かされていたといっても過言ではない」
「世界の大部分を構成するのは、人々の『縁(えにし)』だ。そしてその世界では、とある一つの強大な縁によって動かされつつある。『まーの使い』でさえ取り込んだ、特殊かつ強大な縁だ」
「しかし、この縁が、今日の午後、とある喫茶店で破壊される。たったひとかけらのピースが欠けるだけだが、このピースはこの縁の中心をなす大事なピースだ」
「本来なら、このピースは世界の選択によってなくされる運命にある。しかしそのひずみが、最終的に世界の、『まー』によっての終焉をもたらす。縁の中心核をなすうーの絶望によってだ」
「この運命を避けるには、その世界の力ではできない。それは世界によって動かされているからだ。世界の修正力は、るーでも捻じ曲げることはできない」
「そこで、るーは考えた。ならば、世界の枠組みをゆがませ、世界の外郭を作り直す。そして他の世界の因子を取り込ませることによって、運命を方向修正する形に作り直せばいい。これが世界への負担を一番に考えた、安定した対策だと判断した」
「そう、うーはるーの意志によって選ばれたうーなのだ、喜ぶがいい。だが、世界の因子を取り込むのは荒業に過ぎない。強すぎる毒は毒にしかならないが、弱い毒は薬になる。その逆もしかり、強すぎる薬は毒になってしまう。そこで、うーの魂のみを取り込ませることで、世界への負担を軽減した」
「そして、世界の運命を修正する『完全なる』因子にうーを仕立てあげるには、その世界で『縁』……それもまた強大な縁を作り上げる必要があったのだ。そしてうーはその条件をなんなくクリアした」
「今日は運命の時。うーの最後の仕事を終えれば、うーの世界とあちらの世界の合体は完了となる。るーが出来るのはここまでだ。後は頼んだぞ、選ばれしうーよ」
――
―――
「るーに選ばれしうーよ。お前に最後の仕事を頼みたい。すべてはこの瞬間のため、この日のためにうーは動かされていたといっても過言ではない」
「世界の大部分を構成するのは、人々の『縁(えにし)』だ。そしてその世界では、とある一つの強大な縁によって動かされつつある。『まーの使い』でさえ取り込んだ、特殊かつ強大な縁だ」
「しかし、この縁が、今日の午後、とある喫茶店で破壊される。たったひとかけらのピースが欠けるだけだが、このピースはこの縁の中心をなす大事なピースだ」
「本来なら、このピースは世界の選択によってなくされる運命にある。しかしそのひずみが、最終的に世界の、『まー』によっての終焉をもたらす。縁の中心核をなすうーの絶望によってだ」
「この運命を避けるには、その世界の力ではできない。それは世界によって動かされているからだ。世界の修正力は、るーでも捻じ曲げることはできない」
「そこで、るーは考えた。ならば、世界の枠組みをゆがませ、世界の外郭を作り直す。そして他の世界の因子を取り込ませることによって、運命を方向修正する形に作り直せばいい。これが世界への負担を一番に考えた、安定した対策だと判断した」
「そう、うーはるーの意志によって選ばれたうーなのだ、喜ぶがいい。だが、世界の因子を取り込むのは荒業に過ぎない。強すぎる毒は毒にしかならないが、弱い毒は薬になる。その逆もしかり、強すぎる薬は毒になってしまう。そこで、うーの魂のみを取り込ませることで、世界への負担を軽減した」
「そして、世界の運命を修正する『完全なる』因子にうーを仕立てあげるには、その世界で『縁』……それもまた強大な縁を作り上げる必要があったのだ。そしてうーはその条件をなんなくクリアした」
「今日は運命の時。うーの最後の仕事を終えれば、うーの世界とあちらの世界の合体は完了となる。るーが出来るのはここまでだ。後は頼んだぞ、選ばれしうーよ」
188: 2012/09/23(日) 02:02:38.31 ID:rQle7Yxf0
―――
――
―
右京「いえ、警告というよりは……予言、でしょうか」
神戸「はぁ。案外、カルト思想もお持ちだったのですね。……それにしても、家電業界は相変わらず揺れていますね。期待のHMX17シリーズの市場公開を取りやめて、新しいHM18シリーズの開発に取り掛かるとは」
右京「おや? 神戸君、メイドロボに興味がおありで?」
神戸「え? あ、いや、そういうわけでは……」
右京「そういえば、神戸君は一人身でしたね。どうですか? 最近のメイドロボは、人間とまったく区別がつかず、中にはメイドロボを妻とする人もいるらしいですし」
神戸「な、なんというか、その口調はどうも、僕がその類の変Oだという誤解を……って、ちょっと待って下さいよ、ぅ杉下さん!」
右京「もしメイドロボの購入を考えている場合は、僕が相談に乗りますよ? なにせ、エキスパート直伝ですから」
神戸「だから、別に僕は一人でどうも最近ひと肌恋しいとは別に――」
―Fin―
――
―
右京「いえ、警告というよりは……予言、でしょうか」
神戸「はぁ。案外、カルト思想もお持ちだったのですね。……それにしても、家電業界は相変わらず揺れていますね。期待のHMX17シリーズの市場公開を取りやめて、新しいHM18シリーズの開発に取り掛かるとは」
右京「おや? 神戸君、メイドロボに興味がおありで?」
神戸「え? あ、いや、そういうわけでは……」
右京「そういえば、神戸君は一人身でしたね。どうですか? 最近のメイドロボは、人間とまったく区別がつかず、中にはメイドロボを妻とする人もいるらしいですし」
神戸「な、なんというか、その口調はどうも、僕がその類の変Oだという誤解を……って、ちょっと待って下さいよ、ぅ杉下さん!」
右京「もしメイドロボの購入を考えている場合は、僕が相談に乗りますよ? なにせ、エキスパート直伝ですから」
神戸「だから、別に僕は一人でどうも最近ひと肌恋しいとは別に――」
―Fin―
189: 2012/09/23(日) 02:04:14.63 ID:rQle7Yxf0
お疲れさまでした
全ヒロインと絡ませようと思ったら、まぁまぁの長さになってしまいました
神戸君はやっぱりムッツリやと思うんだ、うん
全ヒロインと絡ませようと思ったら、まぁまぁの長さになってしまいました
神戸君はやっぱりムッツリやと思うんだ、うん
199: 2012/09/23(日) 18:10:32.06 ID:rQle7Yxf0
―ちょっとおまけ―
【特命係】
神戸「……杉下さんは子供がいらっしゃらないはず、ですよね?」
右京「どうしたのですか? いきなり」
神戸「あ、いえ。そこの机の上にある、なんといいますか……いかにも小学生が作りました、という感じの工作品があるので。あれ、杉下さんのでしょうか?」
右京「ああ、あれですか。そうですねぇ、厳密には僕の所持品ではないのですが……いい出来でしょう? 紙粘土で出来た腕輪です。所持者の腕のサイズぴったりに作られています」
神戸「はぁ、そうなんですか」
右京「まぁ、ちょっとした思い出の品、ということです」
神戸「思い出、ですか。そうそう、あとひとつ」
【特命係】
神戸「……杉下さんは子供がいらっしゃらないはず、ですよね?」
右京「どうしたのですか? いきなり」
神戸「あ、いえ。そこの机の上にある、なんといいますか……いかにも小学生が作りました、という感じの工作品があるので。あれ、杉下さんのでしょうか?」
右京「ああ、あれですか。そうですねぇ、厳密には僕の所持品ではないのですが……いい出来でしょう? 紙粘土で出来た腕輪です。所持者の腕のサイズぴったりに作られています」
神戸「はぁ、そうなんですか」
右京「まぁ、ちょっとした思い出の品、ということです」
神戸「思い出、ですか。そうそう、あとひとつ」
200: 2012/09/23(日) 18:14:26.00 ID:rQle7Yxf0
右京「はい?」
神戸「実は先ほど、こんな手紙を預かりまして……」
右京「僕にですか? これはまた珍しい。……おやおや、これはまた久しい名前が」
神戸「古い知り合いですか?」
右京「ええ。同じ大学の同じ学部で、珍しくウマが合った数少ない友人の一人です。現在はアメリカで弁護士として活躍しています。いやぁ、彼の奥様が大変美人さんでして。確か、自然保護活動家をしていらっしゃるはずです」
神戸「ということは、アメリカからのエアメールですか」
右京「そういうことになります。ここ何年かはあまり連絡を取っていなかったのですが…………はい?」
神戸「実は先ほど、こんな手紙を預かりまして……」
右京「僕にですか? これはまた珍しい。……おやおや、これはまた久しい名前が」
神戸「古い知り合いですか?」
右京「ええ。同じ大学の同じ学部で、珍しくウマが合った数少ない友人の一人です。現在はアメリカで弁護士として活躍しています。いやぁ、彼の奥様が大変美人さんでして。確か、自然保護活動家をしていらっしゃるはずです」
神戸「ということは、アメリカからのエアメールですか」
右京「そういうことになります。ここ何年かはあまり連絡を取っていなかったのですが…………はい?」
201: 2012/09/23(日) 18:18:50.65 ID:rQle7Yxf0
神戸「ど、どうされました?」
右京「いや……彼には一人娘がいらっしゃるのですが、その子が今日、ここに来るそうです」
神戸「……『ここ』?」
右京「はい、この特命係に。実は、彼女の幼馴染がこの日本にいるのですが、その人に会いに来るために日本に長期滞在するそうで。……日本の地理はわからないだろうから、現地の人に案内を頼みたい、と」
神戸「それで、杉下さんに、ということですか……」
右京「一応仕事中なんですが……まぁ、彼が僕に頼みごとをするなんてめったにないことです。ここは、話に乗っておきましょうか。ということで、留守番をよろしくお願いします」
神戸「はい。……はい?」
右京「よろしくおねがいします」
神戸「え? あいや、ちょっと――」
右京「いや……彼には一人娘がいらっしゃるのですが、その子が今日、ここに来るそうです」
神戸「……『ここ』?」
右京「はい、この特命係に。実は、彼女の幼馴染がこの日本にいるのですが、その人に会いに来るために日本に長期滞在するそうで。……日本の地理はわからないだろうから、現地の人に案内を頼みたい、と」
神戸「それで、杉下さんに、ということですか……」
右京「一応仕事中なんですが……まぁ、彼が僕に頼みごとをするなんてめったにないことです。ここは、話に乗っておきましょうか。ということで、留守番をよろしくお願いします」
神戸「はい。……はい?」
右京「よろしくおねがいします」
神戸「え? あいや、ちょっと――」
202: 2012/09/23(日) 18:25:20.52 ID:rQle7Yxf0
角田「よっ、暇か?」
右京「おや? またコーヒーを?」
神戸「あっ、ど、どうも」
角田「いや、コーヒーもだけど。実は特命係にお客様が来てなすってさ」
右京「ふむ……なるほど、成田に降りて、ちょうど到着する頃合いです。お名前は?」
角田「確か、外国人の女の子だって言ってたな。えと、るー、るー……なんだっけ?」
右京「どうやら、例の御令嬢のようです。僕が迎えに行きます。それでは、後はよろしく」
角田「あっ、いつものコーヒー、よろしくね」
神戸「はぁ……わかりましたよ。こんなことになるんなら、本当にメイドロボがほしいところです、ええ」
―Fin―
右京「おや? またコーヒーを?」
神戸「あっ、ど、どうも」
角田「いや、コーヒーもだけど。実は特命係にお客様が来てなすってさ」
右京「ふむ……なるほど、成田に降りて、ちょうど到着する頃合いです。お名前は?」
角田「確か、外国人の女の子だって言ってたな。えと、るー、るー……なんだっけ?」
右京「どうやら、例の御令嬢のようです。僕が迎えに行きます。それでは、後はよろしく」
角田「あっ、いつものコーヒー、よろしくね」
神戸「はぁ……わかりましたよ。こんなことになるんなら、本当にメイドロボがほしいところです、ええ」
―Fin―



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