362: 2009/08/10(月) 08:02:10.48 ID:UU0f1QAZ0
【けいおん×春合宿】
第1話「合宿決定」
コンサートの前座、ホームページ作り。今年に入ってから軽音部は大忙しだった
だが、今はもう3月の下旬。明日で学校も終わりである
音楽室の窓辺で、律はなんとなく外を見ていた。温かい日差しが気持ちいい
「あぁ・・・もう春か・・・」
唯が近づいてきた
「どうしたの?りっちゃん」
「春だよな・・・・」
「それは私の頭の中がってこと?」
363:2009/08/10(月) 08:03:09.75 ID:UU0f1QAZ0
「唯、お前の頭の中は『ギ―太でいっぱい!』だろ」
「そうだったね★テヘッ!」
と、返してみたものの、律はそのまま窓の外を見続けている
「・・・りっちゃん元気ないね」
「あたしたちもう3年になるんだぞ。3年生・・・・」
そう言って、また律は窓の外を向いてしまった
唯はテーブルに戻って行った。ムギがちょうどティータイムの用意を終えたところだった
「りっちゃん隊長!紅茶が入ったでごわす!」
「そうか・・・今行く」
ムギ、澪、唯、梓が座っているテーブルに向かって、律がふらふらと歩いてきた
「どうしたんだ・・・律らしくもない」
澪が心配そうに律の顔を覗き込む
364:2009/08/10(月) 08:04:46.60 ID:UU0f1QAZ0
「なぁ澪・・・・」
「なんだ律」
「・・・なんでもない」
「なんでもないことはないだろ」
「じゃぁ、抱きしめて」
「・・・・は?」
「寂しき乙女を抱いてくだされ」
「・・・ホントにどうしたんだ?」
澪だけでなく4人全員が律を不安そうに見つめていた
「もしかして5月病!?」
ムギが思いついたように口にした
「今はまだ3月ですよ、ムギ先輩」
「じゃぁ3月病か」
澪はそう言いながら律のおでこに手を当てた
「・・・熱は無いみたいだし」
「澪の手、あったかい」
「そうか、よしよし」
澪は律の頭を軽くなでてやった
「りっちゃんだけずるい~」
「はいはい」
開いていた手で澪は唯の頭もなでてやった
366:2009/08/10(月) 08:15:40.78 ID:3QE87zvk0
突然、律が口を開いた
「なぁ、春休みはみんな何するんだ?」
「う~ん、また新しい歌詞でも考えようかなぁ」
「とくにありせんわ」
「家でアイスいっぱい食べるぅ。あと、ギ―太とたくさん遊ぶっ」
「私も家でギターの練習でもしようかなって思ってます」
みんなの返事を聞き、律がはぁ、と息をもらした
「みんなといっしょにいたいなぁ」
しばしの沈黙が続いた。そして、その沈黙を澪の言葉が破った
「春合宿。するか」
「みおっ!愛してるっ!」
澪の言葉を聞くや否や律の目に火がともり、澪に抱きついた
「あっ、こらっ!」
「いいじゃんいいじゃん、ちょっとだけ」
367:2009/08/10(月) 08:18:30.75 ID:3QE87zvk0
こうして軽音部の春合宿が決まった
温かい春の陽気。その中でさっきと変らず5人はまた、うとうとしながら紅茶をすすり始めたのだっ
た
「ムギちゃんがいれてくれた紅茶はやっぱりおいしいや」
「そんな、照れちゃいますよ」
「あ、ミルキャラコーヒークッキーとるなよ、唯」
「ごめ~ん、じゃこれ食べちゃお」
「唯先輩!私のムギチョコ入りぱふぱふチョコパイ取らないでくださいっ」
「ぶひ~っ、あずにゃんまでっ!」
「唯先輩はお菓子食べすぎなんですよっ。もう10個も食べてるじゃないですか」
「だってぇ、食べても太らないし~」
4人が声をそろえて
「うらやましい」
と言ったのはいうまでもない
579:2009/08/10(月) 22:26:19.44 ID:yHTP8dDI0
第2話 「ハワイ?グアム?春合宿はリゾート気分!?」
次の日
終業式が終わり、5人はまたいつもと同じように音楽室に集まっていた
「春合宿、どこに行こうか」
「夏は海だったから、今度は山にしようぜっ!」
律は元気まんまんだ
「りっちゃん、どうせならハワイに行かないっ?」
「唯先輩っ、話が飛躍しすぎですっ!」
梓は唯のボケに真面目に突っ込んだ
「あら、ちょうどハワイの別荘が空いてるのよ。よかったら行きましょうよ」
「ムギ・・・マジなのか?」
「えぇ、あそこなら一年中温かいですから、海で遊べますし」
「ありがとムギっ!よしっ、そこで決定だっ!」
律の頭の中はもうハワイでいっぱいのようだ
580:2009/08/10(月) 22:27:11.37 ID:yHTP8dDI0
だが、それを澪が制した
「落ち着け律。海外に行くとなると手続きがいろいろと面倒だろ」
「え~」
「ただでさえ短い春休みなんだ、もっと手近なところのほうがいいだろ」
「やっぱり、山にしませんか」
「山も空いてますよ。この近くなら・・・ほら、あそこのふもとの!」
そう言ってムギは窓の外を指差した
「ムギちゃん!どのへん?どのへんっ?」
唯が窓を覗き込む
「ほら、あそこですわ」
「わかんないよ~」
唯は窓から身を乗り出している
「危ないですっ!唯先輩。落っこちちゃいますよ」
「落ち着け唯。まぁ、とりあえず場所は決まりだな」
「え~、やっぱり海外がいいなぁ」
律はまだまだ納得していなさそうだった
581:2009/08/10(月) 22:27:52.25 ID:yHTP8dDI0
「おい律。まだ武道館ライブも実現しないうちに海外進出か?YMOじゃあるまいし笑わせるなよ」
「げ、さわちゃん・・・」
「い、いつのまにっ」
5人は全く気づかなかったが、さわ子は確かに音楽室の中にいた
それにしても恐ろしいほどの素早さである
「わいえむおーってなに~?」
唯はさわ子が現れたことなど気にもとめていない
「テクノポップってジャンルをはやらせたグループよ」
「テクノポップってPerfumeみたいな?」
「ん~、まぁそんな感じかな」
「日本のポップス界に大きな影響を与えたんですよ」
梓が付け加えた
「あずにゃん、詳しいんだねっ」
「お父さんがファンだったんで」
「なるほど~」
584:2009/08/10(月) 22:37:33.94 ID:iSl3DN99O
どすん、とさわ子はソファーに腰を下ろした
「とにかく、合宿で海外に行こうなんていくらなんでも無理があるわ」
「お、さわちゃんが先生らしいこと言ってる」
「・・・・・・・ブチ」
「あ、いや、わかりました~っ!」
「それに・・・近いところじゃないと私も行けないし」
「あ・・・やっぱり来るんだ」
律はため息をもらした
「あたしがあんたたちに特訓してあげるから、覚悟しなさい!」
ビシッと音がしたような気がした。さわ子は決めポーズをとっている
「じゃ、お仕事があるから。バイバ~イ」
そう言ってさわ子は音楽室から出ていった
585:2009/08/10(月) 22:46:04.97 ID:iSl3DN99O
音楽室にご無沙汰の静寂が訪れると、梓が口を開いた
「ふぅ・・そういえば、最近楽器屋さんに行ってませんでしたよね。
今日で学校も終わりですし、よかったらみんなで行きませんか?」
「確かにっ!ギー太も最近見てもらってなかったし」
唯はケースの上からギー太をなでていた
「そうだな。もしかしたら新しい楽器とか楽譜が入荷してるかも」
「じゃあ、行きましょうか」
5人は音楽室を後にした
296:2009/08/17(月) 22:10:13.09 ID:p4Rvw9hH0
【けいおん×春合宿】
第3話「決戦!10GIA」
5人はいきつけの楽器屋『10GIA』に来ていた
「わ~ギターがいっぱいだ~」
「唯はここにくるといつもそればっかだな」
「ちょっと店内のレイアウトが変わったみたいですね」
「あ、キーボードのコーナーが大きくなってる」
そこには大小さまざまなキーボードが並べてあった
思わず紬が手を触れる
「あっ、すごい面白そうなシンセだわ」
色々なボタンをカチカチと押しながら様々な音色を鳴らしていた
「すご~い!ムギちゃん」
「やだ、照れちゃう」
「お~い、唯!弦張り替えてもらうぞぉ」
「あ、は~い!」
澪に呼ばれてギー太を抱えて唯はレジの方へと駆け出した
「お願いしま~す」
「かしこまりました」
(あ、この前と同じ店員さんだ♪)
297:2009/08/17(月) 22:11:00.78 ID:p4Rvw9hH0
唯は今度は律に呼ばれた
「唯っ、新しい楽譜見に行こうぜっ」
「おっけい!」
「おい、澪も行くぞっ」
「じーっ・・・」
「ま、またかよっ・・・」
「やっぱ、これ欲しいな」
「だーっ!もう持ってるじゃんかっ」
律は面倒くさそうに頭をもしゃもしゃかきむしる
「・・・欲しいものは欲しいんだよっ」
「あら・・・澪ちゃん、それ欲しいの?」
「げっ、さわちゃんっ!?」
なんということだろう。さわ子もここに来ていたのである
300:2009/08/17(月) 22:13:16.67 ID:p4Rvw9hH0
「今日はよく会うわね」
「そ・・・そうですね」
「澪ちゃん。あたしとゲームしないっ?」
「げ、ゲーム!?」
「そう、あたしとギター勝負」
「てか、ギター弾けないし・・・」
澪はチラッと唯のほうを見た
「ギター弦の張替え中だよっ・・・」
唯はおろおろしている
「あ、あたしが勝負しますっ!」
梓が声を上げた
「いいわよ、ただし、条件があるわ・・・」
「ゴクリ・・・」
5人は生唾を飲み込んだ
301:2009/08/17(月) 22:14:20.00 ID:p4Rvw9hH0
「買ったら、顧問として澪ちゃんの欲しいそのベースは買ってあげるわ。でも・・・」
「でも・・・?」
「負けたら、私のコスプレ趣味に一切口出し禁止!さらにおさわり自由化ッ!!」
「ひいッ!」
「梓・・・大丈夫なのかっ?」
律が顔をひきつらせながら梓に尋ねる
「だ、大丈夫ですっ!」
「あ~ら、無理しなくてもいいのよ」
「み、澪先輩のためですっ!頑張りますっ!」
「きまりね」
さわ子は指を軽く鳴らした
303:2009/08/17(月) 22:15:56.05 ID:p4Rvw9hH0
「勝負はギターソロ勝負よ。審査員はこのお店の店員さん」
「ギターソロ勝負・・・?」
「審査員の心をより強く突き動かした方の勝ちよ。どう?面白そうでしょ?」
「いいです。やってやるですぅ!」
さわ子は店内のギターをぐるりと見回すと、そばにあった1本を取った
「これで・・・勝負よ!」
「望むところですぅ!」
梓も背負っていたギターをケースから出した
店員がそれぞれのギターをアンプにつないだ。準備完了だ
「じゃんけん、ぽん!」
「あ、負けたですぅ」
「勝った~♪じゃ、あたしからね」
さわ子はギターを構えた。店員から拍手が起こる
「おりゃぁあああああああああ!!」
恐ろしく早く手が動いている。とんでもない速さで音階を上ったり、下がったり・・・
息をつかせる暇もなかった
「ふっ、こんなもんよ」
305:2009/08/17(月) 22:17:36.35 ID:p4Rvw9hH0
店員も唖然としてしまって、少し間を置いてからぱらつくように拍手が起こった
「す・・・すごい技術だ・・・」
「じゃ、次は梓ちゃんの番ね」
そう言ってさわ子は梓の方を見た
「じゃ、い、いくですぅ!」
震える声で梓がギターを構える、。拍手が聞こえた
(澪先輩、私の気持ち、聞いててくださいっ!)
「えーいっ!」
驚いたことに、梓もさわ子に負けず劣らずの素晴らしいテクニックを披露し始めた
唯は驚きのあまり、開いた口がふさがらない
(あ、あずにゃん、いつの間にこんな練習を・・・)
梓が弾き終えると、これまた間を置くようにして拍手が起こった
306:2009/08/17(月) 22:19:10.47 ID:p4Rvw9hH0
「し、シンキングタイムです」
店員たちは相談を始めた。2人とも予想外にうまかったので、慌てているようだ
ムギが澪に耳そばで話しかける
「もし必要なら、ひとこえいれましょうか・・・?」
「いや、その必要は無いみたいだぞ」
店員たちは相談を終えたようだ
「は、発表します!」
(ドキドキ)
5人の胸が一斉に高鳴る
「2番の勝ちです!」
「やったぁああ!!!」
5人は一緒に飛び上がった
「そ・・・そんな・・・」
さわ子は地べたにへたり込んでしまった
307:2009/08/17(月) 22:20:41.47 ID:p4Rvw9hH0
「ど・・・どうして?」
「気持ち。ですよ」
「気持ち?」
「そう、気持ちです」
店員が教えてくれた
「確かにあなたの演奏も技術的に見れば異常なほど凄いものでした」
「そ、それなら・・・」
「でも、後の子の演奏には、気持ちが感じられました。そう、とても強い心の思いが演奏の中に感じられたんです」
「・・・思い、か」
「でも、うらやましいですよ、あんなにうまい生徒さんがいるなんて」
「そ、そうですか?」
「桜高の軽音楽部は昔からうまいと聞いていましたが、ここまでとは・・・」
「あら、嬉しいわ」
にっこりと微笑みながら、さわ子は過去の自分を思い出していた
308:2009/08/17(月) 22:22:12.27 ID:p4Rvw9hH0
「ベースですが、少しならお値引きいたしますよ?せっかくいい演奏を聞かせてもらったんですし」
「えっ、ホント?」
「えぇ、また機会があったら演奏を聞かせてください。店員一同お待ちしておりますから」
店員はペコリと頭を下げた
結局、澪の欲しかったベースは半額になったのである
「あ、ありがとな、梓・・・」
「そんな・・・澪先輩のためなら、このくらい・・・」
「私は何よりあんなにうまくなっていたことに感動したよ。本当に頑張ったんだな、エライぞ」
澪は梓の頭を優しくなでた
(あぁ・・・澪先輩、幸せですぅ)
309:2009/08/17(月) 22:24:08.40 ID:p4Rvw9hH0
さわ子がレジからベースを持ってやってきた
「ほら、澪ちゃんっ、あなたの欲しかったベースよ」
「ありがとう、さわ子先生」
「ちゃんと大切にしなさいよ」
「はい。・・・その、さわ子先生」
「何よ?」
「コスプレとか・・・結構気に入ってますから。恥ずかしいけど・・・」
「じゃ、これからもヨロシクぅ!」
さわ子の切り替わりの早さに、5人は唖然とした
「結局コスプレするんかいっ!!」
こうして澪は新しいベースを手に入れたのだった
647 :2009/08/19(水) 21:15:29.34 ID:hOTfj7LY0
【けいおん×春合宿】
第4話「唯と憂」
「ただいま~っ!」
「あっ!お帰りっ、おねえちゃんっ!」
唯が元気よく帰宅すると、憂はいつものように笑顔で出迎える
「ういっ、明日から春合宿するんだっ!」
「えっ、ほんと!?」
「うん、だから今日は早く寝るつも……うい?」
唯は途中で言葉を止めた
それは、憂が泣き始めてしまったからだった
651 :2009/08/19(水) 21:20:33.22 ID:hOTfj7LY0
「う、うい?どうしたの?」
「おねぇちゃん…うぐっ」
無理もない。憂にとって唯は姉であるとともに、ある意味で心のよりどころでもあったのだ
「明日は2人で一日家でゆっくりできると思ったのに…ぐすん」
「うい…そうだよね。最近私ういと一緒に過ごしてないもんね」
唯はそっと憂のことを抱きしめた
「うい…大好きだよっ…」
「おねえ…ちゃん…」
「うい、いつも手間かけさせてごめんね、こんなお姉ちゃんでごめんね…」
ポタポタと床に涙が落ちた。唯の涙だった
652 :2009/08/19(水) 21:22:40.81 ID:hOTfj7LY0
「部活で楽しいからって、家のことほったらかしにして…うぐっ」
「…おねーちゃん」
「そのくせ、クリスマス会とかでみんなを家に呼んじゃって…忙しくさせちゃって…」
耐えきれなくなったのか、唯は突っ伏してしまった
「うぐっ、うっ、うっ、うぐっ」
「……」
憂は唯の自由奔放な性格は分かっていたし、それが好きだった
654 :2009/08/19(水) 21:26:02.93 ID:hOTfj7LY0
「おねぇちゃん。私、そんなことは全然気にしてないんだ」
「……」
「ただ、最近すごく寂しくて…」
「ごめんね…」
「ううん、お姉ちゃんは悪くない。私の心が弱いのが…」
「いっしょに…ねよ」
「…え?」
唯はまだ涙を流していた
「今日は、一緒に寝よ。うい」
憂は唯の顔を見つめた
「うん、おねえちゃん」
その夜、2人は同じベッドで寝た
655 :2009/08/19(水) 21:31:51.25 ID:hOTfj7LY0
次の日、2人は時を同じくして目を覚ました
「おはよ、うい」
「おはよう、お姉ちゃん」
大きなあくびを一つした後、唯は尋ねた
「うい…一緒に合宿行かない?」
それは憂にとってあまりにも意外なことだった
「えっ、いいの?お姉ちゃん」
「いつも私たちがお世話になってるのに、私たちだけで合宿なんてずるいじゃん。一緒に行こう♪」
「みんながいいなら…」
「じゃ、決定!」
こうして憂も合宿に行くことになった
2人はそそくさと準備を整えると、家を後にした
「あ、でも私楽器持ってないや」
「ムギちゃんに聞いてみるっ!」
唯は携帯を開いた
181 :2009/08/20(木) 22:19:15.72 ID:OurInImK0
【けいおん×春合宿】
第5話「ムギの秘密」
「ぴ、ぴ、ぴっと」
唯は軽やかにダイヤルを始めた
「あ、もしもし~唯だよ」
『あら唯ちゃん、昨日はよく寝れた?』
「もちろんっ」
唯は憂に軽くウィンクした
憂もそれに答える
「それでムギちゃん、お願いがあるんだけど…」
『お願いって?』
「憂にも合宿来てもらうんだ」
『あら、楽しくなりそうね♪』
ムギは相変わらずのご機嫌な口調で答える
「それで、ギターとか貸してもらえたりする?」
『いいわよ。いくつかあるから、憂ちゃんの好きなの選んでもらえるといいかも』
「さ、さすがムギちゃんだね…ホントにありがとう」
『唯ちゃんの家にお邪魔した時とか、いつも憂ちゃんのお世話になってるもの、気にすることなんてないわ』
「じゃ、駅で会おうね!」
唯は電話を切った
あそこの角を曲がれば駅が見える。みんな待っているだろうか
182 :2009/08/20(木) 22:21:30.12 ID:OurInImK0
「みんなーっ!」
案の定、みんな揃っていた。唯と憂はみんなに手を大きく振った
「あれっ、憂ちゃんも来るのか?」
律は物珍しそうに憂の顔を覗き込む
ちょっと照れくさそうに憂が答える
「はいっ」
「来てくれて大助かりだよ。憂ちゃんはギターうまいもんね」
「そんなっ、みなさんの足を引っ張らないように頑張りますっ」
「憂が来てくれると、何かほっとする」
そう言って、梓は憂の手を握りしめた
「梓と憂ちゃんは同学年だもんね」
ムギがニコニコしながら二人の顔を見比べる
そこに、澪が尋ねた
「ところで、ムギ。今回は山の別荘なんだよな?」
「えぇ。でも、一応プライベートビーチも付いてますわ」
「今の時期って、寒いんじゃないんですか?」
「ふふふ、大丈夫よ。今回は南にある別荘だから」
5人は唖然とした
183 :2009/08/20(木) 22:23:23.54 ID:OurInImK0
「まさか…ハワイ?」
「ちょっとハワイは遠かったから、ここから近めの無人島にしてみたわ」
「む…無人島!?」
律が驚きから段々と歓喜の表情へと変わっていく
「やった!むじんとうだぞ、唯!」
「やったね!りっちゃん隊員!」
2人は手を取り合って喜んだ
「一応、私の家が所有している土地だから、正確には無人島とは言えないけどね」
「いや、もうとにかく感謝感激雨あられだぞっ!ムギ!」
「照れちゃうわ」
ムギは眉をハの字にして微笑んでいた
澪が再び尋ねる
「だけど、ムギ。そんな島までどうやって行くんだ?」
「あそこの公園にチャーターヘリが停まってるわ」
「ちゃーたーへり…」
「あ、安心して。旅客用だからゆったりと座れるわ」
「ムギ、やっぱりすごいんだな…」
澪は目が点になっていた
184 :2009/08/20(木) 22:25:20.24 ID:OurInImK0
6人はすぐ近くの公園に向かった。すでにヘリが到着していた
ヘリの入口には年頃の紳士が立っていた
「斉藤でございます。日ごろからお嬢様がお世話になっております」
斉藤が頭を下げたのにつられて、5人もそそくさと頭を下げる
「と、とんでもない。こ、こちらこそ」
律は早口で答えた
「では、こちらからお乗りください」
斉藤は入口の横に立ち、手招きをした。6人が乗り込み、斉藤が最後に周囲を確認をしてから乗り込んだ
「それでは、出発いたします」
バババババとプロペラ音を立てながら、ヘリは飛び立った
「すげ~!結構広いんだな」
律が驚きの声を上げる。ヘリの中はゆったりとしたバス座席のようになっていた
「ふかふかだ~」
唯はばふんと席に腰を降ろした
「ここから別荘のある島まで一直線でございます。1時間ほどかかりますので、それまで空の旅をお楽しみください」
そう言って、斉藤は前の方の席に戻って行った
185 :2009/08/20(木) 22:27:54.73 ID:OurInImK0
「それにしても…ムギの家って一体何をしてるんだ?」
澪は純粋な疑問をムギにぶつけた
「私のお父様はコトブキグループを総括している人、それだけですわ」
ムギは澪に笑いかけた
「そっかぁ、すごいんだなぁ…」
澪はムギを見つめながら、つぶやいた
「そうそう、みなさん酔わないように、これを渡しておきますわ」
ムギは小さな缶を取りだした
「これは…たくあん?」
缶から自分が取りだしたものをまじまじと見つめながら、律はムギに問いかけた
「えぇ。でもただのたくあんではないんです。食べるだけで、絶対に酔わなくなりますわ」
「へぇ~」
他の5人が次々とたくあんを口にしているのを見ながら、澪は考えていた
(ムギ…ほんとにオマエは何者なんだ…)
おしまい
「そうだったね★テヘッ!」
と、返してみたものの、律はそのまま窓の外を見続けている
「・・・りっちゃん元気ないね」
「あたしたちもう3年になるんだぞ。3年生・・・・」
そう言って、また律は窓の外を向いてしまった
唯はテーブルに戻って行った。ムギがちょうどティータイムの用意を終えたところだった
「りっちゃん隊長!紅茶が入ったでごわす!」
「そうか・・・今行く」
ムギ、澪、唯、梓が座っているテーブルに向かって、律がふらふらと歩いてきた
「どうしたんだ・・・律らしくもない」
澪が心配そうに律の顔を覗き込む
364:2009/08/10(月) 08:04:46.60 ID:UU0f1QAZ0
「なぁ澪・・・・」
「なんだ律」
「・・・なんでもない」
「なんでもないことはないだろ」
「じゃぁ、抱きしめて」
「・・・・は?」
「寂しき乙女を抱いてくだされ」
「・・・ホントにどうしたんだ?」
澪だけでなく4人全員が律を不安そうに見つめていた
「もしかして5月病!?」
ムギが思いついたように口にした
「今はまだ3月ですよ、ムギ先輩」
「じゃぁ3月病か」
澪はそう言いながら律のおでこに手を当てた
「・・・熱は無いみたいだし」
「澪の手、あったかい」
「そうか、よしよし」
澪は律の頭を軽くなでてやった
「りっちゃんだけずるい~」
「はいはい」
開いていた手で澪は唯の頭もなでてやった
366:2009/08/10(月) 08:15:40.78 ID:3QE87zvk0
突然、律が口を開いた
「なぁ、春休みはみんな何するんだ?」
「う~ん、また新しい歌詞でも考えようかなぁ」
「とくにありせんわ」
「家でアイスいっぱい食べるぅ。あと、ギ―太とたくさん遊ぶっ」
「私も家でギターの練習でもしようかなって思ってます」
みんなの返事を聞き、律がはぁ、と息をもらした
「みんなといっしょにいたいなぁ」
しばしの沈黙が続いた。そして、その沈黙を澪の言葉が破った
「春合宿。するか」
「みおっ!愛してるっ!」
澪の言葉を聞くや否や律の目に火がともり、澪に抱きついた
「あっ、こらっ!」
「いいじゃんいいじゃん、ちょっとだけ」
367:2009/08/10(月) 08:18:30.75 ID:3QE87zvk0
こうして軽音部の春合宿が決まった
温かい春の陽気。その中でさっきと変らず5人はまた、うとうとしながら紅茶をすすり始めたのだっ
た
「ムギちゃんがいれてくれた紅茶はやっぱりおいしいや」
「そんな、照れちゃいますよ」
「あ、ミルキャラコーヒークッキーとるなよ、唯」
「ごめ~ん、じゃこれ食べちゃお」
「唯先輩!私のムギチョコ入りぱふぱふチョコパイ取らないでくださいっ」
「ぶひ~っ、あずにゃんまでっ!」
「唯先輩はお菓子食べすぎなんですよっ。もう10個も食べてるじゃないですか」
「だってぇ、食べても太らないし~」
4人が声をそろえて
「うらやましい」
と言ったのはいうまでもない
579:2009/08/10(月) 22:26:19.44 ID:yHTP8dDI0
第2話 「ハワイ?グアム?春合宿はリゾート気分!?」
次の日
終業式が終わり、5人はまたいつもと同じように音楽室に集まっていた
「春合宿、どこに行こうか」
「夏は海だったから、今度は山にしようぜっ!」
律は元気まんまんだ
「りっちゃん、どうせならハワイに行かないっ?」
「唯先輩っ、話が飛躍しすぎですっ!」
梓は唯のボケに真面目に突っ込んだ
「あら、ちょうどハワイの別荘が空いてるのよ。よかったら行きましょうよ」
「ムギ・・・マジなのか?」
「えぇ、あそこなら一年中温かいですから、海で遊べますし」
「ありがとムギっ!よしっ、そこで決定だっ!」
律の頭の中はもうハワイでいっぱいのようだ
580:2009/08/10(月) 22:27:11.37 ID:yHTP8dDI0
だが、それを澪が制した
「落ち着け律。海外に行くとなると手続きがいろいろと面倒だろ」
「え~」
「ただでさえ短い春休みなんだ、もっと手近なところのほうがいいだろ」
「やっぱり、山にしませんか」
「山も空いてますよ。この近くなら・・・ほら、あそこのふもとの!」
そう言ってムギは窓の外を指差した
「ムギちゃん!どのへん?どのへんっ?」
唯が窓を覗き込む
「ほら、あそこですわ」
「わかんないよ~」
唯は窓から身を乗り出している
「危ないですっ!唯先輩。落っこちちゃいますよ」
「落ち着け唯。まぁ、とりあえず場所は決まりだな」
「え~、やっぱり海外がいいなぁ」
律はまだまだ納得していなさそうだった
581:2009/08/10(月) 22:27:52.25 ID:yHTP8dDI0
「おい律。まだ武道館ライブも実現しないうちに海外進出か?YMOじゃあるまいし笑わせるなよ」
「げ、さわちゃん・・・」
「い、いつのまにっ」
5人は全く気づかなかったが、さわ子は確かに音楽室の中にいた
それにしても恐ろしいほどの素早さである
「わいえむおーってなに~?」
唯はさわ子が現れたことなど気にもとめていない
「テクノポップってジャンルをはやらせたグループよ」
「テクノポップってPerfumeみたいな?」
「ん~、まぁそんな感じかな」
「日本のポップス界に大きな影響を与えたんですよ」
梓が付け加えた
「あずにゃん、詳しいんだねっ」
「お父さんがファンだったんで」
「なるほど~」
584:2009/08/10(月) 22:37:33.94 ID:iSl3DN99O
どすん、とさわ子はソファーに腰を下ろした
「とにかく、合宿で海外に行こうなんていくらなんでも無理があるわ」
「お、さわちゃんが先生らしいこと言ってる」
「・・・・・・・ブチ」
「あ、いや、わかりました~っ!」
「それに・・・近いところじゃないと私も行けないし」
「あ・・・やっぱり来るんだ」
律はため息をもらした
「あたしがあんたたちに特訓してあげるから、覚悟しなさい!」
ビシッと音がしたような気がした。さわ子は決めポーズをとっている
「じゃ、お仕事があるから。バイバ~イ」
そう言ってさわ子は音楽室から出ていった
585:2009/08/10(月) 22:46:04.97 ID:iSl3DN99O
音楽室にご無沙汰の静寂が訪れると、梓が口を開いた
「ふぅ・・そういえば、最近楽器屋さんに行ってませんでしたよね。
今日で学校も終わりですし、よかったらみんなで行きませんか?」
「確かにっ!ギー太も最近見てもらってなかったし」
唯はケースの上からギー太をなでていた
「そうだな。もしかしたら新しい楽器とか楽譜が入荷してるかも」
「じゃあ、行きましょうか」
5人は音楽室を後にした
296:2009/08/17(月) 22:10:13.09 ID:p4Rvw9hH0
【けいおん×春合宿】
第3話「決戦!10GIA」
5人はいきつけの楽器屋『10GIA』に来ていた
「わ~ギターがいっぱいだ~」
「唯はここにくるといつもそればっかだな」
「ちょっと店内のレイアウトが変わったみたいですね」
「あ、キーボードのコーナーが大きくなってる」
そこには大小さまざまなキーボードが並べてあった
思わず紬が手を触れる
「あっ、すごい面白そうなシンセだわ」
色々なボタンをカチカチと押しながら様々な音色を鳴らしていた
「すご~い!ムギちゃん」
「やだ、照れちゃう」
「お~い、唯!弦張り替えてもらうぞぉ」
「あ、は~い!」
澪に呼ばれてギー太を抱えて唯はレジの方へと駆け出した
「お願いしま~す」
「かしこまりました」
(あ、この前と同じ店員さんだ♪)
297:2009/08/17(月) 22:11:00.78 ID:p4Rvw9hH0
唯は今度は律に呼ばれた
「唯っ、新しい楽譜見に行こうぜっ」
「おっけい!」
「おい、澪も行くぞっ」
「じーっ・・・」
「ま、またかよっ・・・」
「やっぱ、これ欲しいな」
「だーっ!もう持ってるじゃんかっ」
律は面倒くさそうに頭をもしゃもしゃかきむしる
「・・・欲しいものは欲しいんだよっ」
「あら・・・澪ちゃん、それ欲しいの?」
「げっ、さわちゃんっ!?」
なんということだろう。さわ子もここに来ていたのである
300:2009/08/17(月) 22:13:16.67 ID:p4Rvw9hH0
「今日はよく会うわね」
「そ・・・そうですね」
「澪ちゃん。あたしとゲームしないっ?」
「げ、ゲーム!?」
「そう、あたしとギター勝負」
「てか、ギター弾けないし・・・」
澪はチラッと唯のほうを見た
「ギター弦の張替え中だよっ・・・」
唯はおろおろしている
「あ、あたしが勝負しますっ!」
梓が声を上げた
「いいわよ、ただし、条件があるわ・・・」
「ゴクリ・・・」
5人は生唾を飲み込んだ
301:2009/08/17(月) 22:14:20.00 ID:p4Rvw9hH0
「買ったら、顧問として澪ちゃんの欲しいそのベースは買ってあげるわ。でも・・・」
「でも・・・?」
「負けたら、私のコスプレ趣味に一切口出し禁止!さらにおさわり自由化ッ!!」
「ひいッ!」
「梓・・・大丈夫なのかっ?」
律が顔をひきつらせながら梓に尋ねる
「だ、大丈夫ですっ!」
「あ~ら、無理しなくてもいいのよ」
「み、澪先輩のためですっ!頑張りますっ!」
「きまりね」
さわ子は指を軽く鳴らした
303:2009/08/17(月) 22:15:56.05 ID:p4Rvw9hH0
「勝負はギターソロ勝負よ。審査員はこのお店の店員さん」
「ギターソロ勝負・・・?」
「審査員の心をより強く突き動かした方の勝ちよ。どう?面白そうでしょ?」
「いいです。やってやるですぅ!」
さわ子は店内のギターをぐるりと見回すと、そばにあった1本を取った
「これで・・・勝負よ!」
「望むところですぅ!」
梓も背負っていたギターをケースから出した
店員がそれぞれのギターをアンプにつないだ。準備完了だ
「じゃんけん、ぽん!」
「あ、負けたですぅ」
「勝った~♪じゃ、あたしからね」
さわ子はギターを構えた。店員から拍手が起こる
「おりゃぁあああああああああ!!」
恐ろしく早く手が動いている。とんでもない速さで音階を上ったり、下がったり・・・
息をつかせる暇もなかった
「ふっ、こんなもんよ」
305:2009/08/17(月) 22:17:36.35 ID:p4Rvw9hH0
店員も唖然としてしまって、少し間を置いてからぱらつくように拍手が起こった
「す・・・すごい技術だ・・・」
「じゃ、次は梓ちゃんの番ね」
そう言ってさわ子は梓の方を見た
「じゃ、い、いくですぅ!」
震える声で梓がギターを構える、。拍手が聞こえた
(澪先輩、私の気持ち、聞いててくださいっ!)
「えーいっ!」
驚いたことに、梓もさわ子に負けず劣らずの素晴らしいテクニックを披露し始めた
唯は驚きのあまり、開いた口がふさがらない
(あ、あずにゃん、いつの間にこんな練習を・・・)
梓が弾き終えると、これまた間を置くようにして拍手が起こった
306:2009/08/17(月) 22:19:10.47 ID:p4Rvw9hH0
「し、シンキングタイムです」
店員たちは相談を始めた。2人とも予想外にうまかったので、慌てているようだ
ムギが澪に耳そばで話しかける
「もし必要なら、ひとこえいれましょうか・・・?」
「いや、その必要は無いみたいだぞ」
店員たちは相談を終えたようだ
「は、発表します!」
(ドキドキ)
5人の胸が一斉に高鳴る
「2番の勝ちです!」
「やったぁああ!!!」
5人は一緒に飛び上がった
「そ・・・そんな・・・」
さわ子は地べたにへたり込んでしまった
307:2009/08/17(月) 22:20:41.47 ID:p4Rvw9hH0
「ど・・・どうして?」
「気持ち。ですよ」
「気持ち?」
「そう、気持ちです」
店員が教えてくれた
「確かにあなたの演奏も技術的に見れば異常なほど凄いものでした」
「そ、それなら・・・」
「でも、後の子の演奏には、気持ちが感じられました。そう、とても強い心の思いが演奏の中に感じられたんです」
「・・・思い、か」
「でも、うらやましいですよ、あんなにうまい生徒さんがいるなんて」
「そ、そうですか?」
「桜高の軽音楽部は昔からうまいと聞いていましたが、ここまでとは・・・」
「あら、嬉しいわ」
にっこりと微笑みながら、さわ子は過去の自分を思い出していた
308:2009/08/17(月) 22:22:12.27 ID:p4Rvw9hH0
「ベースですが、少しならお値引きいたしますよ?せっかくいい演奏を聞かせてもらったんですし」
「えっ、ホント?」
「えぇ、また機会があったら演奏を聞かせてください。店員一同お待ちしておりますから」
店員はペコリと頭を下げた
結局、澪の欲しかったベースは半額になったのである
「あ、ありがとな、梓・・・」
「そんな・・・澪先輩のためなら、このくらい・・・」
「私は何よりあんなにうまくなっていたことに感動したよ。本当に頑張ったんだな、エライぞ」
澪は梓の頭を優しくなでた
(あぁ・・・澪先輩、幸せですぅ)
309:2009/08/17(月) 22:24:08.40 ID:p4Rvw9hH0
さわ子がレジからベースを持ってやってきた
「ほら、澪ちゃんっ、あなたの欲しかったベースよ」
「ありがとう、さわ子先生」
「ちゃんと大切にしなさいよ」
「はい。・・・その、さわ子先生」
「何よ?」
「コスプレとか・・・結構気に入ってますから。恥ずかしいけど・・・」
「じゃ、これからもヨロシクぅ!」
さわ子の切り替わりの早さに、5人は唖然とした
「結局コスプレするんかいっ!!」
こうして澪は新しいベースを手に入れたのだった
647 :2009/08/19(水) 21:15:29.34 ID:hOTfj7LY0
【けいおん×春合宿】
第4話「唯と憂」
「ただいま~っ!」
「あっ!お帰りっ、おねえちゃんっ!」
唯が元気よく帰宅すると、憂はいつものように笑顔で出迎える
「ういっ、明日から春合宿するんだっ!」
「えっ、ほんと!?」
「うん、だから今日は早く寝るつも……うい?」
唯は途中で言葉を止めた
それは、憂が泣き始めてしまったからだった
651 :2009/08/19(水) 21:20:33.22 ID:hOTfj7LY0
「う、うい?どうしたの?」
「おねぇちゃん…うぐっ」
無理もない。憂にとって唯は姉であるとともに、ある意味で心のよりどころでもあったのだ
「明日は2人で一日家でゆっくりできると思ったのに…ぐすん」
「うい…そうだよね。最近私ういと一緒に過ごしてないもんね」
唯はそっと憂のことを抱きしめた
「うい…大好きだよっ…」
「おねえ…ちゃん…」
「うい、いつも手間かけさせてごめんね、こんなお姉ちゃんでごめんね…」
ポタポタと床に涙が落ちた。唯の涙だった
652 :2009/08/19(水) 21:22:40.81 ID:hOTfj7LY0
「部活で楽しいからって、家のことほったらかしにして…うぐっ」
「…おねーちゃん」
「そのくせ、クリスマス会とかでみんなを家に呼んじゃって…忙しくさせちゃって…」
耐えきれなくなったのか、唯は突っ伏してしまった
「うぐっ、うっ、うっ、うぐっ」
「……」
憂は唯の自由奔放な性格は分かっていたし、それが好きだった
654 :2009/08/19(水) 21:26:02.93 ID:hOTfj7LY0
「おねぇちゃん。私、そんなことは全然気にしてないんだ」
「……」
「ただ、最近すごく寂しくて…」
「ごめんね…」
「ううん、お姉ちゃんは悪くない。私の心が弱いのが…」
「いっしょに…ねよ」
「…え?」
唯はまだ涙を流していた
「今日は、一緒に寝よ。うい」
憂は唯の顔を見つめた
「うん、おねえちゃん」
その夜、2人は同じベッドで寝た
655 :2009/08/19(水) 21:31:51.25 ID:hOTfj7LY0
次の日、2人は時を同じくして目を覚ました
「おはよ、うい」
「おはよう、お姉ちゃん」
大きなあくびを一つした後、唯は尋ねた
「うい…一緒に合宿行かない?」
それは憂にとってあまりにも意外なことだった
「えっ、いいの?お姉ちゃん」
「いつも私たちがお世話になってるのに、私たちだけで合宿なんてずるいじゃん。一緒に行こう♪」
「みんながいいなら…」
「じゃ、決定!」
こうして憂も合宿に行くことになった
2人はそそくさと準備を整えると、家を後にした
「あ、でも私楽器持ってないや」
「ムギちゃんに聞いてみるっ!」
唯は携帯を開いた
181 :2009/08/20(木) 22:19:15.72 ID:OurInImK0
【けいおん×春合宿】
第5話「ムギの秘密」
「ぴ、ぴ、ぴっと」
唯は軽やかにダイヤルを始めた
「あ、もしもし~唯だよ」
『あら唯ちゃん、昨日はよく寝れた?』
「もちろんっ」
唯は憂に軽くウィンクした
憂もそれに答える
「それでムギちゃん、お願いがあるんだけど…」
『お願いって?』
「憂にも合宿来てもらうんだ」
『あら、楽しくなりそうね♪』
ムギは相変わらずのご機嫌な口調で答える
「それで、ギターとか貸してもらえたりする?」
『いいわよ。いくつかあるから、憂ちゃんの好きなの選んでもらえるといいかも』
「さ、さすがムギちゃんだね…ホントにありがとう」
『唯ちゃんの家にお邪魔した時とか、いつも憂ちゃんのお世話になってるもの、気にすることなんてないわ』
「じゃ、駅で会おうね!」
唯は電話を切った
あそこの角を曲がれば駅が見える。みんな待っているだろうか
182 :2009/08/20(木) 22:21:30.12 ID:OurInImK0
「みんなーっ!」
案の定、みんな揃っていた。唯と憂はみんなに手を大きく振った
「あれっ、憂ちゃんも来るのか?」
律は物珍しそうに憂の顔を覗き込む
ちょっと照れくさそうに憂が答える
「はいっ」
「来てくれて大助かりだよ。憂ちゃんはギターうまいもんね」
「そんなっ、みなさんの足を引っ張らないように頑張りますっ」
「憂が来てくれると、何かほっとする」
そう言って、梓は憂の手を握りしめた
「梓と憂ちゃんは同学年だもんね」
ムギがニコニコしながら二人の顔を見比べる
そこに、澪が尋ねた
「ところで、ムギ。今回は山の別荘なんだよな?」
「えぇ。でも、一応プライベートビーチも付いてますわ」
「今の時期って、寒いんじゃないんですか?」
「ふふふ、大丈夫よ。今回は南にある別荘だから」
5人は唖然とした
183 :2009/08/20(木) 22:23:23.54 ID:OurInImK0
「まさか…ハワイ?」
「ちょっとハワイは遠かったから、ここから近めの無人島にしてみたわ」
「む…無人島!?」
律が驚きから段々と歓喜の表情へと変わっていく
「やった!むじんとうだぞ、唯!」
「やったね!りっちゃん隊員!」
2人は手を取り合って喜んだ
「一応、私の家が所有している土地だから、正確には無人島とは言えないけどね」
「いや、もうとにかく感謝感激雨あられだぞっ!ムギ!」
「照れちゃうわ」
ムギは眉をハの字にして微笑んでいた
澪が再び尋ねる
「だけど、ムギ。そんな島までどうやって行くんだ?」
「あそこの公園にチャーターヘリが停まってるわ」
「ちゃーたーへり…」
「あ、安心して。旅客用だからゆったりと座れるわ」
「ムギ、やっぱりすごいんだな…」
澪は目が点になっていた
184 :2009/08/20(木) 22:25:20.24 ID:OurInImK0
6人はすぐ近くの公園に向かった。すでにヘリが到着していた
ヘリの入口には年頃の紳士が立っていた
「斉藤でございます。日ごろからお嬢様がお世話になっております」
斉藤が頭を下げたのにつられて、5人もそそくさと頭を下げる
「と、とんでもない。こ、こちらこそ」
律は早口で答えた
「では、こちらからお乗りください」
斉藤は入口の横に立ち、手招きをした。6人が乗り込み、斉藤が最後に周囲を確認をしてから乗り込んだ
「それでは、出発いたします」
バババババとプロペラ音を立てながら、ヘリは飛び立った
「すげ~!結構広いんだな」
律が驚きの声を上げる。ヘリの中はゆったりとしたバス座席のようになっていた
「ふかふかだ~」
唯はばふんと席に腰を降ろした
「ここから別荘のある島まで一直線でございます。1時間ほどかかりますので、それまで空の旅をお楽しみください」
そう言って、斉藤は前の方の席に戻って行った
185 :2009/08/20(木) 22:27:54.73 ID:OurInImK0
「それにしても…ムギの家って一体何をしてるんだ?」
澪は純粋な疑問をムギにぶつけた
「私のお父様はコトブキグループを総括している人、それだけですわ」
ムギは澪に笑いかけた
「そっかぁ、すごいんだなぁ…」
澪はムギを見つめながら、つぶやいた
「そうそう、みなさん酔わないように、これを渡しておきますわ」
ムギは小さな缶を取りだした
「これは…たくあん?」
缶から自分が取りだしたものをまじまじと見つめながら、律はムギに問いかけた
「えぇ。でもただのたくあんではないんです。食べるだけで、絶対に酔わなくなりますわ」
「へぇ~」
他の5人が次々とたくあんを口にしているのを見ながら、澪は考えていた
(ムギ…ほんとにオマエは何者なんだ…)
おしまい



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