102: 2012/03/24(土) 21:19:32.52 ID:IRGGvwsZ0


前回:第18話『たくさんの、いっぱい』
最初から:赤羽根P「俺が」青羽根P「俺たちが」黄羽根P「プロデューサーだ」

「萩原さーん!マイクの感じどうですかー!?」

雪歩「あ、はい!いつも通り大丈夫です!」

「了解でーす!」

雪歩「…」

雪歩(今日は、私が普通のアイドルに戻る日)

雪歩(…今日が過ぎれば、私は他のみんなと何の変わりも無い普通のアイドルになる)

雪歩(…)

雪歩(…今日は)

雪歩(犬限定ライブ、最終公演の日です)

「それじゃあ最初から通しでいきまーす!」


番外編『アイドルとして』
THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!(dアニメストア)
104: 2012/03/24(土) 21:23:54.67 ID:IRGGvwsZ0
黄P「おう、おつかれ」

雪歩「プロデューサー…おつかれさまですぅ」

黄P「いつも以上に仕上がってんな」

雪歩「ええ、まあ…最後ですから…」

黄P「…」

雪歩「…」

黄P「…ま、お前が決めたことなら俺は何も言わない」

黄P「頑張れよ」

雪歩「…はい」スタスタ

105: 2012/03/24(土) 21:27:59.54 ID:IRGGvwsZ0
黄P「…」

黄P(最近の雪歩…まあ雪歩だけじゃなくてうちの連中全員だが)

黄P(もっぱら仕事も増えてアイドルとしての人気も出てきた)

黄P(…売れないころの黒歴史ってなあこの業界にゃたくさんあるもんだが)

黄P(清純派として売り出したい雪歩にはこの犬限定ライブはイメージダウンにつながる)

黄P(……スポンサー様の要望ってのは絶対だしな)

黄P(…難しいもんだ)

黄P(それに、なによりあいつ自身が…)

スタッフリーダー「あの、プロデューサーさん?」

106: 2012/03/24(土) 21:32:43.76 ID:IRGGvwsZ0
黄P「あ、ああ!どうしたんすか?」

スタッフリーダー「大丈夫ですか?ぼーっとして…」

黄P「いやー、昨日深夜に工口い洋画がやってましてね…ついつい…」

リーダー「あはは、相変わらずですね」

黄P「へへ、光栄です」

リーダー「ところで、相談したいことがあるんですけど…」

黄P「相談…?」

107: 2012/03/24(土) 21:37:09.00 ID:IRGGvwsZ0
-楽屋-

雪歩「…」

雪歩「今日で終わり、かぁ…」

雪歩「…」

雪歩(プロデューサーさんには、私もこのライブをやめたいって言った)

雪歩(だって四条さんとかいっつも感想言ってくるし…うぅ…)

雪歩(……まあ褒めてくれるのはうれしいけど…)

雪歩(でも…)

雪歩(…そろそろ潮時なのかな、とも思う)

109: 2012/03/24(土) 21:42:17.03 ID:IRGGvwsZ0
雪歩(正直、このままじゃ私はいわゆるトップアイドルにはなれない)

雪歩(だったら…)

雪歩(……だったら、普通のアイドルに戻るしか…)

「萩原さーん!そろそろ準備お願いしまーす!」

雪歩「!」

雪歩「…よし」

雪歩「はい!今行きます!」

雪歩(…今日は)

雪歩(今日は、私が普通のアイドルに戻る日)

111: 2012/03/24(土) 21:47:04.76 ID:IRGGvwsZ0
-ライブ-

犬A「わんわーん!雪歩様ー!」

犬B「わんわーん!もっと投げてくださーい!」

雪歩「ほら!あなたたちの好きなドッグフードよ!お食べ!」

犬たち「わんわーん!」


黄P「…」

黄P(…あと一曲で、ラストか)

黄P「すんません、スタッフの皆さん準備お願いします」

スタッフ1「あはは、水臭いなあプロデューサーさん」

スタッフ2「俺たちの仲でしょ?最後まで付き合いますよ」

黄P「…ありがとうございます」

112: 2012/03/24(土) 21:51:39.63 ID:IRGGvwsZ0
雪歩「はあ…はあ…」

犬A「わんわーん!雪歩様ー!」

犬B「わんわーん!本日もすばらしい歌声でしたー!」

雪歩(次が…次が最後の曲…)

雪歩「…」

雪歩(…い、言わなきゃ…!)

雪歩(普通のアイドルに戻りますって…!雪歩様は卒業だって…!)

雪歩(なのに…!なのに!)

114: 2012/03/24(土) 22:00:08.61 ID:IRGGvwsZ0
犬A「わんわ…お、おい…」

犬B「雪歩様泣いてる…」


雪歩「う、うう…ぐすっ……!」


ザワザワ ザワザワンワン


黄P(…正念場だ、雪歩)

黄P「…」

黄P「頑張れ……!」


雪歩「…ひぐっ、ぐすっ…」

雪歩(やめるって言わなきゃ…萩原雪歩に戻るって…!)

雪歩(なのに、言えない…!私、私…!)

雪歩「やめたくないよぉ…!」

犬たち「!!」

115: 2012/03/24(土) 22:05:04.67 ID:IRGGvwsZ0
犬A「お、おい…今やめるって…!」

犬B「…う、嘘だろ…雪歩様アイドルやめちゃうのかよ…?」

雪歩「雪歩様って呼ばれてもいい!ちょっとくらい変なアイドル扱いされたっていい!」

犬たち「!」

雪歩「私のアイドルとしての出発点はここで!私を成長させてくれたのもここで!」

雪歩「私に声援を送ってくれたのはここのみんなだった!」

犬たち「…」

雪歩「やめたくないよぉ…最後なんてやだよぉ…う、うう…!」

116: 2012/03/24(土) 22:10:26.81 ID:IRGGvwsZ0
犬A「さ、最後…?」

犬B「…もしかして雪歩様ライブが最後ってことじゃあ…」

「そ、そんな!」「雪歩様ー!やめないでくれー!」「わ、わんわーん!」

雪歩「うう…、ぐすっ…」


黄P「…すんません、今お願いします」

スタッフ1「了解」ポチッ

スタッフ2「…それにしても、プロデューサーさん」

黄P「……はい」

スタッフ2「…この写真の雪歩ちゃん、めちゃくちゃかわいいですね」

黄P「…ええ」

黄P「なんたって、雪歩ですから」

119: 2012/03/24(土) 22:23:30.00 ID:IRGGvwsZ0
雪歩「う、うう…」

雪歩(…ダメだな私、こんなことも言えないで…)

雪歩(これじゃトップアイドルなんて夢のまた夢で…)

雪歩(…? 客席が騒がしい…?)

犬A「…お、おい…あの雪歩様…」

犬B「……ああ、すっげえかわいいな…」

雪歩(…私のうしろ?)

雪歩(一体何が…)クルッ

雪歩「!!」

121: 2012/03/24(土) 22:28:01.46 ID:IRGGvwsZ0
雪歩「こ、これ…今度の映画のスナップ写真…!」

雪歩「なんでスクリーンに…!」


黄P「…今度の映画で準主役もらったんすよ、雪歩のやつ」

黄P「…ちなみにこの写真も、今日見本もらったばかりの未公開です」

スタッフ1「へえ、どうりで見たこと無い写真なわけだ」

黄P「病院で不治の病と闘うお嬢様の役…だったかな、確か」

スタッフ2「いいんですか?そんな写真ここで見せちゃって」

黄P「今までついてきてくれた犬へのご褒美ですよ」

スタッフ2「はは、それじゃこんな仕事続けるわけにはいかないな…残念だけど」

黄P「…そうっすよね」

黄P「あいつは、もっと先に進まなきゃいけないんだ」

122: 2012/03/24(土) 22:32:58.79 ID:IRGGvwsZ0
雪歩(で、でも…こんな写真を見せられたって…!私は…!)


「雪歩様ー!!!」


雪歩「!」

雪歩(あの人…)

雪歩(いつも欠かさず来てくれてる…)

雪歩(夏祭りの村の…!)

若者「わんわーん!雪歩様ー!」


黄P「…曲の準備、お願いします」

スタッフ1「…了解」

123: 2012/03/24(土) 22:36:56.00 ID:IRGGvwsZ0
若者「俺は、今まで現実の女性に興味が持てずにいました!」

若者「三次元なんてくそくらえ!そう思ってた時期が私にもありました!」

オ、オレモダ… ムシロゲンザイシンコウケイダ… ユキホサマハジゲンガチガウワン

若者「でも!雪歩様に出会ってからそんな考えは吹き飛びました!」

若者「こんな素敵な女性がこの世にいるのかと思いました!」

雪歩「…」

若者「そして、今スクリーンに映ってる写真を見て実感しました!」

若者「俺は、なにがあろうと雪歩様のファンです!」

雪歩「!!」

126: 2012/03/24(土) 22:42:32.64 ID:IRGGvwsZ0
若者「でも、萩原雪歩に戻るなんて思わないでください!」

雪歩「あ…」

若者「一歩進んで、トップアイドルを目指してください!」

若者「前に、先に進んでください!」

若者「俺はいつでも、雪歩様を応援してます!」

若者「…」

若者「…すぅ…はぁ…」

若者「雪歩ぉぉぉー!!!頑張れぇぇーーー!!!!」

雪歩「…!!」

127: 2012/03/24(土) 22:46:53.09 ID:IRGGvwsZ0
「あ、あいつ雪歩様を呼び捨てで…!」「犬の風上にも置けん!」


雪歩「あ、あの!」

犬たち「…ゆ、雪歩様……!」

雪歩「…じ、実は私、今日でこのライブをやめるつもりだって…この場で言うつもりでした」

「や、やっぱりか…」「嘘だって言ってくれー…」

雪歩「……でも、皆さんの顔を見てたらやっぱり言えなくて…」

雪歩「私にとってここは、とても大切な場所なんだって実感しました」

雪歩「…ありがとうございます」

「ゆ、雪歩様が頭を…」「こんな雪歩様初めて見た…」

128: 2012/03/24(土) 22:52:05.67 ID:IRGGvwsZ0
雪歩「…でも、いつまでも甘えてちゃいけないって思ったんです」

雪歩「ここにいれば雪歩様雪歩様ってみんなが言ってくれる」

雪歩「だけど、トップアイドルを目指すにはそれじゃダメだって思ったんです」

雪歩「……今日で、雪歩様は卒業です」

「そ、そんな…」「くぅん…」

雪歩「…だから、今日は最後に新しい私を見てもらおうと思います」

雪歩「…聞いてください」

雪歩「『Kosmos,Cosmos』」

132: 2012/03/24(土) 23:00:16.95 ID:IRGGvwsZ0
Kosmos,Cosmos

跳び出してゆく 無限と宇宙の彼方

Kosmos,Cosmos

もう止まれない 

イメージを塗り替えて

ユラリ フワリ 花のようにユメが咲いて

キラリ

光の列すり抜けたら二人

Access to the future

Reason and the nature

133: 2012/03/24(土) 23:05:41.95 ID:IRGGvwsZ0
-ライブ後、楽屋-

雪歩「…」

雪歩(……終わっちゃった、な…)

雪歩(みんな、どう思ってるんだろ…急にライブやめるなんて言って…)

雪歩「…」

雪歩(…やっぱり、怒ってるよね)

雪歩(……ごめん、なさい)

ガチャ

黄P「…おつかれさん」

雪歩「プロデューサー…」

134: 2012/03/24(土) 23:10:16.39 ID:IRGGvwsZ0
黄P「どうだったよ、卒業してみて」

雪歩「…なんだか、ふわふわしてます。実感が無いっていうか…」

黄P「へへ、そりゃそうだろうな」

雪歩「……今までの私を作ってくれたって言っても、おかしくないですから」

黄P「…まあ、あいつらは今までよくついてきてくれたよ」

雪歩「…」

黄P「不安か?やっぱり」

135: 2012/03/24(土) 23:14:03.78 ID:IRGGvwsZ0
雪歩「…不安じゃないわけないです、急にこんなことして…」

雪歩「今まで見に来てくれたお客さんも、怒ってるかもしれないし」

黄P「…」

雪歩「これでもし、嫌な噂とかされたらって思うと、私…!」

黄P「…雪歩、ちょっと耳を澄ましてみろ」

雪歩「…なんですか、こんなときに」

黄P「いいから」

雪歩「…」


……ホー …キホー …コール! …ンコール!

136: 2012/03/24(土) 23:19:27.74 ID:IRGGvwsZ0
…キホー!! ユキホー!! アンコール!! アンコール!!


雪歩「…あ……」

黄P「思えば、今まではあいつらライブ後はわんわん言うだけでアンコールなんて一度も無かった」

黄P「でもよ、アイドルってのはアンコールに応えるのがお決まりなんだぜ?」

雪歩「わ、私…私……!」

黄P「それによ」

雪歩「…?」

黄P「『雪歩様』じゃなくて、せっかくお前の名前呼んでくれてんだ」

黄P「行ってやれ、雪歩」

137: 2012/03/24(土) 23:24:25.64 ID:IRGGvwsZ0
雪歩「ぷろ、プロデューサー…!う、うう…!」

黄P「…泣くのはライブが全部終わってからだ、雪歩」

黄P「別に泣くお前も悪かねえけどよ、ファンが見たいのは笑ったお前だぜ?」

雪歩「…!」

黄P「おら!分かったらさっさと行って来い!」

雪歩「…はい!行ってきます!」

ガチャ バタン! タッタッタッ…


黄P「へへ、いい顔してやがる」

黄P「…」

138: 2012/03/24(土) 23:28:21.82 ID:IRGGvwsZ0
黄P「…あいつは」

黄P「俺が初めて企画して、今までずっといっしょにやってきたアイドルで」

黄P「…最初はこのライブハウス借りるのも一苦労で」

黄P「それでも徐々に人気が出てきて、それで…」

黄P「…」

黄P「……こんな顔、赤羽根と青羽根のヤローには見せらんねえなあ…」


ミンナー!オマタセー! ウオオオ!ユキホー! ヤッパリカワイー!!

…

139: 2012/03/24(土) 23:33:40.13 ID:IRGGvwsZ0
-後日、765プロ事務所-

雪歩「おはようございますっ!」

小鳥「あら雪歩ちゃん、最近いきいきしてるわね」

雪歩「そうですかぁ?えへへ」

小鳥「今度の映画も頑張らないとね!」

雪歩「はい!もちろんですぅ!」

黄P「…」


『…相談てのはなんですか、リーダーさん』

『いや、先日ファンの方がいらしてですね…』

141: 2012/03/24(土) 23:38:07.25 ID:IRGGvwsZ0
リーダー『ステージの調整とかしてるときだったんですけど、真剣だったから話を聞いてみたら』

リーダー『どうも雪歩ちゃんの今後を心配してるって旨を伝えてきたんです』

リーダー『これからもっと有名になるにあたって、このライブは邪魔なんじゃないのかって』

黄P『……、そいつぁ…』

リーダー『…普段なら帰れって言ってたところですけど』

リーダー『ちょうど今回で終わりだってときだったから…つい話してしまいました』

黄P『いえ、遅かれ早かれ分かることなんで、大丈夫ですよ』

黄P『…それに、多分そいつは一番言うこと聞く犬なんで』

142: 2012/03/24(土) 23:43:15.41 ID:IRGGvwsZ0
リーダー『それで、その人が言っていたのは』

リーダー『…とにかく、雪歩ちゃんの魅力をみんなに伝えてほしい、って』

黄P『…!』

リーダー『ライブに集まる犬は、みんななにかしら雪歩ちゃんに魅力を感じているはずだ』

リーダー『だけど雪歩様は、雪歩ちゃんの本当の魅力じゃない』

リーダー『…雪歩ちゃんの本当の魅力を、見せつけるようなライブにしてくれ…だそうです』

黄P『……だったら、ちょうど今日…』


…

145: 2012/03/25(日) 00:00:28.81 ID:IRGGvwsZ0
黄P「…忠犬ってなあ、いつの時代にもいるもんだな」

雪歩「プロデューサー?」

黄P「だわっ!!び、びっくりさせんじゃねえ!」

雪歩「だってボーっとしてたから…大丈夫ですか?」

黄P「…大丈夫だよ!昨日の夜に工口い情報番組がやってたから夜更かししただけだ!」

雪歩「え、工口って…!うう…!」

雪歩「今から映画の撮影なんですから、早く行きましょう!」

黄P「…ずいぶんとノリノリじゃねえか」

雪歩「もちろんですよ!だって…」

雪歩「犬ライブを無かったことにするんじゃなくて、それを土台にして頑張ろうって思ったら、すっごく楽になったんです」

雪歩「つらいけど楽しかったっていうのは本当ですし」

黄P「…そうか」

146: 2012/03/25(日) 00:05:05.01 ID:61gEGj0C0
雪歩「それに、今度の映画がヒットすればファンの皆さんにも恩返しになるかなーって」

黄P「…お前も強くなったなあ」

雪歩「プロデューサーのおかげですよ」

黄P「お世辞までうまくなりやがって」

雪歩「えへへ…」

黄P「いや、そこはお世辞じゃないって否定しろよ」

雪歩「プロデューサー!」

黄P「?」


雪歩「今日も、よろしくお願いしますね!プロデューサー!」


番外編『アイドルとして』 完!

第19話『雲間に隠れる月の如く』

引用: 赤羽根P「俺が」青羽根P「俺たちが」黄羽根P「プロデューサーだ」