943: 2011/12/25(日) 03:56:40.33 ID:CLEpFkJC0
カランコロンと鈴の音が響く。
両手に持ちきれないほどのプレゼントを持って、サンタクロースの衣装を纏って、私はとある家の前にいた。
ここしばらく毎年の事になっていたこの行事。
どうしてもこの瞬間だけは慣れることができない。
震える指でインターフォンを押すと、中からどたばたと足音が聞こえて、ドアが勢い良く開けられた。
「サンタさん!」
「今年も来てくれた……」
「早く入ってーご馳走作ってあるから!!」
「うん、メリークリスマス、いい子の皆にプレゼントを持ってきたよ」
2: 2011/03/18(金) 01:05:33.66ID:uXxU4fEb0
精一杯の笑みを浮かべて、割れんばかりの歓声を受け取った。
ここは孤児院。
魔獣によって両親などの身寄りを失い、生きていけなくなった子供達を引き取って育てているところ。
彼ら彼女らのためにと巴マミの提唱によって作られたここは、その役割をほぼ果たしてくれている。
だが、それでも彼らはまだ子供だった。
こうして定期的に心を支えてあげないと、簡単に折れて、魔獣のエサにされてしまいかねなかった。
そのための手段として、私はこうして、サンタに扮する役を買って出ている。
子供達が喜んでくれるのは、悪い気は勿論しない。
でもどこか騙してしまっているようで、罪悪感がないと言えば嘘になる。
ただ子供達は敏感だから、そんな負の感情を外に出すわけにはいかなかった。
今日だけは、陽気なサンタクロースの役目を、しっかりと演じなければならなかった。
「サンタさん、あたしたち絵描いたんだよ」
「すげー頑張ったんだから見てってよ!」
「あんた途中で絵の具こぼしたよね」
「悪かったって、悪かったって言ってるじゃんつねんないでよ!」
「ほらほら、ケンカは悪い子だぞ。泣かせちゃってるじゃない」
「う、ご……ごめん」
「いいよ、こぼしちゃったのはほんとだし」
「うん、二人とも偉い」
子供は子供だった。
ほんのちょっとの言動がトリガーになって、繊細な感情を振り切れさせてしまう。
そんな思春期の彼ら彼女らが、ここでちゃんと育ってくれるのか、心配は尽きない。
でもそれは表情に決して出さず、笑顔の仮面を決して外さず、クリスマス色に飾られた食卓に入ってみると。
子供達の渾身の一作が目に飛び込み、心を波立たせ、あっさりと堤防を決壊させてしまった。
「上手、だね…………」
「サンタさん泣いてる!?」
「ちょっと、泣かしたの誰よ!」
「サンタさん、どこか痛いの、大丈夫……?」
「大丈夫、大丈夫だよ。すごく上手でね、感動しただけだから」
絵には私と、もう一人の登場人物がいた。
桃色の髪を短く二つにまとめ、フリルでふわふわの衣装を纏い、両手に弓と矢を持つ、不思議な物語の登場人物。
それはとても、とてもとても、記憶の彼方に眠るあなたに、そっくりだった。
メリークリスマス。
クリスマスプレゼント、確かに受け取りました。
涙でぐちゃぐちゃになった顔はもう誤魔化しきれないけれど、私はとても幸せに子供達と一晩を過ごします。
あなたのいない、あなたであふれた、この世界で。 .
ここは孤児院。
魔獣によって両親などの身寄りを失い、生きていけなくなった子供達を引き取って育てているところ。
彼ら彼女らのためにと巴マミの提唱によって作られたここは、その役割をほぼ果たしてくれている。
だが、それでも彼らはまだ子供だった。
こうして定期的に心を支えてあげないと、簡単に折れて、魔獣のエサにされてしまいかねなかった。
そのための手段として、私はこうして、サンタに扮する役を買って出ている。
子供達が喜んでくれるのは、悪い気は勿論しない。
でもどこか騙してしまっているようで、罪悪感がないと言えば嘘になる。
ただ子供達は敏感だから、そんな負の感情を外に出すわけにはいかなかった。
今日だけは、陽気なサンタクロースの役目を、しっかりと演じなければならなかった。
「サンタさん、あたしたち絵描いたんだよ」
「すげー頑張ったんだから見てってよ!」
「あんた途中で絵の具こぼしたよね」
「悪かったって、悪かったって言ってるじゃんつねんないでよ!」
「ほらほら、ケンカは悪い子だぞ。泣かせちゃってるじゃない」
「う、ご……ごめん」
「いいよ、こぼしちゃったのはほんとだし」
「うん、二人とも偉い」
子供は子供だった。
ほんのちょっとの言動がトリガーになって、繊細な感情を振り切れさせてしまう。
そんな思春期の彼ら彼女らが、ここでちゃんと育ってくれるのか、心配は尽きない。
でもそれは表情に決して出さず、笑顔の仮面を決して外さず、クリスマス色に飾られた食卓に入ってみると。
子供達の渾身の一作が目に飛び込み、心を波立たせ、あっさりと堤防を決壊させてしまった。
「上手、だね…………」
「サンタさん泣いてる!?」
「ちょっと、泣かしたの誰よ!」
「サンタさん、どこか痛いの、大丈夫……?」
「大丈夫、大丈夫だよ。すごく上手でね、感動しただけだから」
絵には私と、もう一人の登場人物がいた。
桃色の髪を短く二つにまとめ、フリルでふわふわの衣装を纏い、両手に弓と矢を持つ、不思議な物語の登場人物。
それはとても、とてもとても、記憶の彼方に眠るあなたに、そっくりだった。
メリークリスマス。
クリスマスプレゼント、確かに受け取りました。
涙でぐちゃぐちゃになった顔はもう誤魔化しきれないけれど、私はとても幸せに子供達と一晩を過ごします。
あなたのいない、あなたであふれた、この世界で。 .



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