149: 2013/04/14(日) 16:16:08.56 ID:J7fcFjWao

今日の実験は中々骨が折れた。
何でも樹形図の設計者は対多数とのゲリラ戦を指定していたらしく、
クローン共と命を掛けた鬼ゴッコをやらされる羽目となった。
いや…この場合はどちらかと言うと隠れンぼに近いか。
無論、鬼は誰であるかなど言うまでもない。

だが、思った以上に実験が長引いてしまった。
昼メシを食いそこねて4時半…腹は減りすぎている。

(さァて、どうすっかねェ…)
何でもイイとは思っちゃいるが、入る店の無さと込み上げる空腹感に苛立ちを覚える。

(ハンバーガー…俺の経験上、この手の店はスキルアウト共の溜まり場になってる場合が多い)
(よって却下)
(牛丼…は昨日食ったばっかだしなァ)

とある魔術の禁書目録 33巻 (デジタル版ガンガンコミックス)
150: 2013/04/14(日) 16:17:28.45 ID:J7fcFjWao
「お」
「回転寿司か…」

「よし、ここにするか」

ウィーン
「いらっしゃーい」

(パッと食ってサッサと出りゃ面倒じゃねェな)
(回らない寿司屋とは大違いだが…)
(あっちはあっちで時間帯によっては酒の入った教師や研究者どもに絡まれることがある)
(こっちの方が気楽でイイ)

(茶を用意して…と)ドボボボ
「さァて、何からいくか」パキッ

(とりあえずは順当に定番…マグロからいくか)
(こりゃァいかにもって色してやがンな)

モグモグモグ
(これで全品…130円か)
(案外安いな)

151: 2013/04/14(日) 16:18:13.78 ID:J7fcFjWao
(次は…と、来やがったな)
(イカ、イカ)
モグ

(エビ…)モグモグ
(ネギトロ…)モグモグ
(アナゴ…)モグモグ
(イクラ…)モグモグ

(ン?…何だ何だこの店は…)
(よく見ると学生がいねェ…)
(ほとンど研究者ばっかじゃねェか)

「大トロ2枚くれる?」
「はい」

「こっちも大トロ。それとエンガワ」

(大トロ……こりゃ一体どういう事だ?)
(奴ら流れてないもンばっか注文してやがる)

152: 2013/04/14(日) 16:19:16.57 ID:J7fcFjWao
「ン…?」

ゴトゴト
┌───────────┐
|.   タイムサービス  _  .|
|. (1時半から5時まで)  .|
|.    大とろ一皿   .  .|
|.     130円    ..  .|
└───────────┘
(成る程これか…)



ウィーン イラッシャーイ

カツカツ…ピタッ
「すまないが…隣に座っても構わないだろうか?」
「ア?あァ…好きにしろよ」
ガタッ
フゥ…ココハスズシイナ
(また研究者の一人客か)
(妙な案配だな)

「大トロ2枚とエンガワ2枚ちょうだい」
(おっと…あっちの研究者共はえらく大胆に行くじゃねェか)

「こっちも大トロ2枚」
「それじゃ、こっち大トロ・エンガワ・真鯛1枚ずつ!」
「はい」

153: 2013/04/14(日) 16:20:10.98 ID:J7fcFjWao
(参ったなァ…)
(なァンか俺だけが損してるよォな気分になってきちまう)

(気がつきゃほとンどの奴らが回ってない大トロを中心に食ってるな)
「エンガワ2枚ちょうだい」
「はい」

(よし…!)
「大トロとアワビをくれ」

(?…返事がねェ)
(まさか聞こえなかったのか)

「はい、お待ち!大トロ2枚とこちらアワビ」
(成る程…こりゃマズイな。この席は配置の関係で店員に声が届きにくくなってやがる)

「すまない、大トロ2枚とエンガワを頼む」
「こっち大トロ2枚と赤貝2枚!」
「エンガワと大トロ」
「こっちも大トロとイクラ」

154: 2013/04/14(日) 16:20:37.78 ID:J7fcFjWao
(何なンだこの店は…コイツら全員サービスタイム狙いなのか)

「大トロとアワビとサザエ2枚」

(ア?…もうタイムサービス終了10分前じゃねェか)

「こっちにもアワビとサザエ、それと大トロ」
「はい」
(なァンかロクなもン食ってない気がしてきやがる)
(こりゃボヤボヤしてらンねェな)

「すまねェが大トロ2枚と…「こっち大トロ2枚通ってる?」
「ハイ、ただいま。大トロ2枚ね」

(クソッ…タイミングがズレやがった)
「すまない!さっきから注文しているのだが」
「ハーイ、注文は大きい声でよろしくっ!」
「ノドの調子が悪くてね…大トロ2枚とエンガワを頼む」

155: 2013/04/14(日) 16:21:36.99 ID:J7fcFjWao
「それと…先程からこちらの少年が注文しているのだが」
「もう少し聞こえるようにならないだろうか」
(………)

「ハイ、スイマセン。混んじゃうとどうしてもそっちの声が通らなくて…」
「えっとお客さん、ご注文は何でしたっけ?」
「……あ…大トロとウニ、それと……アワビをくれ」

「すまねェな」
「いや、気にしないでくれ。困ったときはお互い様だろう?」

(ふゥ…なンだってこんな思いをしなきゃなンねェンだ)


「ハイ、お待ち」
(お、来やがったか…これでやっと大トロにありつける)

「ほォ…これが大トロ2枚ってヤツか」
「ふゥン…悪くねェな」モグモグ



「ハイ、おわり!タイムサービスはおわりました!」

156: 2013/04/14(日) 16:22:45.24 ID:J7fcFjWao


「お勘定」
「ハイ、ありがとうございます」
「こっちもお勘定してください」

(………)モグモグ

「…では少年、お先に失礼するよ」ガタッ
「あァ…どォも」

(………)シャリシャリ
(………)ズズー

「ふゥ」


「勘定してくれ」
「えーと…11枚で1472円になります」
(あンだけ食ってこの値段…安いな)
「毎度ありがとうございまーす」

157: 2013/04/14(日) 16:24:29.25 ID:J7fcFjWao

ウィーン
スタスタ
「ステイルは生の魚大丈夫なの?」
「まぁ…大体は食べられるかな」
「ふふ…タコはどうですか?」
「タコ!タコだって!?…あんな物、食べる人間の気がしれないね」
「ふーん、そうなんだ。へー…でも私は全然平気なんだよ、かおり!」ニパー
「ですよね…それに比べてステイルときたら…」
「イ、インデックス…」アワアワ

(ちっとばかし食い過ぎた)
(ラストの大トロ2枚…あれが効いたな)



研究者、そしてこんな時間の食事と言えば昔あった事を思い出す。
投薬実験の中には、胃を空にしなければならない類のものもある。
そして当時担当していた研究者は、被験者である俺にビビっていたのか機嫌を取るタイプの人間だった。
空腹の中でクスリ漬けになっていた俺にソイツはこう言った。
"実は先生も食事をしていないんだ、だから一緒に頑張ろう"
だが、それは嘘だ。
"なァ…焼肉、美味かったかよ?木原くン"
何故解ったかって、あれだけ匂いをプンプンさせてりゃ嫌でも気付く。

あの店で食ってた研究者共の中にもこういう奴がいて、
そしてそれに騙されちまうガキ共もまた、この都市のどこかにいるのかもしれない。

158: 2013/04/14(日) 16:25:36.84 ID:J7fcFjWao
以上です
最初は黄泉川を出そうと思ってたけどオチが思い浮かばなかった

引用: ▽【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-39冊目-【超電磁砲】