297: 2013/05/12(日) 22:39:20.83 ID:CGOYxj5No
―― 八月二十一日 二十時三十分 貨物置き場 ――
「時間です、準備はいいですか?と、ミサカは最終確認を告げます」
「あぁ、御託はいいからさっさとかかってきな」
それでは。
そう一言呟くと、少女は少し腰を落としいかにもな臨戦態勢に入る。
いつでも相手の動きに合わせて対処できるよう力が込められた足元からは、
砂利同士がこすれ合う音が二人しかいない貨物置き場に小さく響く。
彼女は学園都市が誇る超能力者、
序列第三位の『超電磁砲』御坂美琴の体細胞を元に作り出されたクローン。
通称妹達の個体番号10032号。
本来、軍事兵器としての利用を想定され作りだされた彼女たちであったが、
オリジナルの1%にも満たない性能しか発揮できないことが判明し計画は凍結。
しかし、序列第一位の一方通行を絶対能力者へと進化させるという、
馬鹿げた実験のために流用されることになりコレまでに一万人以上の妹達が一方通行によって殺害されている。
つまり、
今この場所、この時間から絶対能力者進化実験の10032回目の実験が開始されようとしており、
彼女の目の前に佇む一人の少年――。
臨戦態勢を取る彼女を視界に捉えず、
遥か遠くを見つめる余裕とも、相手を舐めきっているともとれる態度を取るこの少年こそ。
学園都市が誇る超能力者の頂点。
唯一、絶対能力者への進化の可能性を見初められた一方通行――
298: 2013/05/12(日) 22:39:46.71 ID:CGOYxj5No
――、ではない。
(実は俺は学園都市が誇る第一位。一方通行ではない……)
(特撮マニアで若白髪が目立つタダの無能力者の高校1年生だ)
(お気に入りのウルトラマンをモチーフにしたTシャツをきて、
夜食を買いにコンビニに買い出しに出た所で常盤台中学の制服を来た少女に声をかけられた)
(女の子から声をかけられるなんて経験のなかった俺は、
「あなたが一方通行ですね?」という彼女の問いかけについそうだと答えてしまい、
身分を偽っていることをまずいと思いつつも、
どんどん人気のないところに連れて行かれ一夜のアバンチュールを煩悩から滅することが出来ずここまで来てしまった)
(正直、実験とかなんのことだかさっぱり分からないが、
彼女の氏を覚悟したような視線にもはや何も言い返すことが出来ずに実験とやらが始まってしまったというわけだ)
(いや、さっきはつい流れで了承してしまったがやはりこのまま実験とやらが開始されるのは非情にまずい――、氏の香りがする)
299: 2013/05/12(日) 22:40:19.09 ID:CGOYxj5No
「あ、あぁ、おい。やっぱりちょっと待ってくれ」
「なんでしょうか?」
臨戦態勢を崩さずに少女が返答を返す。
それはそうだろう、彼女からしたら命のかかった実験だ。
既に実験開始時刻を過ぎている中、もはや彼女に油断などというものはない。
(まずい、こんな相手と二人っきりの状態はまずい……他に、他に誰かいないのか?)
「あー……実験っていうのは、俺とお前の他に……誰か必要じゃなかったかなーって」
「いいえ。実験に私とあなた以外の人物の介入は必要ありません。と、ミサカは確認した実験資料の内容を思い出しあなたに伝えます」
「でも、ほら?実は途中でなにか計画に変更があったとかな?」
「そのような計画変更は聞いていませんg――」
「今すぐ妹から離れろこの三下ぁぁぁあああああああああっ!!」
「「ビクッ!?」」
300: 2013/05/12(日) 22:40:46.83 ID:CGOYxj5No
「聞こえなかったか!?今すぐ妹から離れろつったんだよ三下ぁっ!!」
暗闇の向こう、コンテナの間辺りから突如響き渡る怒号。
人影は見えるが薄暗いせいでよく確認できない。
「まさか……どうしてあなたが」
「何だお前の知り合い……兄貴か?実験はお前と俺だけって言ってたじゃねえか……家族なんてつれこんでるんじゃねぇよ」
(っべぇ……誰か濃いとは思ったけどお兄ちゃん来ちゃったよ……なんかすげぇ勘違いしてるっぽいしっべぇ……)
暗闇の奥から聞こえた声の主。
ウニ頭が特徴的なシルエット。
無能力者でありながら、その右手にはありとあらゆる異能を打ち消す幻想頃しを有する。
絶対能力者進化計画のことをしり、
計画の阻止のために学園都市の頂点と対峙することを決心して駆けつけたその少年の名は上条当麻――
301: 2013/05/12(日) 22:41:14.39 ID:CGOYxj5No
――、ではない。
(実は俺はあの少女に「あなた」など呼ばれるような面識のある人物ではない……)
(タダの通りすがりの貨物置き場の管理をしている人だ)
(何やら物音が聞こえたので足を運んでみると若い男女がイチャコラしていると思いむかついてしまい、
とっさにさっきまでしていた「妹が暴漢に襲われそうになっていて助ける」シチュエーションで、
登場の際に言おうと決めていた台詞を叫んで雰囲気をぶち壊してやろうと思ったらなぜかそのまま話しが進んでしまった)
(ちなみに私に妹などというものはいない)
(だが、何にせよもうこれは乗っかるしか無い雰囲気だ……こうなりゃやけだ)
「グチャグチャ言ってねぇで離れろって言ってんだろう!!」
「え、別にグチャグチャなんていってな――」
「う、うるせぇ!!グチャグチャいってねぇって言ってるんだよ三下ぁぁぁあああ!!グチャグチャいってんじゃねぇえぇえええええ!!」
「ヒィッ!」
(やべぇ……こいつの兄ちゃんあぶねぇ人じゃねえか……早く何とかしないと俺がグチャグチャにされそうな勢いじゃねえか……)
「……」
(あの人はこんな劇場的な性格だったのでしょうか。と、ミサカはヤバイ人を見る目を暗闇の人影に向けます……)
302: 2013/05/12(日) 22:41:42.87 ID:CGOYxj5No
「とにかく、テメェは二度とこんなことが出来ないようにぶっ飛ばッ」
「待ちなさいアンタ!!」
「「「!?」」」
御坂妹と一方通行(ではない無能力者の少年)がウニ頭のシルエットに向けていた視線を背後に移す。
つまり、二人を挟んで上条(ではない貨物置き場の管理人の人)とは真逆のコンテナの陰――。
そこに確かに一人の人影が佇んでいた。
「まさか……お姉さまですか?と、ミサカは暗闇の主に問いかけます」
「……そうよ、私が来たからにはもう安心しなさい」
妹達からお姉さまと呼ばれる彼女。
名門常盤台中学に通う中学二年生。
有する能力はレベル5の発電系能力『超電磁砲』。
自らが提供したDNAマップが元で生まれながらに殺害される運命を背負った妹達を救うため―――。
そんな自分を救うために何の見返りもないのに走りだした一人の少年を止めるため―――。
自らを犠牲にする覚悟でこの場に現れた彼女こそ学園都市序列代三位の御坂美琴――
「待ちなさいアンタ!!」
「「「!?」」」
御坂妹と一方通行(ではない無能力者の少年)がウニ頭のシルエットに向けていた視線を背後に移す。
つまり、二人を挟んで上条(ではない貨物置き場の管理人の人)とは真逆のコンテナの陰――。
そこに確かに一人の人影が佇んでいた。
「まさか……お姉さまですか?と、ミサカは暗闇の主に問いかけます」
「……そうよ、私が来たからにはもう安心しなさい」
妹達からお姉さまと呼ばれる彼女。
名門常盤台中学に通う中学二年生。
有する能力はレベル5の発電系能力『超電磁砲』。
自らが提供したDNAマップが元で生まれながらに殺害される運命を背負った妹達を救うため―――。
そんな自分を救うために何の見返りもないのに走りだした一人の少年を止めるため―――。
自らを犠牲にする覚悟でこの場に現れた彼女こそ学園都市序列代三位の御坂美琴――
303: 2013/05/12(日) 22:42:11.59 ID:CGOYxj5No
――、ではない。
(実は私は彼女のお姉さまではない)
(この貨物置き場の管理人をしている男のストーカーだ)
(今日も今日とて管理人さんの後をストーキングしていたらとんでもない場に遭遇)
(あろうことか私のデータベースにない妹の存在まで発覚するという異常事態)
(そんな中、彼が勇敢にも立ち向かおうとする場に私も熱が入ってしまいつい声を荒げてしまった)
(だが……しかし、悪くない)
(何がどうなってそうなったかわからないが、彼の妹に『御義姉さま』と呼ばれるこの状況は……悪くない)
「とにかく、一人で突っ込まないで二人いっぺんに行くわよ、アンタ!」
「お、おぅ……まかせろ」
(えぇぇええええ!?妹一人じゃなくてもう一人いたのかよ……いや、姉か?どっちか知らねぇけどなんでこいつら他人だって気づかねえのぉおおおお!?)
「は、はん!雑魚が何人集まろうが俺の敵じゃねえよ!!」
(なんだよこの状況はぁあああああ!?三兄弟?しかも示し合わせたように現れやがって……新手の美人局か!?美人局なんですかあぁああああああああああ!?)
「……」
(なんなんでしょうこの状況は……あー、実験どうなるのかなぁ。と、ミサカはもうどうにでもなーれ……)
(実は私は彼女のお姉さまではない)
(この貨物置き場の管理人をしている男のストーカーだ)
(今日も今日とて管理人さんの後をストーキングしていたらとんでもない場に遭遇)
(あろうことか私のデータベースにない妹の存在まで発覚するという異常事態)
(そんな中、彼が勇敢にも立ち向かおうとする場に私も熱が入ってしまいつい声を荒げてしまった)
(だが……しかし、悪くない)
(何がどうなってそうなったかわからないが、彼の妹に『御義姉さま』と呼ばれるこの状況は……悪くない)
「とにかく、一人で突っ込まないで二人いっぺんに行くわよ、アンタ!」
「お、おぅ……まかせろ」
(えぇぇええええ!?妹一人じゃなくてもう一人いたのかよ……いや、姉か?どっちか知らねぇけどなんでこいつら他人だって気づかねえのぉおおおお!?)
「は、はん!雑魚が何人集まろうが俺の敵じゃねえよ!!」
(なんだよこの状況はぁあああああ!?三兄弟?しかも示し合わせたように現れやがって……新手の美人局か!?美人局なんですかあぁああああああああああ!?)
「……」
(なんなんでしょうこの状況は……あー、実験どうなるのかなぁ。と、ミサカはもうどうにでもなーれ……)
304: 2013/05/12(日) 22:42:37.64 ID:CGOYxj5No
――とある研究室
「コレはどういう状況だ……?」
「……わかりません」
研究室に白衣の男が二人。
二人が覗き込む画面には貨物置き場が映しだされ、
四人の男女が何やらやり取りをしていた。
その画面を覗きこむ二人の間ではこの異常事態に対して緊迫した会話が――、
「……今回の実験はこのような……シチュ、シチュエーションで行うものだったか?」
「いえ、私は何も……博士こそ伺っていないんですか?その、シチュエーション?について」
「私は……その、いつもどおりの……感じのやつだと聞いている」
――、非情にもっさりとした会話が繰り広げられていた。
305: 2013/05/12(日) 22:43:05.61 ID:CGOYxj5No
(実は私は博士などではない……)
(研究所の用務員をしているおじさんだ)
(一度は研究員という職に憧れ勉学に励んでいた私だが才能なくその道を諦め今の職についている)
(しかし、研究所という場所を仕事場に選んだのは私の拭いきれぬ研究員への憧れゆえだろう)
(そんな中、私の最近の専らの楽しみは夜中の清掃中にこっそりと白衣を着て研究所を闊歩することだった)
(案外堂々としていればばれないもので誰かとすれ違う時も臆することなく挨拶をかわしてすれ違っていた)
(それが今回は仇となった)
(どうやら他の研究員と待ち合わせをしていたらしいこの助手に何か勘違いをされてしまい、)
(あろうことかこのこの何のために何をするのかもわからない実験の監視に引っ張りだされてしまった)
(だが、幸いな事に相手は私が偽の博士だとは疑ってすらいない)
(よもや今更用務員のオッサンがコスプレ間隔で白衣を着ていただけだなどと言い出せるわけもなく博士を演じきることでこの場を乗り切る覚悟だ)
(なに……助手とはいえ本文の研究員がこの場にいるんだ、なんとか乗りきれるであろう……)
(研究所の用務員をしているおじさんだ)
(一度は研究員という職に憧れ勉学に励んでいた私だが才能なくその道を諦め今の職についている)
(しかし、研究所という場所を仕事場に選んだのは私の拭いきれぬ研究員への憧れゆえだろう)
(そんな中、私の最近の専らの楽しみは夜中の清掃中にこっそりと白衣を着て研究所を闊歩することだった)
(案外堂々としていればばれないもので誰かとすれ違う時も臆することなく挨拶をかわしてすれ違っていた)
(それが今回は仇となった)
(どうやら他の研究員と待ち合わせをしていたらしいこの助手に何か勘違いをされてしまい、)
(あろうことかこのこの何のために何をするのかもわからない実験の監視に引っ張りだされてしまった)
(だが、幸いな事に相手は私が偽の博士だとは疑ってすらいない)
(よもや今更用務員のオッサンがコスプレ間隔で白衣を着ていただけだなどと言い出せるわけもなく博士を演じきることでこの場を乗り切る覚悟だ)
(なに……助手とはいえ本文の研究員がこの場にいるんだ、なんとか乗りきれるであろう……)
306: 2013/05/12(日) 22:43:32.06 ID:CGOYxj5No
(実は私は助手などではない……)
(この研究所に潜入した、革命団体『銀の匙』の構成員だ)
(学園都市で秘密裏に非人道的な研究が行われているという情報を聞きつけ、)
(その証拠を入手し学園都市を脅すために研究所に潜入した)
(実験担当の博士は仲間が足止めをし、その間自由に研究室を探索する予定だったのだが、)
(まさかこんなにもすぐに代わりの博士が派遣されてきているとは予想外だった……)
(だが、幸いなことに相手は私が偽の助手だなどと疑ってすらいない)
(せっかくのチャンスなので目の前の画面で行われている実験がどういうものなのか情報を直接聞き出すことにしよう)
(なに……博士がいるんだ。助手が偽物であっても実験はなんとか乗り切れるであろう……)
(この研究所に潜入した、革命団体『銀の匙』の構成員だ)
(学園都市で秘密裏に非人道的な研究が行われているという情報を聞きつけ、)
(その証拠を入手し学園都市を脅すために研究所に潜入した)
(実験担当の博士は仲間が足止めをし、その間自由に研究室を探索する予定だったのだが、)
(まさかこんなにもすぐに代わりの博士が派遣されてきているとは予想外だった……)
(だが、幸いなことに相手は私が偽の助手だなどと疑ってすらいない)
(せっかくのチャンスなので目の前の画面で行われている実験がどういうものなのか情報を直接聞き出すことにしよう)
(なに……博士がいるんだ。助手が偽物であっても実験はなんとか乗り切れるであろう……)
307: 2013/05/12(日) 22:43:59.43 ID:CGOYxj5No
『すみません、応答願います。と、ミサカは不測の事態にどう対処していいかわからず助けを求めます』
「「!?」」
研究室のスピーカから少女の声が発せられる。
どうやら相手は貨物置き場にいる常盤台中学の制服を着た少女のようだ。
『?聞こえていますか?、と、ミサカは返答がないことに不安を感じつつ聞き返します』
「……博士」
「え?私が出るの?」
「他に誰がいるんですか……」
「あ、あぁ……、えー……もしもし、こちら研究室こちら研究室、どうぞ」
『実験に思わぬ邪魔が入ってしまいました。このまま続行しても本来求める実験成果が得られない可能性があります。と、ミサカは報告します』
「あー、そうだね。本来の成果が得られないのは非情にまずいね、うん……」
『そこで、一度樹形図の設計者に実験の影響度を問い合わせてみてはいかがでしょうか?と、ミサカは提案します』
「え……」
(樹形図の設計者の問い合わせの仕方なんてわかるわけないだろ……どうすんだよこれ。というかそもそも何の実験なんだよ……)
「「!?」」
研究室のスピーカから少女の声が発せられる。
どうやら相手は貨物置き場にいる常盤台中学の制服を着た少女のようだ。
『?聞こえていますか?、と、ミサカは返答がないことに不安を感じつつ聞き返します』
「……博士」
「え?私が出るの?」
「他に誰がいるんですか……」
「あ、あぁ……、えー……もしもし、こちら研究室こちら研究室、どうぞ」
『実験に思わぬ邪魔が入ってしまいました。このまま続行しても本来求める実験成果が得られない可能性があります。と、ミサカは報告します』
「あー、そうだね。本来の成果が得られないのは非情にまずいね、うん……」
『そこで、一度樹形図の設計者に実験の影響度を問い合わせてみてはいかがでしょうか?と、ミサカは提案します』
「え……」
(樹形図の設計者の問い合わせの仕方なんてわかるわけないだろ……どうすんだよこれ。というかそもそも何の実験なんだよ……)
308: 2013/05/12(日) 22:44:26.24 ID:CGOYxj5No
「博士?」
助手(偽)が声をかける。
その声からは多少の不信感が感じられた。
「君……問い合わせしてみる?」
「……は?」
何言ってるんだこいつ。そんな含みをオブラートに包む気もないくらいむき出しの助手の返答。
博士(偽)だって何を言っているんだと自分でも思ってはいるが、
自分が出来ないのだからもう相手に押し付けるほか方法はない。
「いや、ほら。私は普段からものすごい問い合わせしてるから。一日10回くらいしてるからたまには君にさせてあげようかなって」
「そういうもんじゃないでしょう!何ですかその『俺こんなの普段からやってるからたまにはお前にやらせてやるよ』自慢は!?」
「~~~ッ!!なんなんだ君は!人が親切でたまにはさせてやろうというのに!!」
「逆切れですか!?というかそんなの出来ませんよ!!問い合わせとか私が方法知るわけがないでしょ!?」
「なに!?研究員なのにそんなことも知らないのか君は!!もしかして……偽物なんじゃないのか~?」
「にっ……!そういう博士こそ……実は問い合わせ方法知らないんじゃ……」
「なっ!?そんなわけないだろう!?知ってるわ!!さっきも問い合わせしたばっかりだし!!」
「だったらまたやればいいでしょうに!!」
「るうせぇ!バーカバーカ!!」
研究所に二人の男の怒号が響き渡る。
助手(偽)が声をかける。
その声からは多少の不信感が感じられた。
「君……問い合わせしてみる?」
「……は?」
何言ってるんだこいつ。そんな含みをオブラートに包む気もないくらいむき出しの助手の返答。
博士(偽)だって何を言っているんだと自分でも思ってはいるが、
自分が出来ないのだからもう相手に押し付けるほか方法はない。
「いや、ほら。私は普段からものすごい問い合わせしてるから。一日10回くらいしてるからたまには君にさせてあげようかなって」
「そういうもんじゃないでしょう!何ですかその『俺こんなの普段からやってるからたまにはお前にやらせてやるよ』自慢は!?」
「~~~ッ!!なんなんだ君は!人が親切でたまにはさせてやろうというのに!!」
「逆切れですか!?というかそんなの出来ませんよ!!問い合わせとか私が方法知るわけがないでしょ!?」
「なに!?研究員なのにそんなことも知らないのか君は!!もしかして……偽物なんじゃないのか~?」
「にっ……!そういう博士こそ……実は問い合わせ方法知らないんじゃ……」
「なっ!?そんなわけないだろう!?知ってるわ!!さっきも問い合わせしたばっかりだし!!」
「だったらまたやればいいでしょうに!!」
「るうせぇ!バーカバーカ!!」
研究所に二人の男の怒号が響き渡る。
309: 2013/05/12(日) 22:44:53.66 ID:CGOYxj5No
――貨物置き場
「……」
無線のむこうから聞こえる争う二人の男性の声。
コレではもう自分の求める解答は期待できそうにないと無線をきる。
仕方ない。
妹達にはMNWという、妹達同士の脳波をリンクさせて形成された独自のネットワークが存在する。
そのネットワークを利用して他の個体に樹形図の設計者への問い合わせを実行してもらおうというのだ。
(問い合わせ内容……、絶対能力者進化計画に対する妨害が発生。その影響を考慮した上での実験の成功確率は――)
樹形図の設計者にそのような内容で問い合わせが実行。
本来、樹形図の設計者への問い合わせは申請をしたうえでそれが受理されて初めてなされるのだが、
この計画に関する問い合わせは特殊なルートで最終戦事項として実施されることになっている。
リアルタイムで問い合わせが樹形図の設計者へと送信される――
「……」
無線のむこうから聞こえる争う二人の男性の声。
コレではもう自分の求める解答は期待できそうにないと無線をきる。
仕方ない。
妹達にはMNWという、妹達同士の脳波をリンクさせて形成された独自のネットワークが存在する。
そのネットワークを利用して他の個体に樹形図の設計者への問い合わせを実行してもらおうというのだ。
(問い合わせ内容……、絶対能力者進化計画に対する妨害が発生。その影響を考慮した上での実験の成功確率は――)
樹形図の設計者にそのような内容で問い合わせが実行。
本来、樹形図の設計者への問い合わせは申請をしたうえでそれが受理されて初めてなされるのだが、
この計画に関する問い合わせは特殊なルートで最終戦事項として実施されることになっている。
リアルタイムで問い合わせが樹形図の設計者へと送信される――
310: 2013/05/12(日) 22:45:20.58 ID:CGOYxj5No
(実は私は樹形図の設計者ではない……)
(電卓だ)
(何者かによって樹形図の設計者が破壊された後、)
(なぜか仮の接続先として私が設置されている)
(もちろん私ごときに問い合わせの内容が演算できるはずもなく、)
(キャパシティをオーバーする各問い合わせにはERRORを返す他無い)
(もちろんそのような解答を問い合わせ元に返すわけには行かないのでうまいことごまかしているようだが)
(だったらなんでわざわざ自分が繋がれているのかという疑問も出るがそんなことは私のほうが訊きたいくらいだ)
(おっと、どうやらまた問い合わせが来たようだ)
(いつものように迅速かつ丁寧にERRORを返すとしよう)
問い合わせ内容
絶対能力者進化計画に対する妨害が発生。その影響を考慮した上での実験の成功確率
問い合わせ結果
ERROR
(電卓だ)
(何者かによって樹形図の設計者が破壊された後、)
(なぜか仮の接続先として私が設置されている)
(もちろん私ごときに問い合わせの内容が演算できるはずもなく、)
(キャパシティをオーバーする各問い合わせにはERRORを返す他無い)
(もちろんそのような解答を問い合わせ元に返すわけには行かないのでうまいことごまかしているようだが)
(だったらなんでわざわざ自分が繋がれているのかという疑問も出るがそんなことは私のほうが訊きたいくらいだ)
(おっと、どうやらまた問い合わせが来たようだ)
(いつものように迅速かつ丁寧にERRORを返すとしよう)
問い合わせ内容
絶対能力者進化計画に対する妨害が発生。その影響を考慮した上での実験の成功確率
問い合わせ結果
ERROR
311: 2013/05/12(日) 22:45:47.16 ID:CGOYxj5No
普段ならば問い合わせ元と樹形図の設計者(電卓)の間に入るべき改ざん。
それが今回はMNWを経由したダイレクトリンクだったためにERRORという結果は直接妹達の元へと送り返された。
ERROR。
樹形図の設計者がよもや演算でERRORを起こすなどという可能性は考慮に入っていない。
と言うことは……
「実験の成功率はERROR……もう不可能ということでしょうか?」
そのような解釈になることも当然といえるだろう。
この夜。
学園都市で行われていた絶対能力者進化計画が関係者の知らないところで幕を下ろした。
妹達はもはや意味のない実験に加担する気は毛頭無いらしく、
一方通行との先頭に意欲を見せず、そのような相手を相手にしても絶対能力者への進化は認められないと研究者は判断。
妹達がそのような態度をとるようになった原因を探るべく、
ちょうどその原因となったとみられる10032回目の実験の記録を確認しようとしたが、
実験を監視していた研究室は無いものかが争った形跡があり記録は大破、確認は不可能だった。
結果実験は凍結。
同時期に
10000人の命を救った電卓が学園都市の何処かに存在する
そんな都市伝説が人知れず広まったのはまた別の話。
それが今回はMNWを経由したダイレクトリンクだったためにERRORという結果は直接妹達の元へと送り返された。
ERROR。
樹形図の設計者がよもや演算でERRORを起こすなどという可能性は考慮に入っていない。
と言うことは……
「実験の成功率はERROR……もう不可能ということでしょうか?」
そのような解釈になることも当然といえるだろう。
この夜。
学園都市で行われていた絶対能力者進化計画が関係者の知らないところで幕を下ろした。
妹達はもはや意味のない実験に加担する気は毛頭無いらしく、
一方通行との先頭に意欲を見せず、そのような相手を相手にしても絶対能力者への進化は認められないと研究者は判断。
妹達がそのような態度をとるようになった原因を探るべく、
ちょうどその原因となったとみられる10032回目の実験の記録を確認しようとしたが、
実験を監視していた研究室は無いものかが争った形跡があり記録は大破、確認は不可能だった。
結果実験は凍結。
同時期に
10000人の命を救った電卓が学園都市の何処かに存在する
そんな都市伝説が人知れず広まったのはまた別の話。
312: 2013/05/12(日) 22:47:00.86 ID:CGOYxj5No
以上です。
最後のまとめに近づくにあたって適当な感じになってるのはご愛嬌……
最後のまとめに近づくにあたって適当な感じになってるのはご愛嬌……



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