548: 2013/06/10(月) 20:15:00.53 ID:xnRJ1mN20
「……ん……ぅ?」

ピンぼけした視界に映るのは、病院のように清潔感のある白い部屋だった。

次いで少女は、金属製の椅子に座らされている状況に気づく。
咄嗟に利き腕が持ち上がろうとしたが、手首に痛痒を感じただけでびくともしなかった。
両の手足がしっかり拘束されているのだ。

冷やかな光を放つ照明に目が慣れてくるにつれて、少しずつ頭に血が巡り始める。
不自由な格好を強いられているその理由を、数日間にわたってそうされていたことをぼんやりと思い出す。
自白剤という名のくすりを立て続けに打たれてから、時間の間隔があやふやだということも。
とある魔術の禁書目録 33巻 (デジタル版ガンガンコミックス)
549: 2013/06/10(月) 20:18:50.16 ID:xnRJ1mN20
何を話したのかは覚えていない。
何をされたのかも覚えていない。
取っ掛かりになりそうなのは、自分が流しただろう干からびた涙と口元を汚す涎のあと。

薄らと黄ばんだブラウスはただ一つとしてボタンが嵌っていない。
一日たりともアイロンを欠かさなかったブリーツスカートには無数の皺が寄っている。
つまるところ、正面からは上下の下着が丸見えの状態だ。

「……あぁ、そう……そういうこと」

そんな現状に悲しみを抱けるくらいには、心の崩壊を免れているらしい。
幸運にも。あるいは、不幸にも。

布束砥信。長点上機学園三年。研究者。
読み間違いやすい名前と、社会人と見なされるまでの指標と、学生にいささか不釣り合いな肩書き。
それが学園都市における少女の立ち位置だった。
自己分析するならば、無愛想、無感動、ともすると不器用も加わるかも知れない。
己の研究に従事し、狂気じみた実験に協力し、一万に近いクローンの少女を氏地に追いやった。
はては、今こうして悪趣味な椅子に座らせている。

550: 2013/06/10(月) 20:25:25.17 ID:xnRJ1mN20
試験管で育ち、初めて外の世界を目の当たりにし、感動を口にしたクローンの少女。
彼女の横顔を見るまで、自らの行いに疑問を見出すことはなかった。

ネズミ、ウサギ、イヌ。
実験動物を扱うことに、思考が麻痺していたのかもしれない。

シミ一つない殺風景な天井を仰ぎ、少女は嘆息する。
クローンの少女は、もうこの世にいない。
その喪失が、自分を無謀な行動に駆り立てる原動力となった。

長きにわたる己の犯歴を省みれば。
犯した罪を大局的な倫理観に照らし合わせ、断ずるのならば。
今の状況は、似合いというより軽々しくすらあるのだろう。
むしろ諦めのつく理由があるだけでも、救いがあるのかも知れない。

551: 2013/06/10(月) 20:31:38.92 ID:xnRJ1mN20
奇しくも現状は、クローンの少女たちが置かれている状況に近似している。
昼も夜もわからない研究所の奥深くで、その時が訪れるのをひっそりと待つ。
後どれくらい生きられるのかもわからず、しかし近いうちに終わりが来ることはわかっている。
さながら氏刑囚と同じ仕打ち、同じ心境。
のみに留まらず、肉片と血に塗れた亡骸を、その姉妹たちに片づけさせるという鬼畜の所業。

あるいは、自分と同じような目に遭わされた少女もいたのだろうか。
どうせ処分されるのだという、都合のいい言い訳を囁かれて。

感情は希薄な方だという自負が、布束にはあった。
にもかかわらず、氏に対する漠然とした恐怖がないわけではなかったことを、監禁生活を経て実感している。
その点、実験の消耗品に認定されたクローンたちはどうか。
自分よりも遥かに近い位置で、氏という過酷な現実と向き合わされているではないか。

そんな彼女たちの心に、身が戦慄くだろうおぞましさをインプットしようとした自分は
他の研究者たちに負けず劣らずまともではなかったのだろう。

552: 2013/06/10(月) 21:00:27.15 ID:xnRJ1mN20
「……償う方法などないとわかっていたのに、血迷ったことをしたものね」

今まで廃棄されてきた無数の屍に対し、懺悔の言葉は見当たらない。
この実験は、おそらくは自分が処分された先も、淡々と続けられる。
せめて何かを成し遂げてから、終わりを迎えたかった。
何一つ変えられなかったことが悲しかったし、虚しかった。
クローンの大元である少女、御坂美琴の沈痛な面持ちが脳裏を過ぎり――

「……せめて一言、謝りたかったわね」

そんな言葉が口から零れ出した。

ややあって、俯き気味だった布束の顔が、閉ざされた電子ドアの方を向く。
そちら側から微かに物音が聞こえたような気がしたのだ。
音は段々と確かさを増していき、ドアの開閉音に混ざり合った。

553: 2013/06/10(月) 21:08:55.35 ID:xnRJ1mN20
「ハァッ、ハァ……ふひっ、どうだぁ?」

イキモノじみた吐息と鼻息が胸元に、顔に、首筋に吹きかけられる。
どうだと聞かれたところで、生臭いし、気色が悪いとしか答えようがない。

一考に止まぬ不快な感触から逃れようと、布束は思考をあさっての方へ飛ばす。
何故この小男は、これほどまでに不快な臭いを放ち、また、胸に執着するのだろう。
何日も入浴していない体を舐め回すなど、細菌学に通じている者からすればキチOイも甚だしい行いだ。

そんなキチOイに、キチOイじみたその行動に、布束の精神はじわじわと追い詰められていた。
学校指定のブラウスは男の唾液と自分の汗ですっかり濡れほそり、舌先は下着にまで及んでいる。
直接肌をねぶり回すまで、もう間もないだろう。

とっくに陵辱されていることは知っているのに、意識がはっきりしているというだけで
湧き上がる羞恥心と生理的嫌悪感に振り回されている。
顔が歪むのを、どうにも止められない。

554: 2013/06/10(月) 21:20:43.67 ID:xnRJ1mN20
身持ちが固いという自覚は露ほどもなかった。
なのに拘束された体は、今も必氏に男の行為から逃れようと足掻いている
一方的に嬲られるだけという絶望的な状況なのに、未だ諦めきれない。

抵抗にもなっていない抵抗を続け、しかしあえなく胸の下着をむしり取られる。
O房と蕾が露わになるや否や、小男の顔に暗い笑みが過ぎった。
布束のうなじを冷や汗が伝う。
中心の的を狙い澄ましたように、左胸の真ん中で無骨な指がしなり――弾き出される。

「――――ッッ!!」

不意の一撃にも声を漏らさずにいられたのは、この上ない僥倖だった。
ほどなく舌に錆の味が広がったが、些細な問題だろう。

「何だぁ、しっかり固くしているじゃないかぁ?」

現状を否定したところで男が喜ぶだけな気がした。
布束は開きかけた目を再び瞑り、口を固く閉ざす。
続いて聞こえてきた舌打ちに、胸の内でほくそ笑んでやる。
反骨精神まで失ったら、それはもう布束砥信ではない。
表情筋を引き締め、ただ耐え抜くことを決意する。

555: 2013/06/10(月) 21:27:19.19 ID:xnRJ1mN20
「つまらん反応だな。また薬を使うか」

錐のように鋭利な言葉を、注意深く右から左にやり過ごす。
こんな下劣な男には、一瞬たりとも怯える姿を見せたくない。
だがしかし、腰の下に伸びゆく男の手を目の当たりにして、心の内を曝け出さずにいられたかは自信がなかった。

男の唾液に濡れた指先が下着の隙間に潜り込み、微かな茂みに触れる。
拒絶の言葉を吐き出したい衝動に駆られたが、何とか唾と一緒に飲み干す。
無感情を装うのが、少女に出来るせめてもの、精一杯の抵抗だった。
後はせめて、閉じた目の裏が段々と熱を持っていくのを止められれば、今この場で望むことはなかった。
男の指が下着の中で這い回る感触は、ミミズの群れを放り込まれるのに匹敵しそうな嫌悪感があった。
泣きたかった。
泣きたくなかった。
相反するはずの二つの感情が両立していた。
だがそれも、男がズボンのファスナーを下すまでだった。

「……ぃ…………ぃゃ」

男のいきり立ったそれを目の当たりにして、布束の顔から一気に血の気が引く。
抑えきれぬ拒絶の感情が、ついに悲鳴となって発されかけたとき――

「しゅ、主任! た、たたた大変ですッ!」

生臭い熱気で満ちた部屋の中に、ひとりの若い男が駆け込んできた。

556: 2013/06/10(月) 21:35:50.86 ID:xnRJ1mN20
「なんだ、騒々しい。用事なら後にしろ」

「そ、それどころではないんですよッ!」

顔を蒼褪めさせた若い研究員に、主任と呼ばれた小男は露骨に眉を潜めた。
一般的に言って、お楽しみ中の上司の邪魔をしてしまうような分別のない人間はそういない。
ともすると、何かしら深刻な悩みに行き当たってしまったのだろう。
落ち着きを幾分取り戻した布束が、心中で嘆息する。
御坂美琴やそのクローンたちが抱える葛藤に比べれば、鼻で吹き飛ばせそうなちゃちな悩みに違いない。

未練がましい表情を浮かべたまま小男がファスナーを上げ、布束から数歩遠ざかる。
若い男は、裸に剥かれた少女と、不機嫌そうな上司を気まずげに見比べている。
半ば悟られぬように、布束は細く細く、安堵の吐息を紡ぐ。
だが、次の瞬間、束の間の解放感は言い知れぬ驚愕に塗り替えられた。

「だ、第一位、一方通行が――――」

よほど慌てていて声を抑えきれなかったのか、耳打ちしているはずのささやきが、布束の耳にも届いた。

一般人との交戦。
実験素体の敗北。
演算の設定ミスの可能性。

断片的な言葉の数々の意味を悟り、少女の瞳が極限まで見開かれた。

557: 2013/06/10(月) 21:42:21.46 ID:xnRJ1mN20
「ま、まさか、ありえん! 対戦車ライフルですら傷一つつかん化け物だぞ!?」

「私も耳を疑いましたよ。よもや、無能力者などに――」

「ど、どういうことなんだ? 樹形図の設計者の演算に問題があったとでも?」

「……認めたくはありませんが、その、入力値に誤差が生じていたとしか」

「ふざけるな! どれだけの時間と費用をこの計画に費やしてきたと思っとる!」

気づけば小男の額から脂汗が吹き出している。
学園都市での実験の成果は彼らの報酬と待遇、すなわち人生に直結する。
小鹿のように手足を震わせる研究員たちは、実験失敗の報がもたらされた瞬間に落伍者となったのだ。

小刻みに震える唇が、喉の奥から絞り出した反論の数々を、あやふやなものに変える。
狼狽えるばかりの小男が説得されて部屋を出ていくまで、ものの数分もかからなかった。
数分前まで少女を慰み物にしようと張りきっていたことなど、頭から抜け落ちてしまったかのようだ。
もっとも、それは少女にしても同様だった。
慰み物にされかけていた事実が、少なくともその瞬間は、綺麗さっぱり頭の中から消えていた。
絶対進化能力実験の、凍結。
その暴挙を止めたいと強く願っていた少女にとって、それは衝撃的な知らせに違いなかった。

「……乱れた服くらい、ちゃんと直していってほしかったのだけど」

思考と感情の整理を終えた後で、自分の卑猥な格好に思い至り、深々と嘆息する。
結局その日、研究者たちは部屋に戻ってこなかった。
年頃の少女にとってこの上なく最低で、しかし生存への分岐点ともなった一日は、こうして終わりを迎えた。

558: 2013/06/10(月) 21:46:58.90 ID:xnRJ1mN20
「あのぅ、どちら様で?」

陰鬱な映像がまぶたの裏から過ぎ去り、訝しげに瞬く少年がそこにいた。
イガ栗を思わせる髪と、眠たげながら意志の強さを内包する瞳が印象的だ。
ドアを半分ほどしか開いてないのは、初見の来訪者に対する心構え、警戒心の表れだろう。

ゴス口リ風のドレスに身を包んだ少女は、インターホンからそっと指を遠ざけ、両手を揃えて深く一礼した。

「……どうも、初めまして」

「初めましてっつーと、つまり元知り合いってわけじゃないんかな?」

元知り合い。その単語にはいささか引っかかりを覚えたものの、気を取り直して相手の顔を見つめ返す。

「……この度、こちらの建物の管理人を務めさせていただくことになった布束です」

「え……それって、この寮に管理人がつくってこと?」

「……そういうことね。ついさっき、越してきたばかりだけど」

今は最低限の荷物を運び入れ、片づけもそこそこに各部屋を回っているのだと、少女は淀みなく説明する。

559: 2013/06/10(月) 21:53:04.07 ID:xnRJ1mN20
「それはお疲れ様です。ああ、俺は上条って言います。よろしく」

名前くらいは知ってるだろうけど、と少年が付け足す。
決して自意識過剰なわけではなく、自分が管理人だから、ということだろう。

頭に片手をやりつつ一礼した上条を、布束は果物の品定めでもするかのように見つめる。
立ち姿がいささか疲れているように見えることを除いては、ごく普通。
格好よく見えなくもないが、10人が10人賛同するというほどでもない。
10人中6人か7人くらいが、及第点だと認めそうな、そんな感じ。
それが上条の容姿に対する第一印象だった。

体つきは細身で筋肉質だが、背丈や体格は標準の域を出ない。
研修を修了したアンチスキルとやり合えるかと問われれば、少々心許ない。
ここ学園都市に限って言えば、容姿と強さは一致しないことが多いのだが
事前の下調べで彼が無能力者であることは確認済みだ。
蛇足だが、部屋着の着こなしからすると、ファッション誌などとは縁遠そうである。

560: 2013/06/10(月) 21:56:44.05 ID:xnRJ1mN20
「あ、あのぅ、何か気になることでも?」

知らぬ間に凝視してしまっていたのか、少年の笑みが先ほどより強張っている。
自分の目力にまつわる話については、幼少のころから枚挙に暇がない。
泣く子が黙り、そして泣く。
唸り吠えあっていた犬が揃って服従のポーズを示す。
自分を勝手に能力者と勘違いした不良が、勝手に追い詰められて気絶するなど。

努力して頬の筋肉を動かし、視線を和らげる。
少なくとも、少女自身はそうしたつもりだったが、少年の顔に変化はなかった。

「excuse me。これ、引っ越し蕎麦なのだけど、よかったら召し上がって」

手に持った包みを掲げて見せると、少年が曖昧にうなずいた。

「こりゃあどうも、ご丁寧に」

差し出された包みを両手で受け取り、一瞬躊躇う素振りを見せた後で、少年が言う。

「管理人さんが引っ越し蕎麦って、その、あまり聞いたことないっすね」

「……そうね、私も、ただの一度として聞いたことはないわ」

561: 2013/06/10(月) 22:00:18.13 ID:xnRJ1mN20
実のところ、蕎麦は少年の分しか用意していなかった。
さすがに棟の住人全員に配るのは手間だし、重いし、他の大多数に対して義理があるわけでもない。
真実を話さない理由は、何のことはない。
目の前の少年が遠慮などせぬよう気遣っただけだ。

そもそもこの時間帯は不在の住人が多いのだと、管理組合からも事前に知らされていた。
告知だけなら、一階の集合ポストにA4コピー紙を一枚ずつ入れ込むだけで事足りるのだ。

「……まぁでも、別にいいんじゃないかしら。そばに引っ越してきて長くお世話になります、という意味合いなのだし」

「へぇ、由来までは知らなかったなぁ。布束さん、博識なんですね」

「……重要なのは知識を活かす機会がどれだけあるかよね。ちなみに、蕎麦はお好きかしら? アレルギーとか」

「ないですし好物ですよ。ありがたく夕飯にさせてもらいます」

「……そう」

どこにでもありそうな他愛ないやり取り。
にもかかわらず、両の手のひらが汗ばんでいるのは何故だろう。
先ほどから口の中に唾が溜まる一方だ。
らしくなく緊張しているのだろうか。
自分より年上の研究者たちと言葉を交わすことはしょっちゅうだったのに、年下が駄目とはおかしな話だ。

562: 2013/06/10(月) 22:04:15.69 ID:xnRJ1mN20
「……ところで、上条君、だったわよね」

「え、ええ。あの、何か?」

末尾の言葉は余計だ。特定の個人を意識しているわけではなく、今知ったのだという暗喩、退路。
あまり認めたくないし、自分自身覚えもないものだが、要するに照れ隠し的なものである。
一呼吸おき、胸に溜めていた息と一緒に、用意しておいた言葉を吐き出す。

「つまり、そう……私は世間一般で言うところの、管理人のお姉さん、なのだけど」

「…………はい?」

「……だから、その…………えっと、どうしてかしら」

理想のタイプは寮の管理人のお姉さん。
隣の住人から仕入れたばかりの新鮮な情報(ネタ)は、見事に不発。
それに伴い、体温が急上昇している模様。
というか、自分は一体何をやっているのだろう。

「……じゃあ、そういうことで」

半ば錯乱状態で持っていた蕎麦を押し付けるように手渡し、エレベーターを目指して真っすぐに走る。

「あ、ちょ、ちょっとッ!? いきなりわけわかんねえんすけどッ!?」

後ろからの声を振り切るようにエレベーターの中に駆け込み、ドアの開閉ボタンを連打。
一階のボタンを押し忘れていることに気づかぬまま、壁に背を預けて呼吸を整える。

563: 2013/06/10(月) 22:10:38.47 ID:xnRJ1mN20
「……な、何がいけなかったのかしら」

自らの愚かしい行動を真剣に振り返り、ものの数秒で答えに行きつく。
ああ、そうか。
何故こんな簡単なことに気づかなかったのだろう。

布束砥信は、今の今まで、異性の興味を引こうとしたことなどただの一度もないのだ。

「……実験に失敗はつきものね。……次にきちんとした成果を得られるよう頑張らないと」

逸る鼓動を落ち着かせるべく深呼吸し、布束は己の目的を反芻する。
在籍していた高校はいつの間にか自主退学扱い。
制服変換用の郵パックが退去勧告と一緒に寮のポストに入れられていた。
一人の少女としても、虚実にかかわらず様々な傷を抱えてしまっている。
その上天涯孤独――かどうかはわからないが、置き去り(チャイルドエラー)という境遇だ。
もちろん、今さら研究所に戻る選択肢はあり得ないだろう。

未来に何の希望も見出せない中、少女にとって興味を引く事柄は、一つだけ残っていた。
一つしか残っていなかった。

564: 2013/06/10(月) 22:27:10.41 ID:xnRJ1mN20
「……焦ることはないわね、もう彼とはご近所なのだし」

一階のボタンを押しながら、布束は自身の目的を再確認する。
手つかずだった定期預金を解約してここに移り住んだのは、ひとえに恩に報いるためだ。
御坂美琴を、そのクローンたちを救ってくれた恩を。
自分を地獄から引き戻してくれた大恩を。

一生かかっても返済できるかわからない借りを返すために、まずは彼を知る必要がある。
彼が望むことを知る必要がある。

「……そもそも、何で寮のお姉さんなのかしら?」

小首を傾げて考察する少女の顔に、絶望の色はない。
布束砥信と上条当麻の蜜月は、まだ始まったばかりである。

565: 2013/06/10(月) 22:29:06.15 ID:xnRJ1mN20
以上、超電磁砲前話を見て思いついたネタですた

引用: ▽【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-39冊目-【超電磁砲】