102: 2008/04/12(土) 23:45:24.52ID:Ama8fF/A0
「えへへ・・・男君・・・私、男君が居るだけで、強くなれるんだあ・・・。」

ちょっとした暇があれば、私は彼に対していつもこう言っている。
自分一人じゃとても弱い人間だから。誰かが居ないと弱い人間だから。
その誰かは、他の誰でもない、君なんだよ、って。いつもいつも教えてた。

「男君が居ればね、何も怖くない・・・誰からどんな目にあったって、辛さなんて吹き飛ぶんだ・・・。」

学校でも、デート中でも、家でも、バイト先でも。
彼の事を考えて。彼の事を見ていると、私は何でも耐えられる。耐えられた。
彼だけが私の救い。彼が居るから、私は成り立っている。
彼が居なかったら、私はこんな現実から、逃げ出しているかも知れない。

「ねぇ、男君・・・だからね、お願い・・・ずっと私と一緒に居てね・・・?」

でも、私は、今。
現実から、逃げ出したい。
艦隊これくしょん -艦これ- 4コマコミック 吹雪、がんばります!(1) (ファミ通クリアコミックス)

104: 2008/04/12(土) 23:51:42.74ID:Ama8fF/A0
彼の家と私の家はそれなりに離れている。
普通なら、学校に向かう途中で落ち合う事なんて無い位置。
でも、私も彼も、少し遠回りをして、いつも一緒に学校に行っていた。

「おはよう、男君。えへへ、」

挨拶はいつも私から。毎日、絶対に欠かさない笑顔を向けながら。
いつも通りの挨拶を彼に。
彼は軽く片手を挙げて、「おう、おはよう。」と返してくれる。

「えへへ、昨日の晩ご飯ね。うどんだったの。油揚げと天ぷらが乗ってたんだー、美味しかったよー。」
「たぬきもきつねも乗せるとは豪勢だなお前の家。餅も乗ってれば完璧だったんだが。」

他愛ない会話。けどそれが楽しくて、いつも一緒に居る。
別に会話が無くったっていい。彼が側に居てくれるだけで、私は嬉しくなる。
いつも一緒に居る、と言う普通を手にしているだけで、私はとても嬉しくなる。

108: 2008/04/13(日) 00:01:12.24ID:vjBCOxUk0
―――「男君・・・男君が居るから、私、いつも笑ってられるんだあ。」
―――「男君が居なかったらね、私、こんなに笑えないんだよ。」
―――「この笑顔ね、一番見て欲しいのって・・・男君なんだよ。」
―――「だからね?私、笑ってられるの・・・男君が、とっても、とっても、優しい人だから。」



「ねー男君、一時間目なんだっけー?」
学校に着く。遠回りと言っても、ホームルームの時間にはちゃんと間に合う様に家を出ている。
自分の席に鞄を置いて、彼に質問をしながら、私はロッカーに向かった。

「数B。・・・お前何でロッカーに教科書あるんだ?宿題あっただろ?」
「え?・・・え、えへへ。えへへ。あったっけか・・・えへへ、」

彼は一回だけ、溜息をついた。自分の鞄の中からノートを取り出して、私の机に置いてくれる。
教科書をロッカーから出して戻ってきた私は、笑いながら、「ありがとう」と言った。

「もう時間ねえぞ。早く写せ、教科書は・・・。」

彼に宿題の段取りを教えて貰っていると、すぐにホームルームの時間になった。
教科書とノートのページは教えてもらったので、ホームルームの時間中、私はずっと宿題を写していた。

109: 2008/04/13(日) 00:06:25.33ID:vjBCOxUk0
ノートのコピーは一時間目の数学が始まる前に何とか終わった。
元々大した量じゃなかったのがせめてもの救い。彼のノートが判りやすいのもあった。

「えへへ、ありがとう男君。助かったよー。」
「それで居残らされても困るしな。今日遊び行くんだろ、」

返されたノートで、私の頭を軽くポンポンッ、と叩く彼。
凄く心地が良い。彼のこういった、小さな仕草に、私はまた嬉しくなる。

「・・・うん。えへへ、楽しみにしてるね。」

そう言って、私は自分の席に戻った。
授業開始のチャイムが鳴り、得意じゃない数学の授業を受けながら、
放課後彼と遊ぶ事ばかりを考えていた。

110: 2008/04/13(日) 00:13:54.94ID:vjBCOxUk0
―――「・・・私、ずっと笑顔ってワケじゃなかったんだよ?」
―――「男君の事を知って・・・男君と一緒に居たくて・・・。」
―――「そうじゃなかったら、私、もしかしたら、もう、居なかったかも知れない・・・。」
―――「ねぇ、男君・・・私、本当に、男君の事が、大切で、大事で、しょうがないんだあ・・・。」

学校に居る時間はあっという間に過ぎる。
・・・あっという間に、過ぎていく様に、考えてる。

「おーとーこー君!放課後だよ!放課後だよ!えへへ!」
「判ってるからはしゃぐな。取り敢えずさっさと行くか、」

私は彼に「うん」と返事をして、一緒に下駄箱に歩いていく。
明日は土曜日。学校は休み。土曜が休みの時代に産まれて良かったなあって思う。
一週間の内、二日も、学校に来なくて済むから。

周囲のぼそぼそした声が絶えない。
私が一番学校に居辛い時間。同じ学年の廊下を通ってる時。
私を見る度、私の事を話題にして。聞こえるか聞こえないかくらいの声で話す人達。
私が一番学校に居たくない時間。

「ほら。さっさと歩け、さっさと。」

それでも、彼の声が私を救ってくれる。

112: 2008/04/13(日) 00:23:33.63ID:vjBCOxUk0
「遊ぶ場所無くなってきたな。」

不意に、彼がそう言った。何か考えている様子で、道路の奥の方を見ながら。
人が散り散りに歩いている歩道を二人で歩きながら、私は彼の顔を見て言った。

「遊ばなくてもいいよ、一緒に居るだけで。私ね、それだけで幸せだから。えへへ。」

私の言葉で、彼は私の顔を見る。米神を指で掻きながら、少しの間黙っていた。
その間も、彼と私の足は動いたまま。どこの目的地も無く歩いていた。

「・・・散歩するか。」

肩に掛けた鞄を持ち直して、目的地が本当に無い事を彼は告げた。
一瞬だけ私はキョトンとした。彼がそう言う、のんびりした事を言ってくるとは思わなかったから。

「うん、いいよ。えへへ、お散歩好きだよ。」

いつも行くカラオケ店も、カフェも、ファーストフード店も、ゲームセンターも、
ビリヤード店も、ボーリング場も、通り過ぎながら、私と彼は歩いていた。

115: 2008/04/13(日) 00:33:29.51ID:vjBCOxUk0
―――「どうして、こんな事になったんだろうね・・・。」
―――「全部、私が悪いのかな・・・?男君は、何も、悪くないんだよね・・・?」
―――「ねぇ、男君・・・そうだって言ってくれると、私、嬉しいよ。全部、私の所為だって・・・。」
―――「全部、私が、悪いんだ、って、言って、ほし、いなあ、えへ・・・えへへ・・・。」


「・・・お前一人じゃ迷いそうなとこまで来たな。」
「えへへ。・・・そうだね、全然道覚えてないやあ。えへへ。」

私達が住む町は、さほど広くないが、そこまで狭くない。
多分、三日から五日もあれば、殆どの土地は歩き尽くせるくらいの広さ。
それくらいでも、行った事が無い場所はあるし、見た事無い場所だってある。

「道覚えてるから大丈夫だが・・・こんな住宅街あったんだな。」

私は「そうだねー」と返事をしながら、見た事の無い土地をキョロキョロと見回していた。
彼と一緒に居るのは、とても好きだ。こうして色んな発見がある。
私一人じゃ、こんな発見なんて、絶対に無いから。

「ねぇ、おと」

117: 2008/04/13(日) 00:37:54.46ID:vjBCOxUk0
記憶が吹っ飛んだ。
普段行かない様な所を歩いていた私と彼は。
何故か、誰の目にもつかないような裏路地に居た。
二人とも、倒れていた。
私も彼も倒れていた。

「・・・あれ・・・男君?ねぇ、男君、男君?」

彼の身体をゆさゆさと揺する。彼はまだ目覚めそうにない。
私の方が早くに目覚めたので、ここがどこかくらいは判っておきたかった。
でも、やっぱり、見た事無い所だった。
彼を置いていくワケにも行かないから、少しの間、私は、彼が目覚めるのを待った。

119: 2008/04/13(日) 00:39:52.28ID:vjBCOxUk0
彼が目覚めるのを待った。
彼が目覚めるのを待った。
彼が目覚めるのを待った。
彼が目覚めるのを待った。
彼が目覚めるのを待った。
彼が目覚めるのを待った。
彼が目覚めるのを待った。
彼が目覚めるのを待った。
彼が目覚めるのを待った。
彼が目覚めるのを待った。


「・・・男君?」




携帯で確認したら、私が目覚めてから、もう、二時間以上経っていた。

123: 2008/04/13(日) 00:43:17.97ID:vjBCOxUk0
―――「男君・・・男君が居るから、私、いつも笑ってられるんだあ。」
―――「男君が居なかったらね、私、こんなに笑えないんだよ。」
―――「この笑顔ね、一番見て欲しいのって・・・男君なんだよ。」
―――「だからね?私、笑ってられるの・・・男君が、とっても、とっても、優しい人だから。」
―――「・・・私、ずっと笑顔ってワケじゃなかったんだよ?」
―――「男君の事を知って・・・男君と一緒に居たくて・・・。」
―――「そうじゃなかったら、私、もしかしたら、もう、居なかったかも知れない・・・。」
―――「ねぇ、男君・・・私、本当に、男君の事が、大切で、大事で、しょうがないんだあ・・・。」
―――「どうして、こんな事になったんだろうね・・・。」
―――「全部、私が悪いのかな・・・?男君は、何も、悪くないんだよね・・・?」
―――「ねぇ、男君・・・そうだって言ってくれると、私、嬉しいよ。全部、私の所為だって・・・。」
―――「全部、私が、悪いんだ、って、言って、ほし、いなあ、えへ・・・えへへ・・・。」



「だから、ねぇ、起きてよ、男君・・・ねぇ、起きてよ、男君・・・。」
「男君が居なきゃ、私、笑ってられないんだよ。男君が居なきゃ、私、生きていけないんだよ。」
「男君だけが私の支えなのに、男君だけが私の救いなのに、ねぇ、男君、お願い、聞いて・・・。」
「だから、ねぇ、起きてよ、男君・・・男君・・・。」


「・・・ねぇ・・・。いっぱい、笑うから。いつでも、笑ってられるから。ずっと、笑顔で居るから。」

「・・・起きてよ・・・男君・・・。」

125: 2008/04/13(日) 00:57:15.27ID:vjBCOxUk0
誰が私を現実から逃がしてくれたんだろう。
逃げ出したい現実から、素直に逃げさせてくれたんだろう。

けど、そんなの誰でも良かった。
嫌な現実から。
一番見たくない、一番嫌な現実から、逃げさせてくれたんだから。
私は、感謝してる。
例え生きていなくても、私は、まだ、彼と、一緒に、居られるから。

―――「昨晩、○○高等学校の○年生である、男女一組が氏亡していた事件がありました。」
―――「男子校生の方は後頭部に酷い裂傷が見受けられ、」
―――「女子校生の方は首に打撲、頭部に裂傷が見受けられました。」
―――「犯人は未だ見付かって居らず、警察が氏力を尽くしている模様です。」



―――「一昨日起きた、高校生男女一組が氏亡した事件の犯人が名乗り出た模様です。」
―――「同高等学校の同学年の男子数名による犯行で、動機は『笑った顔がむかついたから、崩してやりたかった。』」
―――「『けど、あの女、いつまでもいつまでも笑ってやがるから、むかついて、女も頃した。』と供述しております。」

126: 2008/04/13(日) 00:57:50.58ID:vjBCOxUk0
ごめんね、EROでもほのぼのでもなくてごめんね
うどん食べてくる

127: 2008/04/13(日) 00:58:29.01ID:LAQ30z510
おいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい

129: 2008/04/13(日) 01:02:11.17ID:GDJPtD+S0
( д) ゜゜

135: 2008/04/13(日) 01:15:26.33ID:vjBCOxUk0
男「じゃーん!実は俺氏んだふりでしたー!!」

女「えへへ、いっそ氏ね!」

エンド

136: 2008/04/13(日) 01:17:28.28ID:QkETBYIe0
>>135
感動しすぎて前が見えない

137: 2008/04/13(日) 01:17:53.84ID:rqTDZ4lu0
全米が泣いた!

143: 2008/04/13(日) 01:22:22.29ID:vjBCOxUk0
なんかアレだよね
イメージは最終兵器彼女って感じ

ハッピーエンドって地味に難しくね?

引用: 新ジャンル「笑顔少女」