172: 2013/06/26(水) 06:07:20.59 ID:N5xa8DXZ0
エレン「肝試し?」

ライナー「季節も変わって暑くなって来ただろ? だからやってみようと言う話になった」

マルコ「今のところ、参加するのは、ライナー、ベルトルト、ジャン、コニー、それに僕」

アルミン「男子だけでするの?」

ジャン「んなわけないだろ。明日女子にも声かけるんだよ」

ベルトルト「くじ引きで男女のペアを決めてやるんだ」

コニー「正直、誰でもいいけどな」

ライナー「そう言うな。折角のイベントだ。上手く行けば、気になるあの子とムフフになるぞ」

コニー「ムフフって何だ?」

ジャン「ちょっと黙ってろよ、コニー」

173: 2013/06/26(水) 06:08:55.87 ID:N5xa8DXZ0
マルコ「そんなわけで、エレンとアルミンも参加しない?」

エレン「馬鹿らし。勝手にやってろよ」

ジャン「待てよ。お前が来ないと、ミカサが参加しないだろうが」

エレン「知るかよ。ミカサを誘いたきゃ勝手に誘いやがれ」

アルミン「まぁまぁ、折角誘って貰ったんだから、やってみない?」

エレン「やだよ」

ジャン「あっ、そーかそーか。お前、幽霊が怖いんだろ?」

エレン「は?」

ジャン「睨んで誤魔化しても無駄だ。図星だから参加しねぇんだろ?」

エレン「お前、本当に頭ん中軽いみてぇだな。大丈夫か? 医者に診て貰えよ」

ジャン「はははっ、ビビりのお前になに言われても、なんとも思わねぇよ」

174: 2013/06/26(水) 06:10:22.54 ID:N5xa8DXZ0
マルコ「やめろよ、ジャン。ただの余興で喧嘩しても、つまらなくなるだけだよ」

ライナー「まぁ、無理に誘ってるわけじゃない。エレン、悪かったな」

エレン「ライナーは悪くねぇだろ」

ライナー「いや、誘ったのは俺だ。俺にも責任はある」

エレン「そうかよ」

ベルトルト「? エレン、どこ行くの? もうすぐ消灯時間になるよ」

エレン「便所だよ」

175: 2013/06/26(水) 06:12:03.36 ID:N5xa8DXZ0
ジャン「チッ、なんだよあいつ。わざわざ声かけてやったのによ」

ライナー「ジャンがエレンを誘う事に反対しなかったのは、下心だけじゃなかったのか?」

ジャン「肝試しに下心しか向けてないライナーには、言われたくないな」

マルコ「エレンはこういうイベントに興味なさそうだからね」

ライナー「本当に幽霊が怖いってオチなら、可愛げがあるんだがな」

ベルトルト「その辺りはどうなのかな? アルミン」

アルミン「……」

ベルトルト「アルミン?」

アルミン「あっ、ごめん。聞いてなかった」

マルコ「考え事?」

アルミン「うん、ちょっとね」

176: 2013/06/26(水) 06:13:00.50 ID:N5xa8DXZ0
ジャン「で、実際どうなんだ? エレンのやつ、本当に幽霊怖がってるのか?」

アルミン「それはないよ。断言する」

ジャン「なんだよ、つまらねぇ」

アルミン「むしろ――」

ライナー「むしろ?」

アルミン「……ううん、なんでもない」

177: 2013/06/26(水) 06:14:36.29 ID:N5xa8DXZ0
マルコ「それはそうと、アルミンも不参加?」

アルミン「そうだね。悪いけど、僕も遠慮するよ」

ライナー「残念だが、仕方ないな」

アルミン「ごめんね」

ベルトルト「いいよ。気にしないで」

アルミン「うん。……ところで、コニーはなんで会話に参加しないの?」

コニー「ジャンに黙ってろって」

アルミン「そうだったね」

178: 2013/06/26(水) 06:18:20.01 ID:N5xa8DXZ0
屋外


エレン「ハッ! ハッ!」

キース「イェーガー、そこでなにをしている」

エレン「教官? えっと、俺は見ての通り、巻藁と戯れてるだけですけど」

キース「すぐに就寝時間だ。早く寮に戻れ」

エレン「もう少しやらせて下さい。体動かさないと、頭がおかしくなりそうで」

キース「……なにかあったのか?」

エレン「他愛のない事です」

キース「そうか。とにかくだ、休む事も兵士の務め。無理にでも寝ろ。これは命令だ」

エレン「……わかりました」

179: 2013/06/26(水) 06:19:21.89 ID:N5xa8DXZ0
キース「巻藁は、私が片づけておこう」

エレン「すみません。お手数をおかけします」

キース「構わん」

エレン「……あの、教官」

キース「なんだ?」

エレン「教官は幽霊って信じますか?」

キース「いや? イェーガーは信じているのか?」

エレン「信じてはいません。ですが、居て欲しいと何度か考えた事はあります」

180: 2013/06/26(水) 06:22:16.03 ID:N5xa8DXZ0
キース「亡くなった誰かに会いたいのか?」

エレン「欲を言えば、会いたいです。でも、その必要はありません」

キース「必要がない?」

エレン「えぇ。ただ呪われるだけでも、祟られるだけでも、憑かれるだけでも構いません。その人が俺を恨んでいるのなら」

キース「それは誰か、聞いても構わないか?」

エレン「……母です。超大型巨人が現れた日に、俺が見頃しにした」

キース「……」

エレン「倒壊した家に潰されて、身動きが取れない母を俺は見捨てたんです。恨まれても仕方ありません」

181: 2013/06/26(水) 06:25:20.40 ID:N5xa8DXZ0
キース「……貴様は出世できない人間のようだな」

エレン「地位なんて不要です。俺は巨人を駆逐したいだけですから」

キース「一兵士としても、時には仲間を捨てる覚悟が必要だ」

エレン「わかっています。わかっては、います。百の命を守るために、一を切り捨てる必要性は」

キース「ならばいい」

エレン「変な話をして、すみません」

キース「いや、お前の気持ちは私もよくわかる」

エレン「ブラウン……さん、の事ですか?」

キース「シガンシナ区出身、だったな。あの場にいたのか?」

エレン「はい」

キース「ならば、隠していても仕方があるまい」

182: 2013/06/26(水) 06:28:55.22 ID:N5xa8DXZ0
キース「そうだ。正確に言えば、ブラウンを含めた部下や同僚たちの事だがな」

エレン「調査兵団の団長であった教官であれば、多くの氏を目の当たりにしているのだとお察しします」

キース「あぁ、数え切れないほど、目の前で散った。中には、共に血汗を流して鍛錬を重ねた友も居た」

エレン「……」

キース「どれだけ努力しても、どれだけの実力があっても、命が消えるのは一瞬だ」

エレン「……この目で見ました。焼きつけました。巨人への憎しみと共に、決して忘れないよう」

183: 2013/06/26(水) 06:31:33.82 ID:N5xa8DXZ0
キース「エレン・イェーガー。この世に幽霊など存在はせん」

キース「数多の氏者に恨まれている私が、まだ生き延びている。それが証だ」

エレン「……」

キース「修練に励め。氏者は目覚めないが、今ある命は守れる。お前次第で、いくらでも」

エレン「強く……強くなります。誰よりも強くなって、巨人を駆逐してみせます!」

キース「ならば、寝ろ。訓練の途中で氏なないようにな」

エレン「ハッ! 失礼します!」


キース「エレン・イェーガー。その目を曇らせるな。お前ならば、必ず強くなれるはずだ」



終わり

引用: 進撃の巨人SS総合スレ