1: 2014/12/10(水) 14:29:00.80 ID:2KyXm9aX0
高齢者問題は我が県のみならず、この剣と魔法の世界でも若者の戦闘職離れが問題となっていた。



魔王「…で」



ヘルパー「勇者さーん!ここ、どこかわかるー?」

勇者(88)「はいぃ?」

魔王「…なぁ、何でわざわざ年寄りをよこした?」

勇者「?」

ヘルパー「あぁすみません、勇者さん耳が遠いんです」

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1418189330/

2: 2014/12/10(水) 14:29:25.61 ID:2KyXm9aX0
ヘルパー「あのねー!どうして、わざわざお年寄りを来させたんだってー!」

勇者「あぁ」

勇者「確かワシが20代の頃ね~…あの、えーと、何て言うんだっけ、武器とか薬草とか、こう色々売ってる…」

ヘルパー「万事屋さんかなー?」

勇者「そうそう万事屋。あそこで、剣を買ったのね。あの頃の剣は今みたく立派じゃなくて、ちょっと使ったら手入れが必要になるね」

ヘルパー「あぁー!まだ技術が発展してなかったもんねー!」

勇者「そう。それをね、ワシ父親が戦士だったから真似して振ってみたら、手からすっぽ抜けちゃって」

ヘルパー「勇者さんも元々剣を使えたんじゃないんだねー!」

勇者「そうなの。でね、その頃隣に住んでおった友達にワシ馬鹿にされて、それから毎日毎日…」

魔王「おい、その話どれ位続くんだ」

ヘルパー「勇者さん一度話し出すと止まらないんですよ」

勇者「ん?今何て言ったの?」

ヘルパー「勇者さんは今でも強くていい男だって言ったんだよー!」

勇者「えへへへ」

魔王「明らかなお世辞を間に受けるな!」

3: 2014/12/10(水) 14:30:03.37 ID:2KyXm9aX0
魔王「とにかくそのジジイが我を倒そうって言うんだな!?」

ヘルパー「こら!人生の先輩に向かってジジイとは何ですか!」

魔王「我はこう見えても100年生きている!」

ヘルパー「じゃあ勇者さんは貴方より若いじゃありませんか!」

魔王「魔王と人間の体は違う!!」

勇者「~?」

ヘルパー「あのねー!勇者さんがあの魔王を討つんだよねー!」

勇者「そうそう」

魔王「かかってくるのなら年寄りとはいえ容赦はせんぞ」

ヘルパー「やる気満々だってさ!戦えるー?」

勇者「ちょっと調子悪いねぇ」

ヘルパー「ちょっと待ってねー!体調チェックするから!」


勇者 Lv100
攻撃:62 防御:54 素早さ:57 魔力:未知数 血圧:125/65 脈拍:63 体温:25.5
状態:腰痛


ヘルパー「体調は大丈夫だよー!腰は湿布貼ってるー?」

勇者「あれ、どうだったかな?ちょっと見てみて」

ヘルパー「はいはい、ちょっとズボンめくるよ、失礼しまーす!」

魔王(グダグダじゃねぇか…)

4: 2014/12/10(水) 14:30:41.92 ID:2KyXm9aX0
ヘルパー「はい!湿布貼ったから大丈夫!さー戦おう!」

勇者「はいはい」

魔王「無理だろ」

ヘルパー「勇者さーん!あれやって、雷鳴烈風派!」

勇者「~?」

ヘルパー「ら、い、め、い、れっ、ぷ、う、は!」

勇者「~?」

ヘルパー「雷のやつ!」

勇者「あ~」



魔王(話にならんな、こんなジジイでは)鼻ホジホジ



バチバチバリバリイイィィィッ


魔王「」


ヘルパー「惜しいねー!外しちゃったねー!」

勇者「あらら」

魔王「ちょっ、何だ今のは!?」

ヘルパー「勇者さんは魔法も仕えるんですよ。ねー!」

勇者「ねー」

魔王(それにしても半端な威力じゃなかったぞ)

5: 2014/12/10(水) 14:31:13.82 ID:2KyXm9aX0
魔王(加齢で肉体は年寄りだが、魔法能力はそう簡単には衰えない…)

勇者「フガフガ」

ヘルパー「あら、入れ歯ずれちゃったねー!直そうかー!」

魔王(しかし魔法を警戒して…)

魔王「心臓を貫く!」ダッ

ヘルパー「来たよー!」

勇者「むぅ?」

魔王(相手は腰痛のジジイ…我の攻撃をよけることはできまい!!)

魔王「喰らえええぇぇっ!」

ヒョイ

魔王「…何!?」

勇者「ふー」

魔王「ぐ、偶然だ!今度こそ!」

ヒョイヒョイ

魔王「あ、当たらん!?」

勇者「~?」

ヘルパー「あのねー!当たらないって驚いてるー!」

勇者「あー」

6: 2014/12/10(水) 14:31:51.39 ID:2KyXm9aX0
勇者「経験かねぇ」

魔王「経験!?」

勇者「お兄ちゃんの動き見たら、どこを狙ってるかわかるの」

魔王(な…)

魔王「そうか…年齢と共に肉体は衰えても経験による勘は研ぎ澄まされる…」

魔王「面白い、面白いぞ勇者!貴様の力をもっと見せよ!!」

勇者「~?」

ヘルパー「あのねー!もっと戦いたいんだってー!」

勇者「ワシは戦いとうない」

魔王「じゃあ何で来たんだよ!?」

7: 2014/12/10(水) 14:32:28.60 ID:2KyXm9aX0
勇者「ワシは風呂が1番好きでね」

魔王「聞いとらん!」

勇者「美人さんに入れてもらう風呂は最高なんだぁ」

ヘルパー「もー勇者さんたら、お世辞がお上手ー!」

勇者「えへへ」

魔王「そんなことはどうでもいい!」

勇者「ワシお気に入りの温泉の素があってね」

魔王「それもどうでもいいわ!」

8: 2014/12/10(水) 14:33:07.15 ID:2KyXm9aX0
魔王「直接攻撃が避けられるなら…我の魔法はどうだ!!」

ゴゴオオォォォ

勇者「おや、地震かのう」

ヘルパー「勇者さん、魔法だよまほー!」

魔王「喰らえええぇぇ!」


ドゴオオォォォォン


魔王「フッ…直撃したな。これでは跡形も残るま…」

バッ

魔王(殺気…ッ!?)

勇者「破ああぁぁぁ!!」

魔王「なぬっ!?」


ズシュッ

9: 2014/12/10(水) 14:33:34.56 ID:2KyXm9aX0
魔王「く、不意打ちか…しかし我にダメージは無いぞ」

勇者「~?」

ヘルパー「痛くないって言ってるよ!」

魔王「そんなことより何故我の魔法を喰らって生きているんだ!?」

勇者「生きてる理由?」

勇者「ワシは風呂が1番好きでね」

魔王「もうその話はいい!」

10: 2014/12/10(水) 14:34:00.03 ID:2KyXm9aX0
ヘルパー「今折角話してるんですから遮らないで下さい!」

魔王「何で我が怒られるんだ!?」

勇者「ワシお気に入りの温泉の素があってね」

魔王(すげーどうでもいい)

勇者「それの効能が魔法耐性でね」

魔王(…ん?)

勇者「それのお陰で、魔法が効かない体になったの」

魔王「」

ヘルパー「ねー!あれお医者さんに勧められたけど、すっごくいいよねー!」

魔王(何でこのヘルパーも生きてるんだ)

11: 2014/12/10(水) 14:34:27.87 ID:2KyXm9aX0
魔王「直接攻撃は当たらない、魔法は効かない…だがそちらの攻撃も我には効かないようだな」

ヘルパー「そうですか?」

勇者「丈夫だねぇ」

魔王「ハッハッハ!所詮年寄りの攻撃など…」

ガクッ

魔王「…え?」

ヘルパー「効いてきたね」

勇者「ねぇ」

魔王「か、体がしびれて…こ、これは…」

勇者「ワシの最強魔法」

魔王「な…に…!?」

勇者「えーとね…どんな魔法だっけ?」

ヘルパー「喰らった者の血糖値を上げ、動脈硬化を促進させる魔法です」

魔王「」

12: 2014/12/10(水) 14:34:54.88 ID:2KyXm9aX0
その後魔王は動脈硬化による脳梗塞を起こし、体には麻痺が残ったのであった。

魔王「」

ヘルパー「魔王さーん!いい朝ですねー!」

魔王「はぁ…」

脳梗塞により言語障害と気分障害を併発させた魔王は、あれからすっかり大人しくなってしまった。

勇者「魔王さんや」

魔王「んー?」

勇者「将棋やらんか?」

魔王「んん~」

勇者「~?」

ヘルパー「やりたいってー!」

勇者「そうかいそうかい」


こうして勇者と魔王の戦いは平和的解決を見せた。
しかし高齢者問題はまだ解決の糸口を見せていない。牙を失った現代の若者がこれからどう世界を守っていくのか、それはまた別の話である。


終わり

13: 2014/12/10(水) 14:36:03.78 ID:2KyXm9aX0
読んで下さりありがとうございました。
勇者のモデルとなったのは作者の知り合いにいる、90代のジロウさんです。

14: 2014/12/10(水) 14:40:27.93 ID:jOMArbKkO
勇者の体温が完全に死体なのは…

15: 2014/12/10(水) 14:41:55.09 ID:2KyXm9aX0
ミスりました。
35.5にしたかった。

17: 2014/12/10(水) 14:47:17.54 ID:tDn58jIy0
魔王も生活習慣病には勝てなかったよ…

18: 2014/12/10(水) 15:06:08.84 ID:UGn10sdmO
高翌齢者問題でそれっぽく〆るなwww

引用元: 介護ヘルパー「魔王討伐に来ました」