1:2015/01/05(月) 00:33:55.24
作家「そんなあ。今回のヒロインは、僕の元カノがモデルなんですよ?」
編集「それがダメなんだよ」
作家「なんで?」
編集「今の男っていうのは、主人公に都合のいいヒロインを求めてるわけ」
作家「都合のいい?」
編集「ちょっと優しくしただけで惚れたり、やたら主人公ばかり気にかける」
編集「待ってるだけで勝手に自分を追いかけてくれる、そういういヒロインが受けるんだよ」
編集「それがダメなんだよ」
作家「なんで?」
編集「今の男っていうのは、主人公に都合のいいヒロインを求めてるわけ」
作家「都合のいい?」
編集「ちょっと優しくしただけで惚れたり、やたら主人公ばかり気にかける」
編集「待ってるだけで勝手に自分を追いかけてくれる、そういういヒロインが受けるんだよ」
2:2015/01/05(月) 00:34:31.74 ID:1yN7KKru0.net
言う通りだろ
3:2015/01/05(月) 00:34:35.91 ID:NPbeqWARa.net
受けねえよカス
4:2015/01/05(月) 00:36:21.67 ID:hR8Kvk9Y0.net
時代遅れかと思ってるけどsaoとか考えるとそうでもないのか
てかこういうの好きなのって主人公=自分で見てんの?
てかこういうの好きなのって主人公=自分で見てんの?
5:2015/01/05(月) 00:38:00.92 ID:soh9zYkV0.net
いい加減チョロいん食傷気味なんですが…
6:2015/01/05(月) 00:39:41.55
作家「そう言われてみると、最近じゃ嫉妬する男主人公って見ないですもんね」
編集「自分ではなにもしないけど、勝手に女の子が惚れてくれる」
編集「しかも自分のことでヤキモキしてるのに、主人公は余裕綽々でいろんな女の子をつまみ食い」
編集「まさに男の理想だろ?」
作家「そうですね。それだけで夢がありますもんね」
編集「まあ、そうは言っても主人公を囲むヒロインはかわいくないとダメだけどね」
作家「そーですよ。特にメインヒロインの設定とかどうしましょう?」
編集「うーん、暴力系はとりあえず除外しよう」
編集「自分ではなにもしないけど、勝手に女の子が惚れてくれる」
編集「しかも自分のことでヤキモキしてるのに、主人公は余裕綽々でいろんな女の子をつまみ食い」
編集「まさに男の理想だろ?」
作家「そうですね。それだけで夢がありますもんね」
編集「まあ、そうは言っても主人公を囲むヒロインはかわいくないとダメだけどね」
作家「そーですよ。特にメインヒロインの設定とかどうしましょう?」
編集「うーん、暴力系はとりあえず除外しよう」
7:2015/01/05(月) 00:40:03.37 ID:m3cn1rz+0.net
チョロインとか全然展開にもやもやハラハラしない
8:2015/01/05(月) 00:40:43.43 ID:QrLJfaUi0.net
編集の言うこと聞いて良くなる例なんてほぼ無いだろ
最たる例がワンピの現状
最たる例がワンピの現状
10:2015/01/05(月) 00:44:46.72
編集「もしくはサブのヒロインだな、暴力系は」
編集「なんか君の理想の女の子像とかないの?」
作家「そうですね。趣味が合う女の子がいたらいいなって思います」
編集「キミって一時期ゲーセンに通ってたりしたんでしょ?」
作家「あー、ゲーセン通いの女の子とかちょっといいですよね」
編集「現実でもいないわけではないし、なかなかいい線いってると思うんだけど」
作家「うーん、でもこれだけだとダメですよね」
編集「なんか君の理想の女の子像とかないの?」
作家「そうですね。趣味が合う女の子がいたらいいなって思います」
編集「キミって一時期ゲーセンに通ってたりしたんでしょ?」
作家「あー、ゲーセン通いの女の子とかちょっといいですよね」
編集「現実でもいないわけではないし、なかなかいい線いってると思うんだけど」
作家「うーん、でもこれだけだとダメですよね」
11:2015/01/05(月) 00:51:05.81
編集「そうだね。やっぱり物語のメインになるかもしれない恋愛要素だからね」
編集「なんらかの障害は欲しいよね」
作家「じゃあ最初は仲が悪いとか、アクシデントでヒロインに嫌われるとか?」
編集「どうだろ。今のオタクは、ストレスに対して耐性がないからなあ」
作家「あっ、じゃあこういうのはどうですか?」
作家「ヒロインは病気をもってるんですよ。で、ちょっと影がある感じ」
作家「最初は無口なんだけど、主人公との触れ合いの中でこころを開く」
作家「それで主人公にほれたヒロインは、病気のことを打ち明け、主人公にゾッコンになる」
編集「無口で病弱。しかも献身的なキャラになりそーだし、オタク受けもよさそうだね」
編集「なんらかの障害は欲しいよね」
作家「じゃあ最初は仲が悪いとか、アクシデントでヒロインに嫌われるとか?」
編集「どうだろ。今のオタクは、ストレスに対して耐性がないからなあ」
作家「あっ、じゃあこういうのはどうですか?」
作家「ヒロインは病気をもってるんですよ。で、ちょっと影がある感じ」
作家「最初は無口なんだけど、主人公との触れ合いの中でこころを開く」
作家「それで主人公にほれたヒロインは、病気のことを打ち明け、主人公にゾッコンになる」
編集「無口で病弱。しかも献身的なキャラになりそーだし、オタク受けもよさそうだね」
13:2015/01/05(月) 01:00:08.35
編集「じゃあとりあえずヒロインはそういう方向でいいんじゃない?」
作家「でも肝心の物語が、なかなか進まないんですよね」
編集「そーだね。君ってば遅筆なんだよね」
作家「すみません。書いては決しての繰り返しで」
編集「とりあえず文章のデキは後回しでいいんだよ」
編集「次の打ち合わせまでにできるかぎり、バンバン話を進めておいてよ」
作家「あ、はい」
作家「でも肝心の物語が、なかなか進まないんですよね」
編集「そーだね。君ってば遅筆なんだよね」
作家「すみません。書いては決しての繰り返しで」
編集「とりあえず文章のデキは後回しでいいんだよ」
編集「次の打ち合わせまでにできるかぎり、バンバン話を進めておいてよ」
作家「あ、はい」
14:2015/01/05(月) 01:06:39.63
▲
作家(はあ。打ち合わせのたびに、あの編集からアドバイスをもらうけど)
作家(俺の書きたいものってこんなのだっけ?)
作家(ていうか、俺が書くのが遅くて編集の言うままに誘導されてるのが原因」
作家(ん? なんだあのばあさん?)
作家(はあ。打ち合わせのたびに、あの編集からアドバイスをもらうけど)
作家(俺の書きたいものってこんなのだっけ?)
作家(ていうか、俺が書くのが遅くて編集の言うままに誘導されてるのが原因」
作家(ん? なんだあのばあさん?)
15:2015/01/05(月) 01:07:15.56 ID:3JgSvoc80.net
自分好みの女の子はサブに置くのがちょうど良かったりする
16:2015/01/05(月) 01:16:31.72
老婆「……」
作家(『はやくなるペン売ります』って、なんだこりゃ?)
作家「あの、そのはやくなるペンってなんですか?」
老婆「……」
作家「ていうか、はやくなるってどういうことですか?」
老婆「それはお買いになった方だけがわかるのでございます」
作家(『はやくなるペン売ります』って、なんだこりゃ?)
作家「あの、そのはやくなるペンってなんですか?」
老婆「……」
作家「ていうか、はやくなるってどういうことですか?」
老婆「それはお買いになった方だけがわかるのでございます」
17:2015/01/05(月) 01:18:51.12 ID:wKwSVi8t0.net
懐かしすぎるだろちくしょうめ
18:2015/01/05(月) 01:19:49.28
作家「答えになってないんですけど。……それ、何円ですか?」
老婆「100円でございます」
作家「まあいいや。せっかくなんで買います」
老婆「お買い上げありがとうございます」
作家(なぜこんなものを買ったのかは自分でもわからなかったけど、何故か買ってしまった)
老婆「100円でございます」
作家「まあいいや。せっかくなんで買います」
老婆「お買い上げありがとうございます」
作家(なぜこんなものを買ったのかは自分でもわからなかったけど、何故か買ってしまった)
19:2015/01/05(月) 01:21:02.36 ID:PFXPmGLqr.net
週刊ストーリランドスレ
20:2015/01/05(月) 01:25:57.91
▲
作家(さて言われたとおり、さっさと原稿を進めないとな)
作家「とりあえず、まずはアイディアの整理だな」
作家「こういうのは紙に書いた方がいいんだよなあ。ちょうど新しいペンも買ったことだし」
作家「とりあえずもう一度アイディアをどんどん出していくか」
作家「えっと、まずはヒロインの設定は……」
一時間後
作家(さて言われたとおり、さっさと原稿を進めないとな)
作家「とりあえず、まずはアイディアの整理だな」
作家「こういうのは紙に書いた方がいいんだよなあ。ちょうど新しいペンも買ったことだし」
作家「とりあえずもう一度アイディアをどんどん出していくか」
作家「えっと、まずはヒロインの設定は……」
一時間後
22:2015/01/05(月) 01:27:54.11 ID:Kw+9BFWBr.net
まさかの展開
23:2015/01/05(月) 01:30:30.87
作家「今日は調子がいいなあ。どんどんアイディアが出てくるよ」
作家「ノートがアイディアでいっぱいだ!」
作家「使ってるペンのおかげだったりしてな。よし、この調子で原稿書くか」
作家「……って、いざ原稿に書き始めると全然書けないな」
作家「ノートに書いてる時は、スラスラ進んだのに」
作家「時代錯誤だけど、ためしに手書きでやってみるか?」
作家「ノートがアイディアでいっぱいだ!」
作家「使ってるペンのおかげだったりしてな。よし、この調子で原稿書くか」
作家「……って、いざ原稿に書き始めると全然書けないな」
作家「ノートに書いてる時は、スラスラ進んだのに」
作家「時代錯誤だけど、ためしに手書きでやってみるか?」
24:2015/01/05(月) 01:33:48.55
一週間後
編集「あのねえ。今どき手書きはないでしょ?」
作家「でも見てくださいよ。めちゃくちゃ進みましたよ」
編集「……たしかに。後藤くんとは思えないほど書けてるね」
作家「でしょう?」
編集「だけどさあ。やっぱり手書きは勘弁してよ」
編集「言っちゃあ悪いけど、君の字ってそんなに綺麗じゃないし」
作家「……」
編集「あのねえ。今どき手書きはないでしょ?」
作家「でも見てくださいよ。めちゃくちゃ進みましたよ」
編集「……たしかに。後藤くんとは思えないほど書けてるね」
作家「でしょう?」
編集「だけどさあ。やっぱり手書きは勘弁してよ」
編集「言っちゃあ悪いけど、君の字ってそんなに綺麗じゃないし」
作家「……」
25:2015/01/05(月) 01:39:43.53
打ち合わせ後
作家(そりゃあ俺だって、手書きはよくないってわかってるさ)
作家(だけど、パソコンに向かうと全然文章が進まないし)
作家(手書きの文章を打ち込むのさえ、なぜか遅いままだし)
作家(しかし、今日はいつにも増していろいろと言われたなあ)
作家「……へっくしょん!」
作家「さむっ。風邪ひいたかな、喉もなんか痛いし」
老婆「……」
作家「あっ。あのおばあさんだ」
作家(そりゃあ俺だって、手書きはよくないってわかってるさ)
作家(だけど、パソコンに向かうと全然文章が進まないし)
作家(手書きの文章を打ち込むのさえ、なぜか遅いままだし)
作家(しかし、今日はいつにも増していろいろと言われたなあ)
作家「……へっくしょん!」
作家「さむっ。風邪ひいたかな、喉もなんか痛いし」
老婆「……」
作家「あっ。あのおばあさんだ」
27:2015/01/05(月) 01:43:57.46
作家「どうもこんばんは」
老婆「……」
作家「……」
作家(なんか言ってくれよ)
作家「あー、この前買ったペンは大活躍してますよ?」
老婆「それはようございました」
作家「ところで、その『喋れなくなるうがい薬』ってなんですか?」
老婆「……」
老婆「……」
作家「……」
作家(なんか言ってくれよ)
作家「あー、この前買ったペンは大活躍してますよ?」
老婆「それはようございました」
作家「ところで、その『喋れなくなるうがい薬』ってなんですか?」
老婆「……」
28:2015/01/05(月) 01:51:15.02
作家(家のイソジンは切れてるし、うがい薬は欲しいけど)
作家(喋れなくなるって、どう考えてもダメだろ)
作家(だけど、前のはやくなるペン)
作家(もしかしてあのペンは、早く書けるようになるって意味のペンだったんじゃないか?)
作家「……これ、何円ですか?」
老婆「500円でございます」
作家「500円か。よし、買います」
作家(そして俺はさっそく家に帰って、そのうがい薬を使うことにした)
作家(喋れなくなるって、どう考えてもダメだろ)
作家(だけど、前のはやくなるペン)
作家(もしかしてあのペンは、早く書けるようになるって意味のペンだったんじゃないか?)
作家「……これ、何円ですか?」
老婆「500円でございます」
作家「500円か。よし、買います」
作家(そして俺はさっそく家に帰って、そのうがい薬を使うことにした)
29:2015/01/05(月) 01:55:19.09
▲
作家「……ぺっ!」
作家「あー、あー、あー」
作家「俺は売れない作家の後藤タカノブ、32歳。独身で趣味はライブDVD鑑賞」
作家「……」
作家「これ、普通に喋れてるよな?」
作家「……ぺっ!」
作家「あー、あー、あー」
作家「俺は売れない作家の後藤タカノブ、32歳。独身で趣味はライブDVD鑑賞」
作家「……」
作家「これ、普通に喋れてるよな?」
30:2015/01/05(月) 02:00:04.02
▲
作家(よくよく考えてみたら、はやくなるペンはたまたまだよなあ)
作家(なんで俺は、あのペンやうがい薬に謎の力があると思ったんだろ)
作家(……そんなことより、今回の打ち合わせはどうなるかな)
作家(またいろいろと駄目出し食らうんだろうな)
作家(ったく。売れそうな要素を詰め込んだもんが、俺の書きたいものじゃないのになあ)
作家(まあ、そんなことを言ってもあの編集は聞いてくれないだろうけど)
作家(ああ、むかつくぜ)
作家(よくよく考えてみたら、はやくなるペンはたまたまだよなあ)
作家(なんで俺は、あのペンやうがい薬に謎の力があると思ったんだろ)
作家(……そんなことより、今回の打ち合わせはどうなるかな)
作家(またいろいろと駄目出し食らうんだろうな)
作家(ったく。売れそうな要素を詰め込んだもんが、俺の書きたいものじゃないのになあ)
作家(まあ、そんなことを言ってもあの編集は聞いてくれないだろうけど)
作家(ああ、むかつくぜ)
32:2015/01/05(月) 02:06:19.85
▲
編集「やあ」
作家「あ、どうも。今日の打ち合わせなんですけど」
編集「ああ、送られてる原稿は読んだよ」
作家(さてさて。今日はなにを言われるんだろうな)
編集「もういいよ。このまま進めてくれ。今日は以上だ」
作家「え?」
編集「この調子でがんばって」
作家(どうなってるんだ?)
編集「やあ」
作家「あ、どうも。今日の打ち合わせなんですけど」
編集「ああ、送られてる原稿は読んだよ」
作家(さてさて。今日はなにを言われるんだろうな)
編集「もういいよ。このまま進めてくれ。今日は以上だ」
作家「え?」
編集「この調子でがんばって」
作家(どうなってるんだ?)
33:2015/01/05(月) 02:10:17.42
▲帰宅後
作家(いつもだったら、橋本さんはボロクソに言ってくるのに)
作家(このまま原稿を進めていいのか?)
ぷるるるる
作家「……誰だろと思ったら、母さんか」
作家「もしもし?」
母親『タカノブ?アンタ、今時間ある?』
作家(うわ、これは絶対に説教の電話だ)
作家(いや、待てよ)
作家(いつもだったら、橋本さんはボロクソに言ってくるのに)
作家(このまま原稿を進めていいのか?)
ぷるるるる
作家「……誰だろと思ったら、母さんか」
作家「もしもし?」
母親『タカノブ?アンタ、今時間ある?』
作家(うわ、これは絶対に説教の電話だ)
作家(いや、待てよ)
34:2015/01/05(月) 02:15:57.12
母親『アンタさあ、まだきちんとした職にもつかずに作家の真似事なんてしてんの?』
作家「あー、ごめん。ちょっと待ってて」
作家(案の定説教かよ。とりあえずうがいをしてみるか)
作家「……ぺっ。さて、うがいはすんだけど」
作家「もしもし、母さん?」
母親『こっちから電話して悪いけど、用事が入ったから切るわ』
作家「んー、わかった」
作家(やっぱりそうだ)
作家(『喋らなくなるうがい薬』には、相手が話さなくなる効果があるんだ!)
作家「あー、ごめん。ちょっと待ってて」
作家(案の定説教かよ。とりあえずうがいをしてみるか)
作家「……ぺっ。さて、うがいはすんだけど」
作家「もしもし、母さん?」
母親『こっちから電話して悪いけど、用事が入ったから切るわ』
作家「んー、わかった」
作家(やっぱりそうだ)
作家(『喋らなくなるうがい薬』には、相手が話さなくなる効果があるんだ!)
36:2015/01/05(月) 02:24:02.17
作家(そうして俺は『はやく書けるペン』で原稿を完成させた)
作家(さらに『喋らなくなるうがい薬』の効果で編集の横槍も入らない)
作家(俺は自分の理想の物語を好きなように書き、そしてそれを出版することに成功した)
▲
作家「僕の本の売り上げはどうなりました?」
編集「最悪だよ」
作家「え?」
編集「全然売れてない。困ったもんだよ、本当に」
作家「そ、そんなに?」
編集「ああ、マジで」
作家(さらに『喋らなくなるうがい薬』の効果で編集の横槍も入らない)
作家(俺は自分の理想の物語を好きなように書き、そしてそれを出版することに成功した)
▲
作家「僕の本の売り上げはどうなりました?」
編集「最悪だよ」
作家「え?」
編集「全然売れてない。困ったもんだよ、本当に」
作家「そ、そんなに?」
編集「ああ、マジで」
38:2015/01/05(月) 02:26:50.09 ID:xuieESoD0.net
編集が物語作れよって話だよな
今の漫画とか編集が書きたい物語じゃん
今の漫画とか編集が書きたい物語じゃん
39:2015/01/05(月) 02:29:02.42 ID:UGfe8BCIa.net
ラノベで言ったらレーベルでやっぱ質の違いってあるし編集も仕事してるんだなあって思う
40:2015/01/05(月) 02:31:32.76
編集「もう君に与えられるチャンスは、二回、いや一回だけかもしれないな」
作家「そ、そんな……」
編集「やっぱり僕が全面的に修正したほうがいいね」
作家「……」
▲
作家「なんでだよ。俺には才能がないのかよ」
売れっ子「あ、後藤さんじゃないですか」
作家「あ、鎌池さん……」
作家「そ、そんな……」
編集「やっぱり僕が全面的に修正したほうがいいね」
作家「……」
▲
作家「なんでだよ。俺には才能がないのかよ」
売れっ子「あ、後藤さんじゃないですか」
作家「あ、鎌池さん……」
41:2015/01/05(月) 02:36:29.96
作家「これから打ち合わせですか?」
売れっ子「そーなんですよ。ていうか聞いてくださいよ」
作家「なんです?」
売れっ子「また僕の本の重版が決まったんですよ。いやあ、やる気もより出ちゃいますね」
作家「……そうですか」
売れっ子「お互いにがんばりましょうね」
作家「……」
売れっ子「そーなんですよ。ていうか聞いてくださいよ」
作家「なんです?」
売れっ子「また僕の本の重版が決まったんですよ。いやあ、やる気もより出ちゃいますね」
作家「……そうですか」
売れっ子「お互いにがんばりましょうね」
作家「……」
42:2015/01/05(月) 02:42:47.67
▲
作家(くそっ。俺より若くて才能のある奴なんて死ねばいいのに)
作家「くそっ。世の中ってのは不公平で理不尽だ」
作家「あっ。あのおばあさんは……」
老婆「……」
作家(そうだ。あのおばあさんの商品でひょっとしたら!)
作家「おばあさん!」
老婆「……」
作家「欲しいんだよ、おばあさんの商品。今回は……」
作家(くそっ。俺より若くて才能のある奴なんて死ねばいいのに)
作家「くそっ。世の中ってのは不公平で理不尽だ」
作家「あっ。あのおばあさんは……」
老婆「……」
作家(そうだ。あのおばあさんの商品でひょっとしたら!)
作家「おばあさん!」
老婆「……」
作家「欲しいんだよ、おばあさんの商品。今回は……」
44:2015/01/05(月) 02:51:33.17
作家「『感動させるお守り』」
老婆「お買い上げありがとうございます」
作家「は?」
老婆「4万円でございます」
作家「まだ買うとは決めてないし、高すぎる!」
老婆「一度お買いになったものは返品できないのでございます」
作家「あ、あのねえ」
作家(だけど、感動させるってことは……)
作家「わかった。買います」
老婆「お買い上げありがとうございます」
作家(もう俺にはあとはない。藁にでもすがるしかないんだ)
老婆「お買い上げありがとうございます」
作家「は?」
老婆「4万円でございます」
作家「まだ買うとは決めてないし、高すぎる!」
老婆「一度お買いになったものは返品できないのでございます」
作家「あ、あのねえ」
作家(だけど、感動させるってことは……)
作家「わかった。買います」
老婆「お買い上げありがとうございます」
作家(もう俺にはあとはない。藁にでもすがるしかないんだ)
45:2015/01/05(月) 02:56:33.51
▲電車
作家「しかし、見た目は本当にただのお守りだよな」
作家(そもそも、人を感動させるってなんなんだろ)
お婆さん「……」
作家(なんか辛そうだな。席、変わってあげるか)
作家「よろしかったら、どうぞ」
お婆さん「あ、わざわざすみません。……うぅっ」
作家「ど、どうしたんですか?」
お婆さん「……すみません。ひさびさに親切にされたものですから、つい」
作家「しかし、見た目は本当にただのお守りだよな」
作家(そもそも、人を感動させるってなんなんだろ)
お婆さん「……」
作家(なんか辛そうだな。席、変わってあげるか)
作家「よろしかったら、どうぞ」
お婆さん「あ、わざわざすみません。……うぅっ」
作家「ど、どうしたんですか?」
お婆さん「……すみません。ひさびさに親切にされたものですから、つい」
46:2015/01/05(月) 03:01:17.21
作家「……そうですか」
作家(ただ席を譲っただけなのにな)
作家(ちがう、そうじゃない。これが『感動させるお守り』の効果なんだ)
作家(そうだ。このお守りがあったら、ひょっとしたらいけるかもしれない)
作家(このお守りに願えば、俺の書いた本は……)
作家(ただ席を譲っただけなのにな)
作家(ちがう、そうじゃない。これが『感動させるお守り』の効果なんだ)
作家(そうだ。このお守りがあったら、ひょっとしたらいけるかもしれない)
作家(このお守りに願えば、俺の書いた本は……)
47:2015/01/05(月) 03:06:41.54
▲
作家(俺の予感は的中した)
作家(次に出した俺の本は感動ものとして少しずつ売れ始め、最終的にベストセラーになった)
作家(まちがいない。『感動させるお守り』の効果だ!)
編集「次も感動路線で行くんでしょ?」
作家「ええ。また読者のこころを俺の書いた本で動かしてみせます」
編集「期待してるよ。ただ……」
作家「なんですか?」
編集「いや、とにかく次もがんばってくれ」
作家(俺の予感は的中した)
作家(次に出した俺の本は感動ものとして少しずつ売れ始め、最終的にベストセラーになった)
作家(まちがいない。『感動させるお守り』の効果だ!)
編集「次も感動路線で行くんでしょ?」
作家「ええ。また読者のこころを俺の書いた本で動かしてみせます」
編集「期待してるよ。ただ……」
作家「なんですか?」
編集「いや、とにかく次もがんばってくれ」
48:2015/01/05(月) 03:14:45.23
作家(売れるとやっぱり編集の接し方も変わってくるんだな)
売れっ子「後藤さん、最近絶好調るしいですね」
作家「鎌池さん。ええ、おかげさまで」
売れっ子「実はですね、ここだけの話ですよ?」
作家「なんですか?」
売れっ子「僕も後藤さんみたいに、今度はお涙頂戴系でも書こうかなって思ってるんですよ」
作家「……へえ」
売れっ子「よかったらアドバイスとかいただけませんか?」
作家「僕よりはるかに才能がある人に、できるアドバイスなんてありませんよ」
売れっ子「そっかあ。じゃあ自力でがんばるしかないか」
作家(このやろう……!)
売れっ子「後藤さん、最近絶好調るしいですね」
作家「鎌池さん。ええ、おかげさまで」
売れっ子「実はですね、ここだけの話ですよ?」
作家「なんですか?」
売れっ子「僕も後藤さんみたいに、今度はお涙頂戴系でも書こうかなって思ってるんですよ」
作家「……へえ」
売れっ子「よかったらアドバイスとかいただけませんか?」
作家「僕よりはるかに才能がある人に、できるアドバイスなんてありませんよ」
売れっ子「そっかあ。じゃあ自力でがんばるしかないか」
作家(このやろう……!)
50:2015/01/05(月) 03:22:59.16
▲
作家「あいつがその気ならこっちだってその気だ」
作家「今度の作品で、俺はあいつよりも人々を感動させる話を書いてやるんだ」
作家「そうさ。俺には『感動させるお守り』があるんだ」
作家「これさえあれば、俺は無敵だ」
作家(それから俺はひたすら執筆作業に専念した)
作家(書くときは常にお守りを身につけた)
作家「あいつがその気ならこっちだってその気だ」
作家「今度の作品で、俺はあいつよりも人々を感動させる話を書いてやるんだ」
作家「そうさ。俺には『感動させるお守り』があるんだ」
作家「これさえあれば、俺は無敵だ」
作家(それから俺はひたすら執筆作業に専念した)
作家(書くときは常にお守りを身につけた)
51:2015/01/05(月) 03:27:31.55
▲
作家「うん、今日は絶好の散歩日和だ」
作家(たまには喫茶店で作業するか)
作家(まあ、あとは推敲するだけ。ほとんど完成している状態だ)
作家(今回の作品は自信作だ。絶対にヒットする)
作家(俺には例のお守りがある。今日もきちんと身につけている)
作家「ん? あれは……」
作家「うん、今日は絶好の散歩日和だ」
作家(たまには喫茶店で作業するか)
作家(まあ、あとは推敲するだけ。ほとんど完成している状態だ)
作家(今回の作品は自信作だ。絶対にヒットする)
作家(俺には例のお守りがある。今日もきちんと身につけている)
作家「ん? あれは……」
53:2015/01/05(月) 03:34:31.09
男の子「」
作家(男の子が走って横断歩道をわたろうとしていた)
男の子「あっ……」
作家(そして信号無視の車が今まさに男の子をはねようとしていた)
作家(気づいたらカラダが動いていた)
作家(とっさに横断歩道に飛び出した俺は男の子をかばって)
作家(そして俺が車にはねられた)
作家(男の子が走って横断歩道をわたろうとしていた)
男の子「あっ……」
作家(そして信号無視の車が今まさに男の子をはねようとしていた)
作家(気づいたらカラダが動いていた)
作家(とっさに横断歩道に飛び出した俺は男の子をかばって)
作家(そして俺が車にはねられた)
55:2015/01/05(月) 03:40:15.42
作家(や、やばい。カラダの感覚が……うわっ、血だらけだ)
男の子「おじさんっ! しっかりして! しっかりして!」
作家「あ、ぁあ……」
作家(ああ、ダメだ。俺は助からない)
作家(そうか、俺ってば死んじゃうのか。だったらせめて……)
作家「こ、これを……」
男の子「これは……?」
作家「たのむ。この……このUSBを、渡してくれ……」
男の子「おじさん?おじさあああんっ!」
男の子「おじさんっ! しっかりして! しっかりして!」
作家「あ、ぁあ……」
作家(ああ、ダメだ。俺は助からない)
作家(そうか、俺ってば死んじゃうのか。だったらせめて……)
作家「こ、これを……」
男の子「これは……?」
作家「たのむ。この……このUSBを、渡してくれ……」
男の子「おじさん?おじさあああんっ!」
56:2015/01/05(月) 03:47:39.94
作家(車にはねられた俺は病院に運ばれたものの助からなかった)
作家(だが、それでもあのお守りは俺のねがいを聞いてくれた)
作家(『死にかけてなお、発表したかった物語』)
作家(そんな煽り文を掲げて発売された俺の小説は、結果として大ヒットした)
作家(本の内容だけでなく、作者が死んだという衝撃が人々の感動につながったのだ)
作家(そう、『感動させるお守り』の効果は確かに本物だったのだ)
おわり
作家(だが、それでもあのお守りは俺のねがいを聞いてくれた)
作家(『死にかけてなお、発表したかった物語』)
作家(そんな煽り文を掲げて発売された俺の小説は、結果として大ヒットした)
作家(本の内容だけでなく、作者が死んだという衝撃が人々の感動につながったのだ)
作家(そう、『感動させるお守り』の効果は確かに本物だったのだ)
おわり
57:2015/01/05(月) 03:48:49.37 ID:X64qEqBSK.net
ウボアー
58:2015/01/05(月) 03:51:24.20 ID:anb22Zc50.net
面白かったが途中でめんどくさくなったろww
>編集「期待してるよ。ただ……」
この辺なんか複線か?と思ってたのになんもないんか
>編集「期待してるよ。ただ……」
この辺なんか複線か?と思ってたのになんもないんか
61:2015/01/05(月) 03:55:25.88
読んでくれた人ありがとう
週刊ストーリーランド、またやってほしいなと思う
>>58そこは売れっ子も主人公と同じ感動路線の本を出そうとしてるという単なる前振り
週刊ストーリーランド、またやってほしいなと思う
>>58そこは売れっ子も主人公と同じ感動路線の本を出そうとしてるという単なる前振り
63:2015/01/05(月) 03:58:52.92 ID:anb22Zc50.net
>>61
あーポッと出のベストセラー作家と売れっ子作家が同じジャンルで衝突しちゃう……っていう編集の葛藤か
乙
あーポッと出のベストセラー作家と売れっ子作家が同じジャンルで衝突しちゃう……っていう編集の葛藤か
乙
59:2015/01/05(月) 03:51:25.42 ID:Ff3nYq03a.net
乙
なかなかいいオチだった
なかなかいいオチだった
62:2015/01/05(月) 03:57:42.85 ID:vsFfFc9pK.net
乙 面白かった
バッドエンドになるかと思った
バッドエンドになるかと思った
65:2015/01/05(月) 04:26:21.93 ID:EozjpWoja.net
これは本人的にはハッピーエンドなのか?



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