1:2015/02/23(月) 13:36:21.28
少年「……傘は?」
少女「忘れたわ」
少年「ふーん……」
少女「……」
少年「よっ」スタッ
少年「それなら、僕の傘を貸してあげるよ」
少女「返せる自信は無いわよ?」
少年「別にいいさ」
少女「そう……」
少年「それにしても、君っていつも笑ってないよね」
少女「会話って、いきなり罵倒から入るものなのかしら」
少年「これは罵倒じゃないよ、むしろ褒め言葉さ」
少女「何処が?」
少年「君のような美人には、笑顔のほうが似合うってコト」
少女「……」
少女「忘れたわ」
少年「ふーん……」
少女「……」
少年「よっ」スタッ
少年「それなら、僕の傘を貸してあげるよ」
少女「返せる自信は無いわよ?」
少年「別にいいさ」
少女「そう……」
少年「それにしても、君っていつも笑ってないよね」
少女「会話って、いきなり罵倒から入るものなのかしら」
少年「これは罵倒じゃないよ、むしろ褒め言葉さ」
少女「何処が?」
少年「君のような美人には、笑顔のほうが似合うってコト」
少女「……」
3:2015/02/23(月) 13:42:15.13
電柱の上の少年「おやおや、こんな青空の日に何をしてるんだい?」
少女「ここは私の散歩道よ」
少年「……ビニール傘を持っても、熱くなるだけだと思うよ?」
少女「返そうと思って」
少年「律儀だねぇ……」
少女「……」
少年「よっ」スタッ
少年「律儀な人は好きだ。ほら、返して」スッ
少女「ん」ストッ
少年「ふふ」
少女「……」
少年「ほら」
少女「何?」
少年「前に言い忘れたコト、あるんじゃない?」
少女「……ありがとう」
少年「それでよし」
少女「ここは私の散歩道よ」
少年「……ビニール傘を持っても、熱くなるだけだと思うよ?」
少女「返そうと思って」
少年「律儀だねぇ……」
少女「……」
少年「よっ」スタッ
少年「律儀な人は好きだ。ほら、返して」スッ
少女「ん」ストッ
少年「ふふ」
少女「……」
少年「ほら」
少女「何?」
少年「前に言い忘れたコト、あるんじゃない?」
少女「……ありがとう」
少年「それでよし」
4:2015/02/23(月) 13:50:19.32
電柱の上の少年「おやおや、こんな大雪の日に何をしてるんだい?」
少女「ここは私の散歩道よ」
少年「そんな靴で?」
少女「……」
少年「よっと」スタッ
少年「僕の長靴を貸してあげよう」
少女「……返せないかもしれないわよ?」
少年「別にいいさ。ほら」
少女「……ありがとう」
少年「お、笑った。珍しいね」
少女「ちょっとヘンじゃなかった?」
少年「全然。とっても可愛かったよ」
少女「……そう」
少年「あらら、いつも通りになっちゃった」
少女「別にいいじゃないの」
少女「ここは私の散歩道よ」
少年「そんな靴で?」
少女「……」
少年「よっと」スタッ
少年「僕の長靴を貸してあげよう」
少女「……返せないかもしれないわよ?」
少年「別にいいさ。ほら」
少女「……ありがとう」
少年「お、笑った。珍しいね」
少女「ちょっとヘンじゃなかった?」
少年「全然。とっても可愛かったよ」
少女「……そう」
少年「あらら、いつも通りになっちゃった」
少女「別にいいじゃないの」
5:2015/02/23(月) 13:55:38.45
電柱の上の少年「……おやおや?こんな深夜に、何をしてるんだい?」
少女「返しに来たわ」
少年「どうしてこんな時間に?」
少女「明日で、最後になるかもしれないから」
少年「ふーん……まぁいいや。ありがとう」
少女「あなたが言うの?」
少年「時間が時間だしねぇ」
少女「そういうものかしら」
少年「そういうものさ」
少女「ふーん……」
少年「折角だから、今日は君の家まで付いていこう」
少女「……どうして?」
少年「気分」
少女「ふーん……別にいいわよ」
少年「ふふ、ありがとう」
少女「返しに来たわ」
少年「どうしてこんな時間に?」
少女「明日で、最後になるかもしれないから」
少年「ふーん……まぁいいや。ありがとう」
少女「あなたが言うの?」
少年「時間が時間だしねぇ」
少女「そういうものかしら」
少年「そういうものさ」
少女「ふーん……」
少年「折角だから、今日は君の家まで付いていこう」
少女「……どうして?」
少年「気分」
少女「ふーん……別にいいわよ」
少年「ふふ、ありがとう」
6:2015/02/23(月) 13:57:34.70
電柱の上の少年「おやおや、こんな夕暮れ時に何をしているんだい?」
少女「ここは私の散歩道よ」
少年「そう言って今朝も通ったじゃないか」
少女「……別に」
少年「ふーん……散歩なんて気分で二度してもいいと思うけど」
少女「深い意味はないわ。返しを少し間違えただけよ」
少年「そ。今日は雨が降りそうだけど、傘いるかい?」
少女「要らないわ」
少年「あれ、要らないの?」
少女「……多分、これが最後だから」
少年「この前の夜にも言ってたね」
少女「そうね」
少年「……ちょっと、僕の妄想を聞いてからにしない?」
少女「別に、いいけど」
少年「そっかそっか。ありがとう。……それっ」スタッ
少女「ここは私の散歩道よ」
少年「そう言って今朝も通ったじゃないか」
少女「……別に」
少年「ふーん……散歩なんて気分で二度してもいいと思うけど」
少女「深い意味はないわ。返しを少し間違えただけよ」
少年「そ。今日は雨が降りそうだけど、傘いるかい?」
少女「要らないわ」
少年「あれ、要らないの?」
少女「……多分、これが最後だから」
少年「この前の夜にも言ってたね」
少女「そうね」
少年「……ちょっと、僕の妄想を聞いてからにしない?」
少女「別に、いいけど」
少年「そっかそっか。ありがとう。……それっ」スタッ
7:2015/02/23(月) 14:07:40.49
少年「そうだねぇ……何処から始めよっか」
少女「どこでもいいわよ」
少年「そう?じゃあ、好きなところから」
少年「うーん……そうだ、よし。まずは施設に日々実験を行われる少女と少年が居たとしよう」
少女「いきなり重いわね」
少年「二人とも、自分じゃない実験体がいることは知っていたけれど、それがどんな事かは何も知らない」
少女「……」
少年「さらに、少年は幼少期から行われ続けたそれに疑問を持つ事がなかったんだ」
少女「……少女は違うの?」
少年「うん、そうだよ。少女は知っていたんだ。それの目的、理由。疑問は持っていたけれど、どうにも出来なかった」
少女「……」
少年「そうだね……でも、片方の少年は、たまたま致死性の高い実験が行われる事を聞いてしまった」
少女「……それで?」
少年「その後はもう分かりやすい。その時、少年は”そこ”のあらゆる事に疑問を持ち始めた。そして、脱走を計画したんだ」
少女「成功するわけ無いじゃないの」
少女「どこでもいいわよ」
少年「そう?じゃあ、好きなところから」
少年「うーん……そうだ、よし。まずは施設に日々実験を行われる少女と少年が居たとしよう」
少女「いきなり重いわね」
少年「二人とも、自分じゃない実験体がいることは知っていたけれど、それがどんな事かは何も知らない」
少女「……」
少年「さらに、少年は幼少期から行われ続けたそれに疑問を持つ事がなかったんだ」
少女「……少女は違うの?」
少年「うん、そうだよ。少女は知っていたんだ。それの目的、理由。疑問は持っていたけれど、どうにも出来なかった」
少女「……」
少年「そうだね……でも、片方の少年は、たまたま致死性の高い実験が行われる事を聞いてしまった」
少女「……それで?」
少年「その後はもう分かりやすい。その時、少年は”そこ”のあらゆる事に疑問を持ち始めた。そして、脱走を計画したんだ」
少女「成功するわけ無いじゃないの」
10:2015/02/23(月) 14:18:07.96
少年「そう。成功する訳なんて、ない……でも、妄想だから自由に出来る。その少年は脱走を成功させてしまったのさ。いとも簡単にね」
少女「チープね」
少年「本当にチープだな話さ。それで、少年はもう一人の実験体について興味が湧いたんだ。だから、施設にもう一度潜入して、張り込む事にした」
少女「危険に対して動機が小さすぎるわ」
少年「好奇心は猫を殺すって言うでしょ?」
少女「……」
少年「そしたら……なんて事だろう。その実験体は驚くほどの美少女だった。思わず少年は一目惚れをしてしまったのさ」
少女「ふざけてるの?」
少年「あははは、ごめんごめん。……そして、少年は決めた訳だよ。少女と一緒に脱走をするってね」
少女「潜入は出来たのに、脱走は出来ないの?」
少年「一人と二人じゃ話が違うでしょ?……それで、少年は待つ事にしたんだ。脱走の時を」
少女「その”時”って言うのは?」
少年「実験の”致死性”って言うのは実験体だけの話じゃなくて、研究員も含めた話だからね」
少女「つまり……」
少年「そう。警備員が実験場に集まって、通常の警備が薄くなる日。だから、その実験の日だ」
少女「チープね」
少年「本当にチープだな話さ。それで、少年はもう一人の実験体について興味が湧いたんだ。だから、施設にもう一度潜入して、張り込む事にした」
少女「危険に対して動機が小さすぎるわ」
少年「好奇心は猫を殺すって言うでしょ?」
少女「……」
少年「そしたら……なんて事だろう。その実験体は驚くほどの美少女だった。思わず少年は一目惚れをしてしまったのさ」
少女「ふざけてるの?」
少年「あははは、ごめんごめん。……そして、少年は決めた訳だよ。少女と一緒に脱走をするってね」
少女「潜入は出来たのに、脱走は出来ないの?」
少年「一人と二人じゃ話が違うでしょ?……それで、少年は待つ事にしたんだ。脱走の時を」
少女「その”時”って言うのは?」
少年「実験の”致死性”って言うのは実験体だけの話じゃなくて、研究員も含めた話だからね」
少女「つまり……」
少年「そう。警備員が実験場に集まって、通常の警備が薄くなる日。だから、その実験の日だ」
11:2015/02/23(月) 14:22:14.10
少年「そして、ちょうどその日に脱走をして成功して、二人は幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし」
少女「あっけないわね」
少年「妄想だからね。……さて、どうだった?」
少女「つまらなかったわ。あまりにも呆気なくて」
少年「現実は、あっけないほうがいいんじゃない?」
少女「それは妄想よ」
少年「あはは、そうだね。まぁいいや」
少女「……」
少年「それじゃ、行こうか」スッ
少女「無理よ」ギュッ
少年「そんな事言いながら手はしっかり掴んでる」
少女「……ふん」
少年「大丈夫だよ。人の考えられる事は、実現出来るらしいから」
少女「信じないわよ?」
少年「別にいい。僕は信じるから」
少女「あっけないわね」
少年「妄想だからね。……さて、どうだった?」
少女「つまらなかったわ。あまりにも呆気なくて」
少年「現実は、あっけないほうがいいんじゃない?」
少女「それは妄想よ」
少年「あはは、そうだね。まぁいいや」
少女「……」
少年「それじゃ、行こうか」スッ
少女「無理よ」ギュッ
少年「そんな事言いながら手はしっかり掴んでる」
少女「……ふん」
少年「大丈夫だよ。人の考えられる事は、実現出来るらしいから」
少女「信じないわよ?」
少年「別にいい。僕は信じるから」
12:2015/02/23(月) 14:31:15.02
少女「……あれ?」
少年「?」
少女「もう、終わったの?」
少年「だから言ったじゃんか。あっけないって」
少女「でも、私が逃げようとした時は、もっと……」
少年「あの道は僕が作ったかね」
少女「……え!?」
少年「あんな洞窟みたいな道が正式な道である訳がないでしょ」
少女「……あ、あぁ……それもそうね」
少年「まぁいいや。取り敢えず街を探さないと」
少女「街なんて実在するのかしら」
少年「あはは、僕も物語の中でしか見た事無いけど。まぁ、目的が無いよりはいいと思うよ」
少年「……もうちょっと走ろうか。念の為に」
少女「疲れた……」
少年「ほら、持ってあげるから」
少年「?」
少女「もう、終わったの?」
少年「だから言ったじゃんか。あっけないって」
少女「でも、私が逃げようとした時は、もっと……」
少年「あの道は僕が作ったかね」
少女「……え!?」
少年「あんな洞窟みたいな道が正式な道である訳がないでしょ」
少女「……あ、あぁ……それもそうね」
少年「まぁいいや。取り敢えず街を探さないと」
少女「街なんて実在するのかしら」
少年「あはは、僕も物語の中でしか見た事無いけど。まぁ、目的が無いよりはいいと思うよ」
少年「……もうちょっと走ろうか。念の為に」
少女「疲れた……」
少年「ほら、持ってあげるから」
13:2015/02/23(月) 14:31:42.75
おわり
14:2015/02/23(月) 14:42:05.54 ID:4xleH5Q90.net
乙
15:2015/02/23(月) 14:44:59.90 ID:80OdWv/10.net
乙
電柱ってのは施設の屋外?
電柱ってのは施設の屋外?
16:2015/02/23(月) 14:45:32.36
施設が街含め的な何か
17:2015/02/23(月) 14:47:49.62 ID:80OdWv/10.net
ありがとう
そういう事か
そういう事か
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