2: ◆rzOq/SCuAA 2016/01/29(金) 19:38:09.99 ID:w4raYU3c0
――黒の組織のアジト――

ジン「……お前が言ってるのはアレか? イカスミのパスタのことか?」

ウォッカ「へい! 先週フラッと立ち寄ったイタ飯屋で食ってみたんです」

ウォッカ「でも食事の後で取引相手に会うってことを、すっかり忘れてやしてね」

ウォッカ「俺、真っ黒の歯のまんまで取引現場へ行っちまったんですよ」

ジン「それはお前がマヌケなだけだろうが」ジロッ

ジン「そういうものを食うなら、歯磨きセットぐらい持っておけ」

ウォッカ「う……ご、ごもっともです」

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1454063731/

3: ◆rzOq/SCuAA 2016/01/29(金) 19:40:30.73 ID:w4raYU3c0
ウォッカ「けど、後の予定なんざ気にすることなく」

ウォッカ「美味いイカスミのパスタを堪能してぇじゃないですか?」

ジン「……まぁ、たまにはな」

ウォッカ「それなら自宅で作るのが一番手っ取り早いかなぁ、と思いやして」

ウォッカ「兄貴だったら、美味いのを作るコツを知ってるんじゃないかなー、と……」

ジン「…………俺は料理講師じゃないんだぞ」フゥ

ジン「自分で研究して、美味く作れる方法を見つけようとは思わねーのか?」

ウォッカ「へ、へい! それはもちろんやってますぜ!」

ウォッカ「昨日だって三回ぐらい挑戦して……けど、自分で作っても何かイマイチなんですよ」

4: ◆rzOq/SCuAA 2016/01/29(金) 19:41:59.42 ID:w4raYU3c0
ウォッカ「それで今回、こうやって相談させてもらってるわけで……」

ジン「……………………」

ウォッカ「兄貴?」

ジン「……ったく、仕方ねー奴だ。一度しか教えねーぞ」ハァ…

ウォッカ「あ……ありがとうごぜぇやす、兄貴!」

ジン「必要なものを揃えに行く。付いてこい」

ウォッカ「へい!」

8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/29(金) 19:47:42.59 ID:pgUYdHUl0
相変わらずのホワイトだな

17: ◆rzOq/SCuAA 2016/02/03(水) 00:26:47.62 ID:sP33d3Dm0
――某イオン――

ウォッカ「今回もここに来たわけですけど……」

ウォッカ「うはぁ~。バレンタインが近いから、あっちの特設コーナーが大賑わいですぜ」

ネェ、コレニシヨウヨ! アー、カワイイー♪

ガヤガヤワイワイ

ジン「フッ……俺達には無縁な行事だな。行くぞ」

ウォッカ「あ! 待って下せぇ、兄貴。先にチャージを……」ワオンッ!

ジン「……俺もついでに入れとくか」ワオンッ!

18: ◆rzOq/SCuAA 2016/02/03(水) 00:27:27.97 ID:sP33d3Dm0
―― 野菜・果物コーナー ――

ジン「今回はサラダは無しだ。パスタにはトマトソースを使うし」

ジン「タンパク質がイカしか無ぇから、野菜を使ったスープを付ければ十分だ」

ウォッカ「なるほど……野菜が多すぎてもダメですもんね」

ジン「あぁ。身体に必要な栄養素をまんべんなく摂取するには、バランスが第一だ」

ウォッカ「じゃあ、まずはパスタ用の玉ネギとニンニク、タカノツメを……」ポイポイ

ジン「スープはニンジンをベースにするか。……こいつが良いだろう」スッ

ウォッカ「それにパセリと……パスタソースに使うトマトですね」ヒョイ

ジン「おい。ちょっと待て、ウォッカ」

ウォッカ「へい、何でしょう?」

19: ◆rzOq/SCuAA 2016/02/03(水) 00:28:02.39 ID:sP33d3Dm0
ジン「お前……今まで生のトマトを使って、パスタを作ってたのか?」

ウォッカ「へ、へい……。新鮮で、加工されてない方が身体にも良いだろうと思ったんですけど」

ジン「…………それだな。お前のパスタがイマイチだった理由の一つは」ハァ…

ウォッカ「へい?」キョトン

ジン「一口にトマトといっても、野菜売り場で売られている生食用のものと」

ジン「トマト缶に入ってる加工用とは、品種が全く違うんだ」

ジン「品種が違えば、当然、栽培方法や栄養素、そして味も違ってくる」

ウォッカ「えっ、そうなんですかい!?」ビックリ

20: ◆rzOq/SCuAA 2016/02/03(水) 00:28:43.02 ID:sP33d3Dm0
ジン「あぁ。生食用トマトはピンク系の色で、日本では桃太郎という品種が代表的だな」

ジン「一方、加工用トマトは完熟してから収穫することもあって、深い赤色をしている」

ジン「よく知られているのは、サンマルツァーノという品種だ」

ジン「加工用は、生食用よりもリコピンやβカロテンといった栄養素を多く含んでいる」

ジン「また、生食用トマトは冷蔵庫で保管しても、次第に栄養素が失われていくのに比べ」

ジン「加工用トマトは、収穫したその日に加工しちまうから、栄養素がほとんど壊れずに済む」

ジン「リコピンは熱にも強いからな。加工しても大丈夫ってわけだ」

ウォッカ「なるほど……」

21: ◆rzOq/SCuAA 2016/02/03(水) 00:29:14.55 ID:sP33d3Dm0
ウォッカ「ところで兄貴、リコピンって何ですかい?」

ジン「トマトの赤い色素のことだ。近年の研究で、強い抗酸化作用を持つことが分かってな」

ジン「食品系だけじゃなく、美容系など様々な業界から注目を集めているんだ」

ウォッカ「へぇ~。初めて知りやしたぜ」フムフム

ジン「……というわけで、ウォッカ」

ジン「缶詰めコーナーに行って、ホールトマトを1つ取ってこい。400g入りだ」

ウォッカ「へい!」タタタ…

22: ◆rzOq/SCuAA 2016/02/03(水) 00:30:01.19 ID:sP33d3Dm0
―― 鮮魚コーナー ――

ジン「次に選ぶのはイカだ」

ウォッカ「お! 今日はイカやタコの特売をやってるみたいですぜ」

ジン「あぁ。ちょうど良い時に来たな」

ジン「ウォッカ。お前、これまでの試作品はどの種類のイカで試した?」

ウォッカ「え……」ギク

ウォッカ「じ、実は……捌くのが面倒なんで、冷凍モノのモンゴイカを……」ヘヘ…

ジン「あぁ?」ジロッ

ウォッカ「イカスミも市販のペーストがありやすし、それで……」タジタジ

ジン「…………何を手抜きしてやがる」チッ

23: ◆rzOq/SCuAA 2016/02/03(水) 00:30:48.15 ID:sP33d3Dm0
ジン「それじゃあイマイチな出来になるのは当然だろうが」

ウォッカ「へ、へい……すいやせん、兄貴」シュン…

ジン「市販のイカスミペーストは構わん。墨袋に入ってるイカスミの量が少ないこともあるからな」

ジン「だが下ごしらえの手間は省くな。コツさえ覚えれば、イカを捌くのは簡単だぞ」

ウォッカ「へい……」

ジン「まぁ、説教は後にするとして……良いやつが取られるといけねぇ」

ジン「さっさと選びに行くか」

ウォッカ「兄貴、イカを選ぶポイントは何なんですかい?」

ジン「新鮮なのは、身に透き通るような透明感があり、目が少し飛び出してるやつだ」

24: ◆rzOq/SCuAA 2016/02/03(水) 00:31:28.84 ID:sP33d3Dm0
ジン「……ほぅ、今日はコウイカが入ってるのか。こいつぁ良い」

ジン「コウイカは別名スミイカとも言ってな。墨袋も他の種類よりでかいんだ」

ウォッカ「わりと大きいし、ボリュームのあるパスタができそうですね」

男店員「よっ、兄ちゃん達。これにするかい?」

ジン「あぁ、2杯頼む」

男店員「あいよ!」ガサガサ



青子「もう~、快斗! 早く来ないと、置いてくよ~!」

快斗「そんなおぞましい歌を流しまくるコーナーなんざ、通れるかっ!」(涙目)

サカナサカナサカナー♪ サカナーヲータベールトー♪ アタマアタマアタマー♪ アタマーガーヨクーナルー♪

25: ◆rzOq/SCuAA 2016/02/03(水) 00:32:08.50 ID:sP33d3Dm0
―― 麺類コーナー ――

ウォッカ「兄貴。パスタなら、まだストックがあったはずじゃあ……?」

ジン「せっかくだから、特別なやつを使おうと思ってな」

ウォッカ「特別なやつって……?」

ジン「……こいつだ」スッ

ウォッカ「えっ……な、何ですかい、このパスタ!? 真っ黒じゃねぇですか!」

ジン「これはネーロ・ディ・セッピアと言って、イカスミを練り込んで作るパスタだ」

ジン「イタリア語でネーロは『黒』、セッピアは『イカスミ』という意味がある」

26: ◆rzOq/SCuAA 2016/02/03(水) 00:32:42.73 ID:sP33d3Dm0
ウォッカ「なるほど……こいつを使ってイカスミのパスタを作ると」

ウォッカ「ソースも麺も、全てが純黒になるってわけですね!」

ジン「そういうことだ」

ジン「ちなみに、『劇場版名探偵コナン 純黒の悪夢』は2016年4月16日公開だ」

ジン「このSSを読んだお前も、必ず観に行けよ?」

ウォッカ「SSでも宣伝を忘れないなんて、さすがですぜ! 兄貴!」

ジン「よし。レジに行くぞ」スタスタ

ウォッカ「へい!」

27: ◆rzOq/SCuAA 2016/02/03(水) 00:33:16.12 ID:sP33d3Dm0
――レジ――

女店員「お待たせしました、どうぞー♪」

ウォッカ「あ、姉ちゃん。この袋に入れてくれ」ヒョイ

女店員「分かりました。エコバッグ持参にご協力頂き、ありがとうございまーす♪」

ピッピッピッ…ピピッ

女店員「合計で2319円でーす♪」

28: ◆rzOq/SCuAA 2016/02/03(水) 00:33:48.29 ID:sP33d3Dm0
ジン「……支払いはこいつだ」スッ

女店員「はい♪」

ワオンッ!

女店員「ありがとうございましたー♪」


ジン「帰ったら、昼飯も兼ねて作るぞ。しっかり覚えろよ」

ウォッカ「へい、兄貴!」

ガコ…ウィィィン

29: ◆rzOq/SCuAA 2016/02/03(水) 00:34:26.80 ID:sP33d3Dm0
――組織のアジト・キッチン――

ウォッカ「手も洗ったし、準備できやしたぜ」

ジン「まずはスープ作りだ」

ウォッカ「へい!」


【ニンジンのすりおろしスープ(2人分)】
ニンジン:1/2本
玉ネギ:1/4個
水:300ml
鶏ガラスープの素:小さじ2杯分
塩:小さじ1/2杯
水溶き片栗粉(片栗粉…小さじ2杯、水…大さじ1杯)
パセリのみじん切り:適量

30: ◆rzOq/SCuAA 2016/02/03(水) 00:35:03.76 ID:sP33d3Dm0
ジン「作り方は簡単だ」

ジン「まずニンジンと玉ネギの皮をむいて……」シャッシャッ…バリバリ

ジン「おろし金で、すり下ろす」シャリシャリシャリシャリ

ジン「ウォッカ。お前はパスタ用の玉ネギとニンニクをみじん切りにしておけ」シャリシャリ

ウォッカ「分かりやした!」トントントントン

ジン「鍋に水、すり下ろした野菜、スープの素を入れて中火にかける」ザー…サラサラ

カチ、チチチ…ボッ

31: ◆rzOq/SCuAA 2016/02/03(水) 00:35:37.90 ID:sP33d3Dm0
ジン「一煮立ちしたら、塩で味を調え」コトコト

ジン「水溶き片栗粉を加えて、とろみが付くまで煮る」ザー

マゼマゼ…コトコト

ジン「後は、器によそってパセリを散らせば良い」コトコト

ウォッカ「火は止めておきやすぜ」カチ

ジン「あぁ」

32: ◆rzOq/SCuAA 2016/02/03(水) 00:36:09.90 ID:sP33d3Dm0
【イカスミのパスタ(2人分)】
パスタ(ネーロ・ディ・セッピア):200g
コウイカ:2杯
トマトソース:1/2カップ
ニンニク:1カケ
タカノツメ:1本
白ワイン:大さじ4杯
イカスミ:4g
塩:少々
パセリ:適量
☆トマトソース(作りやすい分量)
  ホールトマト:1缶(400g)
  オリーブオイル:大さじ2杯
  玉ネギ(みじん切り):10~15g


ジン「まずは、トマトソースを作っておく」

33: ◆rzOq/SCuAA 2016/02/03(水) 00:36:52.06 ID:sP33d3Dm0
ジン「熱したフライパンにオリーブオイルを入れ、温める」ジュー…

ジン「そこへみじん切りにした玉ネギを入れて……」ザラザラ

ジン「飴色になるまで、しばらく炒める」ザッザッザッ

ジン「炒める時間を短縮したい場合は、事前に玉ネギをレンジで温めておくと良い」

ジン「フン……こんなもんだな」ジュー…

ジン「そこへホールトマトを加えて……」ジャー

ジン「木べらで潰しながら混ぜる」グニグニグニ

ジン「好みに合わせて、ローリエを加えても良いぞ」

34: ◆rzOq/SCuAA 2016/02/03(水) 00:37:26.80 ID:sP33d3Dm0
ジン「……よし。このまま10分ほど煮込めば完成だ。ウォッカ、頼む」

ウォッカ「分かりやした!」

ジン(その間に、パスタを茹でる湯の準備だ)ゴシゴシ…ザバー

ジャーッ

~10分経過~

ウォッカ「兄貴。程良く水分も飛んで、良い具合ですぜ」コトコト

ジン「火を止めろ。次はイカを捌くぞ」

ウォッカ「へい」カチ

35: ◆rzOq/SCuAA 2016/02/03(水) 00:38:07.40 ID:sP33d3Dm0
ジン「イカは2杯あるからな。俺がコイツを捌くのを見ながら、お前もそっちのを捌くんだ」

ウォッカ「分かりやした!」

ジン「コウイカは胴の中に固い甲羅があるから、まずはそれを取り除く」

ジン「イカの表を上にしてまっすぐ置き、胴の中心に軽く縦の切り込みを入れる」スッ

ジン「切り込みを入れた所から皮を左右にむいて、広げるんだ」グイ

ウォッカ「縦に切り込みを入れて、皮をむいて広げる……と」スッ…グイ

ジン「これで甲羅を取り除ける。この時、下に肝があるからな」

ジン「こいつを潰さないように注意するんだ」スル…

ウォッカ「へい……」スル…

36: ◆rzOq/SCuAA 2016/02/03(水) 00:38:44.64 ID:sP33d3Dm0
ジン「今度は胴とエンペラを分ける作業だ」

ジン「足の付け根を持って引っ張り、胴から肝ごとはがす」グイ

ジン「この時も、墨袋を潰さないように気をつけろ」

ジン「コウイカは墨の量が多いからな。破れちまうと悲惨だ」

ウォッカ「へ、へい!」…グイ

ジン「よし、良いぞ。そのまま引き抜け」

ウォッカ「……ふぅ、良かったぁ~」ホッ

ウォッカ「案外キレイに抜けるもんなんですね」

37: ◆rzOq/SCuAA 2016/02/03(水) 00:39:17.17 ID:sP33d3Dm0
ジン「次に胴の両側に付いている、エンペラの部分をむいて離す」ペリペリ

ジン「胴とエンペラの皮は、指で摘んで引っ張ればはがせるぞ」グイ

ウォッカ「エンペラをむいて……皮をはがす、と」ペリペリ…グイ

ジン「胴の裾の部分に、小さな固い突起があるだろう?」

ウォッカ「あ、ホントだ。これも取り除くんですね?」

ジン「あぁ。包丁でそぐように切れば良い」スッ

ジン「エンペラの端っこの、色が悪い部分も取り除いておけよ」ストン

ウォッカ「へい!」スッ…ストン

38: ◆rzOq/SCuAA 2016/02/03(水) 00:40:14.28 ID:sP33d3Dm0
ジン「最後に肝と足を分けて、吸盤を取る作業だ」

ジン「肝と足を切り分けるのは、目の下の辺りを基準にすると良い」ストン

ジン「切り分けたら、足の内側にあるクチバシも取り除いておけよ」

ウォッカ「了解です!」ストン

ジン「足の付け根を押さえて、包丁の峰の部分で吸盤をこそげ落とせば……OKだ」ザッザッザッ

ウォッカ「兄貴。目より上の所は、どうするんですかい?」

ジン「周りの白いワタを手で取り除くんだ。目を潰さねぇようにな」

ウォッカ「へい」

39: ◆rzOq/SCuAA 2016/02/03(水) 00:41:05.49 ID:sP33d3Dm0
ジン「そして墨袋を破れないように軽く摘んで、ゆっくりと引っ張りながら取る」ソーッ

ジン「墨袋はこの器に入れておけ」

ウォッカ「分かりやした」ソーッ

ジン「残りのワタは、今回は使わねーから処分だ」ポイ

ウォッカ「あとは、食べやすい大きさに切るだけですね?」ストンストン…スッスッ

ジン「あぁ」ストンストン…スッスッ

ジン「じゃあ、いよいよイカスミのソース作りに取りかかるぞ」

ウォッカ「へい!」

40: ◆rzOq/SCuAA 2016/02/03(水) 00:41:42.51 ID:sP33d3Dm0
ジン「フライパンに、オリーブオイルとニンニク、タカノツメを入れて……」ザラザラ

ジン「火を付ける。この時、弱火にするのがポイントだ」カチ、チチチ…ボッ

ジン「いきなり強火にすると、ニンニクが焦げちまうからな。弱火でじっくり温めて香りを出すんだ」ジュー

ウォッカ「なるほど。相変わらず、兄貴の説明は分かりやすくて勉強になりやすぜ」

ジン「ウォッカ。そっちの鍋で湯を沸かしてある。例のパスタを茹でておけ」

ウォッカ「あ……へい!」

41: ◆rzOq/SCuAA 2016/02/03(水) 00:42:18.47 ID:sP33d3Dm0
ジン「ニンニクが色付いてきたら、イカを加える」ジュー…

ジン「少ししてから、白ワインと……」ザー

ジン「トマトソースとパセリを入れて、軽く煮立たせる」ザラザラ…コトコトコト

ウォッカ「あ~、良い香りですぜ」グツグツ

ジン「ここへ、さっき分けておいたイカスミを投入だ」ギューッ

ウォッカ「うわ……ペーストが必要無ぇぐらいの量ですねぇ」グツグツ

ジン「あぁ。これだけあれば十分だ」

ジン「最後に塩で味を調えて……ソースの完成だ」パッパッ

42: ◆rzOq/SCuAA 2016/02/03(水) 00:43:06.75 ID:sP33d3Dm0
ジン「ウォッカ。パスタの茹で具合はどうだ?」

ウォッカ「良い感じですぜ! そろそろ、そっちに……」グツグツ

ジン「あぁ」

ジン「麺の水気を切って、ソースに絡ませれば……」ヒョイ…ザッザッ

ジン「麺もソースも純黒の、イカスミパスタの出来上がりだ」

ウォッカ「おぉ~! これ、絶対美味いですよ!」

ジン「時間もちょうど12時だ。メシにするか」

ウォッカ「へい!」ワーイ♪

43: ◆rzOq/SCuAA 2016/02/03(水) 00:43:58.84 ID:sP33d3Dm0
――組織のアジト・ダイニング――

ウォッカ「じゃあ……いただきやす!」

ジン「おぅ。しっかり味わって食え」

ウォッカ「まずはパスタから……」パク…モグモグモグ

ウォッカ「うわぁ……店で食ったのより、ずっと美味ぇです!」ジーン

ジン「そいつは何よりだ」フン

ウォッカ「んで、スープも……」ズズ…

ウォッカ「ニンジンの優しい味で、癒されますぜ……」ホゥ…

ジン「フッ……これでお前も、好きなだけ美味いイカスミのパスタが作れるな」

ウォッカ「へい!」

44: ◆rzOq/SCuAA 2016/02/03(水) 00:44:30.85 ID:sP33d3Dm0

~30分後~

ウォッカ「はぁ~。結構量があったから、満腹になっちまいやしたね……」ゲフ

ジン「……それなら、デザートはもう少し後にするか?」

ウォッカ「えっ……兄貴、いつの間にデザートなんて……?」

ジン「昨夜のうちにな。今日の三時頃にでも食うかと思って」

ジン「パンナコッタを冷蔵庫に入れてあるんだ」

ウォッカ「おぉ、マジっすか!? それぐらいなら入りやすぜ!」

ジン「なら、取ってこい」

ウォッカ「へい!」ヒャッホウ

ウォッカ(兄貴のデザート、本当に美味いもんなぁ♪)ワクワク

45: ◆rzOq/SCuAA 2016/02/03(水) 00:45:10.99 ID:sP33d3Dm0
――組織のアジト・キッチン――

ガタン! ゴソゴソ…カタッ

ウォッカ「…………!?」

ウォッカ(何の物音だ……?)ソーッ

コルン「うん、うまい……」モグモグ


ウォッカ(あ、あれは……兄貴のパンナコッタ?)


キャンティ「でも良いのかい? これ、ジンが作ったやつだろ?」パク

ベルモット「大丈夫よ。6個もあるんだもの♪」ムシャムシャ

46: ◆rzOq/SCuAA 2016/02/03(水) 00:46:25.29 ID:sP33d3Dm0
ベルモット「ジンとウォッカ、二人の分を残しておけば問題無いわよ」ゴックン

コルン「え…………」ピタ

キャンティ「どうしたんだい、コルン? ……あっ!!」

キャンティ「ちょっと、あんた! 余ってたの、全部食っちまったのかい!?」

ベルモット「えっ! ……それはさすがにマズイわよ」

ガタン

ベルモット・コルン・キャンティ「「「!?」」」ザッ

キャンティ「……何だ。あんたかい、ウォッカ」

47: ◆rzOq/SCuAA 2016/02/03(水) 00:47:08.06 ID:sP33d3Dm0
ベルモット「ビックリさせないでよぉ~。どうしたの?」

ウォッカ「あ、あの……パンナコッタを取りに」

ベルモット「あら、ごめんなさい! 貴方とジンの分、コルンが食べちゃったのよ」

コルン「……おい」

コルン「元々『食べよう』って言い出したの、お前……」

ベルモット「おだまり! 要は、ジンにバレなきゃ良いのよ」

キャンティ「……………………」ツンツン

ベルモット「何よ、キャンティ?」

48: ◆rzOq/SCuAA 2016/02/03(水) 00:47:46.06 ID:sP33d3Dm0
キャンティ「……」スッ

ベルモット「一体何があるって……」ハッ!!

ウォッカ「あ、兄貴……」

ベルモット「あ……あら、ジン。わざとじゃないのよ? これには深~いワケが……」オホホホ

ジン「貴様ら……」ゴゴゴゴ…

ウォッカ(あ、ヤベ……)コソコソ

ジン「全員、そこに直れ!」ジャキッ!!

キャンティ・コルン「「ひっ!!」」

49: ◆rzOq/SCuAA 2016/02/03(水) 00:48:31.52 ID:sP33d3Dm0
ベルモット「そ、そんな食べ物ぐらいで、そこまで怒らなくても……」アワアワ

キャンティ「逃げるよ、コルン!」ダダッ

コルン「おぅ……」ダッ

ベルモット「ちょっと、置いてかないでよ~!」タタタ

ジン「待ちやがれ!!」ドギュン! ズギューン!!

キャンティ「だからアタイは食うの止めようって言ったんだ!」パァン!

ベルモット「何よ、結局あんただって食べたじゃないの!」ドギュン!!

コルン「お前ら、逃げる方が先……」バキューン!

50: ◆rzOq/SCuAA 2016/02/03(水) 00:49:11.33 ID:sP33d3Dm0
――組織のアジト・廊下――

ウォッカ「ったく、姐御とあいつら……俺、知らねーぞ」カツカツカツ

安室「……どうしたんですか? ウォッカ」

ウォッカ「よ、よぉ。バーボン……何でもねーよ」ハハハ…


ヨケルンジャネー! ズギューン!!

キャー! ヒェー!!


安室「あの…………キッチンの方から悲鳴と銃声が聞こえるんですが」

ウォッカ「……死にたくなきゃ、行くなよ?」

安室「ええ。触らぬ神に祟りなし、と言いますし」フッ…


【おわり】

51: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/03(水) 00:50:28.18 ID:d8pt/KNwo

パスタうまそう

54: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/03(水) 00:59:32.02 ID:ooT0WWwno
乙、相変わらずの黒いのに白の組織だった

56: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/03(水) 02:07:26.15 ID:IVwXZOGP0
乙。イカスミパスタ大好きです。

引用元: ジン「純黒のパスタを作りたいだと?」ウォッカ「へい、兄貴」