前作
精霊「喋る剣と槍と斧、どれが欲しい?」
女天使「勇者・・・いまこそ!」

1: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/09(水) 01:40:18 ID:plue.wPM
精霊「どう?」

女騎士「……いらないよ」

精霊「何で?」

女騎士「何でって言われても……」

精霊「……剣が喋るんだよ?珍しいよ?」

女騎士「珍しい?」

精霊「そう!珍しい!この世に一本しか無いし!」

女騎士「ほう!」

精霊「凄いだろ?欲しいだろ?だから貰ってよ!」

女騎士「うん!いらない!」

精霊「………」

2: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/09(水) 01:48:35 ID:plue.wPM
女騎士「……?」

精霊「そこはさ……欲しいって言うところだろ……」

女騎士「そうなのか?」

精霊「………」

女騎士「だけどな……貰っても困るんだ。お返し出来る物が無い」

精霊「……お返しなんていらないけど」

女騎士「それは駄目だ!」

精霊「何故?」

女騎士「お父様に言われていたからな!何かを与えられたら何かを返さなければいけないと!」

精霊「へぇ……出来たお父様なんだね」

女騎士「自慢のお父様だった!」

精霊「だった?」

女騎士「もう亡くなわれてしまったからな」

3: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/09(水) 02:02:11 ID:plue.wPM
精霊「そうなんだ……」

女騎士「そう。だからな……剣は貰う事は出来ない」

精霊「……ん」

女騎士「………」

精霊「じゃあこうしようか……」

女騎士「なんだ?」

精霊「君が剣を貰ってくれたら……君は僕に何故二人目の勇者に付いて行かなかったのか教えてくれればいいよ」

女騎士「………」

精霊「どうだい?」

女騎士「それは嫌だ……一人目の勇者ならいいが」

精霊「……じゃあ一人目の勇者でもいいよ」

女騎士「わかった!」

4: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/09(水) 02:31:26 ID:plue.wPM
精霊「で、何で付いて行かなかったの?」

女騎士「私を嫌らしい目で見ていたからな!嫌だった!」

精霊「………」

女騎士「余りにも度が過ぎるので……王の前で殴ってやった!」

精霊「……勇者殴ったんだ」

女騎士「まぁ、詫びようにもこの世にいないし!ハハハッ!」

精霊「……付いて行かなかったじゃなくて……付いて行けなかったのか……」

女騎士「これが一人目の勇者に付いて行けなかった理由だ!」

精霊「………」

女騎士「どうした?」

精霊「いや……何でも無いよ……」

5: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/09(水) 03:22:12 ID:plue.wPM
精霊「……じゃあ剣渡すから」

女騎士「ありがとう!」

精霊「大事に使ってね……」

女騎士「安心していい!これでも私はソードキラーと言われているから大丈夫だ!」

精霊「………」

女騎士「いやぁ楽しみだなぁ!」

精霊 (僕は不安しか無いよ……)

女騎士「………」

精霊「な、何か?」

女騎士「……誰だ貴様ッ!どうやってこの邸に忍び込んだッ!」

精霊「今更過ぎだよ……」

女騎士「そうか!」

精霊「………」

6: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/09(水) 03:29:44 ID:plue.wPM
ーーー

女騎士「………」ジー

剣「………」

女騎士「………」ジー

剣「……あんた誰?」

女騎士「オオオッ!本当に喋った!」

剣「………」

女騎士「凄いなぁ!」

剣「……もしかしてあんたが持ち主になったの?」

女騎士「そうだ!精霊って奴が言ってたな!」

剣「………」

女騎士「宜しくな!」

剣「………」

女騎士「……?」

7: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/09(水) 04:00:40 ID:plue.wPM
剣「もおぉぉおッ!精霊様ったら次の持ち主はいい男にしてって言ったじゃないのぉ!」

女騎士「………」

剣「こんな馬鹿みたいな女を持ち主にするなんて本当最低ぇ!」

女騎士「馬鹿……」

剣「精霊様!精霊様ぁたらッ!聴こえてるんでしょ!チェンジよ!チェンジぃぃッ!」

女騎士「………」

剣「もうなんなのよこれは!」

女騎士「声は男だが……」

剣「悪かったわね男の声でぇ!これでも心は女なのよ!」

女騎士「………」

剣「ああもう最悪ぅ!」

女騎士「………」

9: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/09(水) 04:53:05 ID:plue.wPM


剣「………」

女騎士「………」

剣「……馬鹿面してないでさっさと精霊様呼びなさいよ」

女騎士「……呼ぶ?」

剣「そうよぉ!あんたがあたしの持ち主になる事を拒否すれば精霊様は来るのよ」

女騎士「ほう……そうなのか」

剣「だから早くぅ!」

女騎士「それは出来ない」

剣「なんでえ!」

女騎士「精霊が折角くれたんだ。すぐ返すなんて失礼だろ」

剣「そんな事無いから!呼びなさいよ馬鹿女!」

女騎士「………」イラッ

10: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/09(水) 05:02:20 ID:plue.wPM
剣「はぁぁ……」

女騎士「……お前と出逢えた記念に私の特技を見せてやる」

剣「どうせぇつまんないんでしょ?」

女騎士「まぁ、そう言わず。余興と思って見ていてくれ」

剣「………」

女騎士「ここに一本、剣がある」ニコニコ

剣「ダッサイ剣ねぇ」

女騎士「お前と比べたらそうかもしれんな」ニコニコ

剣「……でぇ?」

女騎士「うむ、これを壁に立て掛ける」ニコニコ

剣「……?」

11: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/09(水) 05:13:32 ID:plue.wPM
女騎士「………」ニコニコ

剣「………」

女騎士「ハァァァァァァァアッ!」

バギンッ!……カランカラン……

剣「………」

女騎士「ふぅ……どうだ気に入ったか?」ニコニコ

剣「………」

女騎士「素手で剣を割るなんて中々見れるものでは無いだろ?」

剣「………」

女騎士「何か喋ったらどうだ?」

剣「……すいませんでした」

女騎士「何を謝っている?おかしな奴だ。ははは!」

剣 (この女……ヤバいわぁ……)

12: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/09(水) 06:39:08 ID:plue.wPM


女騎士「お前……ではあれだな。名前はあるのか?」

剣「名前ねぇ……あたし自分の名前好きじゃ無いのよぉ。だからあんたが勝手に付けていいわ」

女騎士「そうか!なら……剣示なんてどうだ!」

剣「……嫌よ」

女騎士「なんと……では剣一!」

剣「却下!……もっと可愛らしいのにしてちょうだい!」

女騎士「ぐぬぬ……剣……剣……そうだ!」

剣「なあに?」

女騎士「カルーセル!」

剣「……もういいわ、剣でいい」

女騎士「そうか……」

14: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/09(水) 14:42:53 ID:3WNuweUE


剣「ねぇえあんた」

女騎士「何だ?」

剣「この邸に一人で住んでるの?」

女騎士「そうだ。時折、城から伝令やら侍女などが訪ねてくるが」

剣「へぇ……」

女騎士「どうかしたのか?」

剣「暇そうねぇって思っただけよ」

女騎士「暇では無いぞ?これでも色々やる事があってな!」

剣「例えばぁ?」

女騎士「そうだな……領地の巡回やら領地の巡回とか領地の巡回などだな!」

剣「後、領地の巡回も?」

女騎士「良くわかったな!領地の巡回もやってる!」

剣「………」

女騎士「結構忙しいのだ!」

15: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/09(水) 17:25:19 ID:3WNuweUE
剣「ようは散歩しかやる事が無いって訳ね……」

女騎士「散歩では無い!巡回だ!」

剣「……あっそ」

女騎士「さっそく行くか?」

剣「そうねぇ……行くわ」

女騎士「よし!」

剣「……ちょっと聞きたいんだけどぉ」

女騎士「なんだ?」

剣「散歩の途中に人が集まるような所あるの?」

女騎士「村ならあるが……どうしてそんな事を聞く?」

剣「何でも無いわよぉふふん」

女騎士「そうか……?」

16: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/09(水) 17:35:46 ID:3WNuweUE


剣「……ねぇ」

女騎士「なんだ?」

剣「……馬は?」

女騎士「………」

剣「………」

女騎士「……ほら!あれだ!歩いて巡回した方が健康に良いからな!」

剣「………」

女騎士「………」

剣「……まさか乗れないの?」

女騎士「仕方あるまい……」

剣「馬に乗れない騎士なんて聞いた事無いわぁ……」

女騎士「………」

17: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/09(水) 18:09:53 ID:3WNuweUE
剣「はぁぁぁぁ……」

女騎士「残念がる事無いだろ……それに剣は持って貰ってるのだからいいだろうが」

剣「そうだけどぉ!……騎士で馬に乗れないなんて情けないと思わないの!」

女騎士「………」

剣「あぁぁもう本っ当情けない!こんなんが持ち主なんて!」

女騎士「………」

ガシッ

剣「……ち、ちょっと……なにする気?」

女騎士「少し試し切りをしようとな……」

剣「………」

女騎士「そうだな……あの岩なんか丁度良さそうだ!」

剣「……やめてちょうだい」

女騎士「任せておけ!私の腕なら真っ二つだ!」

18: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/09(水) 18:20:21 ID:3WNuweUE
剣「あんなのを切ったらこっちが真っ二つに折れるわよ!」

女騎士「……え?」

剣「……なに?」

女騎士「……お前、魔剣とかそういう物では無いのか?」

剣「それに近い物だけど……それがどうしたの」

女騎士「普通そういう物は凄く固いとか絶対に折れないとか……」

剣「もしそうならあんたの特技見せられて謝ったりしないわよ」

女騎士「………」

剣「………」

女騎士「はぁぁぁぁ……情けない……」

剣「……この女ムカつくわぁ」

19: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/09(水) 21:16:38 ID:3WNuweUE


女騎士「もう村だ。喋るなよ」

剣「それぐらいわかってますぅ。女奇士様ぁ!」

女騎士「その呼び方はやめろ!」

剣「はんっ……」

女騎士 (……こいつは少し上下関係について教え込まないといけないな!)

剣「………」

少女「女騎士さん!こんにちは!」

女騎士 (誰が持ち主であるかみっちり叩き込んでやる!)

剣「………」

少女「……?」

女騎士 (ふふ……今宵ソードキラーと言われた私の真の姿見せてやる!)

剣「………」

少女「こんにちはあ!」

20: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/09(水) 22:24:52 ID:3WNuweUE
女騎士「おお!少女か……こんにちは」

少女「……どうかしたの?」

女騎士「いや、少し考え事をしていただけだ」

少女「そうなんだ!」

女騎士「少女よ、また親御に内緒であっちこっち行って無いだろうな?」

少女「してないから大丈夫!」

女騎士「そうか」

少女「もうあそこへ行っても……つまらないし……」

女騎士「番人がいないからか?」

少女「うん……」

女騎士「………」

21: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/10(木) 00:18:40 ID:uN8NnhJQ
少女「………」

女騎士「寂しいだろうが仕方無いな」

少女「そうだね……番人さん勇者になっちゃったし……」

女騎士「………」

剣「………?」

女騎士「では少女よ、私は巡回が残ってるのでこれでな」

少女「うん!お散歩頑張ってね!」

女騎士「……少女よ、違うぞ」

少女「じゃあね!」

女騎士「………」

剣「………」

24: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/10(木) 01:26:04 ID:uN8NnhJQ


剣 (これは中々……ふふん)

女騎士「………」

剣「なぁにあんた、さっきから黙っちゃってぇ」

女騎士「……何でも無い」

剣「番人とかって人の事かしら?」

女騎士「………」

剣「あらぁ当り?何々?何かあるの?」

女騎士「何も無いッ!」

剣「……なによ……怒鳴る事無いじゃない……」

女騎士「……帰るぞ」

剣「……?」

25: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/10(木) 01:33:32 ID:uN8NnhJQ


女騎士「巡回の次は鍛練だ!」

剣「あたしは見てるから勝手にやってちょうだい……」

女騎士「そう言うな」

ガシッ

剣「……はぁ、ぶつけたりしないでよねぇ」

女騎士「任せておけ!」

剣「………」

女騎士「ハァッ!」

シュッフォンッ!

剣「ん?」

女騎士「トリャッ!」

フォンフォンッ!

剣「ちょっと待った!」

26: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/10(木) 01:53:42 ID:uN8NnhJQ
女騎士「……なんだ?」

剣「あんた……変わった動きするのねぇ」

女騎士「そうか?」

剣「初めて見たわぁ」

女騎士「……多分それは剣を使う目的が違うからだろ」

剣「目的?」

女騎士「私の剣術は人を斬る為のものでは無いからな!」

剣「?」

女騎士「わからないか?」

剣「さっぱり……」

女騎士「この剣術は相手の武器や防具を破壊するのが目的なのだ!」

剣「………」

女騎士「ふふふ……」

27: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/10(木) 03:38:24 ID:o/qYLpx2
剣「聞かなければよかったわぁ……」

女騎士「どうだ凄いだろ!ははは!」

剣「でもぉ人はそれでいいかもしれないけど……魔物とかはどうするの?」

女騎士「普通に斬ればよかろう」

剣「………」

女騎士「問題あるか?」

剣「……いいえ無いわよ」

女騎士「なら続けるか!」

剣「………」

女騎士「ハァッ!」

28: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/10(木) 03:51:13 ID:o/qYLpx2
ーーー

女騎士「……zzz」

剣「……寝たぁ?」

女騎士「……zzz」

剣「………」

剣「……うふふ……うふふふ……」

剣「さぁ……楽しもうかしらね!」

剣「もう本っ当久しぶりぃ!」

剣「うふふふ!やだ笑いがとまらないうふふふ!」

剣「………」

剣「寝てるけど先に謝っておくわね。ごめんなさい」

剣「………」

剣「では……はりきっていってみようかしら!うふふふふふん!」

29: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/10(木) 03:59:51 ID:o/qYLpx2
ーーー

女騎士「おはよう!」

剣「……おは」

女騎士「どうした!元気無いぞ?」

剣「………」

女騎士「?」

剣「……はぁあ……」

女騎士「さて、巡回だ!行くぞ!」

剣「……ごめん、あんただけで行ってちょうだい」

女騎士「どうかしたのか?」

剣「ちょっと……ね」

女騎士「仕方無い!じゃあ行ってくるから大人しく待ってろ」

剣「はいはぁい……」

女騎士「……?」

30: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/10(木) 05:40:50 ID:o/qYLpx2


女騎士「………」

……「………」ヒソヒソ

女騎士「………」

……「………」ヒソヒソ

女騎士「……何だ?妙に視線を感じるんだが……」

村人「……ッ!」

女騎士「おい!少し聞きたいんだが……」

村人「ひぃぃっ!」

タタタッ……

女騎士「………」

女騎士「人の顔を見て逃げ出すとは……失礼な奴だ!」

少女「……あ」

女騎士「おお!少女こんにちは!」

少女「……こんにちは」

32: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/10(木) 14:33:30 ID:o/qYLpx2
女騎士「なあ、聞きたい事が……」

少女「女騎士さん……ごめんなさい!」

タタタッ……

女騎士「……少女までどうしたと言うのだ」

村長「これはこれは女騎士様……」

女騎士「おお!村長か。何やら村の雰囲気がおかしいのだが……」

村長「……昨晩は随分とお楽しみなされたみたいで……!」

女騎士「昨晩?何の事だ?」

村長「………」

女騎士「?」

村長「……アレをお惚けになるのですか?」

女騎士「アレ……?」

村長「酒場での馬鹿騒ぎに始まり……その他もろもろですよッ!」

33: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/10(木) 14:47:43 ID:o/qYLpx2
女騎士「………」

村長「この領地の主である女騎士様にこんな事は言いたくありませんがッ!」

女騎士「ま、待て……」

村長「何ですかッ!」

女騎士「本当に身に覚えが無いのだ……」

村長「………」

女騎士「………」

村長「なら……貴女が何をしたか……言ってあげましょうか?」

女騎士「……頼む」

村長「………」

女騎士「………」ゴクッ

34: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/10(木) 16:19:05 ID:o/qYLpx2
村長「まずは……酒場にて、ガタイのいい男達を半裸にさせ周りにはべらせ馬鹿騒ぎ……」

女騎士「………」

村長「嫌がる男達にあんな事やこんな事を……」

女騎士「……そんな事を」

村長「次にッ!男達に股がり村中を明け方まで練り歩き……」

女騎士「…………」

村長「しかも……一軒一軒訪ねては私の名前を言ってみろと大声でッ!」

女騎士「………」

村長「………」

女騎士「……そ、それは本当に私なのか?」

村長「……ご自分の胸に聴いてみるのが宜しいかと」

女騎士「………」

35: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/10(木) 16:39:42 ID:NpRi.1zo
暴力と欲望が支配する世界www

36: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/10(木) 17:30:34 ID:o/qYLpx2
村長「………」

女騎士「……全く身に覚えが無い」

村長「……最低ですよ女騎士様」

女騎士「………」

村長「気持ち悪いしゃべり方で……私は女奇士よぉ!などと明け方まで……」

女騎士「……ッ!……少し用事を思い出したので失礼する!」

村長「待ちなさいッ!」

女騎士「だから……」

村長「酒場の主人からお預りしているこれを……」

女騎士「……請求書?」

村長「………」

女騎士「ぜ、ゼロが7つも……」

37: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/10(木) 18:04:36 ID:o/qYLpx2
ーーー

バダンッ!

女騎士「ツゥウルゥギイィィッ!」

剣「あら、おかえりぃ」

女騎士「貴様ッ!昨日の夜村で何をしたッ!」

剣「別に何にも……うふふふ」

女騎士「……言えッ!」

剣「ちょっと遊んだだけよ」

女騎士「………」

剣「なあに?」

女騎士「……どうやって私を操った!」

剣「そんな事してないわよ」

女騎士「なら村で……ぐぅぁ……あのような事になっているッ!」

剣「な、い、し、ょ!」

女騎士「………」

38: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/10(木) 18:10:38 ID:o/qYLpx2
剣「ふふふ……」

女騎士「………」

ガシッ

剣「あらやだ、あたしを壊す気?」

女騎士「………」

タタタ……

剣「ちょっとどこ行くのよぉ?」

女騎士「……いい所だ」

剣「……?」

女騎士「………」

剣「どうせ叩くとかであたしを脅すだけでしょ?」

女騎士「………」

剣「………」

女騎士「それだけで済めばいいなぁ……」ニタリ……

剣「………」

39: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/10(木) 19:28:20 ID:o/qYLpx2
ーーー

女騎士「………」

剣「なによここは……」

女騎士「ここか?……拷問部屋だ!」

剣「………」

女騎士「……ここに吊るして……これを……よし!」

剣「……そんな水に浸けられても錆びたり溺れたりしないわよぉ?」

女騎士「まぁ、見てろ……鉄の塊を……ほい!」

ポイッ……ジュワワァ……

剣「………」

女騎士「おお!良く溶けるな!……お父様、貴方のコレクション使わせて頂きます!」

剣「……冗談よね?」

女騎士「私は冗談が嫌いな質でな!」

剣「………」

40: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/10(木) 21:01:34 ID:o/qYLpx2
女騎士「言うな?」

剣「聞きながらちょっとづつ下げるのやめて!」

女騎士「……なら言え!」

剣「言うから下ろしてちょうだい!」

女騎士「………」

剣「うわぁあああッ!ち、力よ!力を使ったの!」

女騎士「……力とはなんだ?」

剣「あたしは喋るだけじゃなくて他の力を持ってるのよぉ!」

女騎士「ほう……」

剣「あたしは持ち主と同じ姿になる事が出来るの……」

女騎士「なるほど……それで私の悪評が村に……」

剣「……もういいでしょ?」

女騎士「駄目だ!」

41: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/10(木) 21:16:29 ID:o/qYLpx2
剣「悪かったから……下ろしてちょうだい……」

女騎士「後な……これだ!」

剣「………」

女騎士「わかっているみたいだな!これはどうする!」

剣「……ちゃんと払うわよ」

女騎士「どうやって?」

剣「あんたの姿で身売りして」

女騎士「………」

ジュッ!

剣「溶けたぁッ!ちょっと溶けた!」

女騎士「馬鹿者ッ!そんな事してみろ!溶かしてスライムと同化させるからなッ!」

剣「……じゃあどうすればいいのよぉ」

女騎士「取り合えず村の皆に謝ってもらう。それからお前の処遇を決める。いいな?」

42: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/10(木) 21:20:35 ID:o/qYLpx2
剣「わかったわよぉ……」

女騎士「よし」

剣「………」

女騎士「………」

剣「……何してるの早く下ろして」

女騎士「え?ああ……」

剣「……何?」

女騎士「いや……少し楽しくなってきてな」

剣「………」

女騎士「今下ろす」

剣 (この女にこの部屋は危険過ぎるわぁ……)

43: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/10(木) 22:45:38 ID:o/qYLpx2
ーーー

剣騎士「………」

女騎士「なんと……」

剣騎士「これがあたしの力よぉ!」

女騎士「……声が変わって無いが?」

剣騎士「そこまでは知らないわよ」

女騎士「……自分の姿でその声だと……気色悪いな……」

剣騎士「んまぁ!失礼ね!……ねぇ昨日のから思ってたんだけど」

女騎士「なんだ?」

剣騎士「あんた結構着痩せするのねぇ……」

女騎士「………」

剣騎士「色々と勿体ないわぁ!」

女騎士「やめろ……」

44: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/11(金) 00:51:52 ID:cAGT4mSQ
ーーー

村長「………」

女騎士「このそっくりな女?が今回の原因なんだ」

剣騎士「………」

村長「……なるほど。この女?がですか……」

女騎士「騒がせてしまって申し訳無かった」

村長「い、いえ女騎士様こちらこそ疑ってしまい……」

女騎士「それはいい。この女?の顔が似てるのが悪いのだから」

村長「そうでございますか……。しかし……この女?は女騎士様のご親戚か何かですか?」

女騎士「全くもって赤の他人だ!」

村長「……ですが似過ぎて」

女騎士「全然違う!良く見ろ!」

村長「………」

45: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/11(金) 02:43:53 ID:cAGT4mSQ
女騎士「おい!女?謝れ!」

村長「………」

剣騎士「……騒がせて悪かったわねぇ」

女騎士「もっと誠意を持って謝らんか!」

村長「……もういいですよ」

女騎士「しかしこれでは!」

村長「本当にもういいので」

女騎士「そうか……なぁ、村長。……これの事はどうにかならんか?」

村長「……それは酒場の主人と折り合いをつけて頂くしかないと……」

女騎士「そうだよなぁ……」

剣騎士「………」

46: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/11(金) 02:57:27 ID:cAGT4mSQ


女騎士「はぁぁ……」

剣騎士「なによ溜め息なんてついて」

女騎士「誰のせいだと思ってるッ!」

剣騎士「……悪かったって言ってるじゃない」

女騎士「もっと反省しろ!……剣よ、聞きたいのだが」

剣騎士「なによ?」

女騎士「私の姿で剣の声がしているなら……村の皆はおかしいと思わなかったのかな?」

剣騎士「……あんた以外はみんなあんたの声で聴こえてるもの当たり前よ」

女騎士「……ならしゃべり方しか区別が付かないではないか」

剣騎士「そうなるわねぇ」

47: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/11(金) 03:16:48 ID:cAGT4mSQ
女騎士「………」

少女「……ッ!」

女騎士「おお!少女か、昨晩はすまなかったな」

少女「………」

女騎士「……どうかしたか?」

少女「女騎士さん……どうやって増えたの?」

女騎士「別に増えた訳では無い……」

少女「でも同じ顔してるよ?」

女騎士「………」

剣騎士「………」

少女「ん……そうだ!」

女騎士「なんだ?」

少女「今、ちょうどいい物持ってるの!」

女騎士、剣騎士「?」

48: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/11(金) 13:01:10 ID:cAGT4mSQ
少女「こっちの女騎士さん!屈んで!」

剣騎士「えぇ……」

少女「……こうして……出来た!」

女騎士「ははは!……そのリボン良く似合ってるぞ!」

剣騎士「あんた……それ自画自賛って言うのよ……」

少女「どう?気にってくれた?」

剣騎士「そうねぇ……」

少女「……嫌だった?」

剣騎士「………」

少女「………」

剣騎士「気に入ったわぁ!ありがとうねぇお礼にチューしてあげるぅ!うふふ」

少女「そ、それはいいよ……」

49: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/11(金) 14:31:20 ID:cAGT4mSQ
剣騎士「ほらぁ遠慮しないでぇ」

少女「本当にいいから……」

剣騎士「はい!チューッ!チューッ!」

少女「い、いやッ!来ないでぇッ!」

ダダダッ……

剣騎士「逃げなくてもいいじゃない……失礼な子ね」

女騎士「私の姿の時にそういう事をするな……」

剣騎士「………」

女騎士「どうした?」

剣騎士「いいえ何も無いわよぉ」

女騎士「そうか?」

剣騎士「………」

50: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/11(金) 15:43:06 ID:cAGT4mSQ
ーーー

女騎士「何とかならないだろうか……」

主人「そう言われましてもね……」

剣騎士「ちょいとそこお姉さん!あたしに一杯持って来てぇ!」

女騎士、主人「………」

剣騎士「後ねぇ風猪の煮込みも!」

女騎士「貴様ッ!いい加減にしないかッ!」

剣騎士「いいじゃないのぉ……」

女騎士「よく無い!」

主人「……女騎士さん宜しいですか?」

女騎士「はぁ……なんだ?」

主人「よろしかったら……お父上のコレクションをいくつか売ってしまわれたらいかがです?」

女騎士「……あんな物売れんだろ」

51: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/11(金) 16:32:32 ID:cAGT4mSQ
主人「生前に仰ってましたが、高価な物がいくつかあると聞いていますし……」

女騎士「そうなのか?……使う分には楽しそうだが……それ程価値のある物には思えん……」

剣騎士「………」

主人「……楽しそう……ですか?」

女騎士「いやぁ、一つ使ってみたのだが意外と楽しくてな!」

主人「つ、使っ……」バッ!

剣騎士「……こっち見ないでくれる?」

主人「………」

女騎士「ん……あっても仕方無いし売ってしまうか……」

主人 (ど、どんな物を使ったのか詳しく知りたいッ!)

女騎士「あのような金額払えそうも無いしな」

剣騎士「………」

53: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/11(金) 18:35:20 ID:cAGT4mSQ
ーーー

剣騎士「……あの主人、絶対勘違いしてたわよぉ」

女騎士「勘違い?」

剣騎士「あんたがあたしを……やっぱいいわぁ……」

女騎士「なんだ最後まで言え」

剣騎士「あんたがあたしをどうやって見付けたかって!」

女騎士「……それが勘違いか?」

剣騎士「そうよ!」

女騎士「………」

剣騎士 (どんな拷問で陵辱したなんて言ったら……この女本当にやりそう……)

女騎士「……なぁ剣よ、少女からリボンを貰った時……何故顔を曇らせた?」

剣騎士「なによぉ突然」

54: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/11(金) 20:40:00 ID:cAGT4mSQ
女騎士「………」

剣騎士「別にあの子が嫌いって訳じゃ無いわぁ。ただ知り合いを思い出しただけ」

女騎士「前の持ち主か何かか?」

剣騎士「違うわよ、仲間とか兄弟みたいなものよぉ」

女騎士「剣の兄弟……」

剣騎士「……変な事考えてるんじゃ無いでしょうね?」

女騎士「考えてなどいない!」

剣騎士「へぇ……」

女騎士「……すまん、考えてた」

剣騎士「………」

女騎士「しょうがないだろ……剣がそんなんだから……」

剣騎士「あたしは至って普通よ!」

女騎士「………」

55: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/11(金) 20:50:38 ID:cAGT4mSQ
ーーー

女騎士「さぁッ!」

剣騎士「……頑張って」

女騎士「何を言ってるんだ!折角私の姿になっているんだ付き合え!」

剣騎士「……嫌よ」

女騎士「なんだ?私にボロボロされるのが嫌か?」

剣騎士「違うわよぉ!」

女騎士「なら、ほれかかって来い!」

剣騎士「……仕方無いわねぇ」

女騎士「私はいつでもいいぞ!」

剣騎士「………」クネクネ

女騎士「………」

剣騎士「………」クネクネ

女騎士「……その動きはやめろ」

56: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/11(金) 22:43:33 ID:cAGT4mSQ
女騎士「デァッ!」

剣騎士「………」ヒョイ

女騎士「……ハァァッ!」

剣騎士「………」ヒョイ

女騎士「………」

剣騎士「どうしたのぉ?ほらほら」クネクネ

女騎士「ぐっ……こいつッ!」

フォンン!

剣騎士「いやん!」ヒョイ

女騎士「……真面目にやれッ!」

剣騎士「えぇぇ……ちょっとだけよ?」

女騎士「………」

剣騎士「………」

57: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/11(金) 23:02:43 ID:cAGT4mSQ
女騎士「ドリャアァッ!」

フォンッ!

剣騎士「………」ヒョイ

シュッ……

女騎士「な……」

剣騎士「チェックメイトぉ!」

女騎士「……参った」

剣騎士「どおぅ?うふふふふん」

女騎士「くそっ!もう一度だッ!」

剣騎士「………どうぞ」

58: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/12(土) 06:03:06 ID:BNAqad7o


女騎士「はぁ……はぁ……も、もう一度ッ!」

剣騎士「いい加減にしてちょうだい……もう暗いしねぇ」

女騎士「………」

剣騎士「はぁ……そんな悔しい?」

女騎士「……悔しいに決まってる!掠りもしなかったんだぞ!」

剣騎士「………」

女騎士「……教えてくれ……何故だ!」

剣騎士「当たり前でしょ。どれだけ経験の差があると思ってるのよ」

女騎士「………」

剣騎士「まぁあ?それだけじゃ無いけどぉうふふ」

女騎士「……他に理由があるのか?」

剣騎士「そうねぇ。あんたの剣、ひねくれてるのよぉ」

59: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/12(土) 06:14:43 ID:BNAqad7o
女騎士「ひねくれてるか……?」

剣騎士「そう。誰に教えて貰ったか知らないけどぉね」

女騎士「………」

剣騎士「………」

女騎士「……つまりどういう事だ?」

剣騎士「……それは自分で考えるもんでしょ」

女騎士「そうだな……」

剣騎士「………」

女騎士「………」

剣騎士「……仕っ方無いわねぇ。ちょっと教えてあげるわ」

女騎士「………」

剣騎士「あんたとあたしの身体的な差は無い。後は何が違うか……ねぇ」

女騎士「……性別?」

剣騎士「同じよぉ!」

60: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/12(土) 06:31:23 ID:BNAqad7o
女騎士「なら、さっき言っていた……」

剣騎士「経験の差?あんな物は結構何とでもなるから違うわよ?」

女騎士「ならないだろ……」

剣騎士「まぁ考えなさい」

女騎士「わかった……」

剣「ふああぁ……疲れたぁ……」

女騎士「………」

剣「あたし持っていってねぇ」

女騎士「違う物か……」

剣「………」

女騎士「………」

タタタ……

剣「………」

剣「ちょっと!持っていってって言ったじゃ無いのぉ!」

63: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/12(土) 14:52:46 ID:BNAqad7o
ーーー

女騎士「……zzz」

剣「………」

女騎士「……zzz」

剣「さぁ今宵もまたやってまりましたぁ……」

剣「うふふ……忙しくなりそうだわぁぁ!」

女騎士「………」

剣「今日はぁ!ガチガチのいい男に囲まれてぇッ!」

女騎士「………」

剣「筋肉触ってぇ!筋肉十字稜作ってぇ!」

女騎士「……ほう、それで?」

剣「てめえの筋肉何色だゲームもしないとッ!」

女騎士「なるほどな」

剣「………」

64: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/12(土) 15:02:05 ID:BNAqad7o
女騎士「貴様は全く反省していないのだな」

剣「……寝てなさいよぉ」

女騎士「そうかそうか」

剣「………」

女騎士「これで心置き無く楽しめそうだ」

剣「……やめて」

女騎士「あれを売るにあたって少しセールスポイントを押さえておこうと思っていたが丁度良かった」

剣「お願い……本当やめて」

女騎士「安心していい。飽きたら開放してやるから」

剣「………」

女騎士「いやぁ今日は忙しくなりそうだな!……では行こうか」ニコニコ

剣「いやあぁぁぁッ!」

65: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/12(土) 15:40:05 ID:BNAqad7o
ーーー

剣騎士「………」ゲッソリ

女騎士「どうした?巡回行くぞ!」

剣騎士「無理……剣に戻るわよぉ」

女騎士「何を言ってるんだ!まだ村の皆に謝って無いだろ!」

剣騎士「………」

女騎士「ほら早くしろ!」

剣騎士「へぇい……」

ドンドンッ!

……「女騎士様!おはようございます!」

女騎士「なんだ?酒場の主人か?」

剣騎士「………」

女騎士「朝から何の用だろうか?」

67: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/12(土) 21:21:20 ID:BNAqad7o


主人「買い手が見付かりましたのでご報告を」

女騎士「そうか。わざわざすまなかったな」

主人「いえ……」チラッ

剣騎士「……何か?」

女騎士「主人よ、買い手とは一体誰なんだ?」

主人「……え、ああ。貴族様でございます」

女騎士「そうか……」

剣騎士「……?」

主人「何やら前々から欲しいと思っていた物があるみたいですよ」

女騎士「わかった……」

主人「……明日、おみえになるそうなので」

女騎士「………」

剣騎士「?」

68: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/12(土) 21:58:05 ID:BNAqad7o
女騎士「他に買い手は見付からなかったのか?」

主人「物が物ですから……」

女騎士「そうか……楽しいのにな……」

主人「………」

女騎士「昨日も色々試してみて……これならばという物もあったんだかな……」

主人「試したッ!」バッ!

剣騎士「……昨日のは凄かったわぁ癖になりそう……」

主人「なッ!」バッ!

女騎士「……なんだ?」

主人「………」

女騎士「主人どうした?」

主人「いえ……」

剣騎士「………」

69: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/12(土) 22:36:07 ID:BNAqad7o
ーーー

女騎士「少し困った事になったな……」

剣騎士「なんでぇ?」

女騎士「売り手が貴族と言ってな……あまり相手にしたくないんだ……」

剣騎士「何となく想像は着くわねぇ」

女騎士「はぁ……」

剣騎士「……?」

女騎士「はぁぁぁ……」

剣騎士「自分の顔見て溜め息つくのやめた方がいいわよぉ」

70: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/13(日) 07:35:19 ID:C5h6X06k


女騎士「おお!少女こんにちは!」

少女「……こんにちは」

剣騎士「こんにちはのチューッ!」

少女「ッ!」ビクッ!

女騎士「やめんか……少女よ、大丈夫だから」

少女「本当……?」

女騎士「ああ。剣よ、もうやらないな?」

剣騎士「はいはいやらないわよぉ」

女騎士「……まったくこいつは」

少女「……あのね、女騎士さん」

女騎士「なんだ、少女よ?」

少女「なんで番人さんに付いて行かなかったの?」

71: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/13(日) 13:59:54 ID:C5h6X06k
女騎士「………」

剣騎士 (あらあら?前もだったけどぉ?)

少女「……女騎士さん強いから」

女騎士「もういいじゃないか。それは終わった事だ」

少女「でもね……」

女騎士「それに私はあいつより弱い。足手まといになってしまう。いつもそう言っているだろ?」

少女「………」

剣騎士「………」

女騎士「剣までそんな顔しないでくれ……」

剣騎士「そりゃあそうなるわよぉ。そんな理由じゃ納得いかないもの。ねぇ少女」

少女「うん……」

女騎士「………」

72: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/13(日) 15:36:49 ID:C5h6X06k
ーーー

剣騎士「なぁにあんた」

女騎士「……言わないでくれ」

剣騎士「………」

女騎士「……一度な、あいつ……番人と手合わせした事があるんだ……」

剣騎士「で、負けちゃったのぉ」

女騎士「負けるとか……それ以前の問題だった……」

剣騎士「どういう事よぉ?」

女騎士「……何も出来なかった」

剣騎士「その番人って人そんなに強いのぉ?」

女騎士「………」

剣騎士「ふぅん……」

女騎士「……でもな、負けても不思議と悔しく無かった」

剣騎士「なにそれ。あたしの時はあんなに悔しがってたのにぃ」

73: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/13(日) 16:04:05 ID:C5h6X06k
女騎士「………」

剣騎士「手合わせした時の事、聞かせてごらんなさいな。お姉さまが感想言ってあげるからぁ」

女騎士「そうだな……頼むお兄さま」

剣騎士「……やめた」

女騎士「あいつな……おかしな技を使うんだ」

剣騎士「無視はやめて……」

女騎士「……対峙してあいつの目を見たら、剣先が震えて……」

剣騎士「ふぅん……」

女騎士「何かこう胸の辺りが苦しくなったり……うまく喋れなくなったり……」

剣騎士「あんたそれ……」

女騎士「何かわかるのか!?教えてくれッ!」

剣騎士「………」

74: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/13(日) 16:31:39 ID:C5h6X06k
女騎士「なあ!剣ッ!」

剣騎士「………」

女騎士「………」

剣騎士 (これは……からかうのも可哀想ねぇ……でもぉププッ)

女騎士「……もしかしてあれは凄い技なのか?」

剣騎士「そうねぇ……」

女騎士「………」ゴクッ

剣騎士「……あれはねぇ恐ろしい技よぉ」

女騎士「………」

剣騎士「しかもあんた……その目に魅せられてるわぁ……」

女騎士「………」

剣騎士「……あまり言いたく無いけど……あんた死ぬわよッ!」

女騎士「な、なんだとッ!」

75: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/13(日) 18:15:43 ID:C5h6X06k
剣騎士「もう真っ二つなって死にますッ!」

女騎士「そ、そんな……」

剣騎士「………」

女騎士「剣!私はどうしたら助かる!?」

剣騎士「……そうねぇ」

女騎士「………」

剣騎士「………」

女騎士「難しい事なのか……?」

剣騎士「この呪文を唱えれば大丈夫だからぁ……」

女騎士「教えてくれッ!」

剣騎士「……すでたぶすめなんらんいいしやいはしたわ……これを……」

女騎士「スデタブスメナンランイイシヤイハシタワ……スデタブスメナンランイイシヤイハシタワ……」

剣騎士「………」プルプル

76: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/13(日) 21:51:41 ID:C5h6X06k
ーーー

女騎士「今日こそは当てるぞ!……どうした?」

剣騎士「ごめん……お腹いたい……ププッ!」

女騎士「……?」

剣騎士「んふっ……ククッ……で、なんだっけ?」

女騎士「今日こそは貴様のその綺麗な顔を吹っ飛ばしてやるとッ!」

剣騎士「………」

女騎士「早く構えろ!」

剣騎士「……あんた自分を誉めるのやめた方がいいわよぉ」

女騎士「そんな事はどうだっていいから!」

剣騎士「はいはい……」

女騎士「行くぞッ!」

77: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/13(日) 22:42:40 ID:C5h6X06k


女騎士「くそぉ……」

剣騎士「いい加減にしてちょうだい……」

女騎士「まだまだッ!」

剣騎士「タフねぇ……昨日言った意味わかったぁ?」

女騎士「それは……」

剣騎士「まだわからぬかッ!」

女騎士「………」

剣騎士「………」

女騎士「………」

剣騎士「……心じゃよッ!」

女騎士「心か……」

剣騎士「……冗談よぉ?言ってみたかった……」

女騎士「心……心……」

剣騎士 (ヤバい……信じちゃったわぁ……)

78: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/14(月) 03:17:04 ID:eTRTp4x2
ーーー

女騎士「……静かにしてろよ」

剣「あの窓の外にいるオヤジでしょ?多分平気よぉ」

女騎士「そんな事ある……貴族様!よくぞお越しくださいました!」

貴族「………」

女騎士「……?」

貴族「やだぁぁ!そんなお堅くならなくてもいいって言ってるじゃ無いのぉ!」

女騎士「……そうでしたね」

剣「ッ!」

貴族「相変わらず綺麗な肌してるわねぇ……もう!貴族嫉妬!」

女騎士「………」

貴族「この髪もこの瞳もこの唇も……全部欲しい!羨ましいわぁぁ……」

サワッ……サワッ……

女騎士「戯れはお止めください!」ゾゾゾッ

貴族「うふふ……」

79: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/14(月) 03:34:58 ID:eTRTp4x2
女騎士「………」

貴族「……えっとぉ?」

給仕「例の物の品を御覧になられに」

貴族「そうそう!……あれが見れちゃうんですもん貴族嬉しいわぁ!」

女騎士「……左様ですか」

貴族「何処にあるのぉ!」

女騎士「あちらで御座います」

貴族「楽しみねぇ!お父上様のコレクションですからきっと素敵なんでしょう?」

女騎士「……そうですね」

貴族「それがあたくしの物になるかと思うとぉ……うふふふふふふっ」

女騎士「………」

剣「………」

80: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/14(月) 03:46:06 ID:eTRTp4x2
女騎士「では、私は部屋の外でお待ちしていますので」

貴族「ええ?女騎士ちゃんも一緒にいかがかしら?」

女騎士「……いえ」

貴族「そぉう?じゃ!貴族楽しんでくるからぁ!」

女騎士「ごゆっくり……」

剣「………」

女騎士「はぁぁぁ……」

剣「なぁにあのオヤジ!」

女騎士「………」

剣「いい歳して気っ持ち悪いわねぇ!あんたそう思わない?」

女騎士「……そうだな」

剣「ああ!イヤ!あんなの見てたらこっちまで汚れそうよぉ!」

女騎士 (なるほど……これが同族嫌悪と言う物か……)

81: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/14(月) 06:31:57 ID:eTRTp4x2


貴族「もお豊作豊作ぅ!やっぱしぃ素敵な物ばかりだったわぁ!」

女騎士「……それはよろしかったですね」

貴族「……あれ貰って行くから」

女騎士「あの牛の置物ですか……」

貴族「給仕……」

給仕「はっ。女騎士様、こちらを」

女騎士「……ッ!」

貴族「それで足りるかしらぁ?」

女騎士「こ、こんなに?……あの置物はそのような価値が?」

貴族「うふふ……あれ置物じゃあ無いわぁ」

女騎士「………」

貴族「後ねぇ、この像もいただくから」

女騎士「はぁ……それも価値がある物なのですか?」

82: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/14(月) 07:15:42 ID:eTRTp4x2
貴族「ん……これは何か惹かれる物があったのよねぇ……」

女騎士「………」

貴族「そんなに高い物では無いと思うけどぉ貴族気に入っちゃったから貰って行くわねぇ」

女騎士「わかりました」

貴族「おほほ楽しみねぇ!女騎士ちゃんまた呼んでね!」

女騎士「………」

貴族「じゃあねぇふふふ。給仕……」

給仕「女騎士様、失礼致します」

女騎士「………」

剣「………」

女騎士「はぁぁぁぁぁ」

剣「チッ!なぁに?貴族気に入っちゃったからってぇ!気持ち悪い!」

女騎士「何故かな……何時もより数倍疲れた……」

83: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/14(月) 08:12:11 ID:eTRTp4x2
ーーー

剣騎士「………」

女騎士「……これで剣の酒代も払える」

剣騎士「払っても結構余ってるわねぇ……」

女騎士「だからなんだ……」

剣騎士「後、三回位はいけそうだわぁ!」

女騎士「………」

剣騎士「……なんちゃって」

女騎士「剣よ、次に同じ事をしてみろ……」

剣騎士「………」

女騎士「どこぞの湖の近くにある岩に突き刺して封印してやるからなッ!」

剣騎士「……やめて。伝説になっちゃう……」

女騎士「ナイトの一族の末裔にでも助けて貰え!」

剣騎士「………」

84: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/14(月) 10:09:29 ID:eTRTp4x2
ーーー

主人「確かに……」

女騎士「いやぁ、良かった……一時はどうなるかと思った」

主人「そうでございますか……こちらもどうなる事かと……」

剣騎士「あらやだ!そこのお兄さんこっちで一緒に飲まなぁぁい?」

女騎士「やめろッ!」

剣騎士「……ケチ」

主人「……女騎士様、貴族様にどのような物をお売りになられたんですか?」

女騎士「何やら牛の置物と像を持っていったな。牛の置物は置物じゃ無いと言っていたが」

主人「そうでございますか」

女騎士「あんな物……何に使うのやら……」

主人「………」

女騎士「縄とか重りとか手枷とかの方が使って楽しいのにな」

主人 (た、楽しまれたい……)

85: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/14(月) 10:35:56 ID:eTRTp4x2
ーーー

少女「女騎士さん!こんにちは!」

女騎士「おお!少女よ、こんにちは」

剣騎士「おぉ!少女よぉ、こんにちはぁ!」

女騎士「………」

剣騎士「何?」

女騎士「何でも無い。……少女よ、今日は随分と機嫌がいいな。何か良い事でもあったか?」

少女「うん!あのね、番人さんが帰って来るんだって!」

女騎士「そうか」

少女「久しぶりだなぁ!」

女騎士「良かったな、少女よ」

少女「うん!」

88: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/14(月) 14:55:48 ID:eTRTp4x2
剣騎士「じゃあチューしてあげるぅ!」

少女「ッ!」ササッ!

女騎士「お前な……」

剣騎士「ごめんなさぁい。知り合いと同じ反応するからおかしくってぇついね」

少女「………」

女騎士「……チュー」

少女「ッ!」ササッ!

剣騎士「……チュー」

少女「ッ!ッ!」アタフタ

女騎士「……すまなかった少女よ、どうなるか試してみたかった」

少女「……やめてよ」

剣騎士「うふふふ」

89: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/14(月) 15:26:28 ID:eTRTp4x2


剣騎士「ねぇあんた」

女騎士「なんだ?」

剣騎士「お金余ってるんだからぁお買い物行きましょうよ!」

女騎士「………」

剣騎士「大丈夫!普通のお買い物だから!」

女騎士「……何が欲しいんだ?」

剣騎士「お、う、ま!」

女騎士「……いらない」

剣騎士「あたしが欲しいの!」

女騎士「………」

剣騎士「毎日毎日歩きでここまで来るの嫌なのよぉ!」

女騎士「健康に……」

剣騎士「それはあんたが嫌なだけでしょ!さっ!行くわよ!」

女騎士「………」

90: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/14(月) 15:36:04 ID:eTRTp4x2


女騎士「………」

馬「………」

剣騎士「いい馬ねぇ。これいくらぁ?」

馬主「……これくらいでは?」

剣騎士「高い!……これくらいにしなさいよぉ」

馬主「それではこちらが首を吊ってしまいます!せめてこれくらいは」

剣騎士「……仕っ方無いわねぇ。買ったぁ!」

馬主「売った!」

剣騎士「うふふん……商談成立ね」

馬主「……お支払は?」

剣騎士「いつもにこにこ現金払いでぇ!」

馬主「かしこまりました!」

女騎士「あぁぁぁ……」

91: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/14(月) 16:25:16 ID:eTRTp4x2
ーーー

女騎士「怖い……怖い……怖い……」

馬「………」

剣騎士「あんたの方が怖いわよ……」

女騎士「無理だッ!この目を見ろ!絶対何かを狙ってる!」

剣騎士「……それは被害妄想って言うの」

女騎士「それに大き過ぎる!」

剣騎士「……普通よ?」

女騎士「一人で乗るなんて無理だ……」

馬「………」

剣騎士「……別に一人で乗れなんて言って無いわよぉ。あたしの後ろへ乗ればいいから!」

女騎士「だが……」

剣騎士「つべこべ言ってないで早く乗りなさい!」

女騎士「……あわわ」

92: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/14(月) 18:03:12 ID:eTRTp4x2


パカラッパカラッ!

剣騎士「いいわねぇッ!最高ぅッ!」

女騎士「高い早い怖い高い早い怖い……」

剣騎士「なあにッ!ブツブツ言っても聴こえないッ!」

女騎士「………」

剣騎士「いい買い物したわぁッ!」

女騎士「……い」

剣騎士「ええッ?何ッ!?」

女騎士「気持ち……悪い……」

剣騎士「やめてよぉッ!」

女騎士「遅い……かも……」

剣騎士「止まってぇ!止まってぇぁぇッ!」

93: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/14(月) 19:33:59 ID:eTRTp4x2
ーー

剣騎士「………」

女騎士「………」

剣騎士「危なかったわね……」

女騎士「すまなかった……」

剣騎士「あんた……あそこで吐いてたら……あたし全裸で帰る事になってたわよぉ……」

女騎士「………」

剣騎士「後……あんた強く握りすぎよ……」

女騎士「……何を?」

剣騎士「お胸ぇ!千切れるかと思ったわぁ!」

女騎士「………」

剣騎士「全く……」

94: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/15(火) 02:34:35 ID:s6mrLr5A
ーーー

女騎士「いつものいっておくかッ!」

剣騎士「さっきまで顔真っ青だったのに……元気ねぇ……」

女騎士「馬が近くにいないからな!」

剣騎士「あっそ……」

女騎士「行くぞッ!」

フォシュッ!ガキッ!

剣騎士「お?」

女騎士「心耳心眼ッ!心如鉄石ッ!」

フシュンッ!フシュォッ!

剣騎士「あらやだ!どうしちゃったのぉ!」

女騎士「私と剣が違う物……つまり心だろ?」

剣騎士「……それあたしが昨日言ったままじゃないのぉ」

女騎士「そうじゃなくて!なんて言うか……心構えとか心の持ちようとかそういう物だろ?」

95: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/15(火) 03:01:36 ID:s6mrLr5A
剣騎士「………」

女騎士「私には剣に対する心の有り様が伴っていなかったのだな……」

剣騎士「いや……」

女騎士「ふふふふ……昨日よくわからん書物を読み漁った甲斐があったものだ!」

剣騎士「………」

女騎士「四文字熟語辞典……素晴らしい書物だったのだな……」

剣騎士「………」

女騎士「心頭滅却……雲心月性……心霊現象……自己中心……」

剣騎士「……ねぇ?」

女騎士「なんだ?」

剣騎士「何で攻撃する時にそれを叫ぶの……?」

女騎士「これを唱えれば余計な事を考えないですむからな!」

剣騎士 (本当はそれだけなんだけど……強くなってるからいいか……)

96: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/15(火) 10:32:18 ID:s6mrLr5A
ーーー

剣騎士「………」

女騎士「ふふん♪ふふん♪」

剣騎士「………」

女騎士「ふふん♪ふふん♪」

剣騎士「……それやめてちょうだい!」

女騎士「なんだ突然?」

剣騎士「真顔で鼻歌歌いながら武器の手入れされるの怖いのよぉ!」

女騎士「いいではないか……」

剣騎士「………」

女騎士「………」

剣騎士「あんた、番人って人が帰って来たらどうするの?」

女騎士「……別にどうもしないが?」

剣騎士「へぇ……」

97: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/15(火) 10:39:14 ID:s6mrLr5A
女騎士「会う理由も無いだろ」

剣騎士「リベンジしてやる!とか無い訳ぇ?」

女騎士「……無い。それとな、もし王にあれこれ言われても辞退しようと思ってる」

剣騎士「なんでえ?」

女騎士「私がどうこうする事も無いからな。……誰か代わりの者がいるだろ」

剣騎士「そう……あんたがそれでいいならあたしは何も言わないけど……」

女騎士「………」

剣騎士「………」

ガシャーンッ!

女騎士「何だッ!」

98: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/15(火) 11:32:58 ID:s6mrLr5A


女騎士「……野盗……では無さそうだな」

剣騎士「人間でも無さそうねぇ」

……「………」

女騎士「……何者だッ!」

……「………」クルッ

女騎士「貴族様ッ!」

貴族「………」

剣騎士「こいつ……もう人間じゃ無いわよ?」

女騎士「わかるのか?」

剣騎士「見た目でわかるでしょ……羽生えてるしぃ……」

女騎士「……生えて無かったか?」

剣騎士「あんた……結構酷いのねぇ……」

貴族「……ハァァァ……」

女騎士「………」

99: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/15(火) 15:44:45 ID:s6mrLr5A
貴族「欲しい……欲しいぃぃ……」

女騎士「………」

剣騎士「………」

貴族「欲しいぃぃ!」

女騎士「……何が欲しいんだ?」

貴族「お前の……髪を……唇を……目を……」

女騎士「………」

貴族「……血も……脳も……臓物もッ!」

女騎士「……やる訳無いだろ」チャキッ

貴族「………」

剣騎士「あんた、こんなのと戦った事あるのぉ?」

女騎士「無い。……が大丈夫だろ」

剣騎士「………」

貴族「ハァァァ……」

ガバッ!……ガギッ……

100: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/15(火) 17:17:04 ID:s6mrLr5A
女騎士「何でそんな姿になったか知らないが……かかって来たなら容赦はしないッ!」

バシッ!

貴族「………」

剣騎士「手伝おうかぁ?」

女騎士「いい。この程度なら私だけで十分だ!」

剣騎士「あっそ……」

女騎士「行くぞ……世道人心ッ!」

フォバッ!……ガギッ!

貴族「ハァァァッ!」

女騎士「……次ッ!ハァッ!」

フォォンッ!

貴族「グゥゥ……ホシイィィ……」

女騎士「デァァッ!」

剣騎士「………」

101: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/15(火) 17:40:09 ID:s6mrLr5A


女騎士「………」

フォォンッバキッ!

貴族「……グゥゥ」

ズダンッ……

女騎士「……こんな物か」

剣騎士「………」

女騎士「何だ?」

剣騎士「いいえ何にも無いわよ」

女騎士「そうか。それにしても……これはなんなのだ……」

剣騎士「……魔物化ねぇ。どうやったか知らないけどぉ」

女騎士「魔物化?」

剣騎士「そう。時々いるのよぉ自分を魔物にして人間以上の力を手に入れようとするお馬鹿さんが」

女騎士「そんな事出来るのか?」

102: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/15(火) 17:49:37 ID:s6mrLr5A
剣騎士「出来たからここにいるんでしょうねぇ……」

女騎士「………」

剣騎士「………」

女騎士「……なぁ剣よ」

剣騎士「……なに?」

女騎士「もしかして私が売った物でああなってしまったのか……?」

剣騎士「………」

女騎士「………」

剣騎士「……その可能性もあるわねぇ」

女騎士「………」

剣騎士「………」

女騎士「ど、どうしよう剣ッ!そんなつもりは無かったんだ!」

剣騎士「落ち着きないさいよぉ。もしそうならあんたもあれになってるでしょ!」

女騎士「……確かに」

103: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/15(火) 20:17:47 ID:s6mrLr5A
剣騎士「………」

女騎士「……取り合えず、城へ報告しないとな」

剣騎士「それはいいけど……あれ逃げたわよぉ」

女騎士「ッ!……何で言わないッ!」

剣騎士「………」

女騎士「追うぞッ!」

剣騎士「待ちなさい……ねぇ?」

女騎士「何だッ!今、それどころじゃッ!」

剣騎士「あんた……なんで止めを刺さなかったの?」

女騎士「それは……」

剣騎士「そんな事してたらあんた……死ぬわよ」

女騎士「………」

剣騎士「追いましょ」

104: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/15(火) 21:59:53 ID:s6mrLr5A
ーー

パカラッパカラッ!

剣騎士「………」

女騎士「剣……」

剣騎士「………」

女騎士「さっきはすまなかった……次は……」

剣騎士「……次があるからなんて考え?」

女騎士「………」

剣騎士「そう……あんたふざけてるの?」

女騎士「………」

剣騎士「あんたが扱ってる物は壊す道具じゃなくて殺す道具なのッ!」

女騎士「………」

剣騎士「……わかった?」

女騎士「わかった……」

剣騎士「………」

106: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/16(水) 07:42:59 ID:306Xzn1s
ーー

剣騎士「いたわよぉ……ん……二人?」

女騎士「………」

剣騎士「しっかりさなさいッ!」

女騎士「………」

剣騎士「はぁ……そんなんじゃ困るわぁ」

女騎士「剣……私は……」

剣騎士「………」

女騎士「く……」

剣騎士「……?……妙ねぇ、あの二人何をやっているのかしらぁ?」

女騎士「……?」

……「グキャァァァァァアッ!」

女騎士「ッ!」

剣騎士「あらあら……」

107: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/16(水) 07:59:15 ID:306Xzn1s
貴族「………」

……「チッ……使えないにも程がある……」

……「村へ行けと言ったのに……何処かへ行きやがって」

……「しかも手負いの身で戻って来る始末……」

……「人間の時も最低だったが……魔物になってもこれではな……」

……「………」

……「……そこの物影にいるんだろ?誰だか知らないけど出て来いよ……」

女騎士、剣騎士「………」

……「あれ?女騎士様でしたか。……女騎士様が二人?まぁいいか」

女騎士「……貴様誰だ?」

……「わかりませ……んよね。こんな爛れた顔では……」

女騎士「………」

108: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/16(水) 08:36:01 ID:306Xzn1s
……「……なるほど。こいつ女騎士様の所へ行ってたのか……」

女騎士「………」

……「本当に屑だな……。救いようが無い……」

女騎士「……貴様は誰だと聞いているッ!」

……「……今日、お会いしたばかりではありませんか女騎士様」

女騎士「……?」

……「このように声も姿も醜くなってしまってはやはりわかりませんか……」

女騎士「………」

……「……私、給仕でございます」

女騎士「まさかッ!」

給仕「驚かれましたか?」

女騎士「……お前、何故そのような姿に……?」

給仕「………」

109: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/16(水) 11:19:25 ID:306Xzn1s
給仕「女騎士様……何を売られたか覚えていますか?」

女騎士「……牛の置物と像だな」

給仕「……どのように使うかは?」

女騎士「知らない……」

給仕「左様でございますか……」

女騎士「………」

給仕「牛の置物でございますが……中が空洞になってましてね……そこに人間を入れるんです」

女騎士「………」

給仕「……そして下から火で炙る」

女騎士「お、お前まさか……」

給仕「……ご察しの通りでございます」

女騎士「………」

給仕「後は説明……要りませんね?」

女騎士「ああ……」

110: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/16(水) 14:31:50 ID:306Xzn1s
給仕「………」

剣騎士「ねぇえ坊や、いくつか聞いていいかしらぁ?」

給仕「……どうぞ。もう一人の女騎士様」

剣騎士「坊やがこれを魔物化したのぉ?」

給仕「……流石女騎士様……魔物化の事をご存じでしたか」

剣騎士「………」

給仕「その通りでございます」

剣騎士「そう。じゃあ坊やは術者?」

給仕「……今までは違いました」

剣騎士「今まで?」

給仕「はい……死の淵に立たされ……このような力が開花したのだと思います」

剣騎士「………」

給仕「……姉様のような力は私には無いと思っていましたが」

112: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/16(水) 16:52:43 ID:306Xzn1s
剣騎士「姉様って坊やの肉親?」

給仕「……はい。名は魔術師と申します」

剣騎士「………」

女騎士「……勇者と共に散ったあの魔術師か?」

給仕「……そうです」

女騎士「………」

剣騎士「ちょっと!わからないんだけどぉ教えてよ」

女騎士「……ある魔物が封印されていた洞窟があってな、一人目の勇者とその一行と……魔術師が討伐に向かったんだ」

剣騎士「……で?」

女騎士「理由はわからんが……魔物の封印は解かれていて討伐に向かった者は全滅……」

剣騎士「………」

女騎士「その魔物を食い止めたのが……番人だったって話だ」

剣騎士「へぇ……」

給仕「………」

114: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/16(水) 23:24:30 ID:306Xzn1s
給仕「……私と違い……立派な姉様でございました」

剣騎士「………」

給仕「………」

女騎士「お前……魔術師の親族なら貴族何かの給仕に付かなくてもよかったのではないのか?」

給仕「私は……何も出来ない愚か者でしたから……」

女騎士「………」

給仕「力も魔力も無い……生きていく為の支えだった姉様さえも無くしてしまった私が通れる道はこれしかございませんでした」

女騎士「……そうか」

給仕「でも……今は違います!」

剣騎士「………」

給仕「力も魔力もあるッ!……これはきっと姉様がくださった贈り物に違いありません……」

剣騎士「……ヤバそうねぇ」

女騎士「そうだな……」

115: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/16(水) 23:50:40 ID:306Xzn1s
給仕「私の目的は達しました……」

女騎士「目的……あれか?」

給仕「はい。あの屑に復讐ですね」

女騎士「………」

給仕「今度は私に生きる力をくださった姉様に……ご恩返ししたいと思います……」 

女騎士「……何をするつもりだ?」

給仕「姉様に生前伺っておりました事をでございます」

女騎士「………」

給仕「……この国の崩壊ですね」

剣騎士「へぇ……そんな出来ない事をするのぉ?」

給仕「私一人では……一人で気高く成し遂げようとした姉様のようにはいかないでしょう……」

剣騎士「……なるほどぉ。その為の魔物化ねぇ……」

116: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/17(木) 01:13:28 ID:Yg/j1btk
給仕「はい。……まずは手駒を揃えようと屑を村へ行かせたのですが……屑は結局屑にしかならかったみたいでして……」

女騎士「………」

給仕「そちらの女騎士様はいかがです?魔物化すれば……悠久の美貌を保証いたしますが?」

剣騎士「そうねぇ……でもぉあたし美し過ぎて困ってるくらいだから遠慮しておくわぁ」

給仕「……左様でございますか」

剣騎士「ごめんなさいねぇうふふふ」

給仕「……では、こちらの女騎士様はどういたしますか?」

女騎士「……剣と同意見だ」

剣騎士「………」

女騎士「遠慮しておくの部分だけだぞ?」

剣騎士「あっそ……」

給仕「……残念でございます」

117: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/17(木) 13:16:19 ID:Yg/j1btk
女騎士「同情はしてやるがな……」

給仕「ならッ!」

女騎士「……魔物になりたくも無いしそんな馬鹿げた事に加担するつもりも無い」

給仕「………」

剣騎士「坊やぁ?そんな事止めちゃいなさいよ。誰も特なんてしないんだからぁ」

給仕「そちらの女騎士様なら……わかっていただけると思っていたのですが……」

剣騎士「あら、何で?」

給仕「……姉様に似ているからです」

剣騎士「ねぇ……」

女騎士「なんだ……」

剣騎士「……似てるの?」

女騎士「……知らん」

118: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/17(木) 13:37:55 ID:Yg/j1btk
剣騎士「会った事あるんじゃないの?」

女騎士「無い。……実はなさっき話した事件に私も呼ばれていたんだが……」

剣騎士「………」

女騎士「勇者一行が来るからって理由で取り止めになった」

剣騎士「なんでぇ?」

女騎士「勇者殴ったからな!」

剣騎士「………」

給仕「……お二方、提案があるのですが……よろしいですか?」

剣騎士「提案?なあに?」

給仕「今からお二方を殺し、魔物になって貰おうと思います」

女騎士「………」

給仕「出来れば……生きているうちになって欲しがったのですが……」

剣騎士「………」

119: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/17(木) 13:56:03 ID:Yg/j1btk
給仕「そうすれば傷も着かず綺麗なままでしたのに……仕方無いですよね」

剣騎士「その提案は却下したいわねぇ」

女騎士「………」

給仕「無理ですね。途中、魔物になりたいと思いましたらいつでも言ってください」

剣騎士「言うと思うの?」

給仕「はい。ご自分の内臓をご覧になっても平気でいられる方以外なら」

剣騎士「そう……」

給仕「後……えっと……」

剣騎士「……?」

給仕「そちらの女騎士様にはですね……」

剣騎士「うん、なに?」

給仕「……私の……は、はん……」

剣騎士「……?」

給仕「伴侶になって貰いますのでッ!」

剣騎士「………」

120: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/17(木) 14:13:01 ID:Yg/j1btk
女騎士「……良かったな!って言った方がいいか?」

剣騎士「……やめて」

給仕「どうでしょう!?」

剣騎士「ごめんなさい……坊やはタイプじゃ無いのぉ……」

給仕「……そうですか」

剣騎士「……でも、強引にするつもりでしょ?」

給仕「はい……ですが生きているうちに答えを聞きたかったので……」

剣騎士「……そう。……そろそろやる?」

給仕「そうですね。……あっさり死なないでくださいね」

剣騎士「……大丈夫。あたし達は負けないものぉ」

給仕「………」

女騎士「……来るか」チャキッ

剣騎士「………」

121: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/17(木) 15:53:57 ID:Yg/j1btk
給仕「……ッ!」

バッ!……ガキンッ!

女騎士「くっ!素手でこの固さはッ!」

剣騎士「馬鹿ねぇ自分も魔物になってるに決まってるじゃない……」

給仕「……わかりますか。そちらの女騎士様は流石でございます」

女騎士「……こいつ」

給仕「そちらの……あの……お名前は?」

剣騎士「今更ぁ?ん……剣でいいわよぉ」

給仕「剣様……剣様はかかって来られないのですか?」

剣騎士「あれよ。一応騎士だしぃ?ね」

給仕「なるほど……」

女騎士「ハァァアッ!」

フォンッ!ガッ……

給仕「………」

女騎士「ググクッ……」

122: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/17(木) 22:11:22 ID:Yg/j1btk
給仕「………」

女騎士「デァァッアッ!」

フォンッ!フォオンッ!

給仕「………」ガギッ……ガッ……

女騎士「どしたッ!」

給仕「………」

女騎士「………」

給仕「……邪魔だな」

女騎士「なんだとッ!」

フォォンッ!……バッ

給仕「……ヘレ・アイン

剣騎士「ッ!」

シュパンッ!ドガッッ!

剣騎士「………」

給仕「……いったぁ……手を出され無いのでは?」

123: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/17(木) 22:39:28 ID:Yg/j1btk
剣騎士「ごめんなさいねぇ。それはちょっと……ねぇ」

女騎士「剣ッ!なんだ突然ッ!」

剣騎士「お馬鹿ッ!」

女騎士「………」

剣騎士「相手は術者なのよぉ。あんた呪文を全然警戒してなかったでしょ!」

女騎士「呪文なんて大した事……」

剣騎士「……あのね言っておくけどアレ喰らってたら……あんたの上半身黒炭になってたわよ」

女騎士「………」

給仕「……剣様は博識でございますね」

剣騎士「昔、ちょっとあって知ってるだけよぉ」

給仕「……そうでございますか」

124: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/18(金) 05:10:39 ID:rwQR.Les
剣騎士「だからぁ呪文は使わせてあげないけど許してね」

給仕「構いません」

剣騎士「いいの?」

給仕「攻撃系の呪文はあまり得意ではございませんので」

剣騎士「そう、よかったぁ」

給仕「……あちらより……勿体ありませんが剣様から始末した方が良さそうですね」

剣騎士「……うふふいいわよぉ」

女騎士「おいッ!今は私が相手をしているッ!」

給仕「……お前あっちで見てろよ……」

女騎士「な……」

給仕「後でしっかり殺してやるから邪魔するなよ?」

女騎士「………」

剣騎士「あらあら……」

125: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/18(金) 13:06:07 ID:rwQR.Les


給仕「………」

剣騎士 (さぁて……どうしましょかねぇ……)

給仕「……ッ!」

ズガッ!カキンッ……

剣騎士 (さっきの攻撃……あんまり手加減しなかったんだけど……)

給仕「………」

剣騎士 (長引くとヤバそうねぇ……)

給仕「いかがなさいました?」

剣騎士「あんまり見つめてくるもんだから恥ずかしくってぇうふふふ」

給仕「……剣様が美しすぎてつい……ふふふ」

剣騎士「あっちだって同じ顔じゃないのぉ」

給仕「……あっちは駄目です」

剣騎士「あっそ……」

127: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/18(金) 14:44:57 ID:rwQR.Les
給仕「姉様に全然似てません!」

剣騎士 (……何か弱点があればいいんだけどぉ……)

給仕「姿や声は違いますが……その言い回し、人を小馬鹿にした態度……そっくりでございます」

剣騎士 (魔物化……まだ人間の姿だから頭か胸……どちらかよね……多分)

給仕「……姉様の場合は度が過ぎて……孤立していましたが」

剣騎士 (……あんまりやりたく無いけど……仕方無いかぁ……)

給仕「でもそれは人々に対する愛情の裏返しであって!」

剣騎士「………」

給仕「……?」

剣騎士「ちょっとタンマ……」

給仕「……どうぞ」

128: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/18(金) 14:53:22 ID:rwQR.Les
剣騎士「………」チョイチョイ

女騎士「……なんだ?」

剣騎士「今からあたしが囮になるからぁあんた、胸を貫いて」

女騎士「ああ?そんな事自分で……」

剣騎士「いいからぁ!ちゃんとやりなさいよ!」

女騎士「……わかった」

剣騎士「………」

給仕「………」

剣騎士「はぁ……」

給仕「何か企みの相談でしたか?」

剣騎士「そう。……行くわぁッ!」

給仕「………」ザッ……

剣騎士「………」

シャギンッ!ガギンッ!

129: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/18(金) 15:14:33 ID:rwQR.Les


女騎士 (……人間の姿をしたあいつの胸を貫く……)

給仕「……何を話していたか知りませんが……無駄だと思います」

バシンッ!ガッ……

剣騎士「そう?」

給仕「はい」

剣騎士「坊やの相手ってぇ結構めんどくさいから早く逝かせてあげようと思ってねぇ」

給仕「……私はもう暫くこのままでいたいのですが」

剣騎士「あらぁ?どうして?」

給仕「生きている剣様を見納めるには少し早いと思いまして……それに女性より先に逝くのは失礼かと」

剣騎士「うふふふ……」

給仕「ははは……」

剣騎士「………」

ヒュバァシッ!ガスッ!

給仕「………」

130: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/18(金) 16:50:04 ID:rwQR.Les
剣騎士「………」

給仕「………」

剣騎士「………」ジリ……

給仕「………」ザッ……

剣騎士「……静かね」

給仕「……はい」

剣騎士「………」

給仕「………」

剣騎士「………」チラッ

女騎士「………」

給仕「……よそ見はいけませんよッ!」

バシュッ!

剣騎士 (かかったッ!ここで受け流すッ!)

ザズ……ガギンッ!

131: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/18(金) 17:20:43 ID:rwQR.Les
剣騎士「今よぉッ!」

給仕「しまっ……ッ!」

女騎士「ハァァァァアアッ!」

ヒュッ……ドガッ!ザシュッ!……ボトッ……

給仕「………」

剣騎士「……ギァゥ……ぐっぅ……」

女騎士「……グァァ……ゲホッゲホッ!」

給仕「………」

剣騎士「……はぁ……はぁ……凄いじゃない坊や……絶対仕止めたと思ったのに」

給仕「……剣様の方こそ……左腕を落とされ……そこから私の左目を貫くのですから……流石でございます」

女騎士 (け、蹴られた……ッ!)

剣騎士「ぐぁ……はぁ……まさかあの角度であっちが蹴り飛ばされるとは思わなかったわぁ……」

女騎士「剣ぃいッ!」

給仕「………」

132: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/18(金) 17:42:21 ID:rwQR.Les
女騎士「お、お前……」

剣騎士「……そんな顔しないの……はぁ……」

女騎士「すまなかった……私がッ!」

ダキッ

剣騎士「謝らなくていいから……あたしのせいだしねぇ……うふふ……」

女騎士「………」

剣騎士「はぁ……ごめん……ね。あんたの姿でこんなんになっちゃって……」

女騎士「………」

剣騎士「……うふふ」

女騎士「……やめ」

剣騎士「それ以上言っちゃ駄目……ねぇ」

女騎士「うぐぅ……なんだ剣……」

剣騎士「もう一度……あたしが隙を作るから……またお願いねぇ」

133: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/18(金) 20:40:16 ID:rwQR.Les


給仕「………」パシッ……

給仕「………」

給仕「……ん」カプッ

ガリッ……

給仕「ッ!ペッペッ……」

剣騎士「……人の腕……勝手に食べないでくれる?」

給仕「これは……はしたないところを失礼しました」

剣騎士「……で、美味しかった?」

給仕「いえ……」

剣騎士「あら……魔物なら人間を食べられると思ってたけどぉ」

給仕「私も御多分に漏れずそうなのかと思っていましたが……違うようです」

剣騎士「へぇ……」

135: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/19(土) 00:48:59 ID:9MtnUI0.
給仕「……剣様……随分と辛そうでございますね」

剣騎士「まぁ……誰かのお陰で腕無くなっちゃったからぁ……坊やは平気そうねぇ」

給仕「はい」

剣騎士「………」

給仕「………」

剣騎士「……はぁ」

給仕「……すぐ終わらせますので」

剣騎士「………」

給仕「………」

剣騎士「……ハァッ!」

シュパッ!……ガシッ……

給仕「やはり片腕ではその程度……暫しのお別れです剣様……」

ドスッッ!

136: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/19(土) 01:09:23 ID:9MtnUI0.
剣騎士「……グハァァッ……うふ……ふふふ……」

給仕「………」

剣騎士「坊や……近くで見たらゲホッ……いい男じゃない……」

給仕「それはどうも……放して貰えますか?」

剣騎士「……駄目だから……はぁ坊やが逝くまで……抱き締めてあげるわぁ……」

給仕「……?」

女騎士「……あぁあ……ああ」

女騎士「ウワアアアアアァァッ!」

ドッドスッッ!

剣騎士「……ふふふ」

給仕「グゥァァ……」

女騎士「剣……剣ぃ……」

137: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/19(土) 01:27:58 ID:9MtnUI0.


女騎士「………」

剣騎士「……また……そんな顔して……ふふふ」

女騎士「すまなかった……すまなか……ぐっ」

剣騎士「いいのよぉ……あたしが言った……事だから……」

女騎士「………」

剣騎士「良く出来たわねぇ……カハッはぁ…はぁ……誉めてあげる……」

女騎士「……もう喋るなッ!」

剣騎士「……大丈夫……あたしは……しぶといから……」

女騎士「うぅぅ……」

剣騎士「ごめんなさい……ね……自分の姿に……剣を刺す……」

女騎士「………」

138: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/05/19(土) 01:41:12 ID:9MtnUI0.
剣騎士「……楽しかったわ……女騎士……」

女騎士「……剣?」

剣騎士「………」

女騎士「おい?やめろ……やめてくれッ!」

女騎士「目を開けろ……」

女騎士「………」

女騎士「剣ィィィッ!……お願いだッ!」

女騎士「二度とこんな事が無いようにもっとッ!もっと……強くなるからッ!」

女騎士「目を開けてくれえぇぇっ!」

女騎士「うぐぅああぁぁッ!」

………


後編へ

引用元: 精霊「喋る剣……欲しい?」